~コイハル~ 恋は遙かに綺羅星のごとく   作:燈夜4649

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三人で

●皇紀弐千六百八拾年 拾壱月 弐日 月曜日

国立大江戸特別芸能高等専門学校 メインストリート

 

 うう。

 

 ううううう。視線、視線、視線がオレに思いっきり突き刺さっている!! 間違いない。オレを見ているんだ。オレを。オレに違いない。どいつもこいつもオレを、そしてオレの連れを見ている! それも刺すような視線でだ!

 

 オレはメインストリートを歩いていた。それは良い。琉璃夏(るりか)が隣にいいる。うん。いつもの事だ。問題ない。ゴスロリ衣装のままだ。限りなく目立っているが、琉璃夏(るりか)はいつも注目の的だから、これもいつもとあまり変わらない。オレを挟んで琉璃夏と反対側に八千代(やちよ)がいる。まあ、最近では良くあることだ。これもあまり問題ない。こいつもやはりゴスロリ衣装のまま。凄く目立っている。で、肝心のオレの服装なんだけど。オレもその、あの……ゴスロリ衣装……。ど、どうして……何故こんな目に……泣くぞ……。

 

 あああああ。見知らぬ勇者たちから誘われること数度。悪の手先に強制されたと思しき苛められっ子から誘いを受けること数回。そして常に───カメラ小僧たちがオレたち三人を取り巻いていた。頼む、オレに心落ち着く瞬間をくれ。

 

 

 

「ねーねー。ツインテちゃん。もっと笑ってよ? ね?」

 

 

 

 銀杏並木手前のダーツの模擬店に差し掛かったときだ。カメラ小僧のうちの一人である勇者が何か言って来た。ツインテとは琉璃夏を指しての事だろう。命知らずな奴もいたものだ。

 

 

 

「なんだ貴様、馴れ馴れしいな。そのようなあだ名を勝手につけるな、このクソ虫」

 

 

 

 見事なツインテールが風に舞う。顔と声に似合わぬ台詞。そして魂の炎を消し飛ばそうかと言うほどの冷え切った視線。それなりに衝撃的だったのだろう。その男は硬直した。

 

 

 

「ね、ねえ、黒髪ロングのお姉さん、君なら笑ってくれるよね?」

 

 

 

 別の勇者が今度は八千代(やちよ)に声をかけた。

 

 

 

「すまないが道を開けてもらえないだろうか。自分たちも暇ではないのだ。申し訳ないが、そなた達には付き合えぬ。ああ、もしやそなた達、自分がここで笑えば道を開けてくれるのか───?」

「八千代、このバカどもに餌を与えるな。つけ上がるだけだ。上手い事いわれて文字通り丸裸にされるぞ。止めておけ」

 

 

 

 琉璃夏にそう言われて八千代は口をつぐむ。

 勇者は諦めていなかった。そう。オレにも当然矛先は向くわけで……。

 

 

 

「ねぇねぇ、ショートの君、君なんてむっちゃ好みなんだけど、君なら笑ってくれるよね? ああ、それそれ! その困ってる顔なんてめっちゃ可愛いんだけど!」

 

 

 

 ……。

 ああ、眩暈がする。お願いしますお願いします。これが夢なら早く覚めてください

 琉璃夏がいきなり笑い出した。あ。八千代も笑った! なんだよ! あの八千代まで! 酷いよ!!

 

 

 

「随分な人気じゃないか。カナタ貴様、要望に応えてやったらどうだ? この上なく可愛い笑顔になるかも知れんぞ? なぁ、八千代」

 

 

 

 琉璃夏の邪悪な笑みが見えた。おい、どうしてオレにだけ態度が違う!? いや、それどころか勇者の片棒を担ぐようなマネを!?

 

 

 

「そんな可愛らしい笑顔なら、自分もぜひ一目拝見したい! 是非見せてくれ!」

 

 

 

 おい! 八千代さん!

 

 

 

「あはははは!」

「うふふ」

「冗談じゃないって!」

 

 

 

 琉璃夏が噴出した。釣られて八千代も。オレは苦笑いしたよ。

 二週間後。オレたちの写真がゴスロリ三人娘として地方紙の表紙を飾ることになる───それはまた別の話───。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

●皇紀弐千六百八拾年 拾壱月 弐日 月曜日

国立大江戸特別芸能高等専門学校 体育館 即売会メイン会場

 

 そこは熱気に包まれている。会場には机が島状に並べられ、色とりどりの書物や電子媒体を中心に取引されていた。人、人、人。そう。会場に限りがある分、有明(ありあけ)漫画祭りの数倍は恐ろしいことになっている。今年で三回目。年々その規模は派手に大規模になりつつある。さすが国策。学生のヤル気をあの手この手でサポートする、国の本気の程が伺えた。

 

 島のひとつで八千代(やちよ)が何か買っていた。あ、これ知ってる。『暴れん坊大将軍』だ。将軍様が自ら機関銃を持って、強大な悪を数名の部下と共に打ち倒して行く現代劇だ。毎回の派手なアクションが売り物で、カーチェイスの最後では必ず車が崖から転がり落ちては火を噴くし、逃げる悪党に対してヘリからの銃撃シーンがあったりする。部下の殉職シーンなんて涙なくては語れない。そう言ったお涙ちょうだい的な筋立ての回も多い。そんな国民的娯楽映像作品だ。あの作品、音楽もかなり秀逸で、滅茶苦茶カッコいいんだ。ハードボイルドって、きっとこの作品のような物を言うんだね。

 

 

 

「ねえ八千代(やちよ)、それ好きなの? 『暴れん坊大将軍』」

 

 

 

 オレがそういうと、八千代の顔がぱぁっと輝いた。それだけでわかる、八千代の奴、本当にこの作品が好きなんだな。でも、これって女の子向けの作品か?

 

 

 

「もちろんだ! 自分の理想だ! 憧れる! 常にかくありたいものだ!」

 

 

 

 う。なんだかアブナイ発言。

 

 

 

「カナタはこの作品のことをどう思う? 自分は最高だと思う! これでこそ自分達、帝国が誇るエンターテイメントであると胸を張って諸外国に自慢できる。娯楽作品とはこのようなお約束の繰り返しであるべきなのだ! お約束を繰り返すことで、客に安心感を与える。これは大事だと思う。だが、いつも同じパターンではつまらない。そこで時々尺と構成を変えた特別版を挟む。これでマンネリも解消だ!」

「うん。オレも八千代の意見に賛成かな。その作品はよく出来ているよね。八千代が今言ったお約束も外してないし」

「そうとも!」

 

 

 

 八千代はいつも以上にニコニコだった。まあ、とっても好きなんだということだけは分ったよ。

 ん? 琉璃夏(るりか)の奴どこに───あ。『コイハル』のコーナーだ……。なんだかんだ言っても、根強い人気があるよね、『コイハル』は。

 それは人だかりの真ん中。琉璃夏(るりか)がいつもの様に喚いていた。

 

 

 

「やかましい! バカか貴様は! この作品は元々は美少女ゲームが原作だろうが! 萌え萌えでハーレムであるのはお約束で、ハートフルな物語であるのは物語の構造上当たり前だ! 『コイハル』を名乗る以上、むしろそうである必要があるのだ! 貴様、脳味噌にミドリムシでも湧いているとしか思えんな。一体貴様はこれまでどれだけ浅い人生を送ってきたのだ!? 貴様の言う評価すべき点の全てが原作の作品の根底に流れていた『私だけを愛してよ』というテーマを強調する為のギミックに過ぎんわ! 貴様本当にこの作品をプレイしたのか? もしそうだとしたら、貴様の脳味噌の中身を疑わざる負えん! 出直して来い!」

 

 

 

 『コイハル』の派生作品には時代劇や魔法の世界もあるよね。その中の一つだけ取り出して、『これがコイハルだ』なんて語られても困る。琉璃夏(るりか)が怒って当然だよ。だって、琉璃夏は『コイハル』の原作者であるオレの父さんの盲目的支持者だもの。あの人、地雷を踏んだよね……。

 

 

 

 別の島で、またも八千代が何か買ってきた。あ。これも知ってる。『影13───殺しのライセンスを持つ男』だ。世界をまたに駆ける日本の秘密国際エージェントの話だよね。幕府から秘密裏に派遣された忍者が国際テロリストや麻薬組織を相手に表に裏に大活躍する話だよ。これも滅茶苦茶カッコいいよね。やっぱりハードボイルド系だ。八千代って、この手の作品が好きなのかな?

 

 

 

「ねえ、八千代ってはハードボイルド系のカッコいいのが好きなの?」

 

 

 

 八千代の顔がぱっと輝く。うわ、すっごく眩しい笑顔。目なんかキラキラ輝いてるし!

 

 

 

「な、何故わかった! 彼らが必死に任務をこなす魂の輝きが涙を誘うのだ。この作品を見ていると、自分は心が洗われる」

 

 

 

 なんだかずれている様な……よくわからない。

 

 

 

「何かに必死になっている姿に感動するのだ。今回も、そなたと琉璃夏が必死になって作品を創る姿には随分と胸を打たれたものだぞ? 本当だとも! そなた達はカッコいい。本当にそうだとも! 自分が言うのだ、間違いないとも!」

 

 

 

 随分と勘違いが入ってそうだけど、何か照れるな。まあ、嬉しいから良いけど。ん? そういえば琉璃夏はどうなった? あれ? あのバカ、まだ『コイハル』コーナーにいるな。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「あ? 私はなんと言ってもツンデレ幼馴染のルートだな。あれは最高だ。幼馴染はああでなくてはいかん。と言うか、どうしてあれがメインシナリオではないのだ。納得がいかない! あんなに可愛いキャラはメインを張るべきなのだ! あの主人公のことが好きで好きでたまらないのに肝心のところで果てしなく高いプライドが邪魔をして全く素直じゃないあのギャップ、これこそが古典にして王道、貴様もそう思うだろう? ああ、そうだろうとも。 ん? なんだと貴様? あのキャラの電波で突き抜けたバカさ加減がまた良いのではないか。あの良さがわからないとは。私は悲しいぞ。あれは最高だ。これこそ最高の形だろう。空気を読まず突っ走り、我が道を走り続ける。これもまた王道ではないか。突き抜けすぎたゆえに起こる、あのキャラの衆愚に対する罵り具合、これも胸がスカッとする。そうだとも。あの表現こそあのキャラの肝だろう? はぁ? ───な、なんだと! だ、だだだだだだれが似ているだ、この髪型? 喋り方? 雰囲気……って貴様、相手は二次元だぞ!? 天使? 女神? あはは、降臨してくれただと!? なかなか面白いことを言うな、貴様は。あははは。 !?」

 

 

 

 琉璃夏(るりか)の奴、派手に持論を垂れ流しているな。やけに楽しそうだ。って、ん?

 

 

 

「はぁ? な、なななな何を言う! き、貴様は狂っている! 正気か貴様! 貴様なんかお断りだ! 当たり前だ、貴様などだれが相手にするものか! 止めろ、近づくな! そ、それ以上来るんじゃない! 冗談? 私は冗談など言っていない! お、お断りだ! 当たり前だろうが! 普通に考えろ、普通に! そんな目で私を見るな、け、汚らわしい、寄るなと言っている! !? ……、だ、だだだだだ、だれが貴様の嫁だ、ふざけるな! 恐ろしいことを言うのは止めろ!! ひっ……た、助け、助けろカナタ! い、嫌、嫌! おいカナタ! どこだ、速く来てくれ!! どこにいるのだ貴様は! カナタ!! ───き、ひっ!! 嫌───!!」

 

 

 

 あ。なにかまずいらしい。聞き間違いでなければ琉璃夏(るりか)の物凄い悲鳴が聞こえたのだけれど。

 その琉璃夏はオレを見つけたらしく、人込みを掻き込み掻き分け、オレのほうに猛ダッシュで駆けて来る! 琉璃夏とオレの目が合う。琉璃夏のやつ、半泣きだった。

 

 

 

「カナタ! カナタ! 助けろ、頼む、助けて! 助けてってば!!」

 

 

 

 オレの首に両手を回して真正面から飛びつく琉璃夏。力の限り抱きついているようで、オレはその柔らかい体を、なんとか抱きかかえはしたもののかなり厳しい。琉璃夏の奴、ガタガタと震えているし。   ───本当に怖かったらしいんだ。オレは琉璃夏を追って来た野獣どもを見る。

 

 

 

「なんだお前?」

 

 

 

 野獣の一人は一応日本語が話せたようだ。うー、どうしよう。

 

 

 

「オレの友達を泣かせるな。特に何も言わないから、追い掛け回すのを止めてやってくれないかな」

 

 

 

 口に出してから後悔。ダメだろ、オレ。こんな言葉じゃ全然圧力にもなってないし。

 

 

 

「お、オレっ娘!?」「イイ!」「すっげぇ!」

 

 

 オレの頭を絶望がよぎった。───むしろコイツら喜んでるし……泣くぞ。

 

 

 

「頼むよ。お願いだからコイツを怖がらせないでやってくれないか。ほら、こんなに震えてるんだ、。女の子を泣かせるなんて、君たちはどういう神経をしてるんだよ。こういうのって、最低だろ?」

 

 

 

 ギュ。琉璃夏がオレを一層締め付けた。

 

 

 

「カナタ、カナタぁ……」

 

 

 

 感極まったらしい。そしてオレの胸で激しく泣き始めた。

 

 

 

「……たまらねぇ……いま、キュンって来た」「オレも……」「うん……」

 

 

 

 だ、ダメだコイツら。全くの逆効果だ。そろいも揃って正気とは思えない。ああ、畜生、どうしたら良いんだ。オレがこんな姿で何か言っても、ボーイッシュな女友達がさえずっているだけと思われている。いや、むしろ餌をやっているも同然だ。───でも。それでも、オレは琉璃夏を守らなきゃだめだろ!? 琉璃夏は今、オレを信じて助けを求めに来たのだから。くそ、このまま正攻法で行くか。それしかない。

 

 

 

「何を言ってるんだ。話しすらまともに出来ないのか、君たちは」

 

 

 

 野獣たちはへらへらと笑っている。ダメだ。オレじゃ決定的に何かが足りていない。って、八千代(やちよ)? その手にはモップ? そんなもの一体どこから? って、今はそれどころじゃない、こっちに来るな、お前だけでも逃げてろよ!

 

 

 

「八千代(やちよ)! 来るな、逃げてろ!」

「カナタ。何を言う。───ここは自分に任せてくれないか。琉璃夏の仇は自分が取ろう。友達を愚弄されて黙っていられるものか。これでも自分は武門に連なる端くれだ。ここで背を向けては武士の名折れ、ご先祖様に申し訳が立たぬ。───下がれ下郎。か弱い婦女子を追い回すは日本男児の風上にも置けぬ奴。これ以上恥をかきたくなければ消えるが良い」

 

 

 

 八千代が怒っていた。

 

 

 

「誰だ!?」

「自分は徳田(とくだ)八千代(やちよ)だ。見知りおけ」

「なんだ、また女かよ。戦うメイドさん、って奴かい?」「これもまた良い女……」

 

 

 

 野獣どもが懲りた気配は微塵もない。

 

 

 

「自分の名前は印籠(いんろう)代わり。されど迷わず地獄に落ちよとも、この場で切って捨てるとも言わぬ故、今すぐ自分の視界から消えるがよい。遠慮する事はない。早く致せ」

 

 

 

 八千代の顔は無表情で、その目は琉璃夏が時々見せるそれよりも冷え切っていた。でも。野獣どもは動かない。脅しとも取れる言葉に効果はなかったのかもしれない。琉璃夏は珍しくオレにしがみ付いて震えているし。千代は一歩も引かずにあんなこと言ってるけど、きっとハッタリに違いないんだ。

 

 

 

「そなたたち。聞く耳は持たぬようだな───良かろう、是非もなし。自分も覚悟を決めよう」

 

 

 

 え? 八千代のその言葉とともに、空気が張り詰めてゆく。

 八千代がモップを中段に構えなおして───。

 ピーーーー! ピーピーピー!

 時ならぬホイッスルが鳴る。床を踏みしめ、こちらへ走り来る足音がする。そしてそれは直ぐにやって来た。

 

 

 

「そこ! 何を騒いでいる!?」

 

 

 

 アホ毛で有名な鎧コスの女騎士さんと長大な青いツインテールを流した二次元バーチャアイドルコスの二人組みが野次馬を掻き分けて入って来た。あ、この人たち知ってるよ、二人とも風紀委員の子だ。助かったかも。

 

 

 

「貴様たちは何をしている! この場は風紀委員の王たる私が預かった! 双方、武器を引けい!」

 

 

 

 騎士王が舞台がかった台詞を大声で言い放った。

 

 

 

「ねーねー、アルトリア。こいつら武器なんて持ってないんだけど」

「葱娘、お前は武人ではないから見えないのであろうが、この連中は武器を持っている。そうでなければ我が同胞であるメイドさんがあのように怯える筈がない。そうとも。間違いなくこの連中は武器を所持している」

 

 

 

 アルトリアさんと葱娘さんがオレにしがみ付いて震えている琉璃夏を見た。

 

 

 

「それもそうね。───え? 琉璃夏なの? 可哀相な琉璃夏。こんな姿、始めてみるかも。一体なにがあったのかしら」

「なにがあったのかはこの際全く重要ではない。この不埒な男どもが我ら大江戸特芸高専風紀委員会に、しかも我が敬愛する毛利女史に喧嘩を売った、そう認識できる現状の事実のみに意味がある。───わかるな? 葱娘」

「あ、相変わらずイイコト言うわね、あんた。あんただけは敵にしちゃ駄目なんだって強く思うの」

 

 

 

 葱娘さんが呆れていた。ぶ、ぶっ飛んでいる……さすが琉璃夏の知り合い、論理も判断基準も、そのどちらも世紀末的だった。アルトリアさん……恐らく風紀委員長なのだろう。きっとどのような世界に生まれ変わっても、こいつら風紀委員会の連中は生き延びるに違いない。とにもかくにもアルトリアさんはそう言うと、無慈悲にも野獣たちに聖剣の切っ先をむけた。木を削りだして作ったと思われる見事な造りのそれを。

 

 

 

「己の運命の行く末を知ったか? 理解できたのであれば、王たるこの我の大いなる慈悲をもって我が剣にかかる栄誉を与える。許す。貴様たちはおとなしくここで散れ」

 

 

 

 は? あ、アルトリアさんが木刀を大上段に構えて……。迸る殺気。あ、確かこの人は剣道部で全国大会に出場経験が……!? どう見てもアルトリアさんの目は普通じゃなくて。その立ち上るオーラの錯覚に、まぁ、あまりにもアブナイと思ったのだろう。野獣どもは逃げ出したよ。

 

 

 

「あ、待て貴様ら! 王である私を前にして、逃げられると思うなよ!? ───こい、葱娘! 追うぞ!!」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

『……現在、即売会メイン会場におきまして、服飾美術科の学生の扮したコスプレイヤーによるアトラクションが行われています。ご来場の皆様におきましては節度ある観覧をお願い致します。───現在、即売会メイン会場におきまして───』

 

 

 

 

 

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