ミッション:災厄「ルズローシヴ=レレイ」を消滅させよ 作:Moa
火の宝玉編まで進めました。
今回は、1周目とは違う選択肢を選びます。
1周目では、半裸の男に殺された直後だったので怖くなり、
>災厄の名前を伝えますか?
で「いいえ」を選びました。
その結果、エオルミアちゃんは、
「天界に広がる濁りの根源を消滅させるためです」
とだけ説明しました。
嘘ではありません。
でも、全部ではありませんでした。
今回は言います。
言わなかったことで何が起きるのか、もう知っていますので。
>災厄の名前を伝えますか?
>はい
選びました。
エオルミアちゃんが宝玉を差し出します。
「この宝玉に、火の力を込めてください」
ライラさんが尋ねます。
「何のために?」
エオルミアちゃんは答えました。
「災厄ルズローシヴ=レレイを消滅させ、天界を守るためです」
言いました。
今回は、最初から言いました。
その瞬間、祭壇の火が止まりました。
消えたわけではありません。
燃え上がったわけでもありません。
炎の形をしたまま、まったく揺れなくなりました。
怖い。
ライラさんも、しばらく何も言いませんでした。
それから、
「今、何とおっしゃいました?」
と聞き返します。
聞こえていましたよね。
聞こえていたけど、聞き間違いであってほしかった時の聞き方ですよね。
エオルミアちゃんが、もう一度言います。
「ルズローシヴ=レレイです」
ライラさんは目を伏せました。
そして、
「申し訳ありません」
と言いました。
何がですか。
「その目的のために、火をお貸しすることはできません」
やっぱり。
1周目で名前を言っていたら、火を貸してもらえなかったんですね。
1周目で言ってください。
違います。
1周目では、こちらが言いませんでした。
すみませんでした。
エオルミアちゃんが尋ねます。
「理由を教えてください」
ライラさんは宝玉を見たまま答えます。
「その名は、災厄につける名ではありません」
知っています。
今は知っています。
ルズローシヴ=レレイは、ミクリオさんの真名です。
でも、エオルミアちゃんはまだ知りません。
「しかし、天界では災厄として記録されています」
「記録されていることと、正しいことは同義ではありません」
言われました。
その言葉、エオルミアちゃんが後で言うやつでは?
2周目では、ライラさんが先に言うんですね。
エオルミアちゃんは引きません。
「天界は現在も濁りに侵されています。火の力がなければ、術式を完成させることができません」
「完成させてはなりません」
「天界を救えない可能性があります」
「それでもです」
ライラさんの声は穏やかでした。
怒鳴っていません。
責めてもいません。
でも、絶対に譲らない声でした。
「その名を消すために火を使うのであれば、私は貴女がたをここから先へ通すことはできません」
画面が暗くなりました。
嫌な予感がします。
>BOSS BATTLE
>火の高位天族 ライラ
ライラさんと戦うんですか!?
1周目では優しかったですよね!?
いや、今も優しいです。
優しいから戦っているんです。
余計につらいです。
***
強いです。
半裸の男とは違う方向で強いです。
半裸の男は速いです。
遠くから風の術を撃ってきたと思ったら、すぐ近くまで詰めてきます。
ライラさんは動きません。
祭壇の前からほとんど動かないのに、こちらが近づけません。
床が燃えます。
前に出ると燃えます。
横へ逃げても燃えます。
後ろに下がったら、そこも燃えました。
どこへ行けばいいんですか。
しかもライラさん、戦闘中も口調が穏やかです。
「お下がりください」
と言いながら火を出します。
下がった先も燃えています。
「これ以上は危険です」
危険にしているのはライラさんです。
「どうか、おやめください」
こちらの台詞です。
優しい口調で全焼させてくる。
怖い。
好き。
やめてください。
***
アイテム欄を開きました。
簡易消滅術式が使用不能になっています。
>高密度の浄火により、簡易消滅術式が封印されています。
ライラさん、最初に封じたんですね。
私たちを倒すことより先に、ミクリオさんを削る術式を止めたんですね。
徹底しています。
今回はもともと使うつもりはありませんでした。
ですが、使わないことと、使えないように止められることは違います。
ライラさんは、こちらを信用していません。
当然です。
ルズローシヴ=レレイを消滅させると言った直後ですので。
グミを使います。
アップルグミ。
ピーチグミ。
レモングミ。
半裸の男と戦った時にも思いました。
グミって大事ですね。
1周目の私は「グミいらないじゃん!」と言いました。
いります。
世界を救います。
少なくともミクリオさんを削るよりは、グミを食べた方がいいです。
***
何度か負けました。
ライラさんは倒せる相手なのでしょうか。
人を焼けば目的がより正しくなるわけではないと言っていた人が、めちゃくちゃ焼いてきます。
ただし、よく見るとエオルミアちゃんたち自身を狙っているというより、宝玉へ近づかせないように攻撃しています。
こちらが祭壇から離れると、攻撃が少し弱くなります。
近づくと激しくなります。
この人、宝玉を守っているんですね。
違います。
宝玉から、ルズローシヴ=レレイを守っているんですね。
***
勝ちました。
祭壇の火も静かになります。
エオルミアちゃんはチャクラムを構えたまま尋ねます。
「なぜ、戦闘を停止したのですか」
ライラさんは答えません。
代わりに、こちらのアイテム欄を見るような演出が入りました。
簡易消滅術式使用回数:0
また見られました。
半裸の男にも見られました。
このゲーム、2周目になると皆が使用回数を確認してきます。
ライラさんが言います。
「戦いの間、一度もあの術式を使いませんでしたね」
「使用できない状態でした」
エオルミアちゃん。
そうですけど。
そういうところです。
ライラさんは少しだけ微笑みました。
「使用可能であったとしても、貴女は使わなかったのではありませんか」
エオルミアちゃんはすぐには答えませんでした。
ザビーダさんから聞いた言葉を思い出すような間がありました。
――そいつを使うたび、消えてく奴がいる。
やがて、エオルミアちゃんは答えます。
「何者かの存在を削っている可能性があると知りました」
「はい」
「その何者かが災厄であるのか、それとも消してはならない者であるのか、現在の私には判断できません」
「分からない状態で、使用するべきではないと判断しました」
ライラさんは目を閉じました。
祭壇の火が、少しだけ揺れます。
「分からないから、止めることができるのですね」
エオルミアちゃんは頷きます。
「発動可能であることと、発動すべきであることは同義ではありません」
出ました。
この台詞です。
1周目では、ルズローシヴ=レレイを消滅させる夢を見た後に言った台詞です。
2周目では、ライラさんとの戦闘中に、もうここまでたどり着けるんですね。
ライラさんが宝玉へ手を伸ばし、火を込めました。
「この火は、対象を焼くためのものではありません」
「では、何に使用するのですか」
「見失った名を照らすために」
エオルミアちゃんは宝玉を見つめます。
「ルズローシヴ=レレイを探すことができるのですか」
ライラさんはすぐには答えませんでした。
「その名を持つ方へ、道をつなぐことはできるでしょう」
方。
今、方と言いました。
もう災厄ではありません。
人です。
少なくとも、ライラさんにとっては、人として呼ぶ相手です。
「貴女は、ルズローシヴ=レレイが何者なのか知っているのですか」
エオルミアちゃんが尋ねます。
ライラさんは静かに答えました。
「知らない、と申し上げれば嘘になります」
知っています。
やっぱり知っています。
「ですが、私が語るべきことではありません」
また本人に聞けと言われました。
半裸の男にも言われました。
ライラさんにも言われました。
皆、教えてくれません。
いや、私はもう知っています。
ミクリオさんです。
でもエオルミアちゃんは、本人に会って聞かなければいけないんですよね。
ライラさんは最後に言いました。
「貴女がたの願いが、誰かを焼く炎ではなく、誰かを照らす灯でありますように」
1周目と同じ言葉です。
同じではありません。
1周目では、名前を伝えないまま火を借りました。
ライラさんは何を消そうとしているのか知らず、
「使い方を誤らないように」
と警告することしかできませんでした。
今回は違います。
名前を伝えました。
戦って止められました。
消滅のための火を拒否されました。
そして、探すための火を貸してもらいました。
同じ火属性の宝玉です。
でも目的が違います。
1周目では、ルズローシヴ=レレイの奥まで届くための火でした。
2周目では、ルズローシヴ=レレイのところまでたどり着くための灯です。
消すためではなく。
会うために。
聞くために。
ところで、ライラさんを倒した実績が解除されました。
>実績:厄を焼く?
いいんですか、それで。