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到達だが、人生はクソだ。生まれてから全てが決まるわけじゃない。そう誰かが言ったらしい。
『努力すれば報われる』
『結果は後からついてくる』
『先のことなんて今考えても分からない』
その言葉はまるで呪いだ。努力しても、周りから評価してもらえなかったら意味がなくなる。結果なんて、見る人間が居なければ誰も分かりゃしない。そんな環境で生きてると、いやでも先の事を見据えちまう。それなのに、そんな現実逃避すらも許してもらえない。
言葉は呪いだ。物理的の方が、まだ良心があるのだから。避けられなくても、なるべく痛くならないように工夫はできる。ただ言葉は、精神に直結する。誰しもが持ってるその
「んあ゛〜〜〜〜〜〜………。」
砂浜に寝そべりながら、少し昔の事を思い出す。思い出されるのは自分がいかに社会不適合者なのかという事と、様々な後悔。
半分黒歴史になりつつある社会人だった頃の俺は、それはもう酷かった。がむしゃらに働いて働いて…それでも貰うのはクレームと、態度と見た目から来る難癖。
「ん゛〜〜〜〜〜!………ん〜〜〜〜〜〜………」
思い返すだけで、背中の節々がゾワゾワと気持ち悪い感覚が襲う。この島に住み着いて早5年。目まぐるしく変化する環境化で昔を思い出すなんてことが無かった為に、久しく思い返せば、ほんと、泥水を啜って生きてきたなぁーと実感する。
それが悪い経験といえば絶対的に違うと断言できる。あの頃の何クソ精神やら、クソったれ精神があったからこそ今を生きてるんだなぁと実感する。
まぁ、今はそんな人間が馬車馬のように働く時代ではないらしい。ただ人から艦娘に変わっただけ。機種変みたいなもんだ。
いつの世も、誰かが辛い思いをしてなきゃ世の中まわらない。皮肉なのか、そういう風に出来てる世界が間違ってるのか…凡人で社会不適合者の俺にはどうでもいいことだ。
《あ、死んでる。》
「開幕一言目からパンチあるねぇ~。俺のこと嫌い?」
ヒョコッと覗き込んでくる小さな妖精さん。吹雪ちゃんや響ちゃん、ヲ級ちゃん、最近じゃ明石ちゃんにまで俺と妖精さんの関係値が異常と言われる始末。
俺としては普通に接して、普通に投げ飛ばして、普通に投げ飛ばされてるだけなんだが、どうやらその認識は間違ってるらしい。
ただでさえ艦娘や深海棲艦の認識まで間違ってる挙句、そもそもの一般人常識すら異常と言われ始めた俺に、果たして他に異常なものが現れるのだろうか。むしろ俺自身がその異常に興味津々である。
《お部屋にいないなぁーと思ってフラフラしてたら、こぉぉんな浜辺のど真ん中で…。何してるんです?》
「う〜〜〜ん………。黄昏れてた…?」
《引き潮で流されてみます?》
《むしろ流された方が一旦リセットされるんじゃない?》
「君達最近本当に当たりが強いね。俺なんか悪いことした?」
《強いて言うなら……存在そのもの?》
「特級呪物か何かだとおもわれてらっしゃる?」
1人が見つけたらまた1人、また1人と妖精さんが『達』に変わっていく。
《おぉ〜♪こんな所に〜♪よいしょっと♪》
「どっから取り出したそのパラソルは」
《日焼けはね、お肌に悪いんだよ?後地べたも、お砂がついてばっちぃですからね♪》
「うんそうだね。所でどっからブルーシート取り出した?どっからアイスボックス取り出した?うん…もう……何も言わん。」
1人で寝そべっていた殺風景だった浜辺は、気付いたらちょっとした休憩スペースへと様変わりする。ブルーシートが引かれ、その直ぐ側には白い丸いテーブル、そこにソーダが注がれていく。
《外で食べるお肉はねぇ♪最高に美味しいですよ♪》
「いつも食ってるやん」
《気にしたら負け負け♪》
《そーそー♪食材は腐らせるよりは美味しく頂かないと♪》
どっからバーベキューセットを取り出したとかはもう言わない。彼女達の亜空間ポケットは恐らくドラ◎もんよりも多くの物をしまい込んでる。スタック上限なんて無いに等しいのである。
《ささ人間さん♪熱々のウチに♪》
《これも美味しいですよー♪今朝採れたばっかですからね♪ご新鮮ですわ〜〜♪》
ちょっと先の方で、妖精さん専用のビーチバレーで楽しんでる妖精さん達。焼き係である妖精さんは舌ペロしながら楽しげに料理をしていた。
「まぁぁた懲りずにバーベキューですか…?もうこれ何連続目ですか…?」
後からそう呆れたような言葉が聞こえる。吹雪ちゃんだ。そんな呆れ声の彼女…それでもお顔はニコっと笑っており、後ろに手を組みながら歩み寄ってくる。
「また妖精さん達がおっぱじめてな」
「また妖精さんのせいにして…よくないですよ?」
ウソではないんですけどね…
「…………またやってる。」
しばらくして、釣り帰りの響ちゃんが現れる。なんか異様に様になってるんだよな…
「響ちゃんも…どう?」
「…。無論、断る理由なんて無し。僕も参加する。妖精さん、これ戦利品ね。良かったら使って」
そう言って、肩に背負っていたボックスを手渡す。
《うひょぉぉぉ!!宝や宝!海の宝石箱やぁぁ!!》
《コレステロール値爆弾!サイハイ!ハイ!ハイ!》
《ひゃっっはぁぁぁぁぁぁ!!》
「…♪喜んでもらえて何よりだ♪」
「違う響ちゃん。確かに喜んでいるが、それは一般的な喜びじゃないんだ。どちらかと言うと賊とかソッチ方面の行けない喜び方何や」
「それでも、喜んでくれてることに変わりはない♪いい事をした♪うん♪」ニッコリ
《ひゃっはぁぁぁ!!イクラ入りますぁぁぁす!!》
《うぇぇぇい!!》
少し脂の乗った鮭を手に取り意気揚々と捌く妖精さん…。それを横目に目を輝かせる吹雪ちゃんとヲ級。ん?ヲ級?
『イツモノ事ダガイッツモ唐突二開催スルナ♪マァ、提督ラシクテ退屈シナイケド♪』ニコ
「貴様も釣りか」
『インヤ、ツイサッキ起キタ』
「珍しっ」
だから少し髪がボサってしてるのか。というかよく見たら寝癖だらけじゃねぇーか。コイツ絶対メシの匂いに釣られて飛び起きたな。ある意味釣りだなって何言ってんだ。
『っ!………っっ//ア、アマリジロジロ見ルナ…//寝癖…ソノウチ治ルカラ…//』
寝起き姿に若干照れてる。まぁーちゃっかりしっかりオシャレした服装してるのがアレだけど。え?何着てるのかって?そりゃ普通に白のワンピースだよ。
「ほ、本当にまたやってる………」
「あ、明石さん。やっほー」
『ムッ?ヤット来タノカ。悪イガオ肉ハ全部私ノダ』
「ヲ級さんめっ!ちゃんと明石さんにもお配りしないと!」
『ヤ!ヤメ!私ノオニク!オ肉ゥゥゥゥ!』チーン
「その様子だと、工房の妖精さんに言われたのか?」
「は、はい。何か不意に《お肉の匂いがする。明石ちゃん!作業ウチやめ!僕達も飛び入り参加だよ!》って言って…」
焼き始めて約1時間位経ったぐらいだろうから、恐らく一段落ついてと言う所だろう。
しかしまぁ…、明石ちゃんも順調にウチに馴染んでるなぁ…
「見てよ明石さん。これ僕が釣ったんだ」
「わぁぁ凄ぉぉい!!…!?もしかしてあの釣り竿で釣ってくれてるんですか!?」
「うん。そりゃもうお世話になりっぱなしだよ♪自動アシスト付き釣り竿。釣り本来の楽しみを潰さずアシストしてくれるから楽しくて楽しくて…」
「くぅぅぅぅぅ!!嬉しい!嬉しすぎる!!私が手がけた娘が逞しく!うぅ!!良かった!良かったねぇぇ!!」
『相変ワラズ機械オタクダナ…』
「オタクではありません!!コノ子達は立派な私の作品ちゃん達です!!」
『機械オタクト言ウヨリ親バカダナ』
「そう言うヲ級ちゃんだって明石さんから作ってもらった零式光学迷彩爆裂機使ってますよね♪」
『吹雪、アレハ素晴シイゾ。投ゲルトヨク飛ブ。』
「ちゃんと使用してくださいよ!?」
「……ふっ。こういう毎日が…毎日続くといいな」
発泡酒片手にそう笑みが零れる。この発泡酒も妖精さんが手がけたプロジェクトの一つ。こうして彼女達を見てると、余計俺がちっぽけな存在なんだと分からされていく。
あーダメだな。男の嫉妬とか妬みとか……見た目だけなら年下の娘に…よくないよくない。
《人間さんは、人間さんのまんまだから、良いんだよ》ニコ
不意に、俺の肩に座ると、そう誇らしげに妖精さんが笑う。
《僕達も、誰でもいいってわけじゃない。ほかでもない人間さんだから力になりたいと思うんだ。…だから、思い詰めず、いつもの様にさ♪面白おかしく楽しんじゃってよ♪》
「いつもの様に…か。」
《そうそう♪人間さんにも色々葛藤があるのはさすがの僕達でも気付くよ。それは艦娘にも電波してる…。でもね人間さん♪僕達はもちろん、彼女達も♪人間さんだから頑張れるんだよ♪》
《そーそー♪過去のこと?未来の事?なんてさ!そんなもの考えなくても僕達が全力でサポートしてあげるよ!もっと面白おかしくしようよ!楽しく生きようよ!♪》
薄々感じ取っていたのだろう。俺自身に悩んでる事を。
それを『そのままでいいよ』なんて優しい言葉で俺を慰めてくれているのだ。こんな俺よりも何分の一スケールの彼女達にだ。
「……。たく、妖精さんには敵わないな…」ニコ
《僕達だって、人間さんには敵わないよ♪…それでもね、お互いが苦しい時は助け合う。僕達が辛くなったら人間さんが。そして、人間さんが辛い時は僕達が!…ね♪》
「はっはっは!妖精さん達が辛いときか!そりゃ1人でまかなえないな♪」
《大丈夫大丈夫♪僕達、人間さんのフライドポテトさえあれば生きていける》
《後唐揚げ!深夜の唐揚げは格別なんだよなぁ!》
《お酒は僕達で持ち寄れば何時でもプチ宴会さ!夜は!まだ明けない!!》
《まだお昼だけどね〜♪》
そうか…まぁ、そうだよな。後先考えた所で、結果はいつも同じだった。『暗闇の先なんて、いくら見繕ったって真っ暗。』それだったら…
「それだったら…今を楽しんだもん勝ち…だもんな」ニッ
《そーそー♪そう来なくっちゃ♪》
《よぉーしお肉追加ぁ♪お魚は〜…》
《響ちゃんので十分でしょ》
《ひゃっはぁぁぁぁ!!》
「よぉぉし!おいお前らぁ!野球拳するぞ!!」
「良いですね♪」
「え゛っっ?い、いの…か…??//」
『何言ッテンダコノクソバカハ』
「私工具箱持ってきていいですか…?そしたらいくら負けても脱げます」
『オマエ達ハ脱グコトニ少シハ恥ジライヤ抵抗ヲ持ッテクレ……』
「何を言ってるんですかヲ級!脱がすんですよ!司令官さんを!あっ♪もしかして脱がせる度胸が無いと♪」
『ヤァァァァッテヤロウジャネェェェカァァ!?////』
「ヲ級ちゃんは挑発に弱いと……」
『オヤオヤ、響ハビビリット』
「…貴様ら全員全裸にしてやる」
「…あれ?俺より皆のほうが気合入ってる……?」
その後無事、人間さん以外が恥ずかしんだ
妖精さん
人間さんLOVE
響
釣り人間。最近は海上訓練をサボって1人釣りへ。ヲ級への賄賂に新鮮な刺し身を提供する。
吹雪
司令官LOVE。司令官(が楽しくして)いるとこに、私あり。
明石
ただの親バカ。自分の作品を我が子のように大切にしている。
ヲ級
唯一の真面目役。ただし流されやすい。
人間さん
ちょこっと昔の事を思い出してナーバス。妖精さん達の迅速な対応によりいつもの調子に。