ワールドオブぞんび ~ぞんび世界でオレたちだけギャルゲー!?~   作:しょーもないおっさん

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ルート5 第1話

空から光の柱が降ってきて、光が消えた後に、その場にいたのは3人の男女であった。

 

「コレが転移?……そしてココが新しいエリアね、工場跡地?なのかしら?、あの遠くの方に見えるのがきっと倉庫跡ね、

それにしても……素晴らしい。まさか、あの伝説のカルト映画のオープニングと、全く同じロケーションに立てるなんて……。

赤城さん、あそこの崩れた壁を見てください。まさにここから、最初の犠牲者が悲鳴を上げて逃げ惑うんですよ。

現実が名作を忠実に再現している……ゾクゾクしますね」

 

崩れかけたコンクリートの壁を見上げながら、三人のうちの女性、黄瀬蘭がそんなことを言った。

端正な顔立ちだが、平常運転のサブカル脳であった。

 

「黄瀬さん、私たちはもう序盤じゃないですよ?映画なら中盤あたりか、終盤の始まりくらいじゃないですか?」

……あ、ちょっと、青山さん、先にいかないでください!」

3人の内の二人目、赤城紅一が黄瀬にツッコミを入れ、先行するもう一人に声を掛けていた。

 

「お、見ろよあんちゃん。あそこにいるのは現地の生存者じゃねぇか?」

三人の最後の一人、青山藍乃介が指差した先には物陰に隠れながら移動している、カモフラージュの為か白い迷彩柄の服を纏った男性が、三人の方へとやってきた。

 

「お前ら、あほ面揃えて、道端に突っ立って、なに余裕こいていやがる?ここはスーパーゾンビ共の巣窟だぞ?なに考えてやがる?」

彼が注意と警告を告げてくる中、赤城が「ああ、すみません、新参なものでして不慣れなんですよ」と当たり障りの無い返答をした。

「ふん、そうかい、まあ気をつけな、くれぐれもヤツラ、スーパーゾンビには手を出すなよ?」

「スーパーゾンビですか?知性ゾンビではなくて?」

「どうやら……ホントに新参らしいな……この辺に住んでるやつならそんな事を言うわけが無いからな」

彼は多少警戒心を解き、「いいか、この辺じゃ知性ゾンビはいるが、あいつは無視していい、なぜならアイツはスーパーゾンビに命令が出来ないからな」

突然の答えに赤城が驚きながら聞き返した。

「え!?知性ゾンビは命令権を持ってるはずじゃ?……」

「詳しい事は俺たちも知らんよ、疑うなら自分らの目で確かめればいいさ、この先の倉庫街で見れるからよ」

あばよ、とそういって、彼は去っていった。

 

完全に去ったのを確認してから赤城が他二人に問いかけた。

「今の話、どう思います?本当だと思いますか?」

「現状、彼が私たちを騙すメリットがないから本当なんじゃ?」

黄瀬はメリット面での意見を述べ。

「さっきのにいちゃんが言ってたじゃねぇか、あっちで見れるってよ、俺らの目で直接確かめようじゃねぇか。その方がはえーよ」

青山はとっとと行こうぜと二人を促し。「確かに、ここで議論するよりもその方が確実ですね」まず黄瀬が賛成をし、

ついで赤城が「わかりました、ただし慎重にいきましょう」といった。

 

 

「あれじゃないですか?」

3人の中で一番目がよさそうな黄瀬が指差した、その先には、周りのゾンビに命令しようとしている、一体のゾンビがいた。

 

警官の制服を着た女性のゾンビ。おそらく生前は警察官か何かだったのだろう。

彼女は、周囲で好き勝手に暴れ回っているスーパーゾンビたちを前に、必死に手を振っていた。

 

だが、本能のままに動くスーパーゾンビたちは気にも留めていなかった。それどころか一体のスーパーゾンビが彼女を突き飛ばすようにして走り去り、

女警官ゾンビはすてーんと派手に尻餅をついた。

 

スーパーゾンビたちは、我関せずと奥へと消えていく。

残されたのは、埃まみれの床に座り込み、うなだれる女警官ゾンビのみ。

 

「……どういうことだ?命令権を持ってるんじゃないのか?それなのにまったく機能どころか、相手にもされていないじゃないか。

いやそもそも命令権ってなんなんだ?なぜ命令できる?いつから命令できることに気付く?まだまだ、分らない事だらけだ」

赤城がため息をついた、その時だった。

「……」

 

テレレーン♪と音が鳴り。

「「えっ!?」」

 

そして突如、世界から一切の色彩が消え去り、静止した。風に舞っていた煤煙も、突き飛ばされて固まった女警官ゾンビの姿も、すべてが完全に停止した。

 

三人の視界の真ん中に、お馴染みのシステムウィンドウが浮かび上がる。

 

【イベント発生:???】

 

そして画面に表示されたのは、いつもの三択、そして選択のカーソルは青山の前に浮かんでいた。

 

▶ 「見過ごすことはできない」」とそばへとよる

▶ 「仲間外れか、ま、しょうがない」と無視して引き返す

▶ あいつら、きっとかくれんぼを始めて「あいつが”鬼”にきまったな」とニヒルに笑う

 

「おい、待て。一番下、なんだあれ?明らかにおかしいだろ」

「確かに、明らかに異質ですね、いつも”ああ”なんですか?」

赤城と黄瀬が話し合う横で、青山は、

「……ったく、見ちゃいられねぇな」

 

▶ 「見過ごすことはできない」」とそばへとよる

 

世界に、ドッと色が戻る。

 

「よぉ、赤城と黄瀬のお譲ちゃん。ちょっとおれぁやることができたからよ、あと頼むわ」

青山が首を廻しながら、ずかずかと女警官ゾンビの方へ歩き出す。

 

「は!?頼むって、ちょっと、何する気なんですか?ああ……行っちゃったよ、やらかしそうであとが怖いな~」

「その割には、嬉しそうな顔をしているみたいですが?」

 

黄瀬の言葉に赤城は口元を手で隠して「そんなことありませんよ」と言った。

「お二人の空気感……まさにアニメの共闘シーンそのものです。赤城さんが、青山さんの無茶振りに頭を抱える姿と完全に一致して―――」

すっかり忘れていたが、この女性にはこの悪癖があったことを、赤城は今さらながらに思い出した。

「なんといってもあそこで多数の敵に包囲され―――」

「要するに?」

大分手馴れてきた赤城が端的に用件だけを求め。

「ですから、仲がいいですねって」

「…………」

 

赤城たちが背後でギャーギャー騒ぐ中、青山は座り込んでいる女警官ゾンビの前に立つと、影を落とすようにして見下ろした。

 

女警官ゾンビが、顔を上げる。

青山は腰に手を当て、へッと笑う。

 

「よお、おねえちゃん。まずは姿勢をただしな。んなふうに丸くなってしょぼくれてりゃよぉ、だ~れも耳を貸しちゃくれねぇぜ」

 

知性ゾンビは、ぽかんと口を開けた。

そんな相手にかまわずに青山は

「いいか、まずは声だ! 腹ぁから声出せやぁ!!」

 

「なに言ってんだあんたー!!ゾンビが喋れるわけないだろ!!!」

赤城の至極真っ当すぎたツッコミが辺りに響き渡る。

 

しかし、青山は完全に無視して、女警官ゾンビの肩を掴んで無理やり立ち上がらせた。

「ほれ、まずは胸を張れ!んで顎を引く!聞いてほしいならよぉ、まずは自分が『ビッ』てするんだよ!!」

 

女警官ゾンビは、青山の勢いに圧倒されながらも、言われるがままにピシッと背筋を伸ばした。

その姿を見て、黄瀬がふむ、と顎に手をあてる。

 

「なるほど……! 青山さん、あなたは言葉を廃し、彼女の中に眠る『誇り』を呼び覚まそうというのですね。かつて―――」

「細けぇわ!!」

青山の怒鳴り声が、黄瀬の考察をシャットアウトした。

 

「いいかおねえちゃん、理屈じゃねぇんだ。ハートだ、ハート!、次あいつらが来たら、こう、ガツンとやってやんだよ!」

青山が空中に向けて大振りの身振りをしてみせる。女警官ゾンビはそれを見て、おずおずと同じように、腕を振るジェスチャーを真似し始めた。

 

「……なにこれ?え!?なにが始まったの???」

赤城は頭を抱え、理解不能に絶叫した。

 

 

その時、視界の隅に、再び文字が流れた。

 

【イベントno.1 指導 完了】

 

直後、青山の意識が、一瞬だけ別の場所に引き飛ばされる。

 

 

~~~

夕焼けに染まる、保育園。

賑やかに砂場で遊ぶ子供たち。

少女が足を踏み出しては戻し、最後にはただ眺めていた。

~~~

 

 

その光景を見たはずの青山は、気にも留めない様子で。

「よっし、いい面構えになってきたじゃねぇか」

青山がガハハと笑いながら、女警官ゾンビの頭を警官帽ごと、その頭を手荒に撫で回した。

 

「……はぁ、こんなので攻略ってできるんですかね?……まぁ、なるようになるか……。あははは……」

赤城はこれから何が起きるのか、もうどうしようもないとさじを投げ、笑って後の自分にぶん投げた。

 

つづく

 

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