ワールドオブぞんび ~ぞんび世界でオレたちだけギャルゲー!?~ 作:しょーもないおっさん
一面が、白い世界。
突如、空間に裂け目が現れ、そこから三人の男女が排出されてきた。
神、自称観客に選ばれたプレイヤー。赤城紅一、青山藍乃介、黄瀬蘭の三人である。
「うわぁぁぁ」
「おっとぉぉ」
赤城と青山はそのまま転げるように。
スッ
「あれ?黄瀬さんだけ、なんかスマートなんですが?」
「おお、ほんとだなぁ、シュッってカンジだな。がはは」
「私は二人と違って自分から飛び込みましたからね、体勢を崩していませんから」
二人の疑問に黄瀬はたいした理由でははないですよと答えた。
「んん??ここは?まさか・・・…」
「新エリアかい?」
「一面真っ白ですね……」
「違いますよ、二人ともココ見覚えありませんか?」
思い当たる節のある、赤城が青山と黄瀬に尋ねた。
「あ~……飲み屋?」
「精神世界?」
「ちっげーよ、なんでイキナリ飲み屋がなんだよ!何処にカウンターがあんだよ!ボトルもねぇ~だろうが!!
しかも、精神ってなんだよ!真っ白な精神とか、逆にコエーわ、自分と向き合えとかそういうのはもう腹一杯食ったわ!つーか!ここ、なんもねぇよ!!」
ハァハァと絶え間なく青山と黄瀬にツッコミを入れる赤城。
そこに、笑い声が響いた
「あはは、映像でも面白かったけど、やっぱり生で見るとまた違うね」
「お前は!!」
「お!ひさしぶりじゃん」
「先日はどうも」
三人はそれぞれ挨拶をするが、直後。
「「「だれ??」」」
三人の目の前にいたのは、やけに顔面が整っていた少年であった。
「???……!。ああ、そういえばこの姿ではあってなかったね。ボクだよ」
閃光があたりを満たし、収まった後にいたのは。
あの光の球体であった。
「「「あーーー!!?」」」
「いいリアクションだね。よっと」
掛け声一つで再び少年の姿へと変わる、球体。
「さて、ここに呼んだ理由を話そうか?」
神は、何処から出していつの間に座ったのか、気付けばリクライニングシートへと身を沈めていた。
「ゴホン…あーあー…」
「なにしてんだ?ありゃ」
「調子を整えているのでは?」
「しかも、シートに座ったかと思えば、すぐに立ち上がってますよ」
3人は何やってんだ、コイツ?という表情を浮かべ、神の行動をも見守っていた。
「まずは、おめでとう!!キミたちは見事、ボクの依頼を完璧に遂行してくれた。大儀であった!!…………」
「「「?」」」
「この話し方、疲れる~、もういいや」
「改めて、や~パチパチ。ご苦労様。じゃ報酬の蘇生、行うよ~」
唐突にフランクな口調になり一瞬身構えた3人だが、『蘇生』という単語の方に気をとられていた。
「え!?ほんとにやり遂げた……」
赤城が唖然とし。
「お!そいつぁめでてぇな。がはは」
青山は呑気に笑い。
「私は一回しか攻略担当をしていませんが?」
黄瀬は、不満を。
三人はそれぞれ違う表情を浮かべていた。
神は、ウンウンと満足げに頷き。
「それで……、蘇生するわけだけど、なにかやり残しはないかい?」
「やり残し?ねぇな。俺ぁは過去を振り返らねぇ主義なんだ。がはは」
青山はあっけらんかと、ないと即答し。
「やり残しですか?攻略が一回というのが心残りですが、そこまでではないですね」
黄瀬もまた、特にないと、答えた。
そして、赤城だけが何かを考えるかのように顎に手をやり、思い出したかのように懐からスマホを取り出し、連絡先の画面を呼び出していた。
その光景を目ざとく青山と黄瀬が見つけ、
「お!あんちゃん。なんか良い事でもあったのかい?」
「頬が緩んでますよ」
「え!?あ!?いや!!?なんでもないですから」
と赤城はスマホを懐へとしまい、神に対して、「私も特にないです」と答えた。
三人のその言葉に神は。
「そうかい!じゃあ蘇生するよ。それっ」
「「「軽っ!!」」」
あまりのおちゃらけた言葉に拍子抜けしていた。
「これであとは、消えるまで、待てば完了だよ~、最後の残り時間で、挨拶でもしてれば?」
用は済んだとばかりに、本格的にシートに体を預けていた。
「これでお別れですね」
赤城が少し涙ぐみながら、二人に声をかける。
「おう!あんちゃんとお譲ちゃんも元気でな!!」
青山は片手を挙げ、いつもどおりの笑顔を浮かべていた。
「私は途中参加でしたが、二人と過ごした時間はかえがたいものでした。ありがとうございます」
黄瀬は礼儀正しくお辞儀をした。
「な、なんでそんな、くっ、うぅ、ことを、うっく、言うんですよ」
赤城の涙腺は崩壊寸前までいっていた。
「私もお二人に会えて……、くっ、とても楽しかったです……」
それでも、なんとか挨拶を終える赤城であった。そして、最後にといわんばかりに二人に一つ問いかけた。
「お二人はこれから、どうするんですか?」
先に青山が口を開き、
「ん?ああ、そうさな……。次は刺されないようにうまくやるさ」
と赤城に告げた。
「……え!?」
「……!?」
黄瀬も驚きのあまり、開いた口がふさがらずにいた。
「あんた!そんな理由だったのかよ!!」
赤城の叫びが辺りに響き。そんな赤城に対して青山は、
「がはは」
と笑いながら、その場から消えていった。
「たくっあの……」
「実は私も、刺されてきました」
と黄瀬も唐突な衝撃告白を行い。
「はっ!?」
それを聞いた赤城は頭が真っ白になり。
そんな赤城を見届けた後。
「私も今後はうまくやります」
と微笑を浮かべて消えていった。
混乱しつづける赤城に追い討ちとばかりに。
「ボクも今度はうまくやるよ!」
とさっきまで、リクライニングシートに座っていたはずの神までもがいつの間にか赤城の目の前におりニタニタと見ていた。
情報量の多さに脳が完全に処理落ちした赤城は、
「ちょ!?は!?え!?な、お前も!!なにを?いやその前に二人とも詳細は??どうしてそうなったの???説明を!!―――」
と叫びながら消えていき。
後に残るは笑い転げる、神のみであった。
「あははははっ!最後まで最高に面白かったよ!」
白い世界に笑い声だけがいつまでも響いていた。
『ワールドオブぞんび ~ぞんび世界でオレたちだけギャルゲー!?』 おしまい
これにて完結となります。
ここまでお読みくださりありがとうございました。