ミッション:災厄「ルズローシヴ=レレイ」を消滅させよ 作:Moa
言われました。
「ルズローシヴ=レレイは僕だ」
僕だ。
僕だ?
災厄ではなく?
術式ではなく?
古代兵器でもなく?
天界に濁りを撒き散らした謎の現象でもなく?
僕?
ここまで、ずっと「ルズローシヴ=レレイ」は消すべきものとして扱われていました。
ミッション名にも入っている。
天界では災厄指定されている。
消滅術式まで用意されている。
記録院でも、発話後に濁りが広がったと書かれていた。
だから、何かだと思っていたんです。
何か。
人ではなく、何か。
少なくともライラさんに言われるまでは。
でも、ミクリオさんは言いました。
「ルズローシヴ=レレイは僕だ」
ここで一回、画面を止めました。
止めますよ。
止めるでしょう。
親愛なるルズローシヴ=レレイへ。
真名みたい。
命より大切なものだったんだ。
全部ここに繋がっていたんですか?
災厄だと思っていた名前が、目の前の人でした。
消滅対象だと思っていたものが、隣に立っている人でした。
しかも水属性っぽい、ふわふわポニテの綺麗な天族男性でした。
ミクリオさん、キャラデザが良いです。
ふわふわしたポニテ。
水属性っぽい透明感。
病弱属性でスレイさんに心配されてる。
これは人気が出る人です。
絶対女性人気出るタイプです。
友人に言ったら「わかる」と返ってきました。
そこは即答なんですね。
「ご本人達って何?」には「進めて」しか言わなかったのに、ミクリオさんのふわふわポニテには即答するんですね。
そんなにですか。
そんなになんですか。
いや、分かります。
分かりますけど。
そしてスレイさんです。
この人、初登場の仕方が怖すぎるんですよ。
夢の中でエオルミアちゃんを殺した男です。
あの「オレの命より大切なものだったんだ」の人です。
こっちは完全に警戒しています。
なのに、現実で会った第一声がこれです。
「そこ、床が抜けかけてる」
「右から回った方がいい」
普通に親切。
怖い。
敵意もない。
威圧もない。
危険な床を教えてくれる。
話も聞いてくれる。
エオルミアちゃんが「夢の中で、私を殺害しました」と言っても、笑わない。
否定しない。
「たぶん、それはまだ起きてない話だよな」と受け止める。
なんなんですか、この人。
平和そうな殺人鬼ですか?
と思っていたら、違いました。
隣の男に命をかけている人でした。
いや、それはそれで怖いです。
怖さの種類が変わっただけです。
夢の中でスレイさんが言った言葉。
「ルズローシヴ=レレイは、貴方の命より大切なものだったと」
そして今、ミクリオさんが言った言葉。
「ルズローシヴ=レレイは僕だ」
つまり。
スレイさんは、ミクリオさんを命より大切だと言っている。
終わりです。
終わりです、ではない。
全然終わっていない。
むしろ始まりました。
百合を浴びに来たはずなんですが、男同士の巨大感情で殴られています。
聞いていません。
でも嫌ではありません。
嫌ではないんですが、聞いていません。
スレイさんがさらに怖いのは、夢の中の自分を否定しないところです。
「……言うと思う」
言うと思うんだ。
ミクリオさんを消されたら、自分はそう言うと思うんだ。
エオルミアちゃんを殺した夢の自分を、完全な別人として切り離さないんだ。
これが本当に怖かったです。
スレイさんは悪い人には見えません。
むしろ、かなり話が通じる人です。
穏やかで、親切で、相手の言葉をちゃんと聞く人です。
でも、ルズローシヴ=レレイを消した瞬間、話が終わる人でもある。
ルズローシヴ=レレイを消しさえしなければ、話が通じる人。
消したら、たぶんもう話が通じない人。
その境界が、ミクリオさんなんですよ。
重い。
そして、その重さをミクリオさん本人がちゃんと止めるのが良かったです。
「僕を、そういうものとして扱うな」
「僕を失った君が、誰かを殺しても仕方がない、みたいな顔をするなと言っている」
ここでミクリオさんがただ喜ばないのが、とても良かったです。
命より大切と言われること。
それ自体は、たぶん嬉しい部分もあるのかもしれない。
でも、自分を失った相手が壊れることまで肯定したくはない。
自分が誰かを殺す理由になってほしくない。
大切にされることと、相手の破滅の理由になることは違う。
ここをミクリオさんが怒ってくれたのが、すごく良かったです。
「僕は、君の命より大切なものになりたいわけじゃない」
「君と一緒に生きたいんだ」
強い。
綺麗な水属性ふわふわポニテ男性、強い。
しかも、スレイさんとミクリオさんも少子化と出生義務の問題を考えていたらしいんですよ。
「人と天族が一緒に生きるって決めたのに、そのせいで誰かが義務を背負うなら、それは違うと思ったんだ」
ここでリシェラちゃんの顔が変わるの、きつかったです。
人が減っているのは本当。
世界が困っているのも本当。
でも、だからリシェラちゃんの身体を使っていいことにはならない。
スレイさんとミクリオさんは、そこをずっと考えていた。
「人と天族が、互いを選んだまま未来を閉ざされない方法を、探したことがある」
エオルミアちゃんの調査履歴にありましたよね。
人間 天族 子を成す 前例。
あれ、エオルミアちゃんだけの調査じゃなかったんですか。
この二人も、ずっと探していたんですか。
ミッションの標的だと思っていた人たちが、実はこの物語の問題を先に考えていた人たちだった。
何ですか、それは。
そして重い話の後に、エオルミアちゃんが急にこれを聞きます。
「特定人物と仲良くなる方法を教えてください」
今?
今ですか?
リシェラちゃんも「それにしても今?」って言っていました。
本当にそうです。
でも、エオルミアちゃんにとっては必要な質問なんですよね。
ルズローシヴ=レレイを消さないために調べる。
リシェラちゃんを傷つけないために調べる。
仲良くなる方法も、ちゃんと調べる。
真面目。
真面目なんですが、タイミング。
そして相談相手がスレイさんなのも面白いです。
「ミクリオのことは、仲良くなろうと意識したことないからなあ」
ミクリオさんの「君に聞いたのが間違いだ」が早かったです。
さすがです。
でもスレイさん、最後だけちゃんと良いことを言うんですよ。
「相手のことを知りたいと思うこと。相手が嫌がることをしたくないと思うこと。それは大事だと思う」
ここだけ見ると、すごくまともです。
むしろ核心です。
エオルミアちゃんがそれをそのままリシェラちゃんに向けて言い直すの、良かったです。
「リシェラを知りたいと思うこと。リシェラの嫌がることをしないこと」
これは百合です。
急に名指しで言われて赤くなるリシェラちゃんも百合です。
巨大感情男性二人に殴られていましたが、ちゃんと百合に戻ってきました。
よかったです。
よかったのか?
あと、この二人が主役のスピンオフとかあったら、絶対BLのCP増えそうだなと思いました。
友人に言いました。
「この二人が主役のスピンオフとかあったら絶対BLCP増えそう」
友人は言いました。
「わかる」
そこも即答なんですね。
なんなんですか。
「くれぐれも検索したらダメだからな」
わかりました。
そう言ったら、友人はそれ以上何も言いませんでした。
そのあと、念のために聞きました。
「じゃあ、エオルミアちゃんとリシェラちゃんなら検索してもいい?」
友人は少し考えてから言いました。
「普通にそれも危ない。予想外のネタバレ踏む可能性がある」
「わかりました……」
何も検索できない。
私は百合を浴びに来たのに、百合の二次創作も検索できない状態になっています。
どういうことですか。
でもたぶん、検索したら何か踏むんでしょうね。
友人がこの声色になる時は、だいたい何かあります。
今回、スレイさんの印象がかなり変わりました。
平和そうな殺人鬼。
ではありませんでした。
隣の男を命より大切だと言ってしまう人。
そして、夢の自分の間違いも、エオルミアちゃんの間違いも、どちらもまだ間に合うと言える人。
怖いけど、悪い人じゃない。
悪い人じゃないけど、絶対に消してはいけないものがある。
そしてエオルミアちゃんは、まだ間に合っています。
消していない。
止めた。
調べた。
聞きに来た。
怖いと言った。
でも進んだ。
リシェラちゃんも隣にいました。
「怖い?」
「はい」
「ですが、聞く必要があります」
「あたしも聞く」
ここがすごく好きです。
エオルミアちゃんはもう、一人で任務を遂行している子ではない。
リシェラちゃんも、守られるだけの出生義務違反者ではない。
二人で聞きに行く。
消すためではなく。
聞くために。
ルズローシヴ=レレイは災厄ではありませんでした。
ミクリオさんでした。
では、災厄と呼んだのは誰ですか。
***
ミクリオ
種族:天族
性別:男
年齢:不詳
身長:176cm
武器:長杖
水を司る高位天族。数百年にわたり、眠りについた親友の目覚めを待ち続けた。冷静で理知的な性格だが、親友に関わることでは感情を隠しきれない。