ミッション:災厄「ルズローシヴ=レレイ」を消滅させよ 作:Moa
ラストダンジョン前です。
分かります。
この空気はラストダンジョン前です。
全員が集まっている。
行き先が決まっている。
でも、まだ少しだけ歩き回れる。
話しかけられる。
やめてください。
こういう時間が一番怖いです。
前回、ルズローシヴ=レレイを消すために集めた力を、天界の誓約を消すために使うことになりました。
四属性の宝玉。
最初は、災厄ルズローシヴ=レレイを消滅させるための力でした。
ミッション名にもそう書いてありました。
私もそのつもりで集めました。
でも、違いました。
消すべきものは、ルズローシヴ=レレイ、つまりミクリオさんではありませんでした。
ルズローシヴ=レレイを災厄と呼んだ誓約の方でした。
目的が反転しています。
ルズローシヴ=レレイを消すために集めた力で、
ルズローシヴ=レレイを消させたがっていた仕組みを消す。
何ですか、この反転。
すごいです。
そして今回、エオルミアちゃんが言いました。
「使命が不適切である場合、訂正が必要です」
ここで操作可能になりました。
そういうことをする。
そういうことをするゲームです。
使命を訂正すると決めたあとに、仲間たちに話しかけられるようになるんですよ。
最初のエオルミアちゃんは、天界の命令だけを聞いていました。
災厄ルズローシヴ=レレイを消滅させよ。
そう言われたから、地上へ降りた。
そう記録されていたから、災厄だと思った。
そういう使命だったから、遂行しようとした。
でも今は違います。
使命が不適切である場合、訂正が必要です。
強い。
任務を放棄するのではなく、訂正する。
使命を投げ出すのではなく、不適切な使命を適切な形に変える。
エオルミアちゃんです。
感情だけで反逆しているのではない。
リシェラちゃんに流されただけでもない。
スレイさんとミクリオさんに真実を聞いたから、ただ天界を嫌いになったわけでもない。
文言を読み、条件を確認し、代償を検証し、不適切だと判断した。
だから訂正する。
これがエオルミアちゃんの戦い方なんですね。
力で全部壊すのではない。
宝玉で全部消すのでもない。
言葉を読み直す。
分類を変える。
記録を訂正する。
誓約を書き換える。
名前に押しつけられた罪を剥がす。
ここまで来たんだな、と思いました。
そしてここから、仲間全員に話しかけられるようになります。
こういうの、好きです。
好きですが、全員分聞くと情緒が増えます。
でも聞かない選択肢はありません。
まずリシェラちゃんです。
「あたしは、誰かに産めって言われるために生きてるんじゃない」
「でも、未来なんていらないって言いたいわけでもない」
「望んでいい未来にしたい」
泣きました。
リシェラちゃん、逃げるだけの人じゃなくなっている。
最初は、出生義務から逃げている人でした。
自分を罪人だと思っていた。
嫌だと思っているのに、その嫌だを世界の問題より軽いものだと思わされていた。
でも今は違う。
未来はいらない、ではない。
子どもなんていらない、でもない。
人が増えなくていい、でもない。
望んでいい未来にしたい。
強いです。
リシェラちゃんの「嫌だ」は、ただの拒絶ではありませんでした。
誰かに産めと言われるのは嫌だ。
好きでもない相手と子を成すのは嫌だ。
自分の身体を未来の材料にされるのは嫌だ。
その「嫌だ」から、望んでいい未来へ進んでいる。
ここが百合です。
ラストダンジョンの目的は、天界の誓約を書き換えることです。
でも、その根っこにあるのは、リシェラちゃんの「嫌だ」なんですよね。
一人の「嫌だ」を、世界より軽く扱わない。
天界の誓約より軽く扱わない。
未来という大きな言葉の下に押しつぶさない。
エオルミアちゃんは、リシェラちゃんの「嫌だ」を判断材料にしました。
判断材料。
言い方。
でも、それがエオルミアちゃんなんですよね。
そしてたぶん、今回はその「嫌だ」が世界の文言を書き換える根拠になります。
これは百合です。
世界の文言を書き換える百合です。
次にイリシアさん。
「私は子どもを産んだことを後悔していません」
「だからこそ言います」
「これは義務にしていいものではありません」
重い。
産んだ人にこれを言わせるの、強いです。
リシェラちゃんは、産まない側、産みたくない側として言っている。
イリシアさんは、産んだ側、子どもを愛している側として言っている。
でも結論は同じです。
これは義務にしていいものではない。
子どもを産んだことを後悔していないからこそ、義務にするなと言う。
すごいです。
「産みたくない人」だけではなく、「産んだ人」もこの制度を否定する。
逃げた人だけではなく、果たした人も否定する。
これで出生義務が、個人のわがままではなく制度の問題として立ち上がる。
強いです。
次にヴェルノさん。
「上が作った書類を下が直す。よくある話だねえ」
天界規模の呪いを事務処理みたいに言わないでください。
でも、今回は本当に文言を直しに行く話なんですよね。
誓約。
任務。
災厄指定。
消滅対象。
出生義務違反者。
全部、言葉です。
でもその言葉で人が傷つく。
だから文言を直す。
分類を直す。
記録を直す。
ヴェルノさんの軽口、軽いようで全然軽くないです。
しかもこの人、最初は善良な通行人(善良な通行人?)みたいな顔をしていたのに、ここまで来ている。
踏み込みすぎです。
でも来てください。
次にセノアくん。
「共存しろって言いながら、共存できないようにしてたんだろ」
「そんなの、間違ってる」
そうです。
セノアくんの「なんで?」が、最後まで世界の急所を突いています。
記録院でもそうでした。
浄化反応も出ていたのに、なんで濁り発生術式って決めたの?
共存できたら門が開くのに、なんで共存できないような代償が出るの?
地上が悪いって言うけど、なんで天界が流した代償は見ないの?
セノアくんの疑問、ずっとシンプルです。
でも、この世界はそのシンプルな疑問を避けてきた。
「なんで?」を避けると、誓約が呪いになります。
「なんで?」を避けると、人が災厄になります。
「なんで?」を避けると、誰かの身体が未来の材料になります。
セノアくん、最後までそのままでいてください。
次にオルセイくん。
「壊すべきものを間違えるな」
短い。
でも全部です。
最初、壊すべきものはルズローシヴ=レレイだと思っていました。
災厄だと思っていました。
消滅対象だと思っていました。
でも違いました。
壊すべきものは、ルズローシヴ=レレイを災厄と呼んだ仕組みです。
ミクリオさんの名に災厄を押しつけた記録です。
地上に代償を流しながら、共存し続けろと言った誓約です。
壊すべきものを間違えるな。
本当にそうです。
そして、スレイさんとミクリオさんです。
二人は、ラストダンジョンには同行しません。
え、来ないんですか?
と思いました。
でも、来たらたぶん強すぎる。
そして物語の主役が変わってしまう。
だから二人は、外で天界側を攪乱してくれるそうです。
災厄本人扱いされているミクリオさん。
そのミクリオさんを命より大切だと言ったスレイさん。
前回の境界層異常の当事者二人。
この二人が派手に動いたら、天界側はそっちを見るしかない。
そりゃそうです。
天界から見れば、災厄ルズローシヴ=レレイ本人と、その災厄を命より大切にしている男が現れたわけです。
大騒ぎです。
その隙に、エオルミアちゃんたちは塔を登る。
この構図、すごく良いです。
スレイさんとミクリオさんが全部解決するのではありません。
過去に天界の呪いを暴いた二人が、今度は道を開けてくれる。
でも、最後に誓約へ手を伸ばすのはエオルミアちゃんです。
誓約を書き換える願いの根源はリシェラちゃんです。
強い男たちが全部解決するのではありません。
強い男たちが道を開けて、百合が世界の文言を書き換えに行きます。
これは百合です。
すごい構図です。
スレイさんとミクリオさんの距離は相変わらず近いですが、今回は検索しません。
友人に止められているので。
そしてラストダンジョンです。
天界で一番高い塔へ登ります。
一番高い塔。
一番高い場所。
そこに、天界の誓約の中枢があるらしいです。
一番高い場所から、地上へ穢れを押し付けていたんですか?
位置関係が最悪です。
上にいる者が、下にいる者へ代償を流す。
天界の最上部から、地上へ穢れを押し付ける。
その構図を建物の高さで見せないでください。
分かりやすいです。
嫌です。
ラストダンジョンに入ります。
天界で一番高い塔へ。
地上へ穢れを押し付けた者のところへ。
スレイさんとミクリオさんが外で天界を攪乱している間に、エオルミアちゃんたちは塔を登ります。
最初の使命は、災厄を消すことでした。
今の使命は、災厄と呼ぶ仕組みを訂正することです。
任務を受け取るだけだった子が、任務を訂正しに行く。
出生義務違反者と呼ばれた人の「嫌だ」が、天界の誓約を書き換えに行く。
主軸は百合です。
これは百合です。
世界の文言を書き換える百合です。
行ってきます。