ミッション:災厄「ルズローシヴ=レレイ」を消滅させよ   作:Moa

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Review:エンディング

クリアしました。

 

エンディング見ました。

世界のルールを書き換えました。

本当に書き換えました。

 

最終決戦が終わった後、エオルミアちゃんは、天界と地上の間にある誓約を書き換えました。

 

天界を救う代償として、エオルミアちゃんが、地上から天界へ濁りが流れ込んできた時に、それを無害化するフィルターになる。

文字だけ見ると怖いです。

人柱では?

永遠にどこかへ縛りつけられるのでは?

と思いました。

 

思いましたが、そういうものではありませんでした。

エオルミアちゃんの日常生活に支障はありません。

 

普通に外へ出られる。

普通に地上で暮らせる。

戦うこともできる。

リシェラちゃんと一緒にいられる。

 

天界の中枢にひとりで残って、何千年も世界を支え続けるようなエンディングではありません。

 

良かった。

本当に良かった。

リシェラちゃんは、長すぎる別れを耐える必要がありません。

エオルミアちゃんも、自分だけを世界のための解決策として差し出したわけではありません。

世界を守るために自分を使うことを、自分で選んだ。

でも、そのために自分の人生をすべて失うことは選ばなかった。

 

リシェラちゃんの身体を世界のために数える制度を否定した物語で、最後にエオルミアちゃんだけが世界の部品になるのではなくて、本当に良かったです。

 

エオルミアちゃんはリシェラちゃんに真名を伝えました。

真名です。

ルネアちゃんが言っていました。

真名を伝えることは、命懸けの友情や、愛の告白に近いことだと。

それを伝えました。

リシェラちゃんに。

百合です。

間違いなく百合です。

 

百合かもしれない、ではありません。

友情とも解釈できる、でもありません。

愛の告白です。

 

ありがとうございます。

 

しかも、ふたりの間に子供が生まれる余地まで残していきやがりました。

 

人間と天族の混血は不可能だと、序盤ではっきり説明されていました。

この世界で、女性同士であること以前に、種族が違うから子供を持てない。

リシェラちゃんは、誰かと子供を持つこと自体を否定していたわけではありません。

子供が嫌いなわけでもない。

ただ、自分の身体を世界のために使われることを拒んだ。

 

その彼女に対して、義務ではなく、可能性として子供を残していく。

 

欲しいなら選べる。

欲しくないなら選ばなくてもいい。

今決めなくてもいい。

 

その余地を、世界の方が作りました。

 

出生義務の問題に対して、

「同性でも子供を作れるようになりました。これで義務を果たせますね」

で終わらなかったのも良かったです。

 

可能になったことと、義務になることは違う。

選べることと、選ばされることは違う。

このゲーム、最後までそこを間違えませんでした。

 

百合です。

友人、ありがとう。

 

百合だからと勧めてくれてありがとう。

途中で知らない男に殺されましたが、最終的にはちゃんと百合でした。

 

エンディングイラストも素敵でした。

本編後の皆の様子が、一枚ずつ映ります。

イリシアさんは、子供たちと一緒にいました。

その少し後ろに、ヴェルノおじさんもいました。

家族の写真みたいな距離感でした。

 

ヴェルノさん、最後まで正式な立場がよく分からないままでしたが、あの場所に自然にいるんですね。

イリシアさんの子供たちにも普通に懐かれているように見えました。

胡散臭いおじさんが、最終的に子供たちの知り合いのおじさんみたいな位置に収まっている。

良いです。

 

セノアくんとオルセイくんは、二人で旅を続けていました。

最初からずっと一緒にいた二人です。

互いの役割が分かっていて、危ない時にはセノアくんが先に気づき、オルセイくんが受け止める。

最後も変わらず二人で歩いていました。

でも、最初より少しだけ遠くへ行けるようになっている感じがしました。

 

それから、エオルミアちゃんとリシェラちゃん。

リシェラちゃんがエオルミアちゃんの腕を組んで歩いていました。

腕を組んでいました。

手を繋ぐではなく。

腕を組んでいました。

破壊力が高すぎました。

 

最初はエオルミアちゃんがリシェラちゃんの手を引いて走っていたんですよ。

追われているリシェラちゃんを、理由も分からないまま逃がした。

そこから始まった二人が、最後は何にも追われず、普通に隣を歩いている。

しかもリシェラちゃんの方から腕を組んでいる。

エオルミアちゃんは少し驚いた顔をしていました。

でも、離そうとはしていませんでした。

ありがとうございます。

間違いなく百合です。

 

良いエンディングでした。

 

本当に。

 

***

 

エンディングで、スレイさんがミクリオさんの墓参りに行く場面がありました。

急に。

本当に急に来ました。

 

皆の未来が描かれて、エオルミアちゃんとリシェラちゃんが並んで歩いて、これで終わりだと思ったところでした。

 

画面が切り替わります。

静かな場所でした。

少し風が吹いていました。

そこに、スレイさんがひとりで立っていました。

墓の前に。

 

最初、誰の墓なのか分かりませんでした。

でもスレイさんが名前を呼びました。

ミクリオ。

 

ミクリオさんの墓でした。

天族って長生きするんですよね。

数千年とか生きるんですよね。

 

人間とは時間の感覚が違う。

エオルミアちゃんも百歳で、まだ若い扱いでした。

ルファーナさんも六百歳で子供扱いされていました。

それくらい長く生きる種族です。

 

それなのに、ミクリオさんは、あんなふうに終わってしまいました。

切なかったです。

病弱だったから仕方ないのかな。

 

最初に会った時から、かなり具合が悪そうでした。

立っているだけでもつらそうで、途中で息を整えていました。

戦闘の後には座り込んでいました。

 

スレイさんがずっと隣にいて、身体を支えていました。

ミクリオさん本人は大丈夫だと言っていましたが、明らかに大丈夫には見えませんでした。

 

真名を消されかけた影響が残っていたのでしょうか。

それとも、長く天界と地上の境界に関わり続けたせいなのでしょうか。

 

詳しい理由は最後まではっきり分かりませんでした。

でも、元々身体が弱かったのだと思っていました。

 

だから覚悟はしていました。

 

途中から、もしかするとエンディングまで生きられないかもしれないとは思っていました。

思っていましたが。

スレイさんがひとりで墓前に立っている絵はきつかったです。

 

他の人たちは、それぞれ新しい場所へ進んでいます。

エオルミアちゃんとリシェラちゃんは、一緒に歩いている。

セノアくんとオルセイくんも、一緒に旅をしている。

イリシアさんは、子供たちのそばにいる。

ヴェルノさんも、たぶんそこにいる。

 

でも、スレイさんの隣には誰もいませんでした。

ずっと隣にいたはずのミクリオさんがいません。

スレイさんは墓に向かって何か話していました。

返事はありません。

当然です。

墓なので。

 

それでも、いつものように返事が来るのを待っているように見えました。

少し笑っていました。

泣いてはいませんでした。

それが余計につらかったです。

 

長命の天族でも、終わる時は終わるんですね。

何千年も生きられるはずだったとしても、病気なら仕方ない。

スレイさんも、きっと分かっていたのでしょう。

分かっていて、最後まで一緒にいた。

そういう場面なのだと思いました。

 

綺麗なエンディングでした。

 

エオルミアちゃんとリシェラちゃんは、自分たちの愛の形をちゃんと世界に刻んだ。

イリシアさんも、セノアくんとオルセイくんも、ヴェルノさんも、それぞれの場所へ進んでいった。

世界も変わった。

出生義務も、天界の濁りも、すべてが一瞬で完璧に解決したわけではありません。

でも、これから変えていける形になった。

 

皆、未来へ進んでいました。

 

でも、ミクリオさんだけは間に合わなかったんだと思います。

 

世界のルールが変わるまで。

エオルミアちゃんが新しい誓約を結ぶまで。

ルズローシヴ=レレイが、消すべき災厄ではなく、誰かの名前だったと認められるまで。

 

間に合わなかった。

 

最初に会った時からかなり具合が悪そうだったので、覚悟はしていました。

していましたが、やっぱりつらいです。

 

長命の天族でも、終わる時は終わる。

綺麗なエンディングでした。

 

でも、少しだけ痛いです。

幸せな絵の最後に、ひとつだけ戻らないものがある。

そういうエンディングなのだと思いました。

 

***

 

友人に、

「ミクリオさん、助からなかったんだね」

と言いました。

 

友人は少し黙ってから、

「そういうエンディングもある」

とだけ言いました。

 

そういうエンディングもある。

あるんですね。

つらい。

仕方ないんでしょうけど。

病弱でしたし。

このゲーム、全員が助かるとは限らないんですね。

 

しばらくしてから、引っかかりました。

あれ?

そういうエンディング「も」?

 

も?

 

今、もって言いました?

思わず聞き返しました。

「生存ルートあるんですか?」

「ある」

あるんですか!?

「ミクリオさん、助かるんですか?」

「助かるルートはある」

そういう大事なことを、もっと早く言ってください。

 

「もしかしてサブイベとか全部やるべきだった?」

「それもあるけど、今の状態なら二周目やるのがおすすめ」

「今の状態?」

「色々引き継げるし、強くてニューゲームできるよ」

「わかりました……」

 

急に二周目が始まりました。

 

エンディングを見終わった余韻に浸る時間はありませんでした。

ミクリオさん生存ルートがあるなら、やります。

やるしかありません。

 

アドバイス内容を聞いたときは衝撃を受けました。

条件分岐があったなんて知りませんでした。

いや、知らないですよ。

普通に遊んでいたら気づかないです。

 

最後の選択肢でルズローシヴ=レレイを消さないことはできました。

そこは分かりました。

でも、その後にも分岐があるなんて思わないでしょう。

エオルミアちゃんたちは世界を救いました。

誓約も書き換えました。

リシェラちゃんとも結ばれました。

スタッフロールも流れました。

普通にクリアしたと思うじゃないですか。

ミクリオさんの墓参りも、悲しいけれど決められた未来なのだと思います。

 

まさかプレイ内容で変わるとは思いません。

「初見が気づかないのも無理ないよ。あんな誘導されたら。ゲームの性格が悪い」

そうですか……。

作った側も性格が悪いと思っているんですね。

 

攻略情報も、ネタバレにならない範囲で教えてくれました。

主に期間限定イベントの場所とかです。

 

一周目では通らなかった町。

特定の時期に戻らないと発生しない会話。

災厄の名前を伝えるか選べる人物。

一周目では勝てなかった敵。

 

かなり取り逃していたみたいです。

 

友人には、

「二周目は、できるだけ違う遊び方をしてみるといいよ」

と言われました。

 

違う遊び方。

つまり、サブイベントを回収する。

選ばなかった選択肢を見る。

強くてニューゲームで、勝てなかった相手に挑む。

一周目では知らなかった情報を集める。

 

そういうことだと思います。

たぶん。

 

少し言い方が曖昧なのが気になります。

でも、詳しく聞くとネタバレになるので我慢します。

ミクリオさん生存ルートがあるなら、今度こそ見たいです。

病弱美青年が墓参りエンドで終わるのはつらいので。

 

スレイさんを、ひとりで墓参りに行かせたくありません。

 

一周目では間に合わなかったのなら、二周目では間に合わせます。

強くてニューゲームです。

装備も引き継げます。

今度はサブイベントも見ます。

グミも買います。

宿屋にも泊まります。

 

何をすれば生存ルートに入れるのか分かりませんが、できるだけ一周目と違うことをします。

そう決めました。

 

「あ、そうだ」

友人は言いました。

まだ何かあるんですか。

「簡易消滅術式の説明文、最後どうなってた?」

 

簡易消滅術式。

一周目で、ずっと使っていた回復アイテムです。

何度でも使えて、味方の体力を大きく回復できる。

戦闘外でも使える。

宿屋に泊まらなくてもいい。

グミも節約できる。

雑魚敵に触れて逃げれば何度でも回復できるという方法まで、自力で発見しました。

便利でした。

かなり便利でした。

 

途中で半裸の男に怒られましたが、それ以外では特に困りませんでした。

「最後?」

「クリア後データで見られるでしょ」

そう言われて、私はクリア後データからメニューを開きました。

アイテム欄を選びます。

 

簡易消滅術式。

 

味方単体の濁りを削り取り、HPを大きく回復する。

ルズローシヴ=レレイはもう、長くは保たない。

 

使用回数:324

 

長くは保たない。

見覚えのある文章です。

一周目でも見ていました。

 

でもその時は、もうすぐ災厄を倒せるという意味だと思っていました。

今は違います。

ルズローシヴ=レレイが誰なのか知っています。

ミクリオさんです。

ルズローシヴ=レレイは、ミクリオさんの真名です。

 

つまり。

ミクリオさんはもう、長くは保たない。

 

使用回数、324。

 

「あの」

「何?」

「ミクリオさんが病弱なのって、まさか」

「うん」

待ってください。

「最初から病弱だったんじゃなくて?」

「うん」

「私が会った時、もう立っているのもつらそうだったのは」

「うん」

「簡易消滅術式のせい?」

「うん」

「私が使ったから?」

「うん」

一回だけではありません。

324回です。

 

戦闘で仲間が傷つくたびに使いました。

少し体力が減っただけでも使いました。

ボス戦の前に全回復するために使いました。

グミを節約するために使いました。

宿屋代を節約するために使いました。

雑魚敵にわざと接触して、逃げて、回復して、また接触する方法まで使いました。

 

私は、ミクリオさんを削って回復していました。

味方の体力を回復するたびに、ミクリオさんの存在を削っていました。

 

「私のせい?」

「うん」

そんな簡単に認めないでください。

「墓参りエンドになったのも?」

「使用回数が多かったから」

「私のせい?」

「かなり」

 

さっきより少し表現が柔らかくなりました。

でも意味は同じです。

私のせいです。

 

「デメリットないって言ったよね」

一周目の最初に聞きました。

便利すぎて怖かったので。

何度でも使えて、強力に回復できて、敵まで弱体化する。

こんなものにデメリットがないのかと。

友人は言いました。

 

戦闘上ではないと。

 

「戦闘上では一部を除いてないって言った」

「一部って半裸の男の反撃のことでしょ!?」

「それも一部」

それも。

 

「じゃあ何? 仲間一人の寿命を削ることは戦闘上のデメリットじゃないから言わなかったの?」

「ネタバレになるから」

 

「詐欺だろ!」

 

Fin?

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