よろしくお願いします。
プロローグ:白き世界での約束
――気が付くと、そこはどこまでも白い世界だった。
上も、下も、左右も。
果てしなく続く純白の空間。
「……ここは?」
さっきまで何をしていたのか思い出せない。
名前も、年齢も、家族も。
ぼんやりとしか思い出せない。
ただ一つだけ。
**「前世で命を落とした」**という事実だけが、胸の奥に残っていた。
その時だった。
「ようこそ。」
穏やかな声が響く。
振り向くと、一人の人物が立っていた。
白い衣をまとい、不思議な温かさを感じさせる存在。
思わず口を開く。
「あなたは……?」
「君たち人間が”神様”と呼ぶ存在だと思ってくれればいい。」
その言葉に、一瞬だけ息を呑む。
「じゃあ……僕は。」
「うん。残念だけど、前世の君は亡くなった。」
悲しいはずなのに、不思議と涙は出なかった。
神様は優しく微笑む。
「でも、それで終わりじゃない。」
「君には新しい人生を歩んでもらいたい。」
「転生……ですか?」
「その通り。」
神様が指を鳴らす。
目の前に一枚の光るスクリーンが現れた。
そこには、一つの世界が映し出されていた。
夜空を駆ける少女。
桜色の魔法。
黄金の閃光。
宝石のように輝く蒼い結晶。
「これは……。」
「『魔法少女リリカルなのは』の世界。」
思わず息を呑む。
知っている。
前世で大好きだった作品だ。
「君には、この世界で生きてもらう。」
神様は続ける。
「ただし、その世界は決して平和ではない。」
「ジュエルシード事件。」
「闇の書事件。」
「機動六課の戦い。」
「多くの悲しみが待っている。」
その言葉に、自然と拳を握った。
もし、本当にあの世界へ行くなら。
助けたい。
笑顔を守りたい。
そんな思いが胸に湧き上がる。
神様は満足そうに頷いた。
「だからこそ、君には”特典”を与えよう。」
光が溢れる。
一つ目の光。
⸻
第一の特典
滅却師の力
「君の力の基盤だ。」
空間中の霊子を操る力。
霊子の弓。
飛廉脚。
静血装。
滅却師としての才能が魂へ刻まれる。
⸻
二つ目の光。
第二の特典
死神の力
「死神の力も与えよう。」
鬼道。
斬魄刀。
そして――
卍解『天鎖斬月』。
唯一無二の切り札として魂へ刻まれる。
⸻
三つ目の光。
第三の特典
完現術(フルブリング)
胸元へ一つの銀色のネックレスが現れる。
死神代行証を模した、美しいシルバーネックレス。
その中から、小さなライオンが姿を現した。
黄金の瞳。
気高い鬣。
大空を思わせる優しい眼差し。
「この子は……?」
ライオンは鳴き声を上げる。
『ガウッ!』
不思議と意味が伝わってきた。
――よろしく。
神様が微笑む。
「その子の名前はアルクス。」
「君だけの相棒だ。」
アルクスは胸へ飛び込み、ネックレスへと姿を変えた。
「アルクスは君の霊子弓と融合し、三種類の銃器へ自在に姿を変える。」
* 獣帝銃
* 獣帝轟
* 獣帝穿
「君の成長と共に真価を発揮するだろう。」
⸻
最後に神様は優しく言った。
「一つだけ約束してほしい。」
「力に溺れないこと。」
「君の力は、大切な人を守るためにある。」
その言葉に、深く頷く。
「はい。」
神様は満足そうに微笑んだ。
「それと、転生後の君には新しい人生、新しい名前を用意してある。」
光が世界を包む。
「君の名前は――」
『黒崎 一勇(くろさき かずい)』。
「そして君は、幼い頃に両親を亡くした孤児として生まれる。」
「縁あって、高町家に引き取られ、喫茶店『翠屋』で家族同然に育つことになる。」
「高町なのはとは同い年の幼馴染だ。」
その言葉を聞いた瞬間、不思議と胸が温かくなった。
「……なのはたちと、一緒に生きられるんだ。」
神様は静かに頷く。
「そうだ。」
「君はもう、一人ではない。」
「優しい家族と、かけがえのない仲間たちが待っている。」
白い世界が眩い光に包まれていく。
意識が遠のく中、神様の最後の声だけがはっきりと聞こえた。
「行っておいで、黒崎一勇。」
「今度こそ、大切な人たちを守り抜く人生を。」
次の瞬間――。
一人の少年の産声が、新たな世界に響き渡った。
第1話
目覚めた世界と、幼馴染