ファイナルファンタジーⅣ ~IF~ 作:FF4熱再燃中
ファルコンに乗り込み、封印の洞窟へ向かっていたセシルたちだったが、途中でリディアが行きたい場所があると告げられた。
「行きたい場所?」
「うん。一つは幻界。女王様や幻獣王様のお力をお借りしたいの」
リディアは、きっと二人なら力を貸してくれると考えていた。
最後のクリスタルを守り、これから始まる戦いに備えるためにも、幻界へ立ち寄ることを提案する。
「そしてもう一つは……」
「もう一つは?」
「……呼ばれてるの」
「呼んでる?こんなところで?」
エッジは怪訝そうに周囲を見渡す。
「罠の可能性は?」
「それはないと思う……とても切羽詰まってる感じがする」
リディアは目を閉じ、遠くから届く気配に意識を集中させる。
その声には、助けを求めるような切実さがあった。
「切羽詰まってる?」
「……行ってみよう、リディア。方角は?」
「あっち」
リディアが指し示した方向へ、一行は進路を変える。
呼び声を辿るように洞窟の奥へ進んでいくと、やがて周囲の景色には不釣り合いな一軒の家が姿を現した。
「お邪魔します……」
「キャッ!! 人間!?」
「何しに来たの、出て行って!!」
セシルたちが家の中へ入ると、中にいたエルフたちは驚いたように身を引いた。
怯えた様子で距離を取る彼女たちに、セシルたちも戸惑いながら立ち止まる。
「待って、私を呼んだのは、あなたたち?」
リディアが尋ねると、エルフの一人が彼女をじっと見つめた。
「……あなた、召喚士ね」
その言葉に、リディアは静かに頷く。
「……こっち」
エルフに案内され、家の奥へ進んだ一行は、ベッドに寝かされている一人の男に気づいた。
その姿を目にした瞬間、セシルたちは驚きに息を呑む。
「ヤン!?」
そこにいたのは、巨大砲の爆発に巻き込まれたはずのヤンだった。
ヤンが生きていたことに、セシルたちは驚きと喜びを隠せなかった。
「ヤン!」
「……………………」
セシルたちはすぐに駆け寄り、ヤンへ声をかける。
しかし、ヤンは目を閉じたまま、何の反応も示さなかった。
「この穴の入り口で倒れてたの。辛うじて名前は教えてくれた。でも、それっきり目を覚まさないの……」
「怪我もだいぶ治って、ずっと看病しているのに……私たちの愛じゃ駄目なのかしら……」
エルフたちは悔しそうにヤンを見つめる。
傷はもうほとんど癒えている。それなのに、どれだけ声をかけても、どれだけ看病を続けても、ヤンは眠り続けたままだった。
「医者に聞けば何かわかるかも……ヤンを連れてってもいいかい?」
「ヤンは渡さないわ!」
「そんな……」
ヤンを引き取ろうとするセシルたちだったが、エルフたちは頑なに拒んだ。
自分たちが助け、ずっと看病してきたヤンを、簡単に手放すつもりはないらしい。
エルフたちの言葉に、セシルたちは顔を見合わせる。
「ヤンが起きない限りは、無理そうだな」
「でも、起きないんだろ?このままじゃ八方ふさがりじゃねえか」
「いい手がないか、ファブールのヤンの奥さんに聞いてみる?」
「大穴がふさがっている以上、今すぐには無理だが……考えられる方法としてはそれしかないだろうな……」
それぞれが考えを口にするものの、ヤンを目覚めさせる方法はすぐには見つからない。
それでも、手がかりがあるとすれば、ヤンをよく知る人物に尋ねるのが一番だった。
「起こす手段を探してくる。それまでヤンを頼む」
「あなたに言われなくてもそのつもりよ!」
眠るヤンをエルフたちに託し、セシルたちは洞窟を後にした。
◇ ◇ ◇
セシルたちは、もう一つのリディアの行きたい場所──幻獣界へ向かう。
リディアの案内で幻獣界へと辿り着いた一行は、女王アスラと幻獣王リヴァイアサンの試練に立ち向かう。
激しい試練を乗り越え、見事にアスラとリヴァイアサンに力を認められたセシルたちは、二人の加護を得ることとなった。
「時にお主」
「僕ですか?」
試練を終えたセシルたちの前で、幻獣王がセシルに声をかけた。
「海上では手荒なことをしたの、遅ればせながら謝罪しよう」
リヴァイアサンは、ファブールからバロンへ向かう途中、セシルたちの船を襲ったことを詫びる。
「あの暗黒騎士のままでは、お主はゴルベーザには決して勝てなんだが。リディアを保護するのに合わせて止めさせてもらった」
「いえ……あの後、ミシディアにたどり着いたからこそ、僕も暗黒騎士としての過去を乗り越えることができました」
セシルは静かに答える。
あの時、リヴァイアサンに船を襲われたことも、ミシディアへ流れ着いたことも、すべてが今の自分へ繋がっている。
暗黒騎士だった頃の自分と向き合い、パラディンとして生まれ変わることができた。
だからこそ、あの出来事を恨む気持ちはなかった。
「ほう……ヤツの言ったとおりになったか」
「?」
幻獣王の言葉に、セシルは怪訝そうな顔を浮かべる。
「地上へ出ることができたら、バロン城へ向かうのじゃ!」
「バロン城へ?」
「そこで……一撃必殺の刃を持つものがおぬしたちを待っておる」
そう告げると、幻獣王はそれ以上のことを語らず、口を閉ざした。
リヴァイアサンの言葉に、セシルたちは顔を見合わせる。
その「刃」が何を意味するのか、今の彼らにはまだ分からなかった。
予約投稿ミスったので、そのまま……
次話は8/18 0時で投稿します。