ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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久しぶりにあの後輩も出てきます。





142.遠征

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、俺の名前は岡崎拓哉。

 もちろん男だ。

 

 

 何だかラノベやマンガでありがちな自己紹介をしているが、俺にはまずそんな非日常的なあれやこれやな展開はないし、誰もが憧れるような異能力もない。日常を脅かす悪党を倒すためのヒーロー活動をしているわけでもなければ、神様の手違いで異世界に送られてチートハーレム状態になることもない。

 

 ただただ、ごく普通の一般人。

 本物のどこにでもいる平凡な高校生である。

 

 そんな普通の俺はもちろん共学の高校に通っている。男子は今のところ俺しかいないけども。

 去年まで廃校の危機に陥っていたこの音ノ木坂学院。

 

 それを救うために俺の幼馴染が立ち上がったり、成り行きではあるが俺も手伝う役目を請け負ったり、何だかんだメンバーも増えていき、第二回ラブライブというスクールアイドルが多数出場する大会で優勝を収め、無事に廃校阻止と優勝旗という栄光をこの学校にもたらしたわけだ。

 

 とどのつまり、ごく普通の高校生でも何かのために何かを成し遂げるのは特別な力なんか必要なかったりする。

 ちゃんとやることをやって、文字通り血と汗と涙を流しながら努力をすれば結果はどこかで結びつくのだ。……うん、血は出してなかったか。

 

 

 さて、結局のところ俺が何を言いたいのかというと。

 どこにでもいる平凡な高校生でもやれることをした結果、自分達でも思ってもいなかった展開が待っていることもある。

 

 

 

 それがまさしく、たった今ここで起きている。

 

 

 

 

「「「「「「「「ドーム大会!?」」」」」」」」

 

「秋葉ドームです! 第三回ラブライブが秋葉ドームでの開催を検討しているんです!」

 

 卒業式を終えた絵里達を見送ろうとした矢先、いつものように花陽の携帯に通知がきたと思ったら部室へ直行。ついでに穂乃果は強制連行。

 そんで部室に来たと思ったらPC画面を食い入るように見ていた花陽からのこの報告である。実際俺も驚いている。

 

 

「秋葉ドームって、いつも野球やってる?」

 

「あんな大きな会場で……?」

 

「ラブライブもでかくなったもんだな」

 

「私達出演できるの!?」

 

「いやいや、ウチらはもう卒業したやん」

 

「今月まではまだスクールアイドルでしょう!」

 

 おい、さっきまでの完全終了モードはどうした。

 良い感じに別れるとこ寸前だったろ。

 

 

「やっぱりここね」

 

「お母さん」

 

「やっぱりってことは、理事長は何か知ってるんですか?」

 

 突然やってきたことりの母、もとい理事長は何やら物知り顔らしい。

 それを肯定するように理事長は首を縦に振った。

 

 

「その顔は聞いたみたいね。次のラブライブのこと」

 

「はい! 本当にやるんですか!? ドームで!?」

 

「まだ確定ではないけどね。だからその実現に向けて、前回の大会優勝者のあなた達に協力してほしいって今知らせが来たわ」

 

 なるほど、実際ラブライブがいかに規模のでかい大会になったとしても、いつもテレビで見ているような野球場やライブ会場を使うとならばまだ実績が足りないってことか。

 そこでそれを実現させるために優勝者の穂乃果達に白羽の矢が立ったわけだ。こちらとしても充分に納得できる。

 

 

「それって、まさか……」

 

「ん?」

 

 真姫の言葉に理事長の方へ視線を戻すと、その手に何か手紙的な便箋を持っていた。

 いいや、ただの便箋なら俺も何も驚きはしなかっただろう。ただ、日本ではあまり見かけない模様をした便箋。

 

 つまり、それは海外からの手紙だということを知らされた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ま、まじか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論。

 結局、誰にもこの先の未来に何があるのなんて分からないし予想もできないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、ちゃんとパスポート持った?」

 

「持ってるよ」

 

「財布とかも忘れてない?」

 

「当然」

 

「着替えは? 寝巻きとかもちゃんと入れてる?」

 

「3回くらい確認もしたし不備はないって」

 

「武器とか入れてない? 向こうで何かあっても絶対喧嘩とかしちゃダメだからね? いつ撃たれるか分からないんだからね?」

 

「だあああああーッ!! 分かってるよ! 武器なんて入れてるわけねえし喧嘩なんかしねえよ! 銃社会なのは確かだけどそこまで酷くないってのはテレビ見てりゃ分かるだろうがこの心配性な可愛い妹め!!」

 

「大丈夫? 人としての尊厳とかまた勝手に知らない女の子とかと知り合いになったりしない? トラブル体質なお兄ちゃんだから変な事件に巻き込まれたりしない?」

 

「ねえ最後の方もはや俺の人格や体質批判してない? どこ行ってもそれだけはどうしようもないこと心配されてない? 性格のこと言われてない?」

 

 

 可愛い我が妹にいらぬ心配までされている俺はもう空港まで来ていた。

 他のメンバーももう待ち合わせ場所に来ているし時間にも余裕があるおかげか、俺みたいにちょっとした別れの挨拶をしている者が多い。

 

 

「先輩、お土産とか待ってますね♪ あたし的にはぁ、ブランド物のバッグとかでお願いします!」

 

「そんなバカ高えモン買うわけないだろ何でお前がここにいるんださっさとお家に帰るかその辺の店にでも行ってインスタ映えするモンでも眺めとけバーカ」

 

「先輩があたしをどういう目で見てるかよぉーく分かりましたので外堀をどんどん埋めていくことにします」

 

「やめて全面的に俺が悪かったから土下座でも何でもするから」

 

「さすがにそこまでされるとあたしでも落ち込むんですけど!」

 

 唯が亜里沙達と一緒に絵里のとこへ行ったからよかったものの、今のを聞かれてたら終わってたぞ。

 というか本当なんでこいつはここにいるんだろうか。桜井に連絡なんかしてないはずなのに。

 

 

「それは花陽ちゃん達がアメリカに行くって聞いたので当然見送りに来たんですよ。ついでに先輩にちょっとした報告もしておこうかと思いまして」

 

「当然のように心の中読んでくんなよ怖いわ。……報告?」

 

「はいっ! 花陽ちゃん達にはもう言ってあるんですけどぉ……何とあたし、無事音ノ木坂学院に転入することになりましたー!」

 

「………………まじ?」

 

「まじ」

 

「本気と書いて?」

 

「まじ」

 

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。

 

 

「何でだ!! 転入と言っても普通それなりの理由とかがいるはずだろ!? 親の説得とか、編入試験とか、そういう壁とかどうしたんだ!?」

 

「ふっはっはっは! 愚問ですよ先輩! あたしだって成績悪いわけじゃないですし試験も余裕。家族には大事な友達がいるからと本音と方便を混ぜつつ説得しました!」

 

「なっ……だ、だからと言ってお前の学校の校長とか音ノ木坂の理事長とかが認めるものなのか!?」

 

「それも愚問ですよ。そもそも先輩だってあたしと同じ学校から音ノ木坂に転入したんですよね? ならおかしくもないはずですし、それに音ノ木坂の理事長からは生徒数が極端に少ない現1年生の生徒が増えるなら大歓迎とも言われました」

 

「そうだった俺自身が普通でもうちの学校はちょっと普通じゃなかったし何より理事長自体が自由な人だからどこもおかしくないんだった俺の平穏な学校生活がーーッ!!」

 

 桜井が音ノ木坂に来ればもう俺は終わりだ。

 ああ、せっかくこれからアメリカなのに気分はスラム街で置き去りにされた無知な子供のような気分だぜ。さようなら俺の青春。

 

 

「勘違いしないでくさいよ? あたしだって何も昔のように先輩の後ろばかり着いて行くようにはなりません。今回は友達だっているんだし、楽しい学校生活を過ごすつもりなのは本音なんですから」

 

「……、」

 

 まあ、実際花陽達と知り合ってからこいつも少しは変わったような気がするし、あの一件ではこいつにも借りみたいなものができたのは事実だ。あの頃よりかは、信頼しても良さそうかな。警戒は怠らんけど。

 

 

「そんなわけであたしは花陽ちゃん達のところへ行ってきますのでおさらばっ!」

 

「言うだけ言って去りやがった……」

 

 2年になったらより一層騒がしくなりそうだな。

 っと、俺もそろそろ合流するか。海未とことりは……あそこか。

 

 

「よお」

 

「あ、たっくん。おはよう~」

 

「た、拓哉君……パスポートは? 飛行機のチケットは?」

 

「お前も唯みたいに心配性なのかよ。ちゃんと持ってるから大丈夫だって。……ことりは万全そうだな」

 

「えへへ~、でしょ~」

 

 ちゃんとマイ枕まで持ってるなこやつ。

 自分の枕じゃないと寝られない体質だそうだが、まさか海外にまで持っていくとは相当なのか。

 

 

「穂乃果ちゃんがいないよ……」

 

「まさか……」

 

「いや、あいつならもう来てるよ。俺と一緒に来たからな。多分外で飛行機でも見てるんじゃないか? えーと、ほれあそこ」

 

 俺の指さす方向の先に穂乃果はいた。

 思った通り空を見上げているあたり、本当に飛行機を見ているのだろう。自分達がこれから何に乗るのか、どこへ向かうのか、何をしに行くのかを噛み締めるために。

 

 

「穂乃果ー、そろそろ行くぞ」

 

「……私達、行くんだね」

 

 みんなで呼びに行けば唐突に穂乃果が声を出した。

 思っていることというのは、口に出せばより現実味を帯びるかのように。

 

 

「あの空へ……見たことのない世界へ!!」

 

「バッカ、いきなり外でそんな大きい声出すんじゃねえ周りに迷惑だろうがもしくは変な子と思われるでしょうが考えなさいこのバカ」

 

「バカで始まってバカで終わらされた!? えー、せっかくちょっと気を引き締めようと思って言っただけなのにー!」

 

「……バーカ」

 

「また言った!?」

 

 そういうことじゃない。

 いちいち口に出して気を引き締めようとしなくても分かってるだろうに。

 

 飛行機の時間もそろそろ迫っている。

 だから穂乃果の頭に思い切り手を置いて言ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最初から分かってることなんて言わなくても大丈夫だろ。俺達は」

 

「……うん!! 楽しもうね!!」

 

「いや……楽しむだけじゃいけないのも分かってような?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはり海外ともなるとみんなそれぞれ思うことは違うようで。

 

 

 気合いが入る者もいれば、不安な者もいる。

 

 何も思わない者もいれば、少し寂しいと思っている者もいる。

 

 楽しみにしている者もいれば、行く末を見ようとする者もいる。

 

 マイペースな者もいれば、観光気分の者もいる。

 

 真面目な者もいれば、心配な者もいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺達の、μ'sの海外遠征が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


久々に夏美が登場して爆弾投下したり、唯のブラコンっぷり、これまた久しぶりに主人公の一人称をやったりなど、コメディが多めになりました。
やっぱり楽しい雰囲気は書いていて楽しいものですね!

次回は初の海外、アメリカです!


いつもご感想高評価ありがとうございます!!


では、新たに高評価を入れて下さった


しろねぎさん


長いのに全て読んで下さり感謝感激であります。ありがとうございます!!
これからもご感想高評価(☆10)お待ちしております!!



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運営に連絡しましたが、恐らくこのまま永久にロックが外されることはないと思いますので、普段は小説の事以外での呟きが多くただ自由にやっているだけですが、こちらの垢から更新報告や宣伝などを行っていく予定です。

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ちなみに皆さんは劇場版の女性シンガーについてどう思っているのか。
未来の穂乃果説やら色々噂されてるけど、結局誰も分かってないはず……?
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