皇帝の妹   作:ベアグミの妖精

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今回かなり短めです。


疑念

時間は静かに流れてゆく。

 

七歳。

 

八歳。

 

九歳。

 

成長するにつれ、ゼータの見ている世界も変わっていった。

 

ゼータは自身にだけ見えるその光をウマソウルと呼ぶことにした。

 

ウマソウルは、ただ光るだけではない。

 

その輝きの奥に宿る想いが願いが、以前より鮮明に感じられるようになっていた。

 

デビューを夢見る少女。

 

何度負けても立ち上がる少女。

 

家族の期待を背負う少女。

 

それぞれの光は違う。

 

多種多様、同じ色は一つとして存在しない。

 

「みんな……こんなに頑張ってるんだ。」

 

ゼータはレースで競い合うウマ娘たちを見つめながら、小さく呟く。

 

笑顔の裏にある悔しさも。

 

震えるほどの努力も。

 

その胸の光は、すべてを物語っていた。

 

だからこそ、ゼータはいつしかこう考えるようになった。

 

(この子たちには、この子たちの夢がある。)

 

(込められた願いがある。)

 

(紡がれた運命がある。)

 

ウマソウルは未来を見せるものではない。

 

だが、その輝きから感じる確かな”運命の流れ”は、幼いゼータにある種の確信を抱かせるには十分だった。

 

それは、決して変えてはいけないものなのではないか。

 

そしてそれがない自分は一体なんなのか。

 

そんな思いが、少しずつ心の中で疑念の種へと変わってゆく。

 

 

 

ある日。

 

ゼータと競争していたルドルフは少し後ろで走っているゼータを見て、

目を見開いた。

 

「……速い。」

 

まだ遊びの延長。

 

本気で誰かと競っているわけでもない。

 

それでも、ゼータの走りは目を引いた。

 

地面を蹴る力。

 

身体の軸。

 

コーナーでの姿勢。

 

どれも年齢に見合わないほど完成されていた。

 

だが、本人は気付いていない。

 

ただ風が気持ちよくて、姉を追いかけているだけだった。

 

「ゼータ!」

 

ルドルフが笑顔で名前を呼ぶ。

 

「もう一回競争しよう!」

 

「うん!」

 

笑って駆け出す妹を思い、ルドルフは自然と笑みを浮かべる。

 

(ゼータは、きっと素晴らしいウマ娘になる。)

 

その言葉を、ルドルフは胸の中だけで呟き、先に行ったゼータの背を追う。

 

一方でゼータは、風を切る感覚の中でふと周囲のウマソウルを見た。

 

たくさんの光が、それぞれの夢を抱いて輝いている。

 

その瞬間、胸が締めつけられた。

 

(何もない俺がもし、この子たちより速かったら。

 もしこの子たちに勝ってしまったら。

 この子達の夢も努力も光も全て消えてしまうかも知れない。)

 

その疑問はまだ小さな種だった。

 

だが、その種は一人の少女を惑わすには十分すぎたそして、やがて大きく育ったその花は、ゼータが自らの夢に蓋をする十分な理由になっていく。




ゼータは同年代と比べてめちゃくちゃ賢いです、ですがそれでも子供は子供一度そう考えて仕舞えばしまえば賢い分余計に深く思い込んでしまう、しかも相談しようにも自分にしか感じることは出来ない、そして種はじわじわと芽を出し育ってゆく、今後の展開をお楽しみに。

次の投稿はまぁまぁ先だと思います。

追記
第四話より先に多分ゼータの設定的なの出すので、こう言うの知りたいってとこあれば感想下さい。
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