シンフォギアの世界にウィッチクラフトのロリババアに転生した。   作:のうち

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第三話 壊れた工房と、新たな仲間

激しい戦闘の末、キャロルたちはどうにか星杯の守護者であるクローラーを撃破した。

 

 だが――。

 

「…………」

 

 キャロルは黙って工房を見上げていた。

 

 屋根には大穴が開き、壁は崩れ、床には巨大なクローラーの残骸が転がっている。

 

 星遺物を調査するために用意されていた機材も、いくつかが見るも無残な姿になっていた。

 

「……半壊、ですね」

 

 イヴがぽつりと呟く。

 

「見れば分かる」

 

「すみません……」

 

「お前が謝ることじゃない」

 

 キャロルは小さくため息を吐いた。

 

「問題は……これを母さんにどう説明するかだ」

 

 そして数時間後。

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

 現場へやって来たヴェールは、半壊した工房を無言で眺めていた。

 

「キャロル」

 

「はい」

 

「これは?」

 

「クローラーの襲撃によるものだ」

 

「そう」

 

 ヴェールは穏やかな笑みを浮かべた。

 

「では、仕方がないわね」

 

 キャロルは、ほんの少しだけ胸を撫で下ろす。

 

「ただし――」

 

「……ただし?」

 

「修理は必要でしょう?」

 

「それはそうだな」

 

「ちょうど工房の改装を頼もうと思って、知り合いを呼んでいたところなの」

 

 ヴェールがそう言った直後だった。

 

 一台の車が工房街へ入ってくる。

 

「やあ、ヴェール。随分と派手に壊したね」

 

 車から降りてきたのは、一人の女性だった。

 

 くすんだ赤色の髪をポニーテールにまとめ、スーツを着こなしている。

 

 琥珀色の瞳には知的な光が宿り、眼鏡の奥から半壊した工房を興味深そうに眺めていた。

 

「蒼崎橙子」

 

 キャロルが呟く。

 

「知っているの?」

 

 イヴが尋ねる。

 

「名前くらいはな」

 

「久しぶりだね、ヴェール」

 

 橙子は工房を一周するように眺める。

 

「建築デザインの依頼だと聞いていたんだが……これはリフォームというより、建て替えじゃないか?」

 

「私もそう思っているところよ」

 

 ヴェールが苦笑する。

 

「ところで、お前さんにもう一つ依頼があるんじゃが」

 

「もう一つ?」

 

 橙子が振り返る。

 

「これのことかい?」

 

 彼女が視線を向けた先には、クローラーの残骸があった。

 

「そう」

 

 キャロルが答える。

 

「昨日、星杯の守護者を名乗るクローラーが襲撃してきた」

 

「なるほど」

 

 橙子はクローラーの残骸へ近づき、しゃがみ込む。

 

「そして、世界各地に同じような星遺物が存在している可能性がある」

 

「なら、調べる価値はありそうだね」

 

 橙子は眼鏡を押し上げる。

 

「私も協力しよう」

 

「助かる」

 

 キャロルが頷く。

 

「ただ、私一人で全部を調べるのは難しい。だから、こちらも人手を用意してきた」

 

「人手?」

 

 キャロルが振り返る。

 

「頭脳労働担当だ」

 

「誰が頭脳労働担当だ!」

 

 背後から怒鳴り声が響いた。

 

 そこにいたのは、疲れ切った顔をした青年だった。

 

「エルメロイ二世か」

 

 キャロルが名前を呼ぶ。

 

「君も知っているのか……」

 

「彼の義妹殿とは取引する機会が多くてな」

 

「なるほど……」

 

 エルメロイ二世は、どこか納得したような、納得していないような顔をする。

 

「よろしくお願いします」

 

 その隣にいた銀髪の少女が静かに頭を下げた。

 

「グレイです」

 

「よろしく」

 

 キャロルも軽く頭を下げる。

 

 エルメロイ二世は星杯とクローラーの残骸を観察した。

 

「話を聞く限り、問題はかなり大きい。世界各地を調査するなら、情報の整理と分析を専門にする人間が必要になる」

 

「だから君を連れてきた」

 

 橙子が言う。

 

「……まったく」

 

 エルメロイ二世は頭を抱えた。

 

「しかし、星遺物か。確かに興味深くはある。だが、リースの話が本当なら時間はあまりない」

 

「そうだね」

 

 橙子が頷く。

 

「敵が本隊を呼び寄せる前に、星遺物を見つけ出す必要がある」

 

「なら、やることは一つだ」

 

 キャロルは工房の外へ歩き出す。

 

「世界中を飛び回る」

 

 その時だった。

 

「蝙蝠もどき」

 

「……何だ?」

 

 声と共に、小さな蝙蝠がどこからともなく飛んでくる。

 

 キバットバットⅡ世。

 

 彼はキャロルの前を一周すると、その手へと飛び込んだ。

 

「ガブリ!」

 

「っ……!」

 

 キバットⅡ世がキャロルの手に噛みつく。

 

 次の瞬間――。

 

 キャロルの腰に黒いベルトが現れた。

 

「変身」

 

 キャロルはベルトへ手を伸ばす。

 

 そして、専用のフエッスルをキバットⅡ世へ咥えさせる。

 

「キバット!」

 

 キバットⅡ世がフエッスルを吹く。

 

 低く重厚な音が響き渡る。

 

 漆黒の装甲がキャロルの身体を覆い、赤い瞳が鋭く輝いた。

 

 そこに立っていたのは――。

 

 闇の牙を持つ王。

 

 ダークキバ。

 

「……相変わらず派手だね」

 

 橙子が感心したように呟く。

 

「必要だから使っているだけだ」

 

 キャロルはそう答える。

 

 そして空を見上げた。

 

「フォートレスドラン!」

 

 キバット二世の呼び声に応えるように、遠くから巨大な影が姿を現す。

 

 翼を広げたその姿は、通常のドラン族とは比較にならない。

 

 巨大。

 

 あまりにも巨大だった。

 

 まるで一つの城塞がそのまま空を飛んでいるかのような威容。

 

 その巨体を見上げ、アウラムが思わず息を呑む。

 

「これが……フォートレスドラン……」

 

 巨大な竜はゆっくりと地上へ降り立つ。

 

 その姿は、まさしく名の通り――フォートレス。

 

 要塞そのものだった。

 

「さあ、こいつで行くぞ」

 

 キャロルが乗り込む。

 

 イヴ、アウラム、橙子、エルメロイ二世、グレイ、そしてリースも続いて乗り込んでいく。

 

 フォートレスドランが翼を広げる。

 

 轟音と共に巨体が浮かび上がった。

 

 こうして一行は、未知なる星遺物を求めて世界へ飛び立った。

 

 ――だが。

 

 彼らはまだ知らない。

 

 星杯が、ただの遺物ではないことを。

 

 そして、世界各地に眠る星遺物の一つ一つが、やがて地球そのものを巻き込む大きな戦いへと繋がっていくことを。

 

 何よりも――。

 

 その旅を導いている小さな妖精が、彼らに何を隠しているのかを。

 

 星遺物を巡る旅は、始まったばかりだった。

キャロベンジャース メンバーオーディション

  • トレインハートネット
  • 蛭子影胤& 蛭子小比奈
  • ロスヴァイセ
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