では、どうぞ!
ことりの作詞活動は苦戦を強いられていた。
例えば授業中の時。
「ではこの問題を……南さん」
「はぁ……」
先生に当てられたはずのことりはそれが聞こえていないのか、ずっと俯いたまま溜め息を吐いていた。
「南ことりさん!」
「は、はいっ!」
ようやっと先生の声に気付き慌てて立つことり。そこにはいつもの余裕さはなくなっていた。
例えば体育の時。
「うぅ~……何書いたらいいのか分かんないよぉ~……」
「考え過ぎだよー。海未ちゃんみたいにほわんほわんみたいな感じで良いんじゃない?」
誰か1人とペアになって準備運動をしている時にことりは嘆いた。唯一の男子である俺はもちろん1人でストレッチしてるけどね!か、悲しくなんてないんだからっ!
「それ褒めてるんですかあ!?」
「褒めてるよ~!」
「褒めてはないだろそれ……」
何だよほわんほわんて。表現が曖昧すぎて逆に反応しづらいわ。そしてそれを褒めてると断言できる穂乃果はある意味凄いと思う。結局ことりは唸ってるだけだし。
例えば昼休みの時。
「休み時間終わっちゃうよ?」
ことりだけが弁当を半分以上残したまま、昼休みがどんどんと進んでいった。
「やっぱ作詞ってそう簡単にはできないって事か……。だとすると、海未はいつも作詞してるけど悩んだりしないのか?」
「そうですねえ、私はいつもまず簡単なテーマを決めて、そこから連想される言葉や単語を繋いで作詞しています」
「テーマか……」
なるほど、分からん。いつも作詞している海未としない俺じゃ思考のズレがあっても仕方ないとは思うが、思ったより全然分からん。……いや、待てよ。海未が何で作詞担当になったかを考えれば……、
「つまり、中学時代にポエム作ってたくらいだから余裕なの―――、」
「飛ばしますよ」
「主語がない分余計怖えよ……」
何だよ何を飛ばすんだよ。色々と想像できすぎてヤバイ。何がヤバイってまじヤバイ。
「たっくん……もう食べれないから、私の残りのお弁当、食べる?」
ことりが声音は暗いまま俺に問いかけてきた。正直海未の視線から逃げたかった俺としては助かった。
「お、マジでか。ことりの弁当食えるんなら遠慮なく頂くよ。それに今日は体育あったからいつもより腹減ってたんだよな」
「そうなんだ。ならたっくん的にも都合よかったね」
「上手く逃げましたね……」
あーことりの弁当美味いっ。海未の声なんて全然聞こえないわー。ただただ美味いわー。お願いだから見ないでほしいわー。視線のせいで左半身だけ凍り付きそうだわー。……それ致命傷じゃねえか。
「ふむぅ……たくちゃん、私のパンもいる!?」
「いらんわ。普通に腹の音鳴らしてるって事はお前こそまだ食い足りてねえって事だろ」
「違うよっ!これは消化してる音だよ!!」
「お前の胃袋働くの早いなオイ……」
例えば図書室で作業をする時。
「うぅ……」
机には何十冊もの本。それを隅々とまではいかないが、閃きそうな何かがないかを粗方読んで、結果として静かな図書室には、ことりの嘆きのようなうめき声だけが響き渡った。
「こんだけ読んで、結果はなしか……」
「ご、ごめんね……」
「ああいや、そういう訳じゃないんだ。作詞なんて俺もした事ないし急にことりに任せた俺の問題でもあるから、ことりの謝る事じゃねえよ」
とは言っても、さすがに何も思い付かないのは少しな……このまま本当に作業が進まなかったら、それこそ何の成果も得られませんでしたー!!とか言って作曲担当の真姫に謝らないといけなくなる。進撃されそう。
ことりの悩みである“自分を変えたい”。それを解消するための提案だったが、これじゃことりの悩みが増えただけになってしまう。そんなのは本末転倒だ。だから俺もある程度だがこうやって助力しようとしているが……何これ超ムズイ。
自分が何をどこまでやれるのかなんて過信した事は一度もないけど、それでも作詞がこんなにも難しいだなんて思わなかった、海未はポエムを書いてたからとか言っていたが、そんな生温いものではない。
ポエムなんてのは結局自分の書きたいものを連ねていくだけだ。ポエム自体の長さなんて制限はない。しかし、作詞ともなれば勝手は違ってくる。作詞ならそれなりに長く書かなければならない。少なくともAメロ、Bメロ、サビ、Cメロなどを書かなければならない。
作詞家ならそんな事は慣れているかもしれない。でもスクールアイドルはあくまでも素人の集まりだ。そう簡単には作詞ができるはずがないのだ。だからこそ、今までの海未の凄さがようやく理解できた。
ポエムを書いてたからとかではなく、海未には元々こういうものに対してもセンスがあったのかもしれない。何たって最初に作詞したSTART:DASHがあんなにも出来の良い歌詞だったんだから。そんなのをことりに急に任せるなんて、さすがに厳しすぎたかもしれないな……。
「う~ん……こんなんじゃダメだよねっ。私、もっと頑張るから!」
「ことり、その意気ですっ」
「ファイトだよっ、ことりちゃんっ」
「……」
いや、ことりが頑張ろうとしてるのに、任せた俺が勝手に決めつける訳にはいかねえよな。
例えば翌日の授業の時。
「ここでこの方式をだな―――、」
山田先生の声をまったく聞かないで、ことりは作詞に夢中になっていた。と言っても上手く進んでいる状態ではないが。
「……っ!ぅ~……」
何かを閃いたと思ったらすぐに首を横に振って、それをさっきから何回も繰り返していた。俺の前の席の穂乃果も心配そうにことりを見ている。気持ちは分かるがお前はちゃんと先生の話を聞きなさい。ただでさえバカなんだから。
「んじゃここを……岡崎、解いてみろ」
ほれみろ、山田先生の事だから絶対よそ見してる生徒を当ててくるなんて容易に想像できたわ。だから俺の答えも既に決まっている。
「よし、俺の代わりにやってやれ穂乃果!」
「えっ!?何で私!?」
何でってそりゃお前、あれだよ。よそ見なんかしてるからだよ。というか先生何で俺を当てたんだよ違うでしょ。もっと適任者がいるでしょ。
「何で高坂じゃなく俺を当てたんだって顔をしてるな。考えてみろ岡崎。高坂を当てたところで答えられると思うか?」
「なるほど、さすが山田先生だ。何の躊躇いもなく生徒を小馬鹿にするなんて、そこに痺れる憧れるゥ!!」
確かに、穂乃果を当てたところで解けないのは誰もが知っている事だ。無駄な時間を省こうとするなんて、先生も考えおるな。
「先生もたくちゃんも遠回しにバカにしないでよ!」
「「遠回しにバカにしてない。直球でバカにしてるんだ」」
「揃って酷い!?」
先生とは良い酒が飲めそうだ。もちろん未成年だから酒は飲めないけど。こうやってたまに山田先生の授業では俺達の漫才みたいなコントが始まる事がある。先生曰く、『お前らならどれだけ弄っても大丈夫そうだから』らしい。それが先生の言う言葉か。
「で、岡崎。お前は結局これを解けるのか?」
「はっはっは!愚問ですよ先生。そんなの数学苦手な俺が分かるわけないじゃないですか!!」
「それもそうだったな。よし、歯ぁ喰いしばれ。チョークで歯を折ってやる」
「俺だけ罰がおかしくない!?その投球フォームやめてっ!ガチのやつだから!それ結構ガチのやつだから!!」
俺が男だからって何でもしていいと思ったら大間違いだ。歯を食いしばってるとこに全力投球のチョークでも喰らってみろ。確実に入れ歯必須になるのが目に見えてる。
「ったく、お前は数学だけは致命的に悪いからな……。あたしの教え方が悪いのか?」
「大丈夫ですよ先生。先生の教え方は間違ってません。単に俺が分からないだけなんで、ほら、自信持って?」
「何でお前に慰められにゃならんのだ……」
あれ?俺が慰めたらいけないのか?先生が額に手をやってあからさまに溜め息をしている。穂乃果よりは数学マシなんだけど。
「……まあいい。それより、もっと他に指導しないといけない奴がいるしな」
「「他に?」」
俺と穂乃果の声が重なる。数学に関しては俺と穂乃果以外にヤバイのなんていないと思うが、そんなのがいたら数学担当の先生が担任クラスなのにある意味大問題になる。もっとしっかりしろよなまったく!!
「何でいつもこう岡崎の周りは問題ばかり増えていくんだ……。南、授業が終わったら少し職員室に来い、いいな」
席を立っていた俺の目が少し見開く。言葉を理解してから、ことりの方へ目をやると、ことりも意外だったのか驚愕していた。
「は、はい……」
ことりの返事と共にチャイムが鳴る。授業の終わりの合図だ。俺が穂乃果と先生と変な漫才をしている最中も、ことりはずっと俯いていたままだった。……一度も笑う事なく。
例えば職員室の時。
「どうしたんだ南、ここんとこ気抜けてるぞ。しっかりしろ」
「すいません……」
山田先生に呼ばれたことりは、職員室で文字通り注意を受けていた。それを俺達は出入り口から覗いていた。普通に邪魔と思われてるがそんなのは気にしない。
あのことりが珍しい、と最初こそは思ってはいたが、ここ最近のことりの授業態度を見るとそれも仕方ない事だと思った。授業中にもことりは作詞をするために必死になっている。それも教室で行われる授業全てを使って。
海未からも軽く注意されてたから、授業中はもうやらないとばかり思っていたが、それでもことりはやっていた。いや、やろうとしていた。自分がしないといけないから。自分が完成させないといつまで経っても曲はできないから。
そんなプレッシャーがことりを焦らせているのかもしれない。これはことりに任せようとした俺の責任でもある。だから、ことりだけが注意を受けるなんて事を、黙って見ていられるわけがない。
「あ、たくちゃん!」
穂乃果の声を無視し、俺は先生とことりのとこへ向かう。
「先生、ことりが最近こうなっているのは、俺の責任です。だからことりへの説教はここまでにしてやってください。あとは俺が全部受けます」
「なっ、たっくん、それはちが―――、」
「違わないさ。俺が急にことりに任せちまったんだ。だったら俺の責任でもある」
ことりが何かを言う前にそれを遮る。そうでもしないと絶対にことりは俺を庇おうとする。ことりはμ'sのために頑張ろうとしているだけだ。そこには自分の悩みも多少は含まれている。その結果が授業にも影響されている。
それは普通に考えたらダメな事なのかもしれない。言い訳にしか過ぎないのかもしれない。でも、ことりはことりなりに必死で頑張ろうとしているんだ。だったら、俺はそれを止めたくない。ことりが頑張れるなら、俺はことりのためにお叱りでも何でも受けてやろう。
「はぁ……。後ろで覗いてるだけで済むかと思えば、やはりお前は来たか……。いいだろう、南はもう行っていいぞ。岡崎、お前はあたしと生徒指導室に来い」
「はい」
「ちょ、ちょっと待ってくだ―――、」
「大丈夫だことり。お前は今の内に作詞しといてくれ」
またもことりの言葉を遮る。穂乃果達にも軽く手を振って、山田先生に着いて行く。
「さて、ここが生徒指導室だ」
「はあ……まあ来いって言われて来たんだからそりゃここは生徒指導室でしょうけど」
前の学校の時も生徒指導室には行ったが、どうしてこうも生徒指導室ってのは無駄にデカくて綺麗なんだろうか。厄介な生徒を落ち着かせるために完璧な設備でもしてんのか?
「まず、ここにはあたしとお前しかいないわけだが」
「それも見りゃ分かります。だから説教するならさっさとしてください。殴る蹴るとかされても俺はどこにも告げ口はしないんで」
「何であたしが殴る蹴るの前提で話してるんだ……」
え?違うの?てっきりそうだとばかり思ってたから2人きりのとこに連れて来られたと思ってたわ。
「とりあえず座れ。最初に言っておくが、あたしはお前を説教するつもりはない」
「は?じゃあ何のために俺をここに連れてきたんですか?まさか先生……彼氏ができないからって生徒である俺をこんな場所で襲うつもりじゃ……!?」
「本当に説教が必要になってきたか?」
「ホントまじすいませんでした」
良い年した独身の女性にこんな事言うんじゃなかった。いつもの先生のツッコミより殺意が半端なかった。
「いつもそうやって調子に乗るからそうなるんだ……」
「まあ怒られるのも慣れてるんで、つい……。で、結局じゃあ俺がここに連れて来られた理由って?」
俺がそう聞くと先生の顔つきはすぐに柔らかくなった。確かに怒られる雰囲気ではなさそうだ。
「ここなら他の教師陣にも見られないから安心なんだ。それと、さっきのお前を説教するつもりはないと言った理由だが、本当なら南にも職員室まで来てもらう必要はなかった」
「じゃあ、何でことりはわざわざ職員室に?」
「南をよく見ているお前も知ってるとは思うが、ここ最近の南は全ての授業に熱が入っていない。その事に対して他の先生達も困ってるんだよ。私は担任だから普通に注意できるが、南は理事長の娘でもあるから強く言えないんだろう」
先生の言う事はごもっともだった。いつも真面目に授業を受けていたことりが全然授業を聞かなくなったのだ。それはもう他の先生達も困るだろう。だけど理事長の娘であることりに強くは言えない。でも……、
「お前の思ってる通り、南は注意されたくらいで理事長に告げ口するような悪い子じゃない。そんなのはあたしも含めて全員が知っているんだ。だけどどうしても気を遣ってしまって言えない。でも不満もある。だからここで担任のあたしの出番だ」
「山田先生が?」
「担任として、南を職員室に呼び出せる。そして他の先生方の前でわざと見せびらかすように注意をする。それなら教室で注意するより、先生方が多くいる職員室で注意した方が“南が授業態度の事で注意を受けている”という事をはっきりと周りに分からせる事ができる」
なるほど、敢えて大衆の前で注意した方が他の先生が抱えていることりに対しての不満を一気に解消できるというわけか。ははっ、ここんとこはさすが山田先生だな。周りの先生とは違う、良い意味でざっくりとした性格だからこそ、周りの事も見えて考えられる。
この人が担任で本当に良かったと思えてる。
「だからお前をここに連れてきたのも、生徒指導室なら思いっきり注意できる場だから、今頃こってり絞られてるとでも思ってるんじゃないか?ははっ!」
「ああ、何かぜーんぶ納得しましたよ」
全ては先生の思惑通りになったってわけね。こりゃ俺も1本取られたわ。
「それにあたしはお前達に感謝してるんだ」
「俺達に、感謝?」
急なお礼だった。
「ああ。お前達μ'sのおかげで一時的ではあるが、廃校の心配はなくなった。本当ならオープンキャンパスの時にもうダメだと思ってたんだ。でも、それをお前達が変えてくれた」
「……それは、穂乃果達が成し遂げた事です。俺じゃない」
「だがお前だって関わりは0じゃない。手伝いだとしても、お前はあいつらを支えてきたんじゃないのか」
「あくまで手伝いってだけですよ。支えてきたのだって、あいつらが自分でそれを乗り越えようとしたから助力して、結果的にはあいつら自身の頑張りでここまでやってこられたんだ。いつだって、あいつらが頑張ろうとしてきたから、俺は別に何もしてないですよ」
これは事実だ。俺がどんなにあいつらに助力しても、支えてきても、結果的にそれを全部乗り越えてきたのはあいつらの頑張りがあったからだ。そこに俺の助力など加算されるわけではない。動画を見たユーザーからして見れば、それは
「変なとこで捻くれてるなお前は……。いいか?お前がいくらそんな事言ったっておそらく高坂達はそんな事ないと断言してくるぞ。そしてあたしもそれを断言してやる。確かに高坂達の頑張りがあったからここまでやってこれたのかもしれない。でもな、それもお前の支えがあったからじゃないのか。お前の助力があったからあいつらは頑張れたんじゃないのか」
ここで沈黙してしまう。先生の言う事も理解できないわけではない。でも、それを素直に受け入れていいのかという俺の脳内がブレーキをかけてしまっている。
「動画だけを見たネットユーザーの評価なんて気にするな。お前にはお前だけが知っている、高坂達には高坂達だけが知っている自分達だけの評価があるだろう。そしてそんな高坂達のお礼も素直に受け入れていいんだよ。もちろんあたしのお礼だってな。本気のお礼を言って、それが否定された時の気持ちがお前には分かるか?本気のお礼を言ってそれを否定されるってのは、それはそれで辛いんだよ。感謝の気持ちを拒まれたと一緒なんだからな」
またしても沈黙。言われてみれば、今まで俺は穂乃果達に何度かお礼を言われた事があったが、それをほぼ全て否定してきた。これは俺じゃなくてお前らの結果だから、俺は特別何かをしたわけじゃないから、お礼を言われるような事はしてない、と。
「いいんだよ、受け入れて。それだけの事を、お前はしてきたんだ。その証拠は今までのお前の行動にあるだろ?岡崎が今までお礼を言われた数なんて知りやしない。けど結構な数で言われてきたんだろう。それはな、お前が助けてきた証拠なんだ。助けたからこそお礼を言われるんだ。ならそれを否定したらダメなんだよ。精一杯のお礼まで否定されたら、それはお礼してきた人達の気持ちを踏み躙るのと何も変わらないんだ」
「……俺は、今まであいつらの感謝の言葉を受け入れずに、お前らの頑張りなんだって言って否定してきた。それがあいつらのためだと思って。でも、それが間違ってたって事ですか?」
そうだとしたら、もしそれが本当にそうなのだとしたら、俺は今までとても最低な事をしてきたんじゃないか……?あいつらのためだと思って、自分達の頑張りなんだと自覚させてやるためにと思って、ずっとそう言い続けてきた。
なのに、それが逆にあいつらの気持ちを踏み躙っていたんだとしたら、まったくの逆効果じゃないか。俺の選択が間違っているという事じゃねえか。……現に今もことりに作詞を任せているけど、それも逆効果になりつつあるかもしれない。
俺の選択は、もう当初から間違っていたのか……?
「まあ、言ってしまえば間違いかもしれないな」
やはり、か……。
「でも、高坂達なら大丈夫だろ」
「……え?」
穂乃果達なら大丈夫って、どういう……。
「考えてもみろ。お前らは小さい頃からの幼馴染なんだろ?だったら、お前の性格なんてとうの昔から知っているはずじゃないのか?」
「……あ」
俺は穂乃果、海未、ことりと幼馴染だ。今までお礼を言われるのも、大体がこの3人からだった。でも、俺がこいつらの感謝の気持ちを踏み躙っても、あいつらはいつも俺に笑顔を向けてくれていた。
「お前の性格を理解した上で、あいつらはお前に感謝の言葉を述べるんだよ。いつまでも否定されると分かっていても、いつか受け入れてくれるその日まで、ずっと言い続けてくると思うぞ。あいつらならな」
「ははっ、めんどくせえ奴らだな……」
「お前が言うなお前が。1番面倒な性格してるだろうがお前は」
「いきなりヒドイ言われようなんですが……」
結局説教を喰らった気分だったが、不思議と悪くない気分だった。決して怒られて気持ち良いなんて特殊な趣味はないが、また心が少し軽くなったような気分だった。
「要はこうだ。たまには感謝の言葉も受け入れてやれって事だ」
「……そうですね。善処します」
「あくまで善処か……。まあいい、何だか結局説教くさくなってしまったし、話が逸れたような気がするが、南もμ'sの事で何か悩みがあるんだろ?」
「ええ、まあ。そのせいでああなっちゃってますけどね」
このままいくとどうなるのか。最悪悪い方向に行ってしまう気がする。それを止めるためにはどうすればいいか。その答えがまだ出てこない。
「やはりμ'sの事か。……うん、その事に関しては岡崎、お前に全てを任せる」
「はい?先生は何も言ってくんないんですか?」
「何故あたしが何か言わないといけないんだ?μ'sの手伝い役は岡崎だろ?だったらお前が考えるべきだろうが」
「いや、まあ、そうなんですけど……先生だからこそ何か言える事はないのかな~と……」
わざわざことりの悩みまで踏み込んできたのに、ここで何も言わないとか、焦らしプレイはやめてよっ!そういうの嫌いなんだから!!
「まあ、何か1つだけ言うならば、“少年、これからも問題の選択を間違えよ。そしてその問題の間違いに気付いてそれを理解して、何回でも問い直せ。正そうと努力をしろ。解はいつだって自分の中にある”」
それだけ言うと、先生は生徒指導室を出て行った。
「……いつもちゃらんぽらんな事を言ってくるくせに、たまに良い事言うんだから困るんだよあの先生は」
不敵に笑みを浮かべる。
解はいつだって自分の中にある、か。
俺の解は、いつだって変わらないさ。
誰かを助ける。
それがいつだって最後に出てきてしまう岡崎拓哉の解だ。
さて、いかがでしたでしょうか?
今回は山田先生がまさかのメインです。
少しいつもと話がズレてますが、この話はここでやっておきたかったので(笑)
許してやってくだしい!
今回で本編自体は49話なので、次回の更新は50話目という新年一発目にしてキリの良いスタートになりますね!
そして、この小説を書き始めて一周年も近づいて参りました!
何気に山田先生の最後の言葉が気に入ってたり……。
いつもご感想評価ありがとうございます!!
では、新たに高評価(☆9、☆10)をくださった、
グラニさん(☆10)、トエルウル・ノンタンさん(☆10)、HDtamagoさん(☆10)
大変ありがとうございました!!
これからもご感想評価お待ちしております!!