ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

151 / 199
139.後片付け

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄いにゃー!」

 

 

 

 

 

 

 無事卒業式も滞りなく終わり、にこの私物を片付けるために今は部室の方へやってきていた。

 

 

 

 

「ほとんど空っぽ~」

 

「じゃあここにあったのって、本当ににこちゃんの私物だったってこと?」

 

「違うわよ。私が特別に貸し出していたの! あ、拓哉それはこっちに入れてちょうだい。ちゃんとアイドル別じゃないと後で分かりづらいから」

 

「おかしい、何で俺だけ片付けを手伝わされてるんだ……。親に言われたのにこだけのはずなのに……」

 

 何やかんやあっていつものが如く手伝わされている少年岡崎拓哉。

 これはにこの私物であって部活の手伝いとは無関係じゃないかという野暮なツッコミはきっと受け入れられないだろう。やはり最後まで扱いはブレないのだった。

 

 

「貸し出し……」

 

「物は言いようにゃ……」

 

「でも、ここに何もなくなっちゃったら、ちょっと寂しくなるね」

 

「何言ってんのよ。アイドル研究部なんだから、次の部長が家にある物を資料として持ってくればいいでしょ」

 

「次の部長?」

 

「そういえばまだ決めてなかったわね」

 

「卒業式の準備とかでそれどころじゃなかったしな」

 

 片付けをしているにこが途端に動きを止めて振り返る。

 

 

「花陽」

 

「え?」

 

「頼んだわよ」

 

 現部長から直々に後継者が伝えられた。

 まっすぐ花陽を見つめながら言うにこの眼差しは真剣そのものである。

 

 

「……えっ……えええええええ!?」

 

 しかし当然、突如言われた花陽も驚愕を隠せないでいた。

 黙々と片付けの手伝いをしている拓哉は特に驚きはしない。何となくだがそうなるだろうと予感はしていたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理無理無理ぃ~誰か助けて~!!」

 

「助け求めるほどでもないだろ」

 

「まさか生徒会長を兼任させるわけにいかないでしょ」

 

 片付けが一通り終わり、隣の部屋に移動してちょっとした発表会的なものが行われている。

 黒板には誰が書いたのか、でかでかと部長と書かれていて周りにはキランッという効果音でも入ってそうなイラストまで描かれている。

 

 

「あなた以外にアイドルに詳しい人他にいないんだし」

 

「で、でも、部長だなんて……」

 

 実際、にこの次にアイドル関連に詳しいのは断トツで花陽だろう。

 リーダーの穂乃果はむしろ疎かったりするので、適任と言えば花陽しかいない。と拓哉は思っていたがゆえにいっそ納得した。

 

 

「凛だってμ'sのリーダーやったんだよ! かよちんならできる!」

 

「そうよ。一番適任でしょ」

 

「でもぉ……」

 

「できるわよ、あなたなら。こんなにたくさん、助けてくれる仲間がいるんだから!」

 

 周りを見渡せば、メンバー全員笑顔でこちらを見ている。

 誰も不満も異論も唱えない。絶対の信頼があるからこそ任せられるとでも言っているかのように。

 

 

「それに、いざとなればこの唐変木が何とかしてくれるわ」

 

「褒めてんのかバカにしてんのかどっちだ」

 

「両方よ。アンタからも何か言ってやんなさい。それでこの子も後押しされるはずだから」

 

 何とも無茶振りもいいとこの部長だが、花陽が自信を持って部長に努められるようにするには従うしかないらしい。

 にこに関してはあとでチョップでもするとして、まだ自信なさそうにしている花陽に言葉をかける。

 

 

「つっても、実際アイドル研究部の部長を任せられるのは花陽しかいないってのは俺も同意見なんだ。花陽がいてくれたからラブライブの事を知れたし、少しずつだけど知識もついた。何だったら花陽以外に部長できるヤツはいないと思ってる。海未とか絶対地獄メニューで死人出しそうだしな」

 

「私は副会長ですからなるつもりもありません。それと拓哉君はあとでお話があります」

 

 さらっと死刑宣告をされたがあえてスルーする。きっとまともに返事をしたら余罪が増えそうだと本能が感じた。

 

 

「花陽が部長になったあかつきには、花陽らしいやり方でもっとここを楽しく感じさせてくれ。俺はここに来たのが2年になってからだから、2年間しかこの学校にはいられないけど、2年間このアイドル研究部にいて良かったと思えるような活動を期待してるよ」

 

「まっ、そういうことよ。もっともっと賑やかな部にしておいてよね。また遊びに来るから!」

 

「拓哉くん……にこちゃん……」

 

 過度な期待は重いプレッシャーとなってしまうのはよく聞く話だ。

 けれど、それに応えられる力を花陽は持っている。だからこそ次期部長に選ばれたのだから。

 

 

「……うん、私、やる!」

 

「やったにゃー!」

 

「じゃあ、真姫ちゃんが副部長ね!」

 

「ええ!? 何で私!?」

 

 突然の名指しに今度は真姫が声を荒げた。

 

 

「私が部長だったら凛ちゃんがリーダー。だから真姫ちゃんが副部長だよ!」

 

「それいいにゃー!」

 

「なっ……。ッ!!」

 

「いや、俺を見てくんな。助けを求めんな。成すがままを受け入れろ」

 

「……、」

 

 どうやら助けを求める視線ではなく何とかしろという理不尽命令のアイコンタクトだったらしい。射殺しそうな目で拓哉を睨んでいる。

 と言っても拓哉にどうすることもできるはずもなく、むしろ雰囲気的に真姫を納得させるしか道はない。

 

 

「考えてもみろって。穂乃果達は生徒会なんだからできるはずないだろ? それに俺だってあくまで手伝いだからなるわけにもいかない。ならあとはこう言っちゃなんだけど消去法でお前しかいないんだよ」

 

「本当に消去法じゃない!」

 

「けどお前は作曲できるし頭もキレる。控え目な花陽に運動以外アレな凛よりも、いざという時にハッキリ物を言える真姫が副部長なら花陽も心強いってもんだろ」

 

「何か凛サラッとバカにされた!?」

 

 それ以外の言葉が見つからなかったから大目に見てほしいと心で思う少年。でも間違ってもいないと言い切る自信はある。

 

 

「穂乃果達もそうだけど、俺から見てもお前ら1年生はバランス良いと思ってるんだよ。お互いの短所を補えられる仲間がいるってのは頼もしいもんだぞ。ということで絵里、締めてくれ」

 

 基本拓哉相手にも反抗心(ツンデレ)を発揮する真姫だから、こういうときはさっさと話しを進めるに限る。

 1年近く見ていれば誰をどう扱うかは案外分かっちゃうものなのだ。

 

 言われた直後にその真意に気付けるのもやはり、μ'sのまとめ役の1人、我らがクォーター美人絢瀬絵里。

 パンッと手を叩いて視線を集める。

 

 

「ふふっ、じゃあみんな、頼んだわよ」

 

「ま、待って! 私はまだ……っ」

 

 やるとは言ってない。

 そう言おうとして、口が閉じた。

 

 断わるだけなら簡単だ。別に副部長がいなくてもこのアイドル研究部は今日までやってこれた。

 絶対に必要というわけではない。けれど、凛も花陽も、それぞれ成長して役を請け負った。

 

 ならば、自分も先を歩くだけじゃなく、後ろを着いていくわけでもなく、対等に隣を歩いてもいいんじゃないだろうか。

 今まで通りにしつつも、個人が個人の役割を果たして共に歩んでいくのは大変だろうが、きっと楽しくもあるんじゃないかと思う。

 

 そう思えるのは、目の前にいるメンバーが証明してくれた。

 であれば、いつも通りを装いながらも本音を交え、言葉に出すだけだ。

 

 

「……もう! 別にいいけど!」

 

「やっと折れたか」

 

 真姫のことだから最終的に折れるとは思っていたが、この数十秒間で大きな心境の変化でもあったのだろうか。

 何だか吹っ切れたような表情をしている。

 

 と、ここで希が切り出した。

 

 

「さあ、これでもう必要なことも全部終わったね。じゃあウチらもそろそろ行こっか」

 

「え、もう行っちゃうの……?」

 

 卒業式が終わりクラスでのHRが終わった今、あとは生徒同士で思い出話に花を咲かせるか、さっさと帰宅してパーティーでもするか、拓哉達のように部活でも何かしらやる事があるように、もう放課後のような自由時間になっている。

 

 

「せっかくだし、校舎を見て回ろうかと思って」

 

「じゃあ私達も行くよ。だってほら……この10人でってのは、これが最後だし……」

 

 

 

 突如。

 部室内に静寂が訪れた。

 

 

 

「……あれ?」

 

 何かまずい事でも言ったかと焦る穂乃果だったがここで部員一のお調子者乙女、凛が声を荒げた。

 

 

「あー!! 言ったにゃー!!」

 

「え? ああああああ!?」

 

「最後って言ったらジュース一本っていう約束だよっ」

 

「えー!!」

 

 実は笑顔で送り出したいのにしんみりしてしまうのはどうなんだという話し合いになり、『最後』というワードを言った者にはメンバー全員にジュースを一本奢るという、高校生には割と重い罰ゲームが課せられる約束をしていたのだった。

 

 

「凛か穂乃果が言うと思ってたけど、まさかルールを決めたリーダーが罰を受けるとはな」

 

 私は絶対言わないから余裕だもんと調子乗っていた張本人、見事に撃沈。

 言いだしっぺが負けるという法則はあながち間違っていないかもしれない。

 

 

 

 

 しかしそこは何だかんだやはり紳士だった岡崎拓哉。

 さすがに9人分のジュースを奢らせるのはいつも一緒にいて穂乃果の財布事情を知っているからか見捨てるわけにもいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら穂乃果。7人分くらいなら俺が出してやるからそんな落ち込むなって」

 

「うぁぁああぁああ、たくちゃんありがど~~~ぢゅぎぃ~~~!」

 

「はいはい分かったから鼻水を俺の制服に付けるんじゃありません」

 

 

 

 

 

 抱き付いてきたと思って頭を撫でてやったらどさくさに紛れて思いっきり鼻水を制服に付着させてきた幼馴染にもはや怒りも呆れもなく、ただただ慣れてしまった自分に恐怖する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(私も罰ゲーム受ければよかったなあ)

 

 

(くっ……穂乃果、やはりあなたは私の永遠のライバルです!!)

 

 知らないところで幼馴染組が闘志を燃やしていたのは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 卒業式は終わりを迎えても、生徒の物語はまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


にこのあの大量の私物はきっとにこママが車で持って帰ってくれるに違いない……。
ここで語ることもいよいよ少なくなってまいりましたが、劇場版編ではまた語っていきたいですねえ。


  次回

アニメ2期本編、最終回。



いつもご感想高評価ありがとうございます!!


では、新たに高評価(☆10)を入れて下さった


本好きたけちーさん

ろまんさん


計2名の方からいただきました。
ここまで長いのに読んでくださり、そして高評価までいただけるのは恐悦至極にございます!!ありがとうございました!!

これからもご感想高評価(☆10)お待ちしております!!




次回2期最終回と言っておきながら、土曜から岐阜の方へスキーしに行くので来週更新できるか分かりませぬ。
Twitterで追々お知らせしますです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。