ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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  ――最終章・破――

  『ラブライブ編』


     始動





132.最後の練習

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、そりゃすげえな」

 

「にこちゃん凄いにゃー!」

 

「当たり前でしょ! 私を誰だと思ってるの!? 大銀河宇宙ナンバーワンアイドル、にこにーにこちゃん! よ! 緊張した……」

 

「うん、これに関してはマジでよくやったと思うぞ」

 

 

 気付けばラブライブはもう翌日に迫っている中、俺達はいつもの部室にいた。

 

 

 何でも先日ラブライブに出場するスクールアイドルが集まって当日の順番をくじで決めたらしい。

 そこで我がアイドル研究部部長のにこは見事にトリを引いたとのこと。いつかの学園祭で講堂外した時とは大違いである。これ言ったら怒られそう。

 

 

「でも一番最後。それはそれでプレッシャーね」

 

「そこは開き直るしかないわね」

 

「でも私はこれで良かったと思う! 念願のラブライブに出場できて、しかもその最後に歌えるんだよ!」

 

「そうやね。そのパワーをμ'sが持ってたんやと思うっ」

 

「だな。予選ならともかくとして、本選でトリができるのはでかい。ただでさえA-RISEを下したμ'sが最後なんだ。見に来る客の注目は想像以上だと思っていいかもな」

 

 ここまできてトリで歌えるのはつくづく運が向いてきたのかもしれない。

 μ'sができる最大のアピールを大人数の客に見てもらえるんだから、勝算も十二分にある。それにもしかして……あとでちょっとルールでも確認してみるか。

 

 

「むぅ、ちょっと! 引いたのは私なんだけど」

 

「はいはい、そうね」

 

「偉いにゃ偉いにゃ」

 

「ヘイヘーイ」

 

「ざっつ!! オルァ!!」

 

 おっと、考え事してたせいか条件反射で変な反応してしまった。

 あとにこは俺にだけ右ストレートしてこないでほしい。少し反応が遅れてたら頬に喰らってたぞ。慣れてきてる俺も俺だな?

 

 

「さっ、練習始めるわよ!」

 

「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」

 

「あ、ちょっと! むぅ……」

 

 みんな屋上に行ってしまった。

 と、傍観しているけどこれ俺も忘れられてるな。パンチを受け止める肉体的接触してるせいで俺も一緒に流される感が凄いぞ。

 仕方ないからむくれてるにこへフォロー入れておいてやるか。

 

 

「まあ、何だ。大丈夫だろ」

 

「拓哉?」

 

「あいつらもあんなこと言っちゃいるけど、大トリ引いたお前に感謝してるさ。そういうヤツらだしな」

 

「……分かってるわよ」

 

「お?」

 

「最後までいつもの私達でいようってことでしょ」

 

「ほう……」

 

 分かってんじゃねえか。こりゃフォロー入れる必要もなかったな。

 そもそもこいつらの絆の深さは俺が一番知ってるのに余計なお節介でもしたか。

 

 

「さあ、練習練習。行くわよ拓哉!」

 

「へいへい」

 

「っと、拓哉」

 

「あん?」

 

 部室を出ようとにこの後ろを歩いてると急にこちらへ振り向いた。

 

 

「アンタも私達の絆の中にいるってこと、忘れちゃダメよ」

 

「……、」

 

 言うだけ言ってにこは部室から出ていく。

 その扉を数秒ただ見つめていた俺はふと我に帰った。

 

 

 

 

「あー、女の子って怖え……」

 

 

 

 ただ、言動とは裏腹に気分は悪くなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワンツースリーフォーワンツースリーフォー!」

 

 

 

 いつもの屋上。

 テンポよくリズムをとって指揮をしながら先導しているのは凛だ。

 

 俺達が修学旅行に行ってるときに女の子らしい服装をするのも、自分がリーダーになることへの不安がなくなった凛には任せるに十分に値すると踏んで提案したら、快く引き受けてくれた。今ではもう立派な二代目リーダーになりつつある。

 

 

「じゃじゃーん!」

 

「うん、いいんじゃないか。動きもそれぞれの距離感もバッチリだ」

 

 正面から見ていても穂乃果達の踊りには寸分の狂いはなかった。

 もしどこかで狂いがあったとしても、それが気にならないほど引き付けられるものがあると自信を持って言ってやれるだろう。ちょっとした親バカ気分だ。

 

 

「んじゃ10分休憩のあとにもう一度流れを確認していこう。とりあえず休憩に入ってくれ」

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~」

 

「随分温かいですね」

 

「季節的にはもう春だしな。ほれ」

 

「ありがと~」

 

 夜になればまだ寒さはあるが、昼や放課後だともう十分に温かい時期になった。俺からすれば寒くないのは万々歳である。

 

 

「お昼寝したくなっちゃうね~」

 

「いよいよ春って感じだよね。桜の開花も今年早いって言ってたし」

 

「そうなんだ。何か気持ちいいね~」

 

 確かに朝のニュースでも桜が開花するのは早いって言ってたな。タイミングが良けりゃ絵里達が卒業する日には満開してるかもな。

 

 

「穂乃果ちゃん、寂しくなっちゃダメ。今はラブライブに集中っ」

 

「そうですよ」

 

「なーにセンチメンタルになってんだよ」

 

「……分かってるよ」

 

 穂乃果も俺と同じことを考えていたらしい。

 気持ちは分かるがことりの言っていることが今は正しい。まずは勝ってからだ。

 

 

「ただ……」

 

「ただ?」

 

「ぎゅー!」

 

 何を言いだすのかと思えば、穂乃果がいきなり海未とことりを抱き寄せた。

 

 

「な、何ですかいきなりっ」

 

「急に抱き締めたくなった!」

 

「私も~ぎゅ~!」

 

「もう~苦しいですよぉ。ことり、穂乃果ぁ。拓哉君も助けてくださいよ!」

 

「はいもっと寄って~。そうそう良い感じ良い感じ。いいね、いい写真がバンバン撮れるぞ!」

 

「カメラマンになってどうするんですか!」

 

 実はこの前みんなで遊びに行った時に写真を撮ってたらこれが結構楽しくて、今では何気ない風景とか撮るのにハマっている。何はともあれ。

 いい、いいぞ! いいですわぞー!! もっとやれ。女の子達が仲良くくっついてるのはどうしてこう惹き付けられるものがあるのだろうか。とても素晴らしい。

 

 

「ぎゅ~!」

 

「ぎゅ~! たくちゃんもおいでよ!」

 

「俺はいい。もしいったら多分理性が吹っ飛ぶ」

 

「そこは素直なんですね……」

 

 当たり前だろ。素直に突撃してみろ。一瞬で俺は通報されて人生終わるぞ。せめてこいつらが優勝してからじゃないと納得できない。いや優勝しても何もしないけど。

 

 

 

「ええい休憩終わりだー! 全員各自のポジションにつけー!」

 

 これ以上この話を引っ張るのは得策ではないので強引に話を背ける。

 ちょうど休憩時間が終わって感謝しかない。

 

 

「あ、そうだ」

 

「どうしたのたっくん?」

 

 ふと思い出したところでみんなを呼び止める。

 変な感情に流されて本題を出すのを忘れてはいけない。穂乃果達が踊っているあいだ、俺はラブライブ本選のルールを確認していた。

 

 もしだ。もしあれが許されるなら、きっと優勝しないと認められないものかもしれない。

 負けた時のことは考えない。優勝したときのことを考えろ。穂乃果達が、俺達がラブライブにかけてきた想いを最大限に伝える手段は、本選で歌う曲はもちろんだが、もう一つあったはずだ。

 

 

 

「これは俺の私利私欲で自己中心的な考えかもしれない。だけど、それでもやりたいことがある。もし優勝できたらでいい。まだお前達が覚えているならでいい」

 

 

 

 

 

 そう。

 

 

 

 

 

 

 

 これはちょっとしたもしもの話。

 

 

 

 

 

 

 

 だけどそのもしもが実現できたなら、μ'sにはきっと本望だろうと信じて、最後の懸けを出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺を信じてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、もう練習終わりなのかー」

 

「本番に疲れを残すわけにはいかないしね」

 

「どこかの誰かさんのせいで体は結構動かしたけどね」

 

「さりげなく俺を攻撃するのやめてくれませんかね……」

 

 

 練習が終わり夕陽が輝く中を歩いている。

 翌日本番ということもあって練習は控え目に、という話だったのだが。俺が提案した話をみんなが二つ返事で引き受けてくれたおかげで控えめではなかった気がする。

 

 

「じゃあ明日。みんな時間間違えないようにね。各自、朝連絡取り合いましょ」

 

「はい、穂乃果のところには私が電話しますね」

 

「何なら俺が穂乃果の家に迎えに行くけど」

 

「遅刻なんてしないよー!」

 

 確かに穂乃果が遅刻することはなくなったが一応、一応ね?念には念を入れておいた方が安心材料も増えるし。

 信号が青になって足を進める。ことはなかった。

 

 

「あっ」

 

「どうしたの?」

 

「……もしかして、みんなで練習するのってこれが最後なんじゃ……」

 

 思い出したように言った花陽の言葉がみんなの足に釘を刺す。

 明日がラブライブ本選。つまり最後のステージになる。だから当然、今日で練習は終わりになったことを意味する。

 

 

「……そうやね」

 

「って気付いてたのに言わなかったんでしょ。絵里と拓哉は」

 

「そっか、ごめんなさい……」

 

「ううん、実は私もちょっと考えてたから」

 

「薄々みんな分かってたはずだろ」

 

 だからあえて誰も何も言わなかった。いいや、言えなかったの方が正しいかもしれない。

 寂しさを紛らわすために少しでも練習に集中して。

 

 

「ダメよ」

 

「にこ……」

 

「ラブライブに集中っ」

 

「……分かってるわ」

 

「じゃあ行くわよ」

 

 こういうときのにこは本当に頼りになる。アイドル意識が強いというか、芯がしっかりしているからだろう。

 だけど、誰もがそういうわけじゃないのを、あの件で俺は既に知っている。

 

 

「……何いつまでも立ち止まってるのよ」

 

 にこ以外のメンバーが一向に足を進めない。

 気持ちではいくら分かっていても、どうしても拭えないものがある。それが今なんだろう。

 

 

「分かってやってくれ。にこは立派だ。けどな……本来そういうものなんだよ。人ってのは」

 

「何よそれ……私だって……」

 

「ああ、強がりだって立派な意志だよ。それだけみんな大事だったんだろ。場所も時間も、何もかも」

 

 だからこういう時のために俺がいる。

 少しでも立ち止まりそうになったら、前へ進むための手を差し伸べて導いてやらなくちゃいけない。

 

 

 

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 せっかくのラブライブ本選なんだ。

 願掛けに行っても、きっと罰は当たらないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなで神社にでも行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


三段構成なら『破』、四段構成なら『承』といったところでしょうか。
ラストまでもう少し~。


いつもご感想高評価ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!(高評価☆10が欲しい)




サンシャインの方も何やら凄かった。
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