人生は詰んでいたと思っていましたが間違いでした。ダメ人間はチートスキルで無双します。   作:燈夜4649

55 / 55
はっはっは

「凄い活躍だったなジュリアは! そうは思わないかアレフ!」

「そうだね、ジュリアは頑張ったよ」

「そんな、私……結局怖がってばかりで……」

「そんなことないって! 何事も一歩一歩だよ。そのうちジュリアもアンデッドに慣れるさ」

「そうとも! ジュリアは頑張った! だからこうして今日もリンゴが美味い! はっはっは!」

 

 シグの意味不明なバカ笑いは置いておくとして。

 ジュリアは頑張ったと思う。

 結局今回も「キャーキャー」言い回っていたけれど、結局はジュリアが幽霊を退治してくれた訳だし。

 

「そうね。ジュリアちゃんは頑張ったわ。そしてアレフ君、そんなジュリアちゃんに力をあげたのはアレフ君よ?」

「え?」

「もう! お姉さん羨ましいわ~。ね、アレフ君?」

 

 しなを作ってファラエルさんが片目を瞑る。

 そしてジュリアは耳まで顔が赤くなる。

 うーん。

 俺、何かジュリアにしたのかな?

 

 ◇

 

「アレフさん、アレフさん? もしくはファラエルさん? ファラエルさんは、おられますか?」

 

 それは受付のシンディさんの声。

 流れる金髪が煌いている。

 

「なにか?」

 

 と、俺に気づいたシンディさんはトトトと俺に寄って来る。

 

「ご指名の依頼です。魔術学院からです」

「魔術学院!?」

 

 ファラエルさんが炎の魔術師たちの伸びた鼻を圧し折った場所。

 日陰者のファラエルさんが毛嫌いしていた場所。

 そんな魔術学院が、俺たちを指名してきた?

 

 ◇

 

 俺はみんなにその話をした。

 すると絡まれる絡まれた。ファラエルさんがムキになって噛み付いて来たんだ。

 

「どうして依頼を受けたのアレフ君。あたし……お姉さんは怒らないから、これがどう言う事か説明してもらえるかしら」

「いや、そのあの……報酬が破格で……ちょっとお金に目が眩んだんですごめんなさい!」

「そう。それで? どんな内容の仕事なの?」

「なんでも魔術学院のお偉いさんが大ポカをやっちゃったみたいで、魔法のアイテムを無くしたとか。そしてそれが厄介な物らしくて……」

「何その依頼! めちゃくちゃ怪しいじゃない! どう考えても面倒よそれ!?」

「そうかな?」

 

 そんなに怪しい依頼だったのかな?

 

「で、それってどんなアイテムなの?」

「直接、その無くした人が教えてくれるらしいんです。話を聞きに行きましょう?」

 

 ◇

 

「で、導師、話してくれるかしら」

「うむ研究のために封印の間から出したは良いものの、なぜかどこかのバカ者が金目の物と勘違いして盗んで言ったのじゃ」

 

 老魔術師──導師だそうだ──は実に軽く言ってくれた。

 

「あ、あの……それは危険なものなのですか?」

 

 俺はファラエルさんと老魔術師の会話に割り込む。

 

「ああ。魔神の作った厄介極まるアイテムでな? 実害は無いのじゃが、とにかく騒動になるのは間違いない」

「魔神!?」

「そうじゃ。悪魔は人の嫌がる事を心の喜びとして糧とするからの。その「人の嫌がること」をするのがあやつら、悪魔の役割じゃ」「どうしてそんな危険な物の封印から解いたんです!?」

「研究のためじゃ。魔神の作ったアイテムじゃが、何とか人の役に立てる事はできぬかと思っての……」

「もう良いでしょアレフ君。それで導師、誰に盗まれたのか心当たりは?」

「ない! じゃが、直ぐアイテムの在り処はわかる筈じゃ」

「なら、どうして自分で探さないんです?」

「言ったじゃろう。あのアイテムは危険なのじゃ。それに年寄りにはちと辛い」

「……?」

 

 ◇

 

「笑ってる人が怪しい!? なにそれアレフ」

「笑うアイテム!? 何だそれは! 食えるのか!?」

「……食べものじゃないと思うよ、シグ」

「なんだ、残念」

「とにかく、聞き込みだ」

「……そうね」

 

 ──こうして俺達は「近くに笑っている人物がいないのか?」などというバカな聞き込みを始めたのだ。

 

 ◇

 

「ハンスの奴がおかしいんだよ。急に笑い出したと思ったら笑い声が止まらなくってさ……その箱を捨てたとたん笑い止んだんだ」

「エリスが箱を拾ってきたんだけど、エリスったらおかしいんだ。狂ったように笑ってて……綺麗な箱だったけど、気持ち悪いからその箱は捨てちゃった」

 

 笑いの箱。

 それは噂と共に多くの人手に渡っていて。

 

 ◇

 

「結局、箱の在り処はわからなかったなアレフ!」

 

 とリンゴを齧りつつシグ。

 

「そのうち見つかるよ」

 

 と、その時。冒険者ギルドの門を潜る怪しすぎる笑い男がいた。

 その姿はどこかで見た事のある吟遊詩人──エリフキンさんだ!

 

「あははははははは! あっはははははは、ははは、ははは、ははははは!」

「苦しそうな笑い声だな? って、エリフキンではないか!」

「エリフキンさん!」

「あっははははは! アレフさん、あははははは! 君達がこの箱を探してあはははは! 聞いてね、あっはははは!」

「エリフキンさん!?」

「ほら、渡すよあっはははは!」

 

 そしてきらりと輝く小さな小箱が投げられる。

 

「いただきなのだ!」

 

 ストン。

 

「はっはっは、手に入れたのだーはっははっは、は? わ、笑い声がわっはははは、と、とまらなはっはっは!」

 

 箱を手にしたシグの笑い声が止まらない。

 

「お、おいシグ?」

「はぁ、はぁ、疲れたよアレフさん。笑いを届けるのが僕の仕事だけど、こんな笑いはちょっとね」

「はっはっは! はっはっは! おいアレフはっはっは! なんとかしろはっはっは!」

「確かに魔神の作ったアイテムね。ああ、恐ろしい──あははははは! どうしてシグルデちゃんあはははは! あはははは! あたしに渡すのよあはははは! ほ、ほらジュリアちゃん!?」

「い、いらないですあははは! あはははは! た、あはははは! 助けてははははは! ライア様はははははは! アレフあはははは!」

「いや俺に押し付けるなよジュリあはははは! あっははははは! あははははは!!」

 

 酒場は今夜も笑い声が止まらない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす(作者:オタリオン)(オリジナル:SF/冒険・バトル)

底辺Vtuberの根黒万太郎。▼十年前にやり込んでいたロボゲーの続編やったら動きが変態過ぎて大バズり!▼闘争を求めてやって来る強き変態たちに万太郎は更なるバズりを求める。▼果たして、万太郎は底辺を卒業しトップVtuberとなれるのか?▼(☆):他者視点有りのマークです。▼※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。


総合評価:1489/評価:7.56/連載:91話/更新日時:2026年09月18日(金) 21:44 小説情報

転移したらスライムと一緒だった件:REY(作者:びよんど)(原作:転生したらスライムだった件)

▼なんてことはありません。▼ゴジラを人型に圧縮したような理不尽極まる怪物が、悪くないスライムと同じ場所に居たってだけの話です。


総合評価:946/評価:8.6/連載:77話/更新日時:2026年10月02日(金) 12:15 小説情報

分身スキルの最強戦術って自爆特攻じゃね?(作者:sasarax)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

異世界に転生したにもかかわらず、奴隷として酷使される日々。▼剣も魔法も学べず、唯一の武器は自分の分身を生み出すスキルだけだった。▼なんとかその分身スキルを使って成り上がろうと試行錯誤する中、主人公は気付く。▼分身の自分であれば死んでも別に問題ないじゃないか、と。▼足らない力の代わりに命をかける。▼守るべき誰かを自分の命を投げ捨てて守る。▼大丈夫。だって、分身…


総合評価:19277/評価:8.95/連載:98話/更新日時:2026年10月01日(木) 16:18 小説情報

鑑定スキルで未来ある若者の人生を正しい方向に捻じ曲げ続けてきた男、捕まる(作者:ニガサー)(オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル)

転生者のタレスはチート染みた鑑定スキルで、未来ある才能に恵まれた若者に、才能の使い方を教えることにハマっていた。▼そんなタレスによって、人生を正しい方向に捻じ曲げられた若者、数知れず。▼しかしタレスはそんなこと一切気にせず、今日も才能ある若者を導いては彼らの脳をバチバチに焼き尽くしていた。▼そんなある日、タレスのもとにかつて導いた少女が英雄になって訪れる。▼…


総合評価:8396/評価:7.84/連載:4話/更新日時:2026年05月14日(木) 19:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>