〜クイラ王国での使節団の動向〜
日「おっ(石油と各種鉱石)あんじゃーん。(素材にするから)くれない?」
杭「あぁ^〜いいっすねぇ^〜(貿易成立)所で俺もやったんだからさ(対価にインフラ輸出を要求)」
日「おかのした(3ヶ月弱で超大型港と交通と各種採掘施設に精製施設を建設)」
杭「ファッ!?これもうわかんねぇな」
〜以上〜
その後、約1年の年月を掛けて、日本とクワ・トイネ、及びクイラは貿易を行った。
以下は各分野における変化をダイジェストでお送りするものである。
「これは…ステゴサウルス…???」
硬い背鰭が生え揃う背中、尾の棘、全体的に細長い体。それはまさにステゴサウルスだった。
種子植物を、というか小麦を当然のように食って、放牧されていなければもっとそう思っただろう。
「ソイツは、今から40年くらい前に廃墟の周りで見つけたやつの孫なんです。」
「廃墟…ですか?」
「ええ。誰も住んでないし、埃も少し積もってましたから、多分そうだと思いますよ。」
「…この動物は、なんという名前なんです?」
「草薙竜って呼んでますよ。」
「草薙竜…草薙竜ですか…」
「すいません、草薙竜の剥離した体組織の一部とかあります?サンプルとして持って帰りたいんですけど。」
研究者が横から突っ込んでくる。
「たいそしき…?卵の殻とかでも良いです?」
「もちろん!」
「…はぁぁぁ…」
未知の生き物に興奮するのは分かるが、もう少し抑えて欲しい。付き添いの外交官はそう思った。
自分とて恐竜を目の前にして好奇心がくすぐられるのは同じだが、ちゃんと自分を律して抑えているのだ。なのに…
「そうだ、その廃墟についてもどこにあるのか、教えてもらえます?」
「良いですよー。ここからこう行って……」
「ここがその廃墟…ですか。」
「なんというか…至って普通の煉瓦造りですね。」
異世界生物研究チームの数名は、建物内を探索。結果、畜舎のようなものだと判断した。
「特に変わった所もありませんね…至って普通の畜舎ですね。」
「あのー!こっち来てくださーい!」
チームの一名が呼び掛けている。特に変わった所もなかった他のメンバーは、呼ばれた場所へと集まってくる。
「あの、これ。」
「米…ですね。何か変ですか?」
クワ・トイネ公国では、小麦に米、ジャガイモやとうもろこしとよく似た穀物が多岐にわたって生えており、米があることはなんの問題もないように思えた。
「何言ってるんですか、この辺の地域は小麦が主に生えている地帯ですよ?米なんて態々取り寄せないとこんな場所に持って来れませんよ。」
「…言われてみると…確かに…」
「それにこの米、クワ・トイネで採れる米と微妙に違いますよ。」
言われて注視してみると、確かに丸みを帯びた見た目だ。確かクワ・トイネで採れる米は、東南アジア系の細長い形だった筈だ。明らかに形状が違う。
「…これも持ち帰って調査してみましょうか。」
「ですね。」アッコレタネモアル
「ふ…ふふ…アッハハハハハハハハ!!!!」
「なんだこれ、何だコレ!!三重らせんの核酸構造だなんて初めて見た!!発狂ものだなこんなの!フフフ…」
「すごい、凄いぞ草薙竜!!」
「あの…」
「何だね、今それどころじゃ無いんだが。」
「その草薙竜なんですけど…増肉係数が1.0を下回ってます…」
「は?」
「詳しく調査した結果、0.8ぐらいだと…」
「は???」
「ヒッ!?」
「0.8…0.8?つまり餌より肉になる量の方が多いのか?」
「そんな…そんな生物が存在していいわけがない!!」
「だが事実としてそこにある!!何か理由があるんだな!?ヒャッハーー!!!草薙竜面白いぜェ!!!」
その日、研究室は阿鼻叫喚の渦に飲み込まれた。
ちなみに廃墟から採集された米から、大規模なDNA編集の痕跡が見つかったが、異世界の生物の話題に全て掻っ攫われていった。
旧太平洋、現在はクワ・トイネと日本の間の海であり、暫定太平洋となっている海。
そこを航行する、一隻の調査船があった。
「魚群探知機に反応あり。これは…かなりデカいですね。鯨の群れでしょうか?」
魚群探知機が、大型海中生物らしき群れを捕捉する。その大型海洋生物の群れの前には、さらに別の群れの反応がある。
「これは…マグロの群れか何かでしょうか?」
「マグロ…って何です?」
クワ・トイネから出向している漁師が質問する。
「大型の回遊魚ですよ。このぐらいの大きさの…」
「んー…この辺りでデカい魚つったら…まさか、大槍魚?」
瞬間、漁師は慌てる。
「いかん、大槍魚だとするとまずい、今すぐ船内に避難しなくては!」
「何か問題が?」
「大槍魚は光に向かって槍みたいに突撃するんですよ!このままだとこの船に突撃してくる!」
「なっ、そんな魚が…!?」
魚群が、船に近づいてくる。すると、海面に魚の背びれらしきものが複数見えてくる。
背びれの群れは、調査船に向かって明確に加速を始めた。
「まっず…シールドを張れないか!?」
「シールドって…この艦のMMEデバイスは捕獲目的の力場網ですよ!?シールドシステムなんてインストールしてませんよ!」
「それで良いから、艦の周りに張ってくれ!」
「あーもう、防げるとは言い切れませんからね!」
艦の周囲に、粒子が放出され、不可視の力場が展開される。
次の瞬間、大型の魚が海面を突き破って跳び上がり、窓越しの灯りへ一直線に突撃した。
その全ては、力場の網に捕らえられて動きを止める。
「あっぶなぁ…結構な速度でカッ飛んできましたね…うわ、これは槍だな確かに。」
力場の網に捕らえられ、ビチビチとしきりに体を震わせる、1m程もある魚。見た目はカジキマグロに似ているが、先端の突起は返しが幾つも生え、金属光沢に包まれている。
「他の大槍魚はどうした?魚群からしてこれだけじゃないだろう?」
「船の下を通過して、北東に向かってます。」
瞬間、海中で強烈な光が発生する。発生源は大型の海洋生物の群れ。
「うわ眩しっ!?」
「…あ、あれ。」
船員が指差した先では、先程の大槍魚が光を見て気絶したのか、ぷかぷかと浮いていた。
「わぁ…異世界に来てネッシーを見れるなんて幸運だなぁ…()」
船員が見たもの。それは、海面からゆっくりともたげるように姿を表す首と頭。その姿は首長竜に似ており、額には水晶が埋め込まれている。他の個体も次々と顔を出し、気絶した大槍魚に向かっていく。
「あぁ、ありゃあ首晶竜じゃないか。」
「ご存じなので?」
「あいつらは人懐っこくてなぁ…船を出すとたまに寄ってくるんだよ。ほら、額に水晶があるだろ?アレが特徴なんだ。」
「あの水晶から光を出して魚を狩ったりするんだよ。あとはあの光でよくこっちに話しかけてきたりもするぞ。」
「へぇ〜…って光で話すんですか?というか意思疎通が可能なんですか?」
「あぁ、よく点滅させながらこっちに寄ってきたりするな。たまに港まで着いてくることもある。」
異世界はすごいなぁ。研究者は止まらない研究欲を必死に抑えながらそう思った。
「にしても…」
研究者が、机の上に置かれたソレを見る。
以前クワ・トイネの歴史博物館に展示されていた、謎のライフルと謎のランス…
その"同型品"が置かれていた。それも4セット。
「よくこんなに見つかりましたね…ビームライフルですよビームライフル。それも携帯出来るサイズの。重さは全くもって携帯するのに向いてませんが。」
「それが…クワ・トイネに出現した遺跡のいくつかでは、簡単に見つかるものらしくてな…手元にあるだけでも、あと10セットはあるらしい。」
「10セット。」
「重くて運んでいないものを含めたら、もっとあるそうだ。」
「なそ
にん」
「多分コイツらはセットで量産されてきたんだろう。何処の誰がこんなものを作ったのかは知らないが。」
「私が知っている限りだと、粒子兵器なんて空想上の存在でしかないですからね…現物がこうして目の前にありますけども。」
「だが、マナイリリウムが粒子兵器用の粒子として使えそうという話はあったんじゃなかったか?実際コイツにも使われているようだし。」
「だとしても、ですよ。最低でもあと50〜60年は掛かるとされている兵器ですよ?それが携帯化されてるなんて…何の冗談なんだか…」
「そうだ、内部回路の解析はどの程度進んでるんだ?」
「あぁ、それですか。制御回路が全くの未知の回路でしたので手こずってましたが、よく見ると電子回路に少し似てたんで、試しに電子回路と比較してみたら結構簡単に行ってますよ。」
「ちょうど昨日、コンバータとコネクターの開発が終わったんで、コネクタが来れば内部のソフト部分の解析も進むかと。」
そう述べたその時、ちょうど他の研究員がエネルギーコンバータとコネクターを持ち込んできた。
2人は早速とばかりに粒子ライフルのコネクタ部分に接続、内部ソフトの反応を見ようと接続した所…
「…えぇ…?」
「…凄く見覚えのある言語というか…」
「…C++だよなこれ?」
「Rustとかもありますね。というかやけにあっさり入れましたね…」
「普通こういうのは外部からの不正アクセスを防ぐような装置があるはずだよな?なんでこんなあっさり中身をいじれるレベルまで入り込めるんだ…?」
「…まぁいい。とにかく解析を始めようか。」
それから解析を始めてしばらくして。
「あっ、これ、もしかして製造年月日じゃないですか?」
内部コードを解析中に、偶然ホログラム式HUDに表示された数値。それにはこう書かれていた。
MFG DATE : 2080/01/21
ACCEPTED : 2080/01/23
「…それでは、クイラ王国からの資源輸入状況はどうですか?」
多数の微細なポリゴンによって構成された仮想会議室に、一人の声が響く。
そこには何人もの閣僚や、各分野から招集された専門家達の姿があった。
もっとも、その誰一人として実際にこの場所にいるわけではない。
各々の姿をリアルタイムに再構成した仮想像が、一つの仮想会議室に同期されているに過ぎなかった。
「現在、クイラからは現需要を満たす基礎金属、例ですと鉄やアルミ、銅などを輸入できております。その他にも各種プラスチックの原料となる石油や、一部天然ガスの輸入も行えております。」
「一国でこれだけの資源が揃ってしまうのか…」
手元にホログラム表示されている資料を手に取り読んだのか、1人がそう呟く。
「ひとまず、山場は越えたとみて良いのでは?」
1人が言葉を発し、それに同意するような雰囲気が流れる。が…
「いえ、未だ見つかっていない資源が幾つかあります。」
「珪石や白金族等は未だ供給の目処が立っていません。このままでは電子機器の再生産はかなり難しいと言わざるを得ないかと…」
誰かが息を呑むような音が響く。
「それは…」
「現状では電子機器のリサイクルを行うなどして何とか供給を行っていますが、このままでは経済の回復は厳しいと言わざるを得ないかと。」
「……」
「既に先月打ち上げたH-3ロケットに搭載した、資源探索衛星による地表精査と並行して、調査船による探索と、外交方面からの調査を行ってもらう他無いかと。」
「…時間を掛けすぎれば、産業基盤そのものが持たない…」
その後、現在の日本の経済状況や食糧供給、ロストテクノロジーの再現などについて話し合われ、最後に外務省からの報告が行われた。
「…そして、件のロウリア王国ですが…大規模な人間の移動や資源の動きから見て、早くて1ヶ月以内にクワ・トイネ公国へ侵攻するのではないかと。」
「クワ・トイネ単独での撃退は可能か?」
「海上は既に供与した無人哨戒艇12隻と、有人指揮艇3隻で対処可能だろうとの事ですが、陸上は…彼らが自ら作り上げたライフル砲やボルトアクションライフルがあるぐらいで、ロウリア王国の推定動員数と比較しても敗北はほぼ必定かと。」
「自衛隊の派遣は可能か?」
「…要人保護の名目で、49式を数領と自動車化歩兵小隊一個程度であれば、先行派遣は可能かと。」
「それは…足りるのか?」
「ロウリア軍との正面戦闘を目的とした戦力ではありません。避難誘導を想定し、通常編制より人員輸送車を大幅に増強しますので、侵攻を受けた場合でも撤退支援は可能かと。」
「その後、正式に自衛隊へ防衛出動を命じていただけるのであれば――戦争そのものを終結させることも可能です。」
「問題は、防衛出動に至るまでの法的整理か。」
誰かの溜息が仮想会議室内に響く。それに一拍置いてから、再び説明が始まる。
「はい。現時点で我が国はロウリア王国を国家承認しておりません。クワ・トイネへの侵攻が開始された場合、現地邦人及び保護対象への危険を根拠として――」
「……また随分と苦しい理屈になりそうだな。」
「承知しております。」
「だが、今はそれで行くしかないか。」
「法制上の問題については、事態終結後に改めて議論すべきでしょう。」
その後、武力侵攻の可能性を鑑みて、クワ・トイネ公国との会談、及び話すべき内容についても協議され、会議は次なる話題へと移っていく…
近年になって、とある国際プロジェクトの為に建設されたメガフロート、及び異様に巨大な滑走路を持つ空港。
そこで、1人の技術屋が視察にやってきた官僚に説明を行なっていた。
「…改めて見ると、とんでもなく大きいな。」
「全幅百四十メートルですからね。中央部だけで幅約四十メートル、そこから左右に約五十メートルずつ翼が伸びています。こんなものが空を飛ぶなんて、本当信じられませんよね…」
巨大なメガフロートの上に横たわる機体を見上げる。航空機というより、一つの巨大建造物と言った方が近い。
「元々は米国企業主導だったかな?」
「ええ。主契約企業は米国ですが、日本と欧州の航空・重工・電子機器メーカーも多数参加しています。世界で建造されたのは四機だけ。その一機が、たまたま日本で試験飛行を行っていた時に…」
「我々と一緒に転移した、と。」
「そういうことです。」
「しかし、コイツは何のために作られたんだったかな?」
「豪華旅客機ですよ。いわゆる空飛ぶ豪華客船で、日米欧間の就航を想定していました。」
「……。」
絶句する官僚を尻目に、更なる解説が加わる。
「もっとも、今となってはオリジナルのまま維持することもできません。国外企業が担当していた部品も多いですから。」
「…それでリバースエンジニアリングを?」
再起動を果たした官僚の問いかけに、流暢な口調で答えていく技術屋。
「はい。幸い、日本企業も開発へ参加していましたし、共同開発資料もかなり残っています。再現不能な部分は国内製品で代替。ついでに長期滞空能力や自己整備能力も強化しています。」
「ついでに?」
「どうせなら、補修以外では着陸しなくて済むようにしようかと。」
「……いや、確かに新世界の広さなら合理的な結論だ…それに、巨人機を降ろせる滑走路など日本国外にはまず存在しない。だが…可能なのか…?」
「あと半年もあれば、飛ばせる程度には。」
「……。」
その日の事を官僚は後にこう言った。『技術者って凄いんだな…』と。
ロウリア王国、ハーク城。松明の光でほのかに照らされた部屋にて、玉座に座る男、ハーク・ロウリア34世は周囲の配下へ、静かに語りかける。
「…間も無く、戦争が始まる。」
「薄汚い亜人共を奴隷とし、神々が我らに与えたもうた祝福されし地を、我らが神々と祖霊に捧げる聖なる戦だ。」
「亜人共は愚かにも我らに抗い、神々の代行者たる我々に逆らおうとするだろう。」
「だが心配する事はない。我らには神々と、祖霊達の加護がある。」
「50万の兵が在る。」
「4400隻の大船団が在る!」
「我らには、神が与えし叡智がある!」
「神が与えし魔なる力がある!!」
「諸君!!これは聖戦だ!!我らの覇権は、覇道は!!これから始まるのだぁ!!」
瞬間、広間に響き渡る大歓声。時を同じくして、城の外からも歓声が響き、城全体にビリビリと反響する。
ここに、ロウリア王国はクワ・トイネ公国へ侵攻する事が決定された。
異世界に、動乱の時代が訪れる。世界は変革を余儀なくされ、やがて文明圏すら越えて轟く旋風が吹き荒れる事だろう。
これは、その序章だ。
前回投稿:2026/07/27
今話投稿:2026/08/17
「おいゴルァ。クルルァ降りろ。」
「ヒッ、すいやせん許してください、なんでもしますから。(何でもするとは言ってない)」
「アイスティーしかないんだけど、飲む?(静かな圧)」
「えっ」
「飲む?(圧)」
「アッハイイタダキマス‥」
「ンアーッ!」(作者からのお詫び:1ヶ月近くお待たせして申し訳ない。)