これはちょっとマジでヤバイ……。何がヤバイってまじヤバイ。
そして、活動報告書くとか言っておいて何も書いてない自分。
のんたんエピソードどんなシチュエーションがいいとか軽く参考にしたいから活動報告の方に書いてみようかな。
翌日。
いつも通りに自分の通学路を歩き、ものの5分程度で着く穂乃果の家へ向かう。
そしていざインターホンを押そうとした時、
「行ってきまーす!」
呼ぼうとしてた張本人が出てきた。
「あ、たくちゃんおはよー!」
「おう」
最近ではあるが、朝練の甲斐もあってか穂乃果は朝寝坊をする事が少なくなっていた。こうして迎いに来た俺とタイミング良く鉢合わせする事も多くなっている。
いや、普通は寝坊する方がおかしいんだけどね。俺は夜更かししても遅刻はしない主義だから大丈夫。え、健康に悪い?ソウダネー。
「お姉ちゃーん。あ、たく兄おはよー」
「ん?」
「おう、おはよう雪穂ー」
2階から手を振って挨拶をしてくる雪穂。朝から可愛い妹分に声を掛けられるとは何か良い事でもありそうな予感がしてきましたよっ。
「お姉ちゃーん。これお姉ちゃんのー?宛名がないんだぁ。μ'sって書いてあるけどー」
そう言って雪穂の手から見えたのは1つのCDだった。
俺と穂乃果は数秒間顔を見合わせてから、穂乃果が足早に家の中へと駆けて行く。十中八九雪穂からCDを受け取るためだ。
穂乃果が戻り、俺も穂乃果の手元にあるCDの封筒を見ると、裏にはμ'sの文字があった。
「あっ……これって……!」
「ああ、多分、そうだろうな……」
自然に顔が綻ぶのが分かってしまう。とにかく、これを確認するには海未とことりにも合流しなければならない。
「とりあえず、海未とことりに合流して学校で聴いてみるぞ」
「うん!!」
いつの間にか、俺と穂乃果の足はリズム良く早くなっていた。
「よし、じゃあ、セットするぞ」
「うん」「うん……」「はい」
学校の屋上。授業も終わり、いつもの4人でちょっこりとその真ん中を陣取り、目の前のパソコンにCDをセットする。
「いくぞ」
画面に表示された再生ボタンをクリックする。
流れてきたのは言わずもがな、音楽だ。
~~~~~~~~♪
イントロから始まり、歌声が聴こえる。
「この歌声、やっぱり……!」
穂乃果が俺の顔を見てくる。意図が分かり、肯定の意味で首を縦に振る。そんなに笑顔になりなさんな。俺までなっちゃうだろ。
こうして俺と穂乃果がやり取りをしている間も曲は止まらない。
「凄い、歌になってる……」
「私達の……」
「私達の……歌……」
「これが、お前達の始まりの歌だ」
そう言いながらも、誰もが歌に聴き入っていた。というか西木野のやつ、これを昨日の今日で完成させるなんてな……。まったく、ツンデレなくせして恐ろしいやつだよあいつは。こんな素敵な旋律を穂乃果達のために作ってくれて、文句のもの字すらも出てこない。
やっぱり穂乃果が西木野に頼んで正解だったようだ。
これでやっと、手札が揃った。あとは振り付けを完成させて、歌も練習して、出来る限り完璧にするだけだ。
「わぁぁ~……あっ……」
穂乃果が何かに気付き、俺も穂乃果の視線の先を見ると、そこにはスクールアイドルのランキング表示があった。
票が、入った。
「票が入った……」
海未も俺と同じ事を口に出す。
「票が入ったから分かるとは思うが、これで否が応にもお前らは他のスクールアイドルと同じ土俵に立った訳だ」
曲の感動に入り浸りたい気持ちは分かるが、だからこそここは気持ちを引き締めて切り替えなければならない。
「同じ土俵にいる限り条件は一緒なんだ。確かにお前達は廃校を防ぐためにスクールアイドルを始めた。だから思いっきり上位に入らなくてもいいかもしれない。でも、上位になればなるほど知名度も上がる。それはつまり音ノ木坂学院の注目度、人気度も変わってくる。……ここまで言えば分かるよな?」
真剣に俺の話を聞いていた3人は、次第に笑みに変わっていった。
「うん、分かってるよたくちゃん。そのくらい、私も海未ちゃんもことりちゃんも分かってる。今までの何も出来ない自分と違うんだ。何か出来るからこそ、上を目指すんだよね!」
ほう、俺が何かを言う必要はどこにもなかったって訳かい。ま、こいつらの今の顔を見る限りじゃ、確かに分かってるっぽいな。
そうだ。スクールアイドルなんて何をすればいいか分からなかった。
でも、そんなのはもう既に過去の事。
今は違う。しっかり基礎練習もして、原曲がなくても他のアイドルの曲でダンス練習もした。衣装ももうすぐ出来て、歌詞も考えて、こうして無事に曲も完成出来た。
今のこいつらなら、ちゃんと目標があって、ゴールが見えたこいつらなら、何も言う必要はないんだ。目標はデカく持った方がモチベーションも上がる。だから上を目指す。それだけの事。
「なら、今何をすべき事なのかも、言わなくても分かるんだろ?」
俺の挑戦的な言葉を、穂乃果は不敵な笑みをもってこう返してきた。
「さぁ、練習しよう!!」
神田明神。
もはや穂乃果達が練習するためには絶対に不可欠な場所になっていた。
俺が笛で合図をすると共に、穂乃果と海未が階段を一気に駆け上がってくる。いわゆる階段ダッシュだ。
見てて分かる事がある。以前の穂乃果なら、この階段を苦痛の表情で上っていた記憶がある。なのに今はどうだろう。元から穂乃果やことりより体力のある海未と良い勝負している位にスピードも上がっている。
しかも、苦痛の表情ではなく駆け上がるその顔に映るのは笑顔だった。諸々の完成がもうすぐと分かってやる気になっている証拠だろう。
それは海未もことりも同じだった。2人も穂乃果と同じで、以前より確実に階段を上がるタイムが上がっている。明確に成長している記録を残す事でよりモチベーションを上がらせるという趣旨は間違ってなかったようだ。
「よし、穂乃果も海未もタイムが上がってる。ことりも上がってたし、よく頑張ってるな」
「そりゃそうだよ!もう今の私はやる気で出来てるようなものなんだから!」
ああ、うん、なら授業も寝ないでやる気だそうね。後ろからプリント集める時に寝てたら紙引っ張り出すのめんどくさいんだから。
「では次、ダンスの練習に移りますよ!」
「「うん!」」
「1、2、3、4、5、6、7、8、1、2―――、」
小さな鏡を地面に置き、少しでも自分の動きを確かめながら踊る。海未の掛け声をリズムとして受け取りそれに合わせ動く。俺は穂乃果とことりの動きを見て間違いがないかを見逃さないためずっと見ている。決して変態的な意味はないんだからねっ!―――っと、
「ことり、左手ちゃんと開けるんだ」
「あっ、はい!」
ほれ、ちゃんと見てるでしょ?俺だって真面目にやってんのよ?
途中からは海未も加わり3人でダンス練習に励む事になった。やはり3人全員で合わせないと合うものも合わないからな。
「穂乃果!」
「タッチ!」
今の所見る限りは順調だ。キレはともかく、動き、タイミングと共に合っている。
「良い感じです!」
「うん!」
結局、好調のままダンス練習は終わった。これは結構良い感じだな。このままいけば当日の新入生歓迎会のライブも上手く出来るかもしれない。
「では3分休憩します」
それと同時に、建物の日陰の多い場所へと移動する。
「ふうぅ~、終わったぁ……」
一番に穂乃果が壁にもたれこむ。
「ほれ」
「うひゃうっ!?」
穂乃果の頬にたった今自販機で買ってきたスポーツドリンクを当ててやる。もちろん冷えたやつをね!
「何するのたくちゃん!」
「冷たくて気持ちいいかなぁって思っただけだ。他意はない」
「うっ、確かに気持ちいい……」
穂乃果に関しては平然と言ってやれば責められる事はない。おバカだから頭が処理する前に勝手に納得してしまう口が出てくるからなこいつは。ちょろいちょろい。
ついでに海未とことりにも渡す。
「まだ放課後の練習がありますよ?あ、拓哉君ありがとうございます」
「ありがとたっくん。でも、随分出来るようになったよね!」
「2人がここまで真面目にやるとは思いませんでした。穂乃果は寝坊してくるとばかり思ってましたし」
「そうだな、俺も見てる限りじゃ特に指摘するところはなかった。ちゃんと上達していってる証拠だ」
体力もついてる。成長というものはやればやる程見についてくる。それがこいつらを見てて実感できる。やれば出来るんだよな穂乃果も。
「ま、俺も最初は穂乃果が寝坊すると思ってたけど」
「大丈夫っ。その分授業中ぐっすり寝てるから!」
おい、誰かこいつしょっ引いてくれ。俺が言ってもまったく言う事聞かないんだぞこいつ。海未もお手上げだし詰んでる。今度寝たら顔に落書きでもしてやろうか。
「っと、お?」
呆れた視線を穂乃果に向けていると、視界の端に動く赤い髪があった。これだけ聞くとホラーっぽいな。
見られた事に気付いたその人物は慌てて去ろうとするが、それを俺と一緒に気付いていたこやつが見逃すはずもなく、
「あっ、西木野さーん!まーきちゃーん!!」
そこフルネームで言う必要あります?親しみを込めて言うのなら言い直したという表現の方が正しいのか?それはともかく、穂乃果の声がデカくて恥ずかしいのか、当の西木野は顔を険しくしながら階段を上がってきた。
「大声で呼ばないで!」
まぁ、でしょうね。赤い髪に負けず劣らず顔も真っ赤ですよー!
「ほぇ、どうして?」
ほぇとか。ほぇとか!あざとい、穂乃果さんあざといよ!あと普通なら分かるでしょ!
「恥ずかしいからよ!」
「そうだ!この曲、3人で歌ってみたから聴いて!」
そしてこのスルースキル!何この子、自分に都合の良い耳でも持ってんの?難聴スキルでもあんの?友達少ないの?え、何だって?
「はぁ、何で?」
「だって、真姫ちゃんが作ってくれた曲でしょ!」
「っ……、だからぁ、私じゃないって何度も言ってるでしょ!」
“また”始まったよこのやり取り。よく飽きないなこいつら。
「まだ言ってるのですか…」
俺の隣で海未も呆れ気味に呟いている。そう、休み時間に会うなり2人はこのやり取りを何回もしているのだ。穂乃果が詰め寄り、西木野が否定する。このループを会う度にやっている。無限ループって怖くね?
「んぉ?」
「え?」
「ぐぅぅぅぅぅぅ~~……」
何か穂乃果が唸りだしたんだけど。何これ新しいパターン入った?βテスターじゃないから分からないや。SAO内のボスなら逃げ回るレベル。
「ガァオオオオオッ!!」
と、何やら獣っぽく叫んだと思ったら西木野にくっ付きだした。こら!こんな所でキマシはやめなさい!やるなら他の人気のない場所でやりなさい!あと俺の家でも可。
「うぁ、ちょ、はぁぁ!?何やってんのよ!」
「うふふふふふふうひひひひひひ……」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
仕方ない、堪能させてもらおうか、と思っていたら、穂乃果が手をゴソゴソと動かしていた。チラッと見えた物が見えた俺はようやく理解する。ああ、そゆことね。
いや、別にちょっと期待してた訳じゃないから。ホントだから!
「ぃよぉし!作戦成功!」
説明しよう!穂乃果の行った作戦とは、相手にくっ付いて戸惑っている間に、相手の耳にイヤホンを付けるという、ただの強引な行動なのであーる!
何この口調。
「え……、……」
西木野もここまでされたら流石に観念したようだった。
「結構上手く歌えたと思うんだぁ!いくよぉ~!」
すると、急に海未とことりが穂乃果の方に駆け出した。
「μ's!」
「ミュージック~」
「「「スタート!!」」」
ちょっと待って何それ俺聞かされてない。どこで打ち合わせしてたの君達?俺だけポツンと立ってておかしいじゃないですかもうちょっとやだー。
何だかんだ集中して歌を聴いている西木野と、その反応を見ている3人は俺に気付く気配もない。なので、そそそーっと、3人の後ろに寄って待機。
うん、やっぱ誰も気づいてくれないのね……。
ふと、空を見上げる。
今日も、快晴の良い天気だ。
この雲行きのように、このまま順調に事が進みますように……。
何故か、神社が目の前にあるのに、空を見ながら拝んだのには、特に理由はなかった。
結局そのあと、聴き終わるなり、西木野はこんなのまだまだよ!とだけ言ってそそくさと去って行った。でも去り際にチラッと見えた西木野の顔は、何だか笑っていたようにも見えた。
及第点までは貰えたって感じかな?3人も満足そうにしている。さて、そろそろ俺達も準備しねえとな。
「おし、俺達も学校行く準備するぞー」
各々の返事を聞き流し穂乃果達が走っていく姿を見てから、俺はその場で佇んでいた。いわゆる見張りだ。家でジャージに着替えて練習するには申し分ないが、練習を終えてからの着替えが少し厄介なのである。
ここは神社だ。この付近に都合よく更衣室がある訳がない。だから穂乃果達は仕方なく、人がまったく来ない場所(外)で着替えている。海未は最初抵抗していたが、それしか方法がない故に最後は渋々納得した。
そして俺の役割といえば、もう一度言うが見張りだ。人がまったく来ないとは言うがもしもの事を考えての事だ。穂乃果達の着替えを見るには俺を通り越してからではないと不可能になっている。
つまり、俺が穂乃果達の着替えを守るための防波堤となっている訳だ。穂乃果達の着替えを見たくば俺を倒してから行けぇ!……そこには海未神というLevel1000の裏ボスがいるから覚悟しておいた方がいい。何なら守れなかった俺まで一緒に殺られるまである。
「よぉし、行こーたくちゃん!」
「お待たせしました拓哉君」
「待たせてごめんね~たっくん」
変な事考えてたら既に着替えが終わった3人がやって来ていた。大体いつも同じ事を3人が言ってくるから俺も、
「ああ、別に、待つのには慣れてるから気にすんな」
いつも言っている言葉を出す。あれだ、おはようにおっはーで返すようなものだ。意味が分からん。
とりあえずだ、天使のことりの謝罪の言葉を聞いたら誰だって許してしまうじゃん?ことりの言う事は正義なのだ。絶対なのだ。ジャスティスなのだ。
登校中ともなれば、他の学校の生徒も登校している姿を見るのだが、
「くそリア充が……」
カップルが仲良く登校している姿もよく見るはめになってしまう。朝からイチャイチャしてんじゃねぇよ。暑いんだよ主にオーラ的な意味で。
「たくちゃん思いっきり口に出てるよ……」
穂乃果が若干引いた目で見てくるがそんなの今の俺には何てことはない。
「あん?そりゃ口にも出るだろうよ。こちとら朝早くから起きてんのに何のんびり朝からイチャコラしてくれてやがるんですかあのリア充共がぁぁ……」
ちくしょう、誰か爆弾もしくはミサイル持ってこーい!朝から見せつけてくる奴らに慈悲はない。今すぐ爆破せよ。
「見たところ、女の子の方は後輩みたいだね」
ことりが冷静に分析していたらしく、口に出した言葉に俺はさらに憤る。
「後輩……だと……!?誰か日本刀持ってこい俺が奴を斬らないと世界中の男子が奴を葬ってくるから俺が先に奴を斬る事で世界が平穏に保たれるならば俺は奴を斬ろう」
「何を言ってるかさっぱり分かりません。落ち着いてください拓哉君」
「というか、たっくんもたっくんだと思うけどねぇ……」
「は?どういう事だよことり」
ことりの言う事が理解できなかったために、俺は少し落ち着く事ができた。
「うーん、なんか自分で言うのも恥ずかしいんだけど……」
何だか心なしか、ことりが顔を赤らめながらモジモジしている。何だ、トイレか?
「今のたっくん、一応私達女の子3人と一緒に登校してるんだよ?」
「…………………………はっ!?」
俺とした事がぁぁぁあああっっ!!!そうだよ、俺はマイラブリーエンジェルと一緒に登校してるじゃないか!これは世界中どこ探しても俺だけができる特権とも言っていいだろう。それ即ち、最強。
穂乃果と海未?知らん。
「そうだよな、俺にはことりがいるもんな。朝から天使と学校に行ける俺は幸せ者だな。もはや天使すぎて俺が昇天するまである」
「たっくんそれは言い過ぎだよぉ~!」
「海未ちゃん、何だかナチュラルに居ない事にされてる様な気がするんだけど」
「大丈夫です穂乃果。その認識で合っています。私達をそんな扱いする拓哉君には罰が必要ですね」
あるぇー?何だか不穏な言葉が聞こえたぞー?おかしい、天使と会話してるはずなのにどんどん顔が青ざめていくのが自分でも分かる。海未神様怖いよー!!
「そういえばたくちゃん、後輩って事に何だか異様に反応してたよね?」
不意に聞こえた穂乃果の呟き。血の気が引いてる今の俺にはよく聞こえた。
「ああ、だって後輩だぞ?世の男子が甘えられて1番嬉しいのが後輩という生き物なんだぞ?後輩という響きだけで何だか守ってあげたくなるこの不思議……!」
「ああ、うん、何だか聞くんじゃなかったと後悔してるよ……」
あれ、何だか3人の俺を見る目が痛い。というか冷たい。ブリザガ喰らってる気分。死ぬわ。
「ってことは、真姫ちゃんにもそういう事思ってるって事?」
再度の穂乃果の質問。
「西木野の場合はちょっと違うかな。あいつすげぇツンデレだし、今は守るってより見守るってのが正しいかも」
「よく分かんないや」
おい、聞いておいてその反応投げやりすぎやしませんかね?
「どっちかっていうと、小泉や星空の方が守らなきゃってなるな」
「あぁうん!小泉さんは何となく分かるよ!何か小動物っぽくて可愛いもんね!」
おぉっとここでまさかの賛同意見が出ましたよっと。つうか星空はどうなんだよ。まぁ星空は元気なタイプだからあまりそうは感じられないかもしれんが。
「ねぇたっくん、そういえば前の学校では後輩とかいたの?」
ことりから純粋な疑問がぶつけられた。
「まぁ、一応いたな。中学の時だけど。といってもごく僅かだし、今じゃ俺の事忘れてたりすんだ―――――あ」
ろ、と言いかけた所で止まる。あー、そういや厄介な後輩がいたような……。
「どうしたの?」
「いや、うん、確実に俺の事覚えてる厄介な後輩がいた事に思い出しまして……」
「たくちゃん、何か凄い嫌そうな顔してるけど……」
なんと、俺はそんなにもひどい顔してたのか。
「ちなみに、その子って女の子?」
「ああ」
「たくちゃん、相手が女の子なのにそんな顔するなんて……!」
「珍しい事もあるんですね」
おい、俺が女の子なら誰でも食い付くと思うなよ。寧ろ出会いは欲しいけど会ったら会ったでちょっと警戒しちゃうくらいにはヘタレだぞ俺。
「たっくんがそんな顔する程って、どんな子だったの?」
「なんつうか、その、計算された笑顔というか、あざとい仕草ばっかと思えば急に真面目になったり、そう思えば実はただあざとかっただけだったり……」
「えっと……」
「つまり……」
「どゆこと?」
ことりと海未が何となく分かったように察したのは分かるが、穂乃果はまったく分かっていなかった。
「つまりだな、行動、言動、考えの裏、意図がまったく読めないんだよ。何か、全部計算してるかのように振る舞って、何が狙いなのかも分からない。なのに俺に異様に懐いてるってのがまた恐ろしいんだよ」
「うーん……」
ここまで言ってまだ分からないのかこいつ……。ほのばかの頭は重症なようです。急患に運ばせましょう。
「もっと簡単に言えばだな?あざといんだよ。見え見えなまでのあざとさ。寧ろワザと見せてる位にな。何を考えてるのか本当に分からない女の子ほど怖いものはないぞ……」
「おぉー、なるほど!」
分かりやすく手をポンッと叩く穂乃果。やっと分かったかこいつ。
「それで、その子に苦労していたというのは分かりましたが、知り合った経緯は?」
まぁ、1番気になるであろう事を聞いてきた海未。何となく予想はついているとは思うが正直に言っておこう。
「えっと、まぁ、何だ。言いにくいんだが、校内でちょっとした事があってな。それを偶然見かけた俺が助けてからそうなった」
本人がいないとこで詳しく言うのは気が引ける。だから肝心な部分は省略させてもらったが、嘘は言っていない。
「はぁ……やっぱりですか」
「いつものだね」
「もはや恒例行事と言うべきかも……」
三者三様の反応であったが、さすがに今回は口を挟む必要がある。
「言っておくが俺は本当に困ってたんだからな?事あるごとに付き纏ってくるし、あざといし、おかげで数少ない男子友達からはいつも殴り合いの挨拶になるし、あざといし、出会いないし、あざといし、何考えてるか分からないし、あざといし、あざといし、あれ、あざとい言い過ぎじゃね?」
「自分で言ったんでしょ……」
寧ろそこまで俺にそう言われるあいつは本当にあざといんだと再確認したよ。俺はあいつとは出来るだけ関わりたくなかった。
だから、こっちに引っ越す際には、じゃあなとだけ文字を打って送信。返信などは返さなかった。やべぇこれだけ見ると俺超ドライな奴じゃん。それでも僕は悪くない。
高校も一緒の所行くとか言い出して本当に合格してたし……、
「まぁ、印象深い後輩はそいつ位だな」
「そんなにある意味凄い子だったら、たくちゃんの居場所突き止めてきそうだね!」
「バッカお前、何不穏な事言ってくれちゃってんの?やめろよそういうの口にティッシュ詰め込むぞ」
「それこそやめてよ!」
変なフラグ立てるんじゃありませんよこのおバカさんは。俺の嫌な予感はどういう訳かよく当たるんだから。
「2人共、喋るのは構いませんがもう少しペースを上げますよ」
いつの間にか海未とことりは数メートル先にいた。い、いつの間に……!?瞬歩か!?
「ったく、あんまり思い出したくない事思い出しちまったぜ……」
「まぁいいじゃん!」
「何がいいんだよ。拓哉さんのメンタルはガリガリ君みたいに削られていってるんですが」
「それでも、私はたくちゃんの前の学校での事聞けて良かったと思ってるよ!!」
「…………」
「……うるせぇ、早く行くぞ」
「あ、ちょっと待ってよたくちゃーん!」
少し顔が暑いのは走ってるせいに違いない。
でも、まぁ、こんな事でもたまには思い出してこいつらに話してやってもいいのかもしれない。
せっかくの快晴なんだ。どうせなら気分良く行こうじゃねぇか。
ストーリー進まねぇぞオイ!と思った方は絶対にいると思います。
大丈夫です。自分も思ってます。
なーんか、新キャラの匂いがするのは気のせいか?気のせいだよな?これ以上ストーリー進まなくなったらどうすんだよ作者責任とれんのか?……自分でした。
アニメ準拠なのでそんなに大きく逸れたりはしないです。アニメ本編の中に軽くオリジナル入るだけなんで。
のんたんと拓哉のこんなエピソードが見たい!という方は適当に書いておくので是非に気軽に活動報告の方をご覧ください。
特に何もリクエストがなかった場合はもう日にち過ぎる覚悟でやります。書かないという選択肢はございません、ので!