ラブライブ!~奇跡と軌跡の物語~   作:たーぼ

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どうも、今回からSID+オリジナルエピソードです。

でも今回は完全オリジナルです。
序盤からたま~に伏線であいつなどの名称呼びで出てきていたあのキャラがようやっとでてきます。

そんなお話。


では、どうぞ。




61.後輩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが神保町……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 地元の駅前で1人ポツリと呟いた少女がいた。

 肩まであるかないかくらいの茶色がかった髪、胸は()()1()()()にしては周りの女子よりもあった。スタイルからして、容姿からして、軽々と美少女と言っても過言ではない少女だった。

 

 高校の制服を着ているあたり、既に下校しているのは言うまでもないが、少女の家が神保町にあるのかと言えばそうでもないのである。むしろ少女の家から遠ざかっていた。神保町まで来たのには、もっと別の目的があるから。

 

 

 それを自らの口から出す事によって、わざわざここまで来た目的を再確認させる。

 

 

 

 

 

「待っていてくださいよ、先輩……」

 

 

 

 

 

 先輩。

 それを口に出して頭に思い浮かべるはたった1人。

 その少女が唯一、親を除く男という括りの中で最も信頼している少年がいた。

 

 

 茶髪のツンツン頭の少年。

 中学の時に少し問題事が起きた時、自分が被害者になりかけたとこを真っ先に助けてくれた少年がいた。その時に何があったのかはその少女と少年、その当事者にしか分からない。

 

 

 

 ただし、その一件で少女は面倒な事にその少年に恋をした。とんでもなく鈍感で、唐変木で、こちらに一切興味を示さないような少年に。美少女が故に言い寄ってくる男子は何人もいた。その全てをパシリとしてこき使い、弄んだ。

 

 どれもが遊びでしかなかった。言い寄ってくる男子はいても誰とも付き合った事がなく、このまま使用人みたいな事をしていれば、いずれ付き合えるのではないかという根拠もない希望を勝手に抱いて自ら動く男子ばかりいた。

 

 だから。

 その少年も“それ”だと思った。良いとこを見せたいから、それで惚れろと言わんばかりに助けたんだと思った。しかしそれは違った。助ける事だけを考え、そのあとは全然接触してくる事はなかった。

 

 他の男子とは違う。その少年だけは下心など一切なく、ただ純粋に助けてくれた。気付けば恋心を抱き、自分から積極的に少年へしつこく絡みにいった。だが、少年にはいつも『あざとい』、『げっ、またお前か……』、『金はやらんぞ小娘』、『俺はパシリじゃねえ』とあしらわれるだけだった。

 

 今まで男子に媚びて生きてきたのが仇になり、いつものやり方で迫っても何の意味がなかった。だから、ならば、数で押す。何回でも何十回でも何百回でもアプローチをする。いつかは気付いてもらうために。

 

 

 

 だからこそ、少年が通っていた高校まで追いかけた。

 

 

 

 だから。

 なのに。

 

 

 

 入学した時には少年は既に学校からいなくなっていた。

 正確には学校生活が始まる少し前、簡易的なメールが一応送られてきたのだ。

 

 

『悪いけど、春から転校する事になった。少しの間だったけど、楽しかったぜ。じゃあな』

 

 

 と。

 

 

 前々から少年の通っている高校へ行くと言っていたから、一応その少女にも一斉送信メールが送られてきたのだろうと予測はできた。

 だからそれを含めちゃんと返信もしたのだ。

 

 

『何であたしに何も言わずにどこか行っちゃうんですかー!どこに転校するんですか。教えてください。1年経ったらそこに行きますので』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 返信は、なかった。

 

 

 

 

 

 

 

(ほんと……どこまでもあたしを弄んでくれますよね……)

 

 

 

 

 なので、来た。

 神保町に。

 

 

 幸い少年の中学からの友達が高校にいたからどこの高校に行ったのかも無理矢理吐かせた。何なら住所まで吐かせた。それに時間を浪費しすぎて時間は掛かったが、ようやくここまで来た。ミッションはもうすぐで達成される。

 

 

 さあ、前置きはここまでにしておこう。

 

 

 

 少女は改めて前を見据える。今なら運が良ければ少年の下校タイムに突撃できるはずだ。ならば、あとはどこへ向かえばいいか自然と頭に浮かんでくる。

 音ノ木坂学院。1年前から共学になったばかりの元女子高。そこに少年は通っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……愛しの後輩がすぐに会いに行きますからね」

 

 

 

 不敵な笑みを浮かべた瞬間。

 誰もが驚くようなスピードで少女は走り出した。

 

 

 ギャグマンガで例えるなら、少女が走り去ったあとには砂煙が続いているような、そんなスピードで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さな波乱が、少年少女達へ迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰りにどこかでアイスでも買って帰るか」

「たくちゃんの奢りだー!やったー!!」

「俺がいつ奢りだと言った?ちゃんと話聞いてた?」

 

 

 

 

 そんなよくある夏の学校帰りだった。

 練習も終わり、俺もメンバーと一緒に全員で帰路についていた。

 

 

 

 

 

 

「えー!暑い中練習頑張ったんだからアイスくらい奢ってくれてもいいじゃーん!」

「俺だって暑い中じっとしながらずっとお前らの練習を見てたんだぞ。何なら動いてるお前らよりジワッと汗が背中から垂れる気持ち悪さを分かってほしいくらいなんだが」

「海未ちゃん、明日の1限目何だったっけ?」

「数学です」

「話すら聞いてない……だと……!?」

 

 こいつ、コンビニ行ったら成り行きで買ってもらおうとしてやがるな。その戦法はもう何十回と引っかかってんだよこっちは。もう騙されねえからな。絶対買ってやんねえし!!……何十回って騙され過ぎかよ俺。

 

 

「いいじゃない、たまには私にも奢りなさいよ拓哉~」

「そういうのは普通先輩がする役割っていうのを知ってるか。あとあざとい」

 いきなり穂乃果に便乗してきたにこが俺の腕に絡んできた。ふん、いくら奢った事ないにことはいえ、ここで折れたら確実に穂乃果やその他面々も便乗してきそうだから絶対奢らないからな。

 

「あざといって何よッ!アイドルってのはそういうもんなのよ!!」

「仮にもアイドルがそれを言うなよ」

 アイドルはあざといって認めちゃったも同然だぞそれ。アイドルの意識高い系(笑)のにこが認めたらもうあれじゃん。確定じゃん。アイドルあざといじゃんやっぱり。

 

 

「そういや結構前の通学途中でさ、たくちゃんの前の学校に1つ下のその、あざとい?後輩がいたんだったよね?何か思い出しちゃった」

「1つ下って、凛達と同い年って事かにゃ?」

「それ以外にないでしょ」

「あー、うん。いたな。……嫌な事思い出させんなよ穂乃果……」

「そこまで嫌なのたくちゃん……」

 

 嫌も何も俺が自分からあまり関わりたくないと思ったくらいなんだぞ。そりゃめんどくさいからに決まってる。何故か俺の周りには厄介事を持ってたり持ってきたりするヤツらが多いんだから余計にな。

 

「どこまでなのよその子……」

「多分にこ以上だな。いや、確実に」

「私より……ですって……!?」

「オイ、それ自分があざといって100%認めた事になるぞ」

 

 うん、にこよりも圧倒的だな。にこのは余裕で計算だってのが分かる。もう透け透けだ。特にスケベな意味ではない。“あいつ”のはもうそういうレベルじゃない。計算なのか素なのかすら曖昧なレベル。

 

「にこっちは確かに分かりやすいもんなあ。その拓哉君の後輩ちゃんって、どのくらいなんかな?」

「んー、結構言いづらいんだけど、にこが分かりやすいあざとさって言うなら、“あいつ”のは()()()()()()()()あざとさだな」

「どういう事、ですか?」

「どう言ったものかねえ……」

 

 花陽の疑問の視線が痛いでござる。同い年なのに“あいつ”と花陽では素直さに雲泥の差があるな。やっぱ同じ後輩でも花陽が特に可愛いと思うのは、“あいつ”との差が大きすぎるからだな。うん、花陽可愛い。

 

「にこみたいな分かりやすいあざとさならまだこっちも対応しやすいんだよ。計算してるってのが分かるぶん、勘違いはしなくて済む。でも“あいつ”の場合はあまりにも露骨すぎて、それが計算なのか素なのか判断がつかないんだ」

「という事は、にこっちはまだまだ未熟って事やな」

「にこちゃんなら仕方ないにゃー」

「ぬわぁんですって~!!」

 

 オイ、話の途中だぞ。そっちから聞いてきたんだからちゃんと聞きなさい。

 

「とりあえず“そいつ”は、どこまでが計算でどこまでが本気なのかが分からない。どこをどう見ても裏が読めない。そんなヤツとめちゃくちゃ関わりたいって思えるか?しかも向こうからやたらと絡んでくるんだぞ。意図が分からん。いつ利用されるかもな」

「うーん……まあ、相手がたっくんなら仕方ないの、かも……?」

「なん……だと……!?」

 

 どこが仕方ないんだ……!?俺なら甘やかすとでも思っているのか。ははっ、ご冗談を。俺はそんなに甘くないんだぞ。……穂乃果達にめっちゃ甘いわ俺。何回アイス奢らされてんだろう。

 

「でもあれだよねっ。こんな話してたらその子がここまで来たりして!」

「穂乃果、おいアホノカ。お前この前の通学時でもそんな事言ってたろ。やめろ、本当にヤツなら来かねないから」

「アホノカって何さ!!何も言い返せないじゃん!!」

 いやそこは頑張って言い返してこいよ。お前今最上級にバカにされてんだぞ。あれか、俺に言われ過ぎてもう慣れちゃったか。それならさすがに少し罪悪感あるから謝ってやるぞ。アイス1本だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 

 

 

「え?今、何か聞こえなかった?」

 絵里の突然の言葉に、全員が振り返る。

 

「何も聞こえなかったけど……」

「わ、私も聞こえました」

「花陽も?」

 絵里の他に花陽も聞こえていたようだった。

 

「何て聞こえたん―――、」

「――――ぱ―――――いっ」

「……聞こえたな」

 何となく、何かが聞こえた。このタイミングで全員が聞こえたらしい。だが、その正体が分からない。なのに、何故だか嫌な予感がした。

 

 

 岡崎拓哉は知っている。

 経験則で知っている。

 

 

 こういう時の俺の嫌な予感は、ほぼ確実に当たるという事を。

 

 

 

「な、なあ、今すぐここから離れな―――、」

「あ、何かあそこから誰か来るよ!」

「え?」

 ことりの指さした方へ視線をやる。

 

 

 誰かが走っているようだが、砂煙が舞っていてまだよく見えない。というか砂煙舞うってどんだけ早いんだよギャグかよ。何かの補正でもかかってんのか。そして、距離が近づいたからか、次に発せられた声はちゃんと聞こえた。

 

 

 

「せんぱァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいッ!!!!」

 

 

 

 

 否。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聞こえてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、な……なっ……!?」

「拓哉の方を見て言ってるようだけど、こっちはこっちで言葉にならない様子ね」

「先輩って言ってるけど、あれってもしかして……拓哉くんの後輩かにゃ?」

 

 

 

 何でヤツがここに……ッ!?

 

 

 

 

「悪いけど俺は先に帰らせてもらうッ!!というか逃げる。あいつから今すぐ逃げる……ッ!!」

「おぉ、たくちゃん早い早い」

「どんだけ嫌なんですか……」

 それはもうボルトも驚きの早さで走りだす。やっぱそこまでスピードは出ない。けど、自分の出来る全速力で逃げる。今あいつに捕まったら何を言われたりされるか分からん。触らぬ神に祟りなしってな!!

 

 

「せえええええええええええんんんんんんんんんんぱあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいッッッ!!!」

「う、うォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?」

 

 何だあいつ!?あんな早かったか!?どんどん距離が詰められ――――、

 

 

「せんぱァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!」

「来るなァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああばごぶふぅッ!?」

 

 後ろから思い切り突撃された事によって、俺はそいつ諸共地面を何メートルか転んだ。普通に痛い。つうか早すぎるだろこいつ……。どこからそんな謎エネルギーが出てくるんだ。

 

「お、あ、いっづ……」

 転んだ痛みを耐えていると、背中から誰かに抱き付かれている感触が分かる。言わずもがなヤツだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛しの後輩、桜井夏美(さくらいなつみ)が会いに来ましたよ、先輩!!」

「来なくていいわ!!何でそんな足早いんだよお前そんなキャラじゃなかっただろ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 桜井夏美。

 こいつが俺があざといだの読めないだとあまり会いたくないだのと言っていた後輩である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず、あたしと再会して何か言う事がありますよね……?」

 お互い道端で倒れ込んだまま、それなのにそれを意に返さず桜井は問うてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから俺も何も気にする事なく、言ってやろう。これでも一応せっかく再会したんだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、桜井が俺に求めてたであろう満面の笑みで言ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「回れ右して家に帰れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直後に。

 後輩からの華麗なグーパンチを貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、いかがでしたでしょうか?


ようやっと岡崎の前の学校の後輩キャラが出てきましたね。
桜井夏美。このキャラがどういう役割で、岡崎とどういう関係で、前の学校で何があったのか。それはまた今後に(笑)


いつもご感想高評価(☆9、☆10)をありがとうございます!!
これからもご感想高評価(☆9、☆10)お待ちしております!!



以下、新作告知です。




『奇跡と軌跡の物語』とは別に、もう1つの物語が始まる。


 それは日常ではなく、どうしようもない悲劇だった。
 岡崎拓哉を恨む何者かによってマインドコントロールされたμ's。それによる使命は、岡崎拓哉を殺せという命令だった。
 しかし、それは純粋な悪意の話ではない。彼女達は自分の愛によって、様々な武器を用いて岡崎を殺そうとする。

 
 彼女達の歪んだ愛(殺し)が、容赦なく岡崎に猛威を振るう。



 何が何だか分からないまま彼女達に命を狙われる岡崎。何度も彼女達に傷付けられ、死に掛けた。



 そして。


 そして。


 そして。



 少年は、再び彼女達と笑い合える日常へ戻るために、拳を握った。



 彼女達を元に戻し、黒幕を探す物語が、始まる。



 『ラブライブ!~悲劇と喜劇の物語~』



 6月―――――始動。





日にちはまだ決めてないよ!
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