どうも、仕事や映画観に行ってたりと忙しくて更新が遅れました。
「たるみすぎです!!」
「みんな起こしてくれないんだもん!!というか隣にいたたくちゃんも起こしてくれなかったし!!ひどいよ!!」
「待て穂乃果、その点に関してはもうあれだ。俺もお前も不毛な争いになるのは目に見えてる。だからここは2人で協力して魔王海未たんを倒そぐばぶるぅッッ!?」
「誰が魔王海未たんですか」
元々降りるはずだった駅に降りたところでみんなが待っていてくれていた。
幸い、次の駅との間が短くてしかも折り返しの電車がすぐに来てくれたのも不幸中の幸いだっただろう。何とか俺と穂乃果は海未達のいる場所へ戻る事ができたのだ。
「ごめんね穂乃果ちゃんたっくん……。忘れ物確認するまで気付かなくて……うぅ……」
「それは、まあ、降りる時に気付けなかった私にも非はありますが……」
おい、なら何故俺に空手チョップをした。怒られる権利は俺と穂乃果にもあるがお前達にもあるだろう。きっと誰かが起こしてくれるかもしれないとどこかで希望を抱いてたんだからなこっちは。起きたら見知らぬおばあさんて、おばあさんてッ!せめてそこは美少女でしょうよ!!
「確かに穂乃果達が降りて来なかった事に海未が気付かなかったのは珍しいわね」
「多分あれでしょ。海未の格好を見れば分かるわ。山が楽しみ過ぎてふっつーに忘れてたんでしょうね」
「なっ、け、決してそのような事はあ、ありません!山は危険ですのでこのような装備は当然の事なのです!!」
「思いっきり動揺してんじゃねえか。お前も浮かれてんだったら俺達が怒られる筋合いはねえ!!」
「そうだそうだー!!」
穂乃果と2人して抗議する。
絵里とにこのおかげで海未の化けの皮が剥がれた。これで形勢逆転である。この機会に今までこてんぱんにされてきた恨みを晴らしてやるぜぐへへ。
「そ、そこまで言うなら私も聞かせてもらいます!穂乃果は想像つきますが、拓哉君は何で電車で寝ていたのですか!」
「ああん!?そりゃ決まってんだろ!!楽しみにしてたマンガを遅くまで読んでたか―――、」
「自業自得じゃないですかーッ!!」
「ぅぎゅぐるえッ!?」
盛大に拳をお見舞いされたでござる。うん、確かにそれを言われてしまえば何も言い返せない。明らかに俺に非があるなこれ。勝ち目ないというか既に空手チョップからの正拳突きでオーバーキルされたまである。
「茶番はここまでにして、そろそろ行くわよ。次のバスが来ちゃうわ」
真姫はもはや俺に興味すらなくなったのかな??ん??
―――――――――――――――――――――
「「「「「「「「おお~!!」」」」」」」」
「いや、これまたでかい別荘だなオイ……」
バスを降りて少し歩く事数分、目的地に到着して別荘まで来たが、相変わらずでかい別荘をお持ちになられてる西木野家は凄いのだと改めて思い知らされる。こんなの持ってる人に永久無償治療保証もらったのか俺……。
「さ、中に入りましょ」
全員が圧巻されている中、1人当然のように落ち着いている真姫は別荘の中に入るよう促す。
山の中とあって、いつもいる外よりも気温は少し低いようだ。だけど長袖でいれば十分に耐えられる温度ではある。
そんなこんなで中へと入る。
「やっぱりピアノあるんだ!」
「ピアノってそんなホイホイ買えるようなものじゃないはずなんだけどな……いや、もう別荘何個もある時点で気にしてはいけないんだろうけど」
「おまけに暖炉もあるよー!」
「凄いにゃー!初めて暖炉見たにゃー!!」
普通この日本で暖炉を見る事自体が珍しいだろう。北の地方とか、精々金持ちの家にあるかどうかくらいじゃなかろうか。だから外から見た時に煙突もあったのか。
「凄いよね~!ここに火を―――、」
「点けないわよ」
「「ええ!」」
「まだそんなに寒くないでしょ。それに、冬になる前に煙突を汚すと、サンタさんが入りにくくなるってパパが言ってたの」
……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ん?
「パパ……?」
「サンタ、さん……?」
おおっと?これはまさかの真姫さん、高校1年でサンタを信じているようです。穂乃果と凛は一瞬ポカンとしているようだが、俺的には真姫よりも真姫にそれを教え込んでいる西木野さんに対してポカンとしている。真面目だけどぶっ飛んでるなあの人。
「素敵!」
「優しいお父さんですね」
「ここの煙突はいつも私が綺麗にしていたの。去年までサンタさんが来てくれなかった事はなかったんだからっ」
やべえ、このお嬢様意外とピュアだぞ。いつもはツンツンしまくってんのにサンタの事になるとぷりっぷりのキュアキュアなピュアお嬢様に変身しておられる。プリキュアかよ。
「証拠に、中見てごらんなさい」
「「ん?」」
穂乃果と凛の側にいた俺も釣られて煙突の中を覗き込む。
そこには、英語でサンタへのメッセージが書かれていた。真姫もそうだが、あの父親も相当溺愛してんだな……。以前まであんなだったけど、何だかんだで真姫を溺愛してんのは本当だったのか……。
「……ぷぷ、サンタ……真姫がサンタ……」
その時だった。
にこが突然今にも吹き出しそうな表情で笑いを堪えているのが分かった。だからだろうか、本能的に、その先を言わせてはならないと俺の直感がそう反応した。
「絵里!花陽!凛!穂乃果!」
それだけで意図を理解してくれたのか、4人の動きは早かった。
「ダメよにこ!」
「痛い痛い!何よ!!」
「ダメだよ!それを言うのは重罪だよ!!」
「そうにゃ!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!!」
事の重大さをにこと真姫以外が認識している。
そうだ。これは真姫のためだ。俺達のように現実を知ってしまった穢れた者達ではなく、ピュアな心を持ち続けている真姫に絶望的な言葉を伝えてはダメだ。いつもはツンツンしているけど、そのギャップがこのピュア真姫ならそのままの方が良いに決まっている。
「だって真姫よ~?あの真姫が~!!」
「にこ、それ以上言おうとしたら……お前のそのツインテールをピクミンのように引っこ抜いてやるからな」
「誰がピクピクニンジンよ!!」
おお、このネタ通じるのか。まあにこは年上だし通じるっちゃ通じるか。ピクミンは神ゲー、異論は認めない。ったく、真姫の別荘が凄いからって嫉妬して真姫のロマン溢れる夢をぶち壊そうとするのは許せんな。
「さあ、一通り中は見終えたし、そろそろ練習しましょ。作詞作曲衣装担当の海未真姫ことり以外のみんなは練習着に着替えてー」
この話が広がってしまう前に絵里の助太刀が入った。よく言ったぞ絵里。これならにこも動かざるを得ない。
「拓哉は私と練習を見るの手伝ってちょうだい。着替えるから外で待っててくれるかしら」
「ああ、分かった」
絵里に言われる通りに外へ出る。
山だから周りは当然木々が溢れていた。けど、別荘の周りは大人数が余裕で動ける空間ができているから問題はないだろう。何かあるとすれば、よく周辺を調べてみれば分かるが、いきなり急斜面になっている箇所が何個かある。
先程この辺りの地図を真姫から渡されたが、この場所以外は割と危険な場所が多いかもしれない。このような急斜面だったり、崖だったりと。崖はまあ遠くに行かない限りが大丈夫だろうが、急斜面は周囲にあるから安心はできない。
もし足が滑ってそこに行ってしまえばそのまま転げ落ちる危険性は高い。休憩中にでもあいつらがここに近づかないように気を付けないとな。まあ男ならまだしも俺以外は女の子しかいないし、好んで危険な場所に行きはしないだろう。……多分。
しばらくすると、着替えを終えたメンバーが外へとやってきた。
「ねえ拓哉、真姫が海未達がいる部屋を拓哉にも把握しておいてほしいみたいだから、一旦真姫達の方へ行ってくれない?」
「そっか、分かった。じゃあ練習始めといていいぞ」
確かに、手伝いとして唯一自由に動ける俺は全員の位置を把握しておいた方がいいだろう。何か手伝う際に海未の部屋はどこだっけとか迷ってる暇はないからな。後ろから絵里の「まずは基礎練習から始めるわよー」という声を聞きながら別荘の中へと入る。
「来たわね。じゃあ私達は曲を作っていきましょ。部屋を案内するわ」
「2階も広いね~」
「そう?まずはこっち」
広いってレベルじゃないと思うんだが……。むしろちょっとしたホテルと言われても普通に納得してしまうかもしれない。
「海未はここで作詞をまとめて。本棚に辞書とか詞の本とか用意しておいたから」
「あ、ありがとうございます……」
「こんないっぱいすぐに用意できるもんなのか……」
合宿行くと決めてたった数日で買ってここに用意しておくって相当だぞ。執事でも雇ってんじゃねえかと疑うまである。もしそうなら1人無料でください。できればメイドでお願いします。
「ことりはこっちで衣装を決めて。ファッションの方もミシンも一通りあるから」
だから何で一通りあるんだよ。品揃え良過ぎか。ここは西木野デパートじゃないぞ。ちなみに俺用のマンガとか置いてないですかね。
「ありがとう、凄いね」
「私は下のピアノのところで曲をいくつか考えてるから、何かあったら来てね」
そう言ってドアを閉めて1階へ降りていく真姫の隣を歩く。
「個別に部屋を用意するってすげえな」
「そうかしら?私からしたら普通の事だけど」
「うん、まあ、凄えんだけどさ」
「何かあるの?」
2人分の部屋を用意して、作詞のための本や衣装のためのミシンを用意しているのは素直に凄いのだが、もっと根本的に思うところがあるのだ。
それは。
「海未とことりは元々穂乃果がいる部屋や誰かがいるところで基本今まで作業してきたんだよ。だからそれに慣れててっていうか、ずっと騒がしいとこで作業をしてたあいつらが今ああやって1人しかいない部屋で逆に集中できんのかなって」
そう、4人で穂乃果の部屋にいる時に大体2人は作業していた。なんやかんやで騒がしい方が集中できるみたいな感じになってなければいいんだけど……。
「もし何かあったら私のとこに来るでしょ。拓哉ももう絵里達のところに戻っていいわよ。人手がいりそうになったら呼ぶからそれだけ頭に入れておいて」
「ん、まあ、それもそうか。了解。んじゃまたあとでな」
真姫は元々1人で何かをするのが慣れているから心配はなさそうだな。
さて、それじゃ絵里達のところへ戻るか。
「おい、何でこいつは寝てるんだ」
「休憩してたらいつのまにか心地良くなって寝ちゃったみたいね」
「オーケー、俺がたたき起こしてやる。山の中で清々しい痛みと共に目覚めるがいい」
「言葉がどんどん恐ろしくなっとるよ」
練習場に戻ったら休憩中だったらしい。それはいいが、穂乃果のヤツが思い切り爆睡していた。このやろう、電車の中でも爆睡してたのにどんだけ寝れば気が済むんだ羨ましいぞ俺も寝かせろ。
「やめなさい。普通に起こすわよ。拓哉は穂乃果に容赦がなさすぎるのよ。幼馴染なのは分かるけど、幼馴染ってそんなものなの?」
「知らん。他の幼馴染事情は詳しくないんだ。とりあえずこいつはこういうとこがあるから俺や海未がしっかりして注意せねばならんのだ」
「注意の域を超えてると思う時があるのは気のせいかしら……」
もちろん海未やことりにはそんなキツイ事はしない。海未は絶対にやり返されるというか、しっかりしていない時がまずないからな。ことりに至ってはもう天使だからむしろ見てるだけで癒される。穂乃果はあほのかだから構わない、以上。
「……ん?何してんだにこと凛のやつ」
絵里が穂乃果を揺さぶってるのを横目に、少し離れたところでにこと凛が手を繋いで何かをやってる。……いや、にこがもう片方の手を伸ばしてるって事は、何かを取ろうとしてる、のか?
いや待て。そもそもだ。
あそこって確かさっき俺が確認した中で1番急斜面だった場所ではないか?何かあってからでは遅いと、そう思って誰かがあそこに近づかないように気を付けようと思っていた場所ではないか?
だとしたら、マズイ。
最初にそう思った。凛が支えてるらしいが、支えている方の手がプルプルと震えている。あれはもう限界に近いはずだ。もしあの手が離されたら、間違いなく2人は急斜面へと体が放り出される。それだけは阻止しないとマズイ。
だから2人の元へ駆け寄ろうとした。
その選択が遅かった。
「もうダメにゃーッ!!」
「えええええええええええええッ!?」
凛とにこの体が急斜面へと放り出された。
「なッ……くっそ!!」
凛の手が離れた瞬間にダッシュしたはいいが、俺の手は2人に届かなかった。だったら、なるようになれだ。行くしかない。
「ちょ、拓哉!?」
「お前らはそこで待ってろ!!絶対に来んじゃねえぞッ!!」
迷わず急斜面へと飛び込む。
転んだらケガは免れないだろう。ならば、転ばなければいいだけの話でもある。
「この坂いつまで続くのよー!!」
「止まらないにゃー!!」
「何気に無事そうだなあいつら……ッ」
普段の練習が功を奏したのかもしれない。いきなりのダイブにもバランスを崩さずに転んではいないみたいだ。仲良く並んで走ってやがる。倒れてる倒木をまるでハードルを飛ぶようにジャンプしながら躱している。いやすげえなあいつら。
「「誰か止めてーッ!!」
2人の声が轟く。
確かにこの斜面を半ば強引に走らされて急に止まれるはずもない。仕方ない、何とか追いついて俺が2人の手を掴んで引っ張れば遠心力の要領で何とかなるかもしれない。
……ん?ちょっと待て。そういやこの斜面を1番危険視していた理由は何だった?真姫に渡された地図を思い出してみる。
確かこの先は……崖だったような気がする。
「ッ……!!冗談じゃねえぞ!!」
スピードを極限まで上げる。このまま間に合わなければにこと凛は間違いなく崖から落下だ。それだけは絶対に止めなくちゃいけない。2人のためなら俺は落ちても構わない。そんなに高い崖じゃなかったはずだから腕か足の骨折で済むはずだ。
「凛ッ!!にこおッ!!」
「うわっ、拓哉!?来てたの!?」
「た、助けてたくや君~!!」
「2人共俺の手に掴まれーッ!!」
何とか手が届く距離になって手を伸ばす。にこも凛も走りながらも俺の手を上手く掴んでくれた。
と、そこで視線の先にある光景を目にしてしまった。もう崖は直前のとこまで来ていた。くっそ、なるようになりやがれ!!
「お、お……ォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッ!!!」
「うぅわ!?」
「わー!?」
力のある限りを使って凛とにこを後ろに引っ張って動きを止まらせる。
要は凛とにこは助かったと思ってくれればいい。
そして俺はと言えば。
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………あ」
体が宙に浮いているのを感じて取れた。
まるで俺だけ周囲と時間がズレていて、俺1人だけスローモーションになっているかのような感覚だった。
下を見れば、そこにあったのは川。
なるほど、つまりこれはあれだ。アメコミのアニメでよくある高所からの落下の際、落ちる瞬間だけ時間が止まるアレみたいなものだろう。
そして最後には、お決まりのそれだった。
「うわァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」
暫しのあいだ忘れていた重力の知覚が元に戻り、俺は凄まじい重力のGに逆らえるはずもなく川へと垂直落下した。
さて、いかがでしたでしょうか?
山は危険……山は危険……。
皆さんも山に行く際は気を付けましょう。
いつもご感想高評価ありがとうございます!!
では、新たに高評価を入れてくださった、
くりとしさん、夏白菊さん
計2名の方からいただきました。ありがとうございます!!
これからもご感想高評価お待ちしております!!
艦これ映画観てきました。良かった……。艦これ二次に興味が出てきた。また観たいです。
ちなみに君の名は。は3回観ました。多い。