ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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どうも、2週間もお待たせして申し訳ありません!
みなさんリアルも大事にね!


2週間ぶりの話は、ワンダーゾーン編完結です!!


ではどうぞ~。




52.一緒に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当にやるんですか……?」

 

 

 

 

 

 

 明るい街の喧騒の中、不安げな海未の声が小さく呟かれる。

 

 

 

 

「もちろん。次の日曜日、この場所で!」

 対して張り切った声で返したのは絢瀬会長。そう、今週の日曜日、ライブをする事が決まったのだ。

 

「ですが、ここでは人がたくさん―――、」

「面白そう!」

 海未の言葉を遮るように声を張ったことり。どうやらもう悩みは昨日の件があったおかげで大丈夫のようだ。

 

「人が多いからこそやるんだろ。そうじゃないと思い切った手とは呼べないんだ」

「うう……分かってます、分かってはいるのですが……」

 まあ、今までのように学校内でやっていたライブとは違い、本当の意味で知らない人達の前でライブをするのは今回が初めてだ。オープンキャンパスのように、事前に音ノ木坂学院にスクールアイドルがいるという前情報が見る人にとってあるわけでもない。

 

 初見も初見。そりゃ海未が不安がるのも仕方ない事だ。それでもやるしかない。そうじゃないと意味がない。これはもっとμ'sに注目を集めるためのライブだ。上位に入るには、もっと色んな人達に見てもらわないといけない。

 

 

「よーし、やろう!!」

 

 

 穂乃果の声と共に、他のメンバーの声も上がる。海未も諦めたようだ。毎回何だかんだ言いながらもやってのけるんだ。今回も大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、明日からまた忙しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「この衣装で秋葉に!?」

「うん!ことりちゃんのお店の人に言って貸してもらったんだ!」

 

 

 翌日の屋上。

 教室で作詞をしていることり以外のメンバーは全員メイド服を着ていた。花陽の言った通り、メイド服という“衣装”でライブをするのだ。

 

 

「ことりの店で思いついた事なんだ。ことりが秋葉で、働いている店で思った事や感じた事を歌詞に乗せる。だったら衣装もそれに関連したものが合っているんじゃないかと思ってな。そういうわけでのメイド服だ」

「うんうん!みんな似合ってるよー!!」

 穂乃果の言う通り、元の素材が良いからか、メイド服を着た彼女達はとても可愛い。あれだ。例えば10点満点で10点の女の子がいる。その子がメイド服を着ると15点になる。分かるだろ?分かれ。

 

 

「にっこにっこにー!!どう、似合ってる?」

「おー、にこさん。いつものそのキャラがよりメイド服にマッチしてるじゃねえか。似合ってる似合ってる!」

「でしょー?ふふん、岡崎もちゃーんと分かるとこもあるじゃない」

 だろ?……ってあれ、それ褒められてんの?遠回しに他は分かってないって言われてない?というかあれだよ。俺だって男だ。周りにメイド服を着た可愛い女の子達がいて普通でいられるはずがない。

 

 お金払うから写真撮っちゃいけないかなー。家のアルバムに永久保存しとくのに。ちっくしょう、どいつもこいつもレベルが高すぎだろ。

 

 

 

「おー……!!」

「そ、そんなに見ないでちょうだい……」

 穂乃果の感嘆とした声と、絢瀬会長の照れた声に俺の首は驚くほどの速さでグリンッ!!と振り向いた。

 

 

 そこにいたのは、金髪超絶美少女がメイド服を着て恥じらっていた姿だった。

 

 

「お、岡崎君?今凄い勢いで首が動いたように見えたんだけど……」

「絢瀬会長……」

「な、何かしら……?」

 俯きながらゆっくりと絢瀬会長に近づき、手を伸ばせば触れられる距離になったところで、俺は絢瀬会長に向かって親指を突き上げた。言うなればグッジョブのポーズだ。

 

 

「写真撮ってもいいでグブファッ!?」

「拓哉君ならそう言うと思ってました!絶対させませんからね!」

「せめて口で言ってくんない!?思いっきり頬にクリティカルヒットしたんだけど!!というか絢瀬会長のメイド服が似合いすぎなのが悪いんだ!メイド服を着た可愛い女の子を見たらまず紳士的に、そして写真を撮らせてくれと頼むのが常識だろ!!」

「そんな常識は聞いた事ありません!」

 

 あれ、これは世界の真理だと思っていたんだが海未は知らないのか。あ、どっちかと言えば男だけ知ってる真理だわ。スタイル抜群な子がメイド服を着たらこんなにも破壊力があるのか。絢瀬会長は金髪だから余計良い感じがする。堪らん。

 

「あ、えっと……ほ、褒めてくれてるの、かしら……?」

「もちろん。海未がうるさいから諦めるけど、似合いすぎて写真撮りたいくらいだぜまったく」

「そ、そう……あ、ありがと……」

 ふむふむ、頬を染めて恥じらうメイドもええのう。拓哉さんは感激だぞい。おっと、そろそろ海未が後ろで第二撃を放とうとしてるからやめておこう。

 

 

「ここにはいないけど、さすがことりだな。全員の服のサイズがピッタリじゃねえか」

「何でそんな事が分かるんですか。……まさか拓哉君全員のスリーサ―――、」

「見てれば大体分かるだろ誰もサイズの事に何も言わないんだからとりあえず拓哉さんの社会的地位のためにそれ以上は言わないでくださいお願いします」

 恥ずかしがるくせに言ってくるんだから海未はタチが悪い。できる事ならみんなのスリーサイズ知りたいけどね?知って1人ニヤニヤしながら自首するよ?自首するんかい。

 

 

「たくちゃん!!どう、似合う!?」

「いやもうお前のメイド服は昨日たんまり見たし」

「何かお古みたいな言い方されたっ!?……いやでもたんまり見たって事はそれだけ私の事を見てくれてたって事にも捉えられるし……」

 何か後半ボソボソ言ってるけど聞こえてるからね。俺の場合お前が何かやらかさないか心配で見てたんだからね。何なら海未とことりの方が私欲で見てるまである。と、そろそろ時間だな。

 

 

 

「んじゃ俺と穂乃果と海未は教室にいることりを呼んで店に行くから、何だったら一緒に来るか?」

 そう、結局ことりのために今日も俺達は一緒に店を手伝う事になった。いや俺いらないよね?もう必要ないよね?何で手伝いである俺までこんな事させられてんの?……あ、μ'sの手伝いだからそれも兼ねてるのかー。そっかそっかー!!……いやだから必要ないよね?

 

 

「そうね、なら一緒に行こうかしら。曲ができないと振り付けもできないし、練習のリラックスも兼ねて行きましょうか」

「やったー!絵里先輩の許可が出たから遠慮なく行けるにゃー!昨日食べれなかったメニュー食べよかよちん!」

「はしゃぎすぎだよ凛ちゃん~」

 最近ではどうやらμ'sの練習や指導のせいかはどうか分からないが、海未か絢瀬会長に決定権があるらしい。まあまとめ役が上手いこの2人だから納得の部分もある。というよりこの2人以外できるのかすら怪しい。

 

 

「俺はことりを呼びに行くから、その間に各自着替えて校門に集合しといてくれー」

 全員の軽い返事を聞き流しながら、俺はことりのいる教室へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いや、何でこう客が多いんだよ……」

 

 

 

 

 店に着いて執事服に着替えてからホールに出た俺の最初の一言がそれだった。

 

 

 

 

「昨日の内にμ'sの宣伝ポスター貼っといたからかな?」

「仕事早すぎない?いいんだけどさ!仕事としては十分にいいんだけどさ!!こんだけの客捌き切れるか分かんねえぞ俺!?」

 予想以上の人数の客が来ていた。聞いてみれば店の外にまで行列ができているらしい。まあ伝説のメイド『ミナリンスキー』が最近ずっとバイトに来ているんだし、人気が出始めているμ'sの宣伝のおかげもあるなら、それは喜ばしい事なんだろう。

 

 それでも多いッ!こんな人数を執事を装って対応しなくちゃいけないのか俺は!?μ'sの手伝いってここまでしなきゃいけないのん?キッチンから物凄く店長の鋭い視線を感じるんだが。やだ怖いっ、監視されているわ!……いや店長もホールに出て来いよ。

 

 

 

 

「さあたっくん、今日も頑張ろうねっ♪」

「ええ~……この人数を見……分かったよ……」

 やっぱ凄えよ、ことりは。一目見れば半端じゃないほど大変だって分かるのに、嫌そうな顔を一つも見せず、逆にこんなに多く接客できる事が楽しみであるかのような笑顔でいる。決して作り笑顔なんかじゃない、純粋に楽しそうな笑顔だ。

 

 

 

 幼馴染の女の子がこうして振る舞ってんのに、俺だけそんなダルそうにやるわけにはいかねえよな。やるだけやってみますかっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「拓哉さん!一緒に写真撮ってくださいっ!」

「はい?ああ、亜里沙か。来てたんだな。という事は……」

「私もいるよ、お兄ちゃんっ♪」

「やっぱりか」

 少しだけ忙しさも落ち着いてきた頃、食器を片付けている途中の俺を呼んだのは絢瀬会長の妹、亜里沙だった。案の定唯もセットだった。

 

「んじゃ雪穂もいるのか」

「うん、あっちで穂乃果ちゃんを弄ってるよ」

 ああ、雪穂にメイド服見られてめちゃくちゃ笑われてるじゃねえか穂乃果のやつ……。雪穂も中々良い性格してやがる。落ち着いたと言ってもまだ忙しい範囲ではあるから穂乃果を弄るのも程々にしてやってほしい。

 

「むぅ~、たーくーやーさんっ!」

「うおっと、な、何でしょうか亜里沙姫……?」

 流されたのが気に食わなかったのか、亜里沙は俺の腕を結構強引に引っ張ってきた。むくれてる顔も可愛いな亜里沙は。絢瀬会長にはない可愛さが出ている。というか天使。

 

「私と写真撮ってくださいっ!」

「お兄ちゃん、私とも撮って!」

「いやいや待つんだお嬢様方、一応この店にもルールってのがあってだね」

 確か初めにことりのメイド服を見た時、それはことりが生写真を回収しに来た時だ。つまり、店内で写真を撮るのは基本的に禁止のはずなのだ。そうでしょ、店長?という意味も込めて、きっとキッチンで俺を監視しているであろう店長の方へ目をやると、

 

 

 

 

 

 

 とても良い笑顔で親指を突き立てていた。

 そして視線を唯達に戻すと、同じく良い笑顔で目をキラキラさせていた。

 

 

 

 

 

 

「決まりだね、お兄ちゃんっ!」

「お願いします!拓哉さん!」

 くそ~、あの店長め……ことりや穂乃果に海未のおかげで店が繁盛してるからって気前良くなりやがって……。客にとってご都合主義の店かよまったく。

 

「……いや、つうか何で俺?唯はともかく、亜里沙は海未と撮ってもらった方が良いんじゃないか?」

 亜里沙はμ'sの中でも特に海未のファンらしい。絢瀬会長が加入する前も海未と話して喜んでいたそうな。なのに何故俺なんかのところに来たのか不思議でならない。

 

「海未さんとはもう撮ってもらいました!」

「ああ、はい、なるほどね……」

 行動のお早い事で。まあ?俺はついでって事くらい知ってたしー?何も悔しくなんてないしー?当然の事だと思ってるしー!!心の中は大洪水だしーー!!……泣いてんじゃねえか。

 

 

「というわけで撮りましょう!お姉ちゃん、またお願いしてもいい?」

「ええ、分かったわ」

 なるほど、絢瀬会長に撮ってもらってたのか。妹に頼まれて絢瀬会長もまんざらじゃない顔してるな。分かる、分かるぞ絢瀬会長。可愛い妹に頼まれたら断れないよな。むしろ喜んで聞いてあげちゃうよな。

 

 

「お兄ちゃん、私とも撮ってよ!?」

「あー、はいはい、分かったよ」

 あれだよ?こういう態度とってるけど、内心ルンルンで撮るからね?唯とのツーショットとか何年振りだろうかとか思っちゃうまである。

 

「お願いします、拓哉さん♪」

「お、おう」

 一応執事服着てるからどういうポーズすればいいか考えてたら亜里沙に腕に抱き付かれた。これじゃポーズとれないじゃねえか。とりあえず煩悩を捨て去る方法を教えてください。

 

「……亜里沙、何故岡崎君の腕に抱き付いてるのかしら?」

 あら、絢瀬さん?あなた顔が引き攣ってますわよ?何なら拓哉さんの顔も引き攣ってますわよ?何故だろう。絢瀬会長から前までの冷たい生徒会長のオーラが感じるんだが。まだ夏は始まったばかりですよね?

 

「え?海未さんにも同じ事したからだよ?」

「そ、そう……。なら仕方ないわね」

 いやおかしいだろ。海未は女の子。俺は男。そこらへんをもう少しこのロシアン少女に教えてあげた方がよろしいかと思いますぞ絢瀬会長や。というか早く撮って。いつまでもこの態勢なのはμ'sのお姫様方からの視線がヤバイんです。

 

 

「じゃあ撮るわよ」

「うん♪」

「早くしてくれ……」

 いざ撮ってみれば何のその。一瞬で終わった。それまでが長かった。視線を槍として例えるなら俺はハチの巣にされてただろう。

 

 

「次は私とだよ、お兄ちゃんっ!」

「おーし、んじゃさっそくいってみよー」

「何か亜里沙の時と反応違いすぎない!?」

 だって唯だし。妹だし。内心ルンルンだと思ったけどあれは嘘だったらしい。亜里沙の時とのドキドキが大きすぎたせいで今は全然だった。悪く思わんでくれ妹よ。お前は世界一可愛いよ。

 

 

「む~……じゃあお兄ちゃん、ポーズ指定するから私をお姫様抱っこして」

「えー……」

「早くするっ!」

「ウィッス」

 この妹、中々に威圧を放っておる。これはあれだ。マジ切れした時の母さんと似ている。似なくていい部分が似てきて拓哉さんは唯の将来が不安になってきましたよ。

 

「どう?重い、かな……?」

「いや、全然。むしろ軽すぎて心配するレベルなんだが……」

 スタイルは元々良かったから軽いんだろうとは思ってたけど、いざ抱き上げてみると唯は軽すぎなくらいだった。何だこいつ、本当に飯食ってんのかよ。……いつも飯作ってくれてるの唯だったわ。

 

「へっへーん!これでも栄養に気を付けたりしてるんだよ~」

「お前の場合食べても太らない体質だろうが。知ってるぞ、受験勉強の休憩かは知らねえけど、この前深夜にカップ麺食ってたろ」

「な、何でそれを……!?」

 そりゃ兄だからな。妹の事はほとんど知っている。ちなみに生理とかは知らない。そんなの知っていたら本格的に兄としての立場を失う。

 

 

「それじゃ撮るわよ」

「あいよー」

「何かお兄ちゃんのペースに乗せられてる……こうなったら、えいっ!」

「なっ……!?」

 パシャリとカメラの音が鳴る直前。唯が俺の首に手を回してきた。どこで覚えてきたそんな不意打ち。

 

「どうお兄ちゃん?少しはドキッとしたでしょ?」

「いや兄をドキッとさせてどうすんだよ……」

 確かにちょっとだけドキッとはしたけどさ。ちょっとだけね!!こんな事されたらドキッとしない男はいないと思うんですが。まさか他の男子にこんな事するんじゃないだろうな。それだけは許さんぞ。その男子を血祭りに上げてやる。

 

 

「たっくーん!!そろそろこっちにも来てー!」

「ああ、分かった!いいか唯、こんな事は他の男にするんじゃないぞ。不意にされたら心臓に悪いからな」

「心配しなくてもお兄ちゃん以外の男の子には絶対やらないよ」

「よろしい。さすが世界一の妹だ。んじゃお兄ちゃんちょっくら働いてくるから、また後でな」

 頑張ってねーと唯の声援を聞いてから他の客のとこへと行く。

 

 

 

 唯の時にも感じたμ'sのみんなの視線は唯の可愛さで全部無効にした。そうしないとメンタルやられそうだったんです!今はとりあえず目の前の客を捌いてさっさと解放されたいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな俺の思いとは裏腹に、やはりことりは笑顔を絶やす事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 それから事は順調に進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 相変わらず授業中は歌詞を書く事に変わりはなかったが、以前のように悩む事はなく、歌詞を書く手も止まる事はなかった。

 

 

 

 そのおかげもあって真姫の曲作りも開始され、難なく完成に至る事もできた。

 

 

 

 振り付けも曲に合わす事がスムーズにでき、今までにないほど手際よく進ませる事ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当日の日曜日がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「客の集まりも上々だな」

 店の2階から覗くと、結構な人数が集まっていた。

 

 

 

 

 

「そうだね。よーし!!みんな、準備はいい!?」

 穂乃果の掛け声に全員が応じる。店は今日だけ臨時休業になった。店長がやってくれたらしいのだが、あの店長……、中々粋な事しやがるなおい。ほんの少しだけ見直したぞ。ほんの少しな。

 

 

 

 

「おし、じゃあ行ってこい。今日のお前らは特別な場所で、店が貸してくれた特別な衣装で、ことりが書いた特別な歌で、みんなを魅了してこい」

「「「「「「「「「はいっ!!」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Music:Wonder zone/μ's

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 神田明神。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕日が静まりかけた階段の上で、俺と、幼馴染の3人はいた。

 

 

 

 

 

 ライブが成功したのは言うまでもなかった。

 元々店の中でも宣伝はしていたし、そこで人数を少しでも確保、そこから当日のライブでその人だかりを見た人々が興味を持って寄ってくる。そうすれば知名度はまた格段に上がってくる。

 

 この見立ては大成功だった。ライブが終わればたちまち拍手が響き、μ'sのみんなは歌って踊ったあとでも、綺麗な笑顔が崩れる事はなかった。

 

 

 

 

「上手くいって良かったね~。ことりちゃんのおかげだよ!」

「ううん、私じゃないよ。みんながいてくれたから、みんなで作った曲だから!」

 ほんのりとだけ夕日の赤みが顔に差し掛かる中、穂乃果の言葉にことりは謙遜の意味でそれを返す。

 

「そんな事……でも、そういう事にしとこうかなー!」

「穂乃果……」

「うんっ!その方が嬉しい!」

「ことり……」

 俺もそんな事ないと言おうとしたが、ことりの言葉を聞いてそれは留めておく事にした。そうだよな。ことりはいつだってそういう奴だった。みんなの事を1番に考えてるからこその言葉。

 

 それがことりなのだ。誰がどう言おうと、それだけは変わらない。なら、それでもいい。ことりはことりだ。それでいい。俺が何か言うより、自分で決めて、自分の思いを言えることりの方が、きっと良いに決まってる。

 

 

 

 

「ねえ、こうして3人で並んでいると、ファーストライブの頃を思い出さない?」

 不意に、ことりがそんな事を呟いた。

 

「うん……」

「あの時はまだ、私達だけでしたね」

「たっくんがいなかったら、穂乃果ちゃんがやろうって言ってくれなかったら、あそこで終わってたかもしれないもんね」

 1度挫折しかけたあの日。でもあれを乗り越えたからこそ、今のμ'sがある。最初は3人だけという孤独感があったかもしれないが、今は他にも明るいメンバーがいる。それだけで、続けていて良かったと思えるんだ。

 

 

「……あのさ、私達っていつまで一緒にいられるのかな」

 またも不意に、ことりが言葉を漏らす。

 

「どうしたの急に?」

「だって、あと2年で高校も終わっちゃうでしょ……!」

「それはしょうがない事です……」

 それに、どんな意味が篭っているのかは分からない。

 

「せっかくたっくんも帰ってきてくれたのに……もうあと2年でまた離れ離れになるかもしれないって考えると……」

 ことりの言う事も分かる。中学はずっと俺が別の学校に行っていた。だからそういう事に関してことりは敏感になっているのかもしれない。でも、それとこれとはまた別なのだ。

 

 高校を卒業したらどうするかなんて、まだ考えていない。考えてないから、分からない。誰がどのような道を選ぶかなんて、分かりっこない。ずっとこの街にいる事を約束する事もできない。実際に、俺がそうだったから。

 

 

 

 

 

 

 

 なのに。

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だよー!ずーっと一緒!だって私、この先ずっとずっと海未ちゃんとことりちゃんとたくちゃんと一緒にいたいって思ってるよ!大好きだもん!!」

「穂乃果ちゃん……私も大好きっ!!」

 こいつはこんな事を簡単に言ってのける。本当、凄い奴だよ穂乃果は。俺には言えない事を言ってやれるのは、やっぱりこいつだな。リーダーの素質ってのはこういうところでも表れるらしい。

 

 

「ねえねえ、たくちゃんは!たくちゃんは私達の事大好き!?」

「はあ?……まあ、普通くらいなんじゃねえの……」

 何でいきなりとんでもない事聞いてくんだよこいつは。ことりも海未も期待の眼差しで見てくるんじゃない。言いにくいでしょうが。

 

 

「ぶー!何でそんな微妙な事言うのー!!ちゃんと言ってよ!!」

「ちゃんとって、俺が嘘ついてるって確信でもあんのかお前は!?」

「え……たっくん、私達の事、大好きじゃないの……?」

 ぐァァァあああああああああああああああああああああああああああああああッ!!やめろ、やめてくれ!!ことりのその瞳は俺にダメージがでかすぎる……!

 

 

「……ああもう、分かったよ!好きだよ好き好き!!これでいいんだろ!」

「私達はたくちゃんの事大好きだよ!!」

 いやこれでもまだダメなのかよ。ハードル高すぎない?男だって言いにくい事たくさんあるんですよ?

 

「拓哉君……?」

「だあーっ!もうちくしょう!大好きだよお前らの事くらい!じゃねえとこの活動の手伝いなんて元からしてねえっつの!!どうだ、これで満足か!!」

「……ふふっ、私達もたくちゃんの事、だーいすきだよっ!!」

 ……くっそ、色んな意味で顔が暑い。これはあれだ。夏だからだ。夏だからこうも暑いんだ。そうに決まってる。そうじゃないと変な汗とかかかないもんだ。

 

 

 

 

「たっくん、穂乃果ちゃん、海未ちゃん……ずっと一緒にいようね!!

「うんっ!」

「ええ!」

「……」

「たくちゃん!」

「……ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 約束なんてできない。未来に何があるかなんて誰にも分からない。だから未来に向かって進んでいくんだ。そこでも俺達は一緒にいるかいないか。そんな事を考えるのは無駄ってものだ。

 

 ……でも、一緒にいないなんて事も絶対じゃない。だから、少しでも可能性があるなら、口約束くらいはしてもいいんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来なんてものはいつでも分からないもの。だからこそ進んでいける。必ず明るい未来もあるのだと信じていける。例えどんな困難が待ち受けていようと、それを乗り越えようとする意志があるなら、人はいつだって前へ進めるんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあとりあえずは、ことりの件は一件落着かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、いかがでしたでしょうか?

ワンダーゾーン編は結構長くやっていたので、終わりは終わりであっさりとさせていただきました(笑)
次回からはみなさんお待ちかね?の合宿編!!

不定期更新になってしまう可能性もありますが、2週間以内には絶対に更新しますのでご安心を!


いつもご感想高評価(☆9、☆10)ありがとうございます!!


では、新たに高評価(☆9、☆10)をくださった、

ワッフェルさん(☆10)、kiellyさん(☆9)、TRUTHさん(☆10)

大変ありがとうございました!!

これからもご感想高評価お待ちしております!!


薮椿さんの小説『ラブライブ!~μ'sとの新たなる日常~』とのコラボは来週の日曜に投稿いたします!!
合宿編はその次回となります。

まだ薮椿さんの小説を読んでいない方がいれば、ぜひ読みましょう!とても面白いのでより楽しくコラボ小説が見られると思います!

そしてご感想も書いちゃいましょう!自分も薮椿さんも俄然やる気になりますので!!自分薮椿さんの小説の読者の方からご感想をいただいてとても嬉しく思ってますので、ぜひ皆さんも書いちゃいましょう!!
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