これからもお気軽に感想をお寄せいただけましたら、とても嬉しいです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
あとがきで主人公の概要をまとめたんですけど、ものすごい俺つえーになってしまった。
それと週末は更新なしです。書き溜めさせてください。ごめんなさい。
次に意識を取り戻した時、俺は泥の上に膝をついていた。
「……ふむ」
誰に聞かせるでもなく、間の抜けた声が出た。
背後には崩れかけた小さな社。屋根から落ちた木片が、雪解けの土に半ば埋まっている。風は冷たいのに、手足は寒さを感じない。
試しに息を吸う。胸は動くが、呼吸を止めても苦しくなかった。人間の身体を動かしていた頃とは、まるで仕組みが違う。
俺は死んだ。
そこだけは、はっきりしている。衰えていく鼓動も、平三の手の温もりも覚えている。それなのに今、若い頃の身体がある。指の節に刻まれていた皺は消え、膝にも痛みがない。
人の器に似せて魔力を編んだ身体。そんな説明が、どこからともなく頭に浮かんだ。生前は知らなかった言葉まで、その意味が分かる。
聖杯戦争。サーヴァント。マスター。
どうやらこの世界は死者にとことん優しくないらしい。生前の功績を見込まれた者は英霊として記録され、必要になればその写しが呼び出される。
俺の生涯が評価されたのは大変恐縮だが、死んでなお働かされるとは、まったく都合のいい仕組みだ。しかもそれが世界単位の律だというのだから、文句のいき場もない。世知辛いことである。
つまるところ、今の俺は魔力で編まれた仮初めの身体を得た影法師。サーヴァントと呼ばれる存在だった。
だが、辺りに召喚者らしき人影はなかった。社の奥にあるのは割れた祠と、雨に流された古い供物だけである。
代わりに、胸の奥を引かれるような感覚があった。哀傷と悲鳴。傷ついた土地そのものが、土の下から助けを求めているようだった。
足元からは、かすかな熱が身体の奥へ流れ込んでくる。この身を保つ魔力も、土地から与えられているのだろうか。
「越後の土が俺を呼んだのかね」
確証はない。ただ、人の歴史がどこかで歪み、この土地に無理な重みをかけている。そんな気配だけは感じられた。
特異点などという言葉が頭に浮かぶが、歪みの元がどこにあるのかは、てんで分からない。
山の向こうに春日山城が見える。城下へ続く道の人影はまばらだ。その一方で、見張りの火はやけに多い。
こうした物騒な眺めは、嫌になるほど懐かしかった。晩年こそ平穏だったが、越後はもともと内乱の絶えない国だ。
父や俺が当主だった頃には、狼煙が上がり、見張りの篝火が焚かれるのも日常だった。今は天文年間か、それ以前か。城や道の様子を見る限り、俺が生きていた時代からそう離れてはいないだろう。
気がかりなのは、山頂に薄く滞る黒い気配だった。あれは火の煙とは違う。
あの手の魔的な気配は、生前にも何度か見た。たいていは、多くの人が死んだ戦場跡や、疫病に蝕まれた土地に現れるものだ。さて、それが春日山に漂っているとなると、甚だ不可解である。
「それにしても越後か」
現界とともに流れ込んだ知識には、俺の死後のことまで含まれていた。平三は越後をうまくまとめ、弥六郎も成人して上杉晴虎を名乗り、立派に戦国の世を駆け抜けたらしい。
ただ、三郎はやはり本能寺で死んだという。そう簡単に歴史は覆らない、ということか。首謀者は十兵衛くんということになっているが、どうにも俺には信じられない。そうだな、たとえば猿殿が裏で糸を引いていたと言われたら、なんとなく納得してしまうが。
もっとも、与えられた知識は断片ばかりだ。目の前の越後が何年の、どんな歴史をたどった土地なのかまでは分からない。そこまで都合よくはできていないらしい。
思い返したいことは山ほどあった。けれど、懐かしむには今の越後はあまりに活気がない。耳を澄ませば、民の悲鳴が聞こえてきそうなほどに。
その時、社の裏手を通りがかった男たちの声がした。
「御屋形様の兵が、また東の村へ行ったそうだ」
「御舎弟様がおられた頃なら、こんなことには……」
「声を落とせ。その名を出しただけでも捕まるぞ」
御舎弟様。
思わず身を起こし、足元の木片を踏んだ。男たちはこちらを見たが、薄暗がりにいる俺には気づかず、足早に去っていった。
嫌な予感がした。
今、越後を治めているのは誰だ。御舎弟とは平三のことか。なら、なぜあいつの名を口にしてはならない。問いばかりが増えていく。
社に都合よく落ちていた古い笠を拾い、深くかぶって顔を隠した。さらに手拭いで口元を覆う。現界した時から身につけていた衣服は、町へ入るには小綺麗すぎる。袖を土で汚し、腰の刀には布を巻いた。
生前、お忍びで城下に遊びに出かけることがあったから、実はこういう小細工が得意だったりする。三郎や猿殿あたりには一目でばれそうだが、あいつらを基準にしてはいけない。町人をごまかすことができれば十分である。
城下へ入る手前で、見覚えのある二股道に出た。一方は人の通る街道。もう一方は田の間を縫う小道で、昔は市場への近道によく使った。街道を外れれば関所も避けられると踏み、俺は田の小道に足を向けた。
ところが、その先にも柵があった。木杭を打ち並べただけの粗末なものだが、脇には兵が二人立っている。荷を背負った農夫は札を差し出し、通してもらうまでずいぶん待たされていた。
「こんな小道を通るにも、通行証が要るのか」
俺が越後を治めていた頃は、こんなことはしなかった。畑へ向かう道までいちいち改めていては、民はまともに働けまい。もっとも、戦の最中なら話は別なのだが。
とはいえ、徴税や警備が目的だとしても、こんな小道にまで兵を置くのは費用に見合わない。政というより、人の出入りを恐れる者のやり方だ。そう考えると、父のやり口に似ている。ただそれにしても過剰な気がする。
通行証を持たない俺は、柵を避けて斜面へ回った。杉の根を足場にして登ると、生前なら一息ついたはずの場所を、あっさり越えてしまう。
身体が軽い。軽すぎて、かえって気味が悪いほどだった。
木の間から市が見えた。
かつて往来の絶えなかった通りでは、店の半分ほどが戸を閉ざしていた。軒先に吊るされた干し魚は心なしか小さく、米屋の升にも白い粒がわずかに残るばかり。代わりに、兵の姿だけはどこにでもある。
通りの向こうから兵が来ると、店先で話していた者たちが口をつぐんだ。兵が行き過ぎても、すぐには誰も話し始めなかった。
俺は笠を深くかぶり直し、市の端へ紛れ込んだ。
最初に入ったのは茶屋だった。客の入りは悪い。店番の老婆が湯を注ぐ手にも、力がないように見えた。
「旅の人かい」
「ああ。しばらくぶりに越後へ戻った」
「なら、昔の値で払っちゃいけないよ。今は湯を沸かす薪すら高いからね」
代金を持っていないことに気づいたのは、その時だった。
サーヴァントとして呼ぶなら、せめて路銀くらい添えてほしい。土地が俺を呼んだというのも、やはり気のせいかもしれない。地元なら掛けにしてくれると思ったのだろうか。無茶言うなって。
結局、店の裏に積まれた薪を割ることで、茶一杯分の代金にしてもらった。サーヴァントとなった肉体のせいか、手加減を誤れば薪だけでなく台まで割りそうで、妙な緊張を強いられた。
でも俺のクラスは
俺の働きぶりを見て、老婆は少し機嫌を良くしたらしい。
「腕が立つなら、城で飯も食えるだろうに」
「それはあまり気が進まないな」
「賢いことだよ」
店の奥にいた子供が顔を上げた。片手に握っていた団子を一つ、俺へ差し出してくる。
「俺はいい。自分で食べなさい」
「でも、薪をたくさん割ってくれたよ」
この身体になってから、腹は減らない。エネルギー供給としてまったく意味がないとは言わないが、そも食事による栄養摂取は効率が悪い。
なにより薪割りは、元々無賃で飲んでしまったお茶への対価である。だが、子供の親切を無下にもしたくなかった。老婆に目を向けると、「受け取ってやんな」とそっぽを向かれた。君たち善良過ぎない?
仕方ないので、礼を言って団子を受け取る。ふと目に入った子供の命の線は、年頃に似合わず太かった。痩せた頬を見れば、あまり満足に食えていないことも分かる。
だというのに、自らの食い扶持を他者に譲っている。優しい子である。いっそ、悲しくなるほどに。
「その子は柿崎湊から身を寄せてきた孫でね」
「親御さんは?」
「死んだよ」
「……お悔やみ申し上げる」
「いいさ。別に珍しいことでもない」
老婆は、諦めることに慣れてしまったような顔で言った。戦国時代は、やはりクソだ。
差し出された団子を口に運ぶ。素朴で味わい深い。この礼にできることは、何かないものか。
いや、だがその前に。まずはこの越後の現状を知らねばならない。
「妙なことを聞くが、今年の年号と年はなんだったか」
「年号も忘れたのかい? 天分の十五年だよ」
マジかよ。じゃあ御屋形様って俺のことじゃん。あと数年もしたら平三に家督を譲る時期だ。
「……御屋形様のことも聞いていいだろうか。治世がずいぶん変わったようだが」
老婆の手が止まった。店の外を見て、人の気配がないことを確かめてから声を落とす。
「あまり知らないほうがいい」
「俺も昔はここに住んでいた。知るべきことは知っておきたい」
「昔のことなら忘れな。栃尾の若殿様が亡くなってから、この国は変わったんだから」
茶碗に口をつけかけたまま、動けなくなった。
「栃尾の若殿と言えば、御屋形様の御舎弟という、あの?」
「そうさ」
「……御舎弟様は、病で?」
「まさか」
老婆はそれきり黙り、視線だけを春日山へ向けた。病ではないらしい。あの城で何かがあったのだろう。
町のあちこちで兵が目を光らせている。まして社の裏手では、御舎弟の名を出すだけで捕まると聞いたばかりだ。これ以上問い詰めれば、この店まで何某かの目をつけられかねない。
俺は茶碗を置き、教えてくれたことだけで十分だと告げた。
「世話になった」
十分なはずがなかった。
店を出て、笠の陰に顔を隠したまま歩いた。兵の姿を避けて川沿いへ折れ、人声が遠のいたところで、ようやく足を緩める。
――平三が死んだ。
その言葉が胸の奥に重く沈む。俺を看取った平三ではない。死んだのは、あくまでこの世界の長尾景虎だ。頭では分かっている。
パラレルワールド。マルチバース。並行世界。
召喚の折、頭にインストールされた知識の一つだ。もっとも、現代日本人だった前世でサブカルに親しんでいた俺には、馴染みのある概念だった。
つまるところ、世界は一つきりではない。合わせ鏡に映る像のように、似て非なる世界がどこまでも連なっている。大筋こそ似通っていても、そこに刻まれる歴史は全く同一ではない。
俺が生きた戦国と、今いるこの戦国も、そういう関係にある。
思えば、最も古い記憶にある現代日本も、無数にある世界の一つだったのかもしれない。時代を渡り、身体まで変えて生きてきたくせに、世界だけは一つだと信じていた。妙な思い込みもあったものだ。
だから、俺と共に生き妻となった平三と、この世界で命を落とした長尾平三景虎は別人なのだ。それぞれの人生を歩んだ二人を、俺の感傷で一人にしてしまうのは、どちらにも失礼だろう。
それでも、あの子がこの国のどこにもいないという事実を、理屈だけで飲み込めるはずがなかった。気づけば、笠の縁を握りしめていた。
何が起きたのか、今すぐにでも確かめたい。
胸の奥からせり上がる衝動を、どうにか押しとどめる。
この足で春日山城へ駆け上がり、御屋形様とやらを問い質すわけにはいかない。事を急いでも平三は戻らないのだから。
そうでなくとも民がどれほど怯えているかは、今見てきたばかりだ。仮に俺がしくじったのなら、民が更なる苦境に陥ることは想像に難くない。ならば報いを求めるにしても、それは今ではないだろう。
深く息を吸い、ゆっくり吐いた。すると頭に上った熱が少しずつ引いていく。
そうだ。冷静になれ。今までと同じだ。なすべきことをなせ。俺が人より多少優れているところがあるとすれば、本当にそれだけなのだから。
まず、勝利条件を定めろ。
俺がサーヴァントとして呼ばれたのは、おそらく特異点とやらを解消するためだ。ならば、その求めには応えねばならない。何より、越後を歪んだままにはしておけない。それは誰に命じられるまでもない、俺自身の望みでもある。
では、敵は誰だ。考えるまでもない。この歪みを生み出した者――
村へ向かう兵。口にすることさえ禁じられた御舎弟、すなわち平三の名。老婆が城へ向けた目。そして、春日山に滞る黒い気配。
いずれも、あの城へとつながっている。
「……となれば、目標は俺自身の排除か。頭が痛くなるな」
この世界の御屋形様は、十中八九、
だが、俺が平三を殺すなどありえない。もし御屋形様が何らかの形であの子の死に関わっているのなら、そこにいるのは同じ名を持ちながら俺とは違う道を歩んだ男ということになる。
それに、天文十五年となれば――
「――子と妻を同時に亡くして、気でも触れたか?」
それなら、この国の有様にも説明はつく。だが、どうにも腑に落ちない。
猿千代と妻を失った時、俺もひどく打ちひしがれた。ただ、二人を失った悲しみだけではなかった。死を悼むより先に、次の当主を誰にするか考えている自分に気づいてしまったのだ。
妻と子を失ってなお、家の行く末を量っている。いつの間にか武家の理が骨の髄まで染みついていた自分に、ずいぶん失望したものだ。
結局、俺は平三を次の当主に据えた。だが、この世界ではそうならなかった。それどころか、あの子を自ら手にかけたのだとしたら、晴景は長尾家の未来まで断ってしまったことになる。
俺一人で越後をまとめるのは難しい。どうにか国を治めきったとして、その先に待つ武田や北条を退けられるか。答えは否だ。俺の知る越後が一つにまとまっていたのは、平三――長尾景虎という稀代の英雄がいたからこそである。
俺が当主の座に居座っていれば、信濃は武田の手に落ち、上野も北条に呑まれただろう。できることといえば、御家断絶をどうにか食い止めるくらいか。いや、それさえ果たせるか怪しいものだ。次代には負債を山ほど残し、俺は心労の末に早死にする。うん、嫌になるほど想像がつく。
しかも、目の前の越後は、その未来さえ危うい有様だった。春日山の城下ですら活気が乏しく、米も十分に行き渡っていない。政と軍事の要である府中がこれでは、他の町はどうなっていることやら。
「そこまで自分が愚かだとは、思いたくないところだが」
こちらにはまだ見えていない何かがあるのか。それとも、先のことなど考えてもいないのか。
そもそも、晴景を倒せば歪みまで消えるとは限らない。城を覆うあの気配が何なのかも、確かめる必要がある。
いずれにせよ、まずは探らねばならない。御屋形様が何を企み、どれほどの兵を抱えているのか。そして、この越後に俺の味方となってくれる者がいるのかを。
真名:長尾晴景
クラス:キャスター
・ステータス
筋力:D 耐久:C 敏捷:C 魔力:D 幸運:A++ 宝具:B
・クラススキル
陣地作成:D
陣地を構築する技能。ただ越後の武将全体にいえることだが、基本的に守るより攻めたほうが本領を発揮できる。あとどちらかというと野戦のほうが得意。ちょっと知恵者っぽい雰囲気を醸し出してるけど、基本は越後人。
道具作成(偽):C
火薬や銃などの製造を可能とする。魔術師ではないため、マジックアイテムの作成は不可能。
宝在心:B+
上杉謙信が掲げた十六ヶ条の家訓。将たるものかくあるべしという戒め。晴景の場合、軍神・上杉謙信の加護としても機能する。スキルによる強化状態の維持、即死耐性の付与、幸運ステータスの大アップ。宝は心に在る。
・スキル
戦略:C
外交や兵站など大局的に物事をとらえ、戦う前に勝利を決する力。後世では武を司る謙信対して、政を司る晴景といった具合で対比されることが多いが、実は戦上手だったりする。ただ、いざ戦うとなれば、その時に執る戦術は基本的に脳筋である。
一意専心:B
ひとつの物事に没頭し超人的な集中力を見せる。特に火薬とレコードを作成していた時の晴景は、家臣が気に病むほどの集中力を見せていた。
他にも幼年期は剣術や槍術、弓術、軍略などの武学の習熟に励んだほか、詩や茶道、蹴鞠などの芸事も積極的に学んだという。
直死の魔眼(偽):E
たった一度の死で発現した、天文学的な確率の
ただあくまでも
・概要
越後の軍神、その兄として知られる人物。上杉版長秀と称されることも。
父・長尾為景の跡を継いで越後守護代となり、景虎(上杉謙信)へ家督を譲った後も、政務と外交を支え続けた。景虎の華々しい武名に比べれば目立ちにくいが、国衆の利害を調整し、上杉家の勢力を安定した領国支配へ結びつけた功績は大きい。とりわけ、景虎への家督継承に際して生じた、大熊朝秀をはじめとする守護上杉家系の旧臣と、直江・本庄ら長尾氏系の家臣との軋轢を和らげ、家中の融和を図った点は特筆される。その評価の中心は、人をまとめ、国を維持する統治者としての手腕にある。
父譲りの現実感覚と権謀術数を備えながら、国衆との融和や守護の権威を重視した。朝廷・幕府への働きかけにも巧みで、名分と人脈を政治力へ転じている。一方、必要とあれば武力行使も辞さず、柿崎景家を自らの武勇で味方につけ、三分一原の勝利に貢献した逸話は有名である。景虎の留守には信濃へ逆侵攻して武田軍の撤退を促すなど、戦場でも確かな実績を残している。
内政では治水・開墾や街道、国防の整備に力を注ぎ、次代へ続く国づくりを進めた。また、独自に硝石・黒色火薬の生産を実用化した記録があり、技術面でも特筆すべき足跡を残す。外交では織田信長の将来性を見抜き、黒色火薬の製法を織田信長へ伝えた他、自らが毎年三か月岐阜へ赴く条件を受け入れて同盟を成立させた。また景虎個人の武威に依存する危うさを認識し、自身の死後まで見据えて上杉家の存続を図った点に、その先見性が表れている。
人物としては家族と民の平穏を望む温厚な人物とされる。景虎にとっては政治上の支柱であると同時に、「義」を説き、刀剣の稽古をほどこした文武の師でもある。天下への野心より領国と家の安泰を選び、軍神の力を人々の暮らしを守る力へ導いたことこそ、晴景の生涯を特徴づける最大の功績といえよう。
ただし、その生涯には、技術史や上杉家の家族関係をめぐる未解明の問題も多い。景虎が私室に安置していたとされる「声を発する神具」は、晴景が越後の職人とともに製作した、蓄音機に類する非常に単純な構造の装置であった可能性が指摘されている。これに用いられたとされる蝋製の円盤は数十枚に及び、一部は現存するものの、保存状態が悪く、その構造や用途の解明は長らく困難であった。近年は残存する装置と円盤の調査に基づく復元研究が進み、晴景と推定される人物が景虎の身を案じ、食事や休息を促す音声の再生も報告されている。声の主の比定にはなお検討の余地があるが、戦国期の音声記録であるとすれば、技術史上の意義に加え、当時の言語や人物間の関係を知るうえでも極めて貴重な資料となる。
また、『信長公記』には、織田家との同盟締結に際し、晴景が岐阜へ持参した神具から景虎の声が流れ、列席した家臣たちを驚かせたという記事がある。この記述は、同種の装置が私的な用途にとどまらず、外交の場でも用いられた可能性を示している。軍神の神通力として語られてきた逸話を、晴景の技術的知識と政治的演出の両面から捉え直す手がかりとして注目される。
私生活では、出自不詳の「虎御前」を継室に迎え、男子・弥六郎、のちの上杉晴虎をもうけた。虎御前を迎えた時期は、景虎が修行を理由に寺院へ籠もり、晴景が当主代理として政務を担った時期と重なる。両者の子が景虎の養子となり、後継に据えられたことは、虎御前の存在が上杉家の家督継承に深く関わっていたことを示す。一方、その出自や婚姻の経緯には不明な点が残り、景虎の動静との符合も含め、上杉家の継承政策と私生活を検討するうえで重要な論点となっている。ぶっちゃけて言えば、上杉謙信女性説が根強い原因である。
なお、大河ドラマなどの創作では、柔和な笑顔の裏で謀略を巡らせ、怪しげな実験に精を出す「腹黒い政治家兼マッドサイエンティスト」として描かれることが多い。卓越した調整能力と不可解な技術的功績を併せ持つがゆえの人物像ではあるが、本人がこれらを視聴する機会に恵まれたなら、腹を抱えて大笑いしたことであろう。
キャスターとしての性能は、はっきり言って渋い。ほかにもセイバー、アーチャー、バーサーカー、ルーラーの適性を有するが、キャスターはその中で最も渋いクラスである。
基礎ステータスはお世辞にも高いとは言えず、本人の戦い方も根っこは武将のそれであるため、クラスとの噛み合わせがよろしくない。結果、とあるケルトの大英雄よろしく、キャスターのくせに自分から近接戦を仕掛けにいく。あほ。でもあのドルイドはめっちゃルーン魔術が巧みだし、それと比べるとやや考えなしである。
どっち?
-
お虎さん
-
ノッブ
-
どっちも!