ミッション:災厄「ルズローシヴ=レレイ」を消滅させよ 作:Moa
やっと終わりました。
本当に、やっと終わりました。
ラスボスを倒しました。
倒した、でいいんでしょうか。
効力を失わせた、の方が正しい気もします。
でも、戦闘としては倒しました。
私は勝ちました。
何回負けたかは聞かないでください。
《至天誓約・地上代償執行》。
名前はかっこいいです。
意味は最悪です。
避けられません。
何回やっても避けられませんでした。
画面が契約書になります。
文字が走ります。
空白に逃げる必要があります。
空白。
契約書の空白に逃げる。
すみません。
私は普段から契約書の空白を探して生きていないので、無理でした。
友人に攻略を聞きました。
「どうしても避けられない」
「なら詠唱キャンセル狙うか、オルセイ操作でライフボトル連打かな」
「そんな攻略でいいんですか?」
「勝てばいい」
勝てばいい。
そういうことになりました。
オルセイくんを操作しました。
硬い。
オルセイくん、硬い。
今まであまり自分で操作していなかったのですが、めちゃくちゃ硬いです。パーティが崩壊しても、オルセイくんだけしぶとく残っています。
ライフボトルを投げる。
仲間を起こす。
また倒れる。
また起こす。
世界を縛る至天の誓約に対して、こちらの回答は防御力の高い少年とライフボトルでした。
これでいいんですか。
いいみたいです。
勝ちました。
勝ったので、いいんです。
それはそれとして、ラスボス戦の演出がすごかったです。
《援護射撃:アクアリムス》。
これ、スレイさんとミクリオさんですよね。
画面外から水の援護が飛んできて、ラスボスの動きが少し鈍るんです。
主役を奪うほどではない。
でも、ちゃんと助けてくれている。
この塩梅がすごく良かったです。
スレイさんとミクリオさんが道を開けて、最後に誓約を訂正するのはエオルミアちゃんとリシェラちゃん。
強い男たちが裏で天界を荒らし、百合が世界の文言を書き換える。
そういうゲームでした。
そして。
エオルミアちゃんが言いました。
ネスヴック=ウイミレア。
急に。
戦闘中に。
意味は分からない。
でも、リシェラちゃんに伝えたいと思ったから伝える。
何ですか、それは。
水の遺跡で言ってましたよね。
真名を契約以外で教えるのは、命懸けの友情か、愛の告白だって。
言ってましたよね。
私は覚えています。
ゲーム側も覚えていました。
エオルミアちゃんは契約ではないと言いました。
命令でもないと言いました。
術式条件でもないと言いました。
伝えたかったから伝えた。
それは何ですか。
友情ですか。
愛の告白ですか。
どちらでもいいです。
百合です。
そして、その直後に協力秘奥義が解放されました。
ウィットネス・エタニティ。
エタニティ。
永遠。
協力技でエタニティはもう結婚では?
ご結婚おめでとうございます。
本当におめでとうございます。
ラスボス戦中に真名を教えて、協力秘奥義でエタニティを撃つな。
撃ってください。
ありがとうございます。
リシェラちゃんが「覚えたって言ったでしょ」と言って、最後にネスヴック=ウイミレアと呼ぶところで終わりました。
私は終わりました。
エオルミアちゃん、最初は災厄を消すために地上へ来た子でした。
でも最後は、名前を消しませんでした。
ルズローシヴ=レレイを災厄から外して、ただの名前として残しました。
リシェラちゃんを出生義務違反者ではなく、望む未来を選んでいい人として見ました。
そして、自分の真名をリシェラちゃんに伝えました。
契約ではなく。
任務ではなく。
必要だからでもなく。
伝えたかったから。
百合でした。
間違いなく百合でした。
ただし、ラスボス戦の途中で《援護射撃:アクアリムス》が飛んでくるたびに、男同士の巨大感情も画面外から撃ち込まれていました。
百合を見ています。
男同士の巨大感情にも殴られています。
忙しいです。
友人に言いました。
「百合だった。間違いなく百合だった。でも、なんで男同士の巨大感情に殴られているんですか?」
友人は言いました。
「そういうゲームだからね」
そういうゲーム。
そういうゲームでした。
やっと終わりました。
終わったはずです。
でも、友人がまだ何か黙っています。
怖いです。