ブルゥーアァーカイブゥー!ヴェハハハ!! 作:マグマ焼き豆腐
なぁ〜にぃ〜!?やっちまったなぁ!!
男は黙って!
初めから!
男は黙って!
初めから!
ということでくっそ久々にやろうとしたら全てが闇に葬られていました。(ドヒナ、制服ネル、水着ミカ、何もかもがさようなら)
「ようやくだ……ハハハ! ようやく終わったぞ!」
目の前で山積みにされた書類の前で私は叫んだ
「意外と速かったですね」
「二度とやるかこんなもの!」
「貴方が欠席しなければこんなに溜まっていなかったんですがね」
「うっ……わ、悪かったって……」
「ふふっ、冗談ですよ。ご安心ください、今日の業務はこれで全て終了です。お帰りいただいて構いません」
「心臓に悪いな……」
私は大きく伸びをしながら椅子から立ち上がる
「では私はこれで失礼するとしよう。会社に戻らなければ――」
コンコン
その時、部屋の扉が控えめにノックされる
「失礼します」
聞き慣れた何処か低く落ち着いた声
入室してきたのは、正義実現委員会委員長――剣先ツルギだった
「ナギサ様。ご報告に参りました」
「あら、お疲れさまです。ツルギさん」
「先日の暴徒の件ですが――」
手短に報告を済ませたツルギ先輩は、そのまま私へと視線を向ける
「……シン」
「ん?」
「少し、時間はあるか?」
「いや、私はこれから会社へ――」
「ありますよ」
私が言い終えるより早く、ナギサが即答した
「おい」
「今日の予定は全て終わっています」
「だからと言って勝手に予定を増やすな!」
「ツルギさん。シンさんをお願いします」
「承知しました」
「おい、本人の意思は!?」
二人は私の抗議など聞こえていないかのように話を進めていく
もうこの歳で耳が遠くなってしまったのか……?
「では行こう」
ツルギ先輩はどこか嬉しそうにショットガンを担ぎ直した
「……待て、その"行こう"は」
ツルギ先輩は僅かに口元を緩める
「訓練場だ。キヘヘ……今日は、思い切り暴れられそうだ」
「……フッ」
その言葉を聞いた瞬間、会社へ戻る予定など、頭の中から吹き飛んだ
なるほど、それなら話は別だ
「最高難易度のボスから直々の挑戦状か、受けて立とうじゃないか」
訓練場へ向かう途中、私は改めて"攻略対象"を思い返す
ゲーム攻略の基本
まずはボスの性能を把握すること
攻撃パターン、耐久力、特殊行動。情報こそ、攻略への第一歩だ
まずはボスキャラクターの性能確認から始めよう
『正義実現委員会』
トリニティ総合学園に所属する治安維持組織
その名の通り、学園内の秩序を守る精鋭部隊であり、所属する生徒は誰もが一騎当千の実力を誇る
なかでも委員長の"剣先ツルギ"
キヴォトス全体で見ても指折りの実力者であり、『歩く戦略兵器』という、物騒すぎる異名を持つ
初めてその異名を耳にした時は「レディに対して随分と失礼な呼び名だ」と思ったものだ
……だが、実際にあの戦いぶりを目の当たりにした今なら分かる
あれは誇張でも何でもない
敵は空き缶でも踏み潰すかのような勢いで薙ぎ倒され、救護された者の中にはPTSDを患う者までいるという噂も、あながち冗談ではないのだろう
そうこう考えているうちに、訓練場へとたどり着いた
それぞれ定位置につき、私がバグクラッシャーを構えた、その瞬間だった
「キヘヘヘッ!!」
ツルギ先輩は待つことなく地面を蹴る
「くっ…! 随分と戦闘に入るまでが早いじゃないか…!」
「武器を構えたら準備はできたの合図だよなァ!?」
怒号と共に放たれた散弾が迫る
私は武器を振るい、飛来する弾丸を弾き落とした
ゲームクリエイターであり、一人のゲーマーでもある私にとって、理不尽な高難度は歓迎すべきコンテンツだ
剣先ツルギ
彼女はまさしく、越えるべき壁――最高難易度のボスキャラクターに相応しい
『ガンモード!』
今こそ私の固有武器『バグクラッシャー』を使う時だ
ブレイドモードとガンモード、二つの形態を自在に切り替えられる可変武器
バグクラッシャーのグリップをガコンと折り曲げる
刀身が左右へ展開し、内部から銃身が姿を現す
変形を終えた瞬間、私は迷わず引き金を引いた
連射された弾丸がツルギ先輩へ襲い掛かる
しかし彼女は一切怯まない
弾丸をものともせず、一直線に距離を詰めてくる
「なら、これはどうだ!」
懐から手榴弾を放り投げる
空中で撃ち抜かれたそれは轟音と共に炸裂し、辺りを濃い爆煙で包み込んだ
――今だ
煙に紛れ、一気に懐へ潜り込み、腹部へ銃口を突き付る
「これでゲームクリアだ」
引き金を連続で引く
銃声が絶え間なく響き、至近距離から叩き込まれた弾丸がツルギ先輩を飲み込む
……勝った
そう確信し、攻撃の手を止めた――その瞬間
「キヘヘヘヘッ!!」
「なッ!?」
爆煙を切り裂き、無傷のツルギ先輩が現れる
次の瞬間、腹部へショットガンが突き刺さるように炸裂した
衝撃で身体が浮く
体勢を崩した私の頭を掴み、そのまま地面へ叩きつける
視界が揺れる
脳が激しく震え、意識が白く霞んでいく
「(この人……絶対加減してないだろ……!)」
必死に意識を繋ぎ止める私の視界に映ったのは、傷一つないツルギ先輩の姿だった
「……終わりか?」
静かな問い
だが、その瞳はまだ獲物を求める猛獣そのものだった
私はふらつきながら立ち上がる
「……舐めるな」
バグクラッシャーを構え直し、不敵に笑う
「コンティニューだ!」
「キヘヘッ!! そう来なくちゃなァ!!」
再び二人は激突した
――結果
十連敗
「……」
簡単に越えられる壁だとは勿論思っていない
だが、ここまで一方的に叩き潰されるとは予想外だ
しかも、バグクラッシャーを使ってなお、一勝すら掴めない
……フッ
攻略不能?
結構
攻略不能と言われるゲームほど、攻略したくなるのがプレイヤーという生き物だ
理不尽なゲームを作ることは嫌いだが、そのゲームのプレイヤーとなるなら話は別
最高難易度で理不尽なボスほど――攻略した時の達成感は別格なのだから
―――――――――――――――
「……立てるか?」
ツルギ先輩がショットガンを肩に担ぎながら歩み寄る
戦闘中の狂気は抜け落ち普段通りの表情へと戻っていた
「勿論」
私は起き上がり、服に付いた土埃を払い落とす
「……すまないやり過ぎた」
「私はプレイヤーだ。こんなものどうってことない」
「……プレイヤー?」
「あぁ、
「それが私だ」
私は指を突きつける
「ツルギ先輩、貴女は私の想定以上の高難易度ボスキャラクターだ」
「故に!」
「私は君に挑み続ける!100回でも200回でも!」
「必ず攻略しこのゲームを完全制覇してみせよう!」
………
数秒の沈黙
そして、
「キヘへへへッ!!」
ツルギ先輩は腹を抱えて笑い出した
「面白い……! そんな事を言った奴は初めてだァ」
その笑顔には嘲笑ではなく、純粋な歓喜があった
「なら私は何度でも迎え撃つ、お前が折れるまで」
私は不敵に笑う
「折れるときは貴女を攻略したときだ」
―――――――――――――――
「いや~、毎度すごいっすねあの人」
「本当に一つのゲーム程度にしか思っていないのでしょうね」
「もうあそこまで来ると怖いっすよ。私初めて見ましたよ10回も負けたのに笑顔な人」
「少なくとも、その粘り強さ"だけ"は私達正義実現委員会も見習うべきものがありますね」
だけをわざとらしく強調するハスミ
それも仕方ないのかもしれない。何度も何度も挑んで負けていてもずっと笑顔な狂人、そんな奴から何も習いたくないだろう
「でも、不思議っすね」
イチカは頬を掻きながら、訓練場で話し込むシンとツルギを眺める
「委員長って、あんなに同じ人と何回も訓練するタイプでしたっけ?」
「いいえ。実力差がある相手でしたら数戦で切り上げます」
ハスミは静かに首を横へ振る
「委員長も忙しい身ですから、今日みたいに放課後まで残って訓練するのは極稀です」
「ですよね」
イチカは腕を組む
「なのにシン相手だけは毎回最後まで付き合ってるっす。しかも楽しそう」
その言葉に、今まで黙っていたマシロが小さく口を開いた
「……シンさん。毎回、少しずつ変わってる」
「え?」
「委員長の動き、全部見てる」
マシロは訓練場へ視線を向ける
「1回目は、ただ突っ込んで負けた」
「5回目は攻撃の癖を見始めた」
「10回目は委員長に攻撃を当てるためだけに動いてた」
「……確かに」
ハスミも静かに頷く
「勝てないことを理解した上で、目的を切り替えていましたね」
「シン風に言うと、チェックポイントってヤツっすか?」
「えぇ、一歩ずつ攻略しているのでしょう」
イチカは苦笑する
「普通、10回も負けたら心折れるっすよ。なのにあの人…」
『ツルギ先輩、貴女は私の想定以上の高難易度ボスキャラクターだ』
『故に!』
『私は君に挑み続ける!100回でも200回でも!』
『必ず攻略しこのゲームを完全制覇してみせよう!』
先程のシンの言葉を思い出す
「……本気で言ってるんすもん」
「だから委員長も気に入ったのでしょう。強いからではありません」
「折れないから」
「……」
イチカは改めて二人を見る
ツルギは珍しく穏やかな笑みを浮かべている
シンはそんな彼女に、何か熱心に語っている
戦っていた時とは違う
そこにあるのは敵意ではなく、どこか楽しげな空気だった
「……ツルギ先輩」
イチカはぽつりと呟く
「いい訓練相手を見つけたっすね」
「えぇ」
「色々言いましたけどやっぱおかしくはあるっすよね?」
「まぁ、そうですね」
「異常です」
―――――――――――――――
会社へ戻る頃には辺りはすっかり暗くなっていた
先程の騒がしさは何処へやら、現状とのギャップにあの騒がしさが恋しくなりそうだ
「……やれやれ」
ブレザーを脱ぎ捨て、エグゼクティブチェアへ腰を下ろす
「学校というのは実に非効率だ」
そう呟きながら、パソコンを開き"とある人物"へと通話を開始する
顔は暗闇に隠れ、その姿は判別できない
「こんばんは。予定より遅かったですね」
「申し訳ない。私自身のレベルを上げていたらこんな時間になっていた」
一応、謝罪の言葉だけは口にしておく
……無論、反省など一欠片もしていない
私も計画のために動いているのだ。少しくらい待つという選択肢を覚えてほしいものだ
「まぁ、私のことなどいいじゃないか。さっさと本題に移ろう」
「ふむ。それもそうですね」
……そこまで即答されると流石に傷付くな
「例の件については?」
黒い影が静かに切り出す
「問題ない。カイザーが思った以上によく働いてくれている」
「このまま進めば、実戦データも十二分に集まるだろう」
「結構」
黒い影は静かに頷く
数秒の沈黙
やがて、その口からぽつりと一言だけ漏れた
「……しかし、一つだけ懸念があります」
「懸念?」
「えぇ」
「現段階では存在しない。ですが、いずれ現れるでしょう」
「――シャーレ」
「シャーレ……?」
なんだその名前は? 何処かの組織か?
「気にする必要はありません。 今はまだ―――存在しないのですから」
「……随分と曖昧だな」
「未来とは、曖昧なものです」
黒い影は淡々と答える
「ですが、その組織は我々にとって……いえ、貴方にとっても、計画最大の障害となる可能性があります」
私は椅子にもたれ、口元を吊り上げた
「フハハハ……まだ存在もしない相手を恐れろと? 実に滑稽だな」
「恐れているのではありません。備えているのです。天才とは、最悪を想定する生き物でしょう?」
その一言だけ残し、通話は静かに途切れた
部屋に静寂が戻る
「シャーレ、か……その名だけは覚えておこう」
「存在しない敵など、攻略対象にすらならん。現れたその時に、まとめて攻略してやろう」
「フフフ……ハハハハハ!」
誰もいない社長室に、私の笑い声だけが静かに響いた
次はおそらくチュートリアルのあたりに入る
先生の性別どっちがいい?
-
男先生
-
女先生
-
何でもいい