ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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157.ガールズトークリターン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第二回! μ's限定ガールズトーーークっ!」

 

 

 

 

 

 

 ホテル側の手違いによってハネムーン仕様という広い部屋に割り当てられた室内で、聞き覚えのあるタイトルコールが絵里によって放たれた。

 集まっているのはもちろんμ'sの9人である。

 

 

「明日ライブがあるのにこんなことしてていいのかしら」

 

「真姫、それを言っちゃお終いよ」

 

 ツンデレ姫の冷静なツッコミをにこが抑える。

 何より一番テンションが高いまとめ役の絵里があんなんなのだ。誰もがツッコミを入れずにはいられない。

 

 

「確かに明日はライブが控えてるから今日は簡潔に終わりたいと思っているわ。けれど私達は話さなくちゃならない。今日で拓哉と何か進展があったのかをッ!!」

 

「どうでもいいけどこの時だけ絵里のテンションおかしいのは何なの? キャラ崩壊してるじゃない」

 

「まあ2年生の修学旅行とかでも友達少なかったからこういう機会なかったからなあエリチ」

 

「ちなみに仕切ってはいるけど私は今日拓哉との進展は残念ながら何一つなかったわ!」

 

「声高らかに言うんじゃないわよ」

 

 卒業した高校3年生とはいえ、絵里は穂乃果達と出会うまで周囲の女の子と青春を共にすることがあまりにも少なすぎた。

 その反動が多分今ここで爆発しているのかと思う。

 

 言ってしまえば海外へ修学旅行に来ている生徒の気分と言えば分かりやすいかもしれない。

 張り切りすぎたがゆえに、何も進展がなかったのは多分タイミングが悪かっただけだろうが。

 

 

「まあアメリカにいる時だけがチャンスというわけでもないし、帰国してからでもまだ遅くはないと思ってるし私は大丈夫よ。他のみんなはどうだった?」

 

 進展がなくても慌てないところはさすがといったところか、他のメンバーを見るとその反応は様々だった。

 

 

「私も特に何も進展ありませんでした……うぅ……」

 

「凛もスキンシップはしてみたけど、あんまり反応はなかったかなあ」

 

「私は……うん、なかったわね」

 

 1年生は揃って撃沈したらしい。

 凛に至っては腕に抱き付いたりしたものの、無い胸が祟ったせいで自分へのダメージのがでかいときた。真姫に関しては拓哉の鈍感ぶりを喰らって呆れすら感じていた。

 

 

「真姫達は私と一緒に日本に帰ってからが本番ね。希達はどうだった?」

 

「ウチは進展こそはなかったけど、デートの約束は取り付けたで~」

 

「デート!? いつの間にそんな約束してたの希ちゃん!」

 

「ふふーん、ちょっとにこっちと協力してね~」

 

「私初耳なんですけどそれ。アンタいつのまにアタックしてたのよ」

 

 穂乃果を筆頭に注目度が集まる中、余裕の表情でスピリチュアル少女は淡々と答える。

 

 

「にこっちが拓哉君とお店出てきたあとでちょっと喋っただけなん」

 

「そんな短い時間内でデートの約束するなんて……さすが希ですね……」

 

「……ん? じゃあにこちゃんはたっくんと何してたの?」

 

「気になるにゃー!」

 

 話は一転してにこの方へ。

 全員の視線を浴びているにこはあくまで自慢げに話した。

 

 

「最初は希が私の靴を取れない場所まで放り投げたのが原因よ」

 

「話の始まりが異質すぎない?」

 

「まあそれも希の狙いの一つだったらしくてね。見事靴を失った私は拓哉におんぶされて希に言われた通り靴屋に二人で行ったわけ。……この歳でおんぶされるのは恥ずかしかったけど、それよりも拓哉とあんなに密着できたのは初めてだったから、その……存分に堪能してやったわ!」

 

「何と羨ましい……。私が密着しようものなら拓哉君は光速で逃げようとするのに……」

 

「それは海未の日頃の制裁が原因じゃ……」

 

「そ、そんな……私が拓哉君の正妻だなんてっ……」

 

「ねえこの空気に当てられて海未の頭壊れてるんじゃないの」

 

 自分の良いように言葉を捉えて一人くねくねしている海未を放置してにこは続きを話す。

 ちなみに最近の拓哉は海未が近づくと瞬時に警戒態勢に入るまでなっているのは内緒だ。

 

 

「んでそのあとは拓哉に靴を選んでもらったの。いつもは感覚で選んでるらしいけど、私のは直感で似合うんじゃないかって言ってくれたから……もうそれだけで満足よ」

 

「……あのにこちゃんが恋する乙女の顔をしてるにゃ……!」

 

「たくちゃん、やっぱり恐ろしい子……ッ!」

 

「アンタらそこに直りなさい今すぐ成敗してくれるわッ!!」

 

 良い話で終わると思ったら3バカのコントが繰り広げられた。

 3人で騒いでいるが、希とにこの話を聞く限り確実に進展があったのは間違いないだろう。

 

 それを確信にすべく、絵里は話を穂乃果達に促した。

 

 

「なるほど……穂乃果達はどうだったの?」

 

 にこから逃げていた穂乃果が足を止めて顎に手をやる。

 

 

「……うん、あったよ。進展」

 

 特にテンションを上げることもなく、何なら穂乃果らしくない調子で答えた。

 それは海未もことりも同じことを感じていたらしい。

 

 

「そうですね。目立ったところはないかもしれませんが、進んだことは確かです」

 

「これは恐らくとか多分とかじゃなくて、確信をもって言えるよ」

 

 拓哉の幼馴染である3人の言葉はどれも断言だった。

 憶測でもない。推理でもない。願望でもない。

 

 長年の付き合いだからこそ分かる。

 

 

「たくちゃんと一緒に写真撮った時、今までとは違う反応だったんだ」

 

「穂乃果と一緒にことりにコーディネートしてもらった時も、普段の拓哉君とは違う表情をしていました」

 

「ずっとたっくんを観察してたけど、私もそれはすぐに分かったよ」

 

 他の人からすれば微々たる違いだったかもしれない。

 気付かないのが当たり前で、絶対にスルーしてしまうような些細な問題だったかもしれない。

 

 しかし、彼女達なら分かる。

 ずっと少年と一緒にいた少女であればこそ、些細な変化を感じ取れることがある。

 

 それは穂乃果達よりかは短いが、この一年で家に出入りすることが多くなったにこも同じだった。

 

 

「やっぱり穂乃果達はすぐに分かったのね」

 

「あれ、にこちゃんも分かってたの?」

 

「ええ。さすがに二人きりでいれば拓哉の変化にぐらい気付くわよ」

 

 普段妹達の面倒を見ているにこにとって、個人の変化に気付くのは難しくはないようだ。

 確かに少年は鋭いようで自分に対してはドが付くほどの鈍感である。

 

 だけど。

 いいや、だからこそ、その変化は見ていればすぐに分かる。

 

 

「断言するけど、拓哉の私達への認識は確実に変わってる。私達にとってプラスの方向でね」

 

「けど凛達は何も進展なかったよ?」

 

「それも含めてでしょう。拓哉君の意識は変わっています。それも誰か個人というわけではなく、私達全員への意識がです」

 

「そんなことってあるの?」

 

「あるから分かったんだよ花陽ちゃん。私達の行動は決して無駄なんかじゃなかった」

 

 これまでも少年へアタックはしてきたが、どれも彼の天然スルースキルにいなされてきた。

 しかし、今日は違う。

 

 機会があればタイミングを見計らってスキンシップをしてきた。

 その結果は歴然だったのだ。

 

 今まで手応えがなかったのが、確かな手応えと確信に変わる。

 無意味だったものに意味を有させた。

 

 結果として試合には負けたが勝負には勝ったようなものだ。

 

 

「まだまだ私達の気持ちに気付かない鈍感なたくちゃんだけど、認識が変われば私達にだってチャンスは訪れる。その時になればみんなで最後のアタックをしよう!」

 

 それを聞いて全員が息を呑んだ。

 最後のアタック。

 

 つまるところ、告白。

 男性から女性にするものであり、女性から男性にするものでもある。

 

 一世一代のチャンスであって、下手をすると諸刃の剣ともなる。

 成功の確率は共に五分。答えははいかいいえかで決まるもの。

 

 この二択でどちらかの意味で涙を流す者もいるだろう。

 承諾されたらもちろん喜ぶ。断られたら当然悲しむ。

 

 ゆえに最後のアタック。

 ゆえに最後の関門。

 

 出来るだけ意識させて、好感度を少しでも上げて成功率を上げる。

 一見ずる賢いようにも思えるが、そうでもしない限りいつまでたってもあの少年に想いを伝えることはできないだろう。

 

 

「そうね。多分、私達は他の人達とは違って普通じゃない願いを持ってる」

 

「公言してしまえば非難されるようなことやもんね」

 

「成功の確率も低いよね……」

 

「でも諦められないのも分かってるでしょ」

 

 9人全員が同じ少年に好意を抱いている。

 そして9人全員がそのことを知っていて、それでも協力関係にある。

 

 誰も悲しまない方法はたった一つ。

 μ'sの全員が岡崎拓哉と結ばれること。

 

 常識も法律もへったくれもない願い。

 正直ぶっ飛んでいる思考だろう。何を言われてもおかしくない異常な願望。

 

 二次元の世界でしか認められないような、あり得ないような展開。

 それを彼女達は本気で願っている。誰も断られない。異常だとしても、みんなが幸せになるための選択。

 

 きっとこんなことは少年に強要できない。

 自分達の勝手な願いにあの少年を巻き込んでしまうのだから。

 

 だけど、もし岡崎拓哉が誰か一人を選ぶのでもなく、誰一人も選ばないでもなく、全員を選んでくれることがあったとしたら?

 万が一、億が一でもそんな微かな可能性を彼女達が抱いてしまったら?

 

 もう止まることはできない。

 例えどれだけ異常だとしても、たった一つの希望を捨てるなんてことは絶対にできない。

 

 秋葉ドームのことは大事だ。

 これからのラブライブのためにも絶対に成功させなくちゃならないものだ。

 

 だけどそれと同等に大事なものだってある。

 どちらも自分達のため、必ず成功させなくちゃならないもの。

 

 手抜きなど一切しない。

 妥協など存在しない。

 疑念を確信に。

 努力を結果に。

 不安を安心に。

 不確実を確実に。

 

 100%にできないのなら、限りなく100%に近づかせるのみ。

 

 

「誰にどう言われてもいい。私達は、私達のために頑張ろう!」

 

「全員を選ぶしかないんじゃなくて、全員を選ばせばいいんでしょ。やってやろうじゃない」

 

「必ず拓哉君を落とします」

 

「たっくんを私達のものにしなくちゃ!」

 

「拓哉君には頑張ってもらわななあ」

 

「凛もバシバシアタックするにゃー!」

 

「わ、私もできるかな……」

 

「花陽はそのままでも魅了できてるから大丈夫よ。……パパに良い報告できるようにしとかなくちゃね」

 

「ふふっ、みんな気合い充分のようね」

 

 少女達の結束力は強い。

 ただ、あの少年だけがこの状況を知らずに呑気にシャワーを浴びている今日。

 

 決心は固まった。

 やることは今日と変わらない。帰国してからが本番だ。

 

 

「よし、じゃあ今日はこれで終わりにしましょ。まずは明日のライブを成功させて、私達の本場で勝負よ!」

 

 絵里の言葉に全員が強く頷く。

 ひとまずはアメリカでのライブを成功させることに集中させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 μ'sの戦いは、ライブだけでは留まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 

 

 バスルームでシャワーを浴びている少年は急な身震いに戸惑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……っ!? な、何だ……? 温まってるはずなのに寒気が……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






さて、いかがでしたでしょうか?


ガールズトーク二回目でした。
前回よりかはガールズトークっぽくなった……?という感じでしたかね。まあ前回が愚痴大会みたいなものでしたが←
この作品での穂乃果達はたまにキャラ崩壊みたいな言動(今回の絵里のような)もしますが、それが売りとお考えていただければ(笑)


いつもご感想高評価ありがとうございます!!
これからもご感想高評価(☆10)お待ちしております!!





来週投稿できるか分かりません!
その辺はまたTwitterでお知らせします。
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