サブタイトル臭すぎて腐敗してきた。
もうそう言う年じゃないでしょ。
走馬灯が流れてきていた。
それは、死に際に見るには…とても言い難い物語。むしろ、そんなことを忘れていたかった。私が、私になってしまったそんな物語。
「吹雪型1番艦駆逐艦!吹雪です!頑張って!行きます!!」
生まれたばかりの私は、それこそ活気に満ち溢れていた。
希望を見て、その希望をつかまんと日々辛くても前向きに明るく頑張っていた。
ある日からか、その希望が見えなくなっていった。
きっかけは何だったのか…些細なことだったのか、曖昧な記憶でそんな私の生き甲斐も思い出せないほど、私は希望を見出せなくなっていった。
来る日も来る日も、起きては出撃し、帰ってきてはそのまま眠りにつく。その繰り返し。
指揮官である提督は私の会おうともしなかった。ただ置き手紙だけが毎日部屋の前にあった。
そんな日が1年、2年と過ぎ去っていった。毎日毎日、休む暇はなく海域に出ては敵である深海棲艦と血を流す。私がなぜ人の形として生まれ持ったのか、そんな些細な疑問も浮かばなくなっていった。
私以外にも多くの艦娘といわれる子達が存在する。…だが、私は、私以外の艦娘を知らない。
名前は、艦の時の記憶で覚えている。私に姉妹艦がいる事も。
しかし、私達は人のかたちになって互いを互いに知らない。しかし直感で分かるのだ。何処かにいるのだと。
この日本という、元は大日本帝国と言われた土地に私と同じような艦娘がいる。それも、おそらくみんな、私のような扱いを受けてるんじゃないだろうか。
「…会いたい…なぁ…。」
目から、雫が零れる。久しく流れなかった。ううん。生まれてから、一度も流したことは無かった。血反吐を吐く戦闘の後も、激痛で立っていられないような怪我をしたときも、下唇を噛むぐらいで、痛みなんて無かった。
「…忘れよう。私は兵器。人の形をした…ただの、兵器なんだから。」
意思疎通ができるといって、人類は私達を同じ人とは扱わない。それが生まれてからここまでの過程で知った、人類が私達に思ってる考えだと。
深海棲艦という化け物を対処してくれる、化け物。どれだけ人類にアピールしたところで、私は所詮化物退治をしてくれる化物なのだ
「かはっ…。…はぁ…はぁ…んぐっ…」
海域の上でフラフラとしていた。走馬灯をみて、現実に戻ってきたと思ったらこれだ。
足に力が入らない。視界は鮮血でボヤケている。遂に、私も海に沈む時が来たか。
「はぁ…はぁ…。まだ!…まだ…生きて…いたかった…なぁ…」
願望なんてらしくない。ここ最近の私は、そんな弱々しい言葉なんて出たことなかった。これが死に際…だからだろうか。
全身が冷たい海水に包まれる。沈む。沈んでいく。あぁ…人の姿になっても変わら無いものなんだな…
『寒い…寂しい…落ちる…深く、深く…落ちて………』
《ひゃっはぁぁ!!かかったぜ!!待ってたぜ!このときおぉ……?おおぉぉぉぉぉ!??人!?艦娘ぅぅ!???》
「………?ここは……?」
目が覚める。何処か懐かしい雰囲気のある部屋。殺風景な部屋にポツリとベットだけが置かれた部屋。窓は少し開いており、白いカーテンがひらひらと風で捲れていた。
「私は…ここは…天国…?」
天国にしてはあまりにも現実味がありすぎる。確か私は深海棲艦と戦って…それで…
ざぱぁぁんっ!
「!?」ギュッッ
体を震わしてしまう。そうだ。私は海に沈んだ。沈んでいったのだ。私を体をつつみ込んだあの冷たい感覚は忘れたくても忘れられない。あれは…あんな思いは二度と…?
「…リンゴ…?」
ふと視界にはいる、ウサギの様に切られたりんご。
ぐぅぅぅぅ。
「………。はむ…んっ!……美味しい…」
シャキシャキのリンゴは甘くみずみずしい果肉が口いっぱいに広がっていく。…思い返せば、生まれてからフルーツなんて…食べたことも無かった。それこそ、私が食べてきたのは味のしないスープに、少ししけったパン。たまにレーションが食えるほど。
「…美味しい…。おい…しい……」ポロポロ
自分にまだ味覚がある事がこんなにも嬉しいなんて…食べるたび、口いっぱいに広がる果肉が…美味しさが…
「ういぃ〜、調子の方は…そんなうまいか?そのリンゴ」
「………ふぇっ……?」
ノックもせずに入ってきた。男の人が…。何故か全身土だらけの男の人。
「それ。そんなうまいか?適当に育ててむしったやつをただ切っただけなんだが、泣くほど美味いか?」
「っ…!?こ、これは…そのっ…」
何でだろう。恥ずかしがる事ではないはずなのに…。必死に今言い訳を探してる自分がいる。
「…んまぁ、そんな事はどうでもいいんだ。えーと、駆逐艦の〜、吹雪ちゃん…で、いいのか?」
「っ!?」
「あーまてまて、別にどこで知ったとかは後でちゃんと話すから。後そんなに警戒しないでくれ。艦娘っていうのも、いまだピンと来てないんだ。」
何故…?今までの人達からは明らかに私に対する視線が違う…。怖がるような目でも、恐れるような目でもなく…なんだ…?その目は…
「………」ジーーー
「〜〜っっ…。アレだよアレ…君のことを知ったのは、えーと…嘘かと思うけど…妖精さんからなんだ。」
「…何だって……?」
「あーわかる。分かるぞ?何言ってんだこのおっさん。妖精なんてそんなメルヘンなもんいるわけ無いだろキッショって思うかもしれないが…マジもマジなんだ。」
いや、そうじゃない…私もこの目で見たことはないけど、確かに妖精さんは存在する。だが、妖精さんの存在はそれだけ貴重と言うこと。なにせ人の前に表さない。それに気まぐれな性格。率先して動く事なんてまずないはず。それを今この男の人はそんな妖精から私のことを聞いた…?艦娘の一部でしか会話できない妖精さんと…?
「えーと…信じなくていい。うん。信じなくていいんだ。俺も正直信じてない。それに、俺は妖精さんにあーだこーだと言われて君を助けただけに過ぎないし」
「え…?助け……っ!?」ガバッッ
「ちょぉぉぉいっ!??」
慌ててベットから降りる。腹を掠めた切傷がなくなってる。
というか太ももの古傷もなくなってる…!?あれは入浴しても消えなかったのに綺麗サッパリ!?
「ど!どうなって……!?ここの傷は入浴じゃ!」
「それより服!服を!!いきなり脱がないでくれ!心臓に悪いぞ!」
「はっ!?ご!ごめんなさいぃ!!」
「えーと、落ち着きましたか…?」
「は、はい…//ご、ごめんなさい…いきなり…//」
「あー…いいんだ…。今度から気おつけてもらえればそれで…」
まさかいきなり脱ぎ始めるとは思わなかった。確かに見られて恥ずかしい体をしてはいないだろうが、女の子が急に脱がないでくれ立つぞ
しかし、さっきの張り詰めた雰囲気とは違って、なんか今は見た目相応の反応だな…。
「それでええと…何話そうとしたんだっけ。あーそうそう、これからどうする?部屋なら余って…というか、余りまくってるし、吹雪ちゃんがいいなら、しばらくここにいても」
場所を変えてとりま妖精さんに《何か話すならここで話してね♪僕たちが丹精込めて作った応接室♪》なんて言われた場所で話していた。
しかしすごい。重厚感ある黒い椅子に、座り心地がマックス。思わず寝そうになりそうだ。
しかし、つくづく思うがどこでどうやってこれを作ってるんだろうか。てかご丁寧に部屋前に『応接室』って看板かかってたし。てかいつ作ったし。
「えと…でも…持ち場に戻らないと…」
「そっか…吹雪ちゃんにも帰る場所があるんだもんな。それなら安心だ」ニコ
「帰る……場所…………」
…あら?またなんか雰囲気が
「…帰りたくは、ない、です。…でも帰らないと迷惑かけちゃうし…お仕事も…たまって……」
「ふむ。…吹雪ちゃん、だっけ?君、今日からここの子ね」ニコ
「へ…?へ!?え!いやでも」
「艦娘って、言わば所属を持たないボランティアみたいなもんなんでしょ?なら別にうちに居てもいいわけですよね?」
「い、いや!一応軍に」
「あーあーきこえなーい!よし!そうと決まればお部屋探しだ!どこがいい!?日当たりは?大きさは?ここ部屋無駄に多くてさぁ!好きな間取り見つかると思うよ!よし行こう!すぐ行こう!」
「え?!あちょ!ま!待って!…♪んもぉ!!待ってよぉ!」
何だ。ちゃんと笑えるじゃんか。
《吹雪ちゃんを、ここの鎮守府に所属させよう》
「んは?え?おれに少女誘拐の主犯になれと?」
《そういうこと。僕達は、艦娘達をできる限りサポートすること。そして、ここ鎮守府の存在は、そんな艦娘達が、笑顔で帰ってこれる場所にする事。》
「……。一応、ここの無人島は俺のものだけど」
《嫌なら嫌でそれでいい。…だけど、僕達も好き勝手するだけ》
最初っから好き勝手してたくせによく言う。
「…まっ、俺もそれには賛成するけどな。どの道、悪くない人生を送りたくてここにいる訳だしな。トラブル揉め事問題事大歓迎だ。それに、そっちの方が楽しそうだ」
《……いいの?これは僕らの》
「わがままじゃない。それに、ここに引っ越して来たのは紛れもなく俺本人だ。先住民の言う事は聞かないとな」ニコ
《それだけじゃない。艦娘を保有するという事は》
「人聞き悪いなぁ。女の子1人匿うだけだろ。まるで兵器を所有するみたいに」
《さっき僕達が言った話理解してないの!?》
「?戦艦の擬人化が艦娘で、深海棲艦とかいうわけわからん生物に対抗するのが艦娘って話だろ?でも見た目は人だし、女の子じゃん。兵器とかその他云々より、人として接するでしょ。」
《なっ…!》
「それに、その理屈だったら俺、妖精さんと仲良くなれてないじゃん。意思疎通できるのに有能だから道具として扱う。…な?仲良くなれない」
《!》
「別に今さら何も怖くねぇ~よ。妖精なんて摩訶不思議生物と戯れてる時点で艦娘と仲良くしようが深海棲艦と仲良くしようが特別かわらねぇーて。わざわざ妖精さんたちに言われなくとも、俺は吹雪や艦娘達の味方だ。」
《…………。余計なお世話…だったね…♪》
《人間さんは、こういう人間さんだったんだね♪》
《気分晴れた〜♪やーっぱ最初っから狂いはなかったんだね♪》
《うんうん♪よーし!僕達の人間さんの為にも!張り切るぞー!》
なんて言って、最初に手を付けるのが応札室ってちょっとズレてる気がするがな…。
「あ、あの…やっぱり私は…」
「なぁ吹雪ちゃん、生きたいか?」ニコ
「えっ………?」
「正直な、俺死ぬつもりでここに来たんだ。誰にも知られずに、パタリとな。でも、死ねなかった。何でだと思う?」
俺の質問に、言葉を詰まらせていた。頃合いをみて、自分自身を笑いながらこう言う。
「俺、死ぬ度胸が無かったんだ。気づいたらここで生きる為に必要なもん買い出してさ。畑なんか作っちゃってさ。馬鹿みたいだよな」
まるで自分自身を馬鹿にするように笑う。
「理由なんて何でもいいんだよ。ただそこに「生きたい」って理由さえあれば、人は何とかなるんだよ。吹雪ちゃん、元の場所に戻ってさ、また生きたいって思える?」
「わ、私…私……は………」
「生きてると思えないのなら、それは死んでると同じだ。別に死にたいなら戻ってもいいさ。でも今の吹雪ちゃんは死にたいようには見えない。」
「それは…でも…生きていたって」
「本当かなぁ?生きていたってってその言葉、もう一回言えるか?」
「なにが言いたいんです……?」
「リンゴを食って、美味いと思ったんだろ?でも、死んじまったら、その美味しさを味わうことなんてできない。」
「っ……。」
「戻っちまったら、その美味しさを味わえず死んじまう。あーあ、俺の所に残ってたら、美味しいもん食いながら、死ねるのになぁ」
「…それ、結局死んでません…?」
「でも、幸せではあるよ?」ニコ
俺の屁理屈にハテナを浮かべる。
何時ぞやの俺と今の吹雪が重なる。希望を見いだしても、現実に残るのは絶望のみで、願ったってかないやしない。それは願望であって願いじゃないからだ。
自分から行動しなきゃ何も変わらない。…俺は、それに気づくのが遅すぎたから社会から見離れてしまった。でも、吹雪はこれからがある。まだ希望を願望で終わらせるには早すぎるのだ。だから、人生のしくじり先生からのささやかなアドバイス。
「希望を捨てるには、まだ早すぎるって話さ。今まで味わった絶望。願望として終わらせてしまったお願いを、やり直そうって話さ」
「……。貴方に何が」
「ん〜?俺には何も出来やしない。だって俺、基本自由主義だし」ニコ
「なっ……」
「吹雪ちゃん、適当でいいんだよ人生なんて。艦娘だからとかで使命全うしなくていいんだって。それにどうせアレだろ?みんなに化け物として扱われるんだろ?だったらいいじゃん。見放しちゃえよ」
「なっ!?」
「そして思い知らせればいいんだよ♪あーはっはっは!私が居なくなったらお前達全員何もできなーい!やーいざーこざーこ!ってなぁぁ!!」
目を見開いて驚きの表情をしております。
「これぐらいでいいんだよ。人類になんて笑
助けてやってんだからありがたく思えよ精神でいいのよ。吹雪ちゃんは真面目すぎ。そんな真面目だと頭にキノコ生えちゃうよ?」
「……いいんでしょうか。そんなので」
「いいのいいの。それに俺なんて吹雪ちゃんの上司でも何でもないんだから。今までの鬱憤ぶち撒けちゃいなよ♪」
気づいたら浜辺の方まで歩いていた。うちの鎮守府は裏口からそのまま浜辺に出れるため、自然と浜辺に出てきていた。
ポンッと吹雪の肩を軽く叩く。海に向かって彼女は大きく叫んだ
今までの鬱憤を、疑問を、腹いせを、全部吐き出して。ちょっと重すぎて触れづらいけど、肩で息をして、『はぁ!はぁ!』ッと息を切らす彼女横顔は、どこが晴れていた。
「随分と溜まってたようだな」ニッ
「は、はいっ…!自分でも驚くほどスラスラと…。でも、ありがとうございます!おかげで気分が晴れた気がします!」
「どういたしまして!いやぁ!やっぱり鬱憤はため込むもんじゃなくて吐き出すもんですよ!お体にお悪いお悪いことこの上ないからな!」
ワシャワシャっと吹雪の頭を撫でる。「んもぉ!」と文句を言いながらも、晴れた顔は、夕日色に照らされてとても絵になっていた。
「決めました!私!ここに住みます!」
「おっ!いいねいいねー!吹っ切れた感じ?自由にお部屋決めちゃって良いからね!あ、でも決めたらちゃんと教えてね?ご飯持っていけないからさ」
「へっ!?い、いやいや!し!『司令官』にそこまでさせられないです!!」
「えー?でも現状料理できる人俺だけだし、妖精さんの分も作らなきゃならないから、そのついでだよ。遠慮しないで」ニッ
「それなら私も手伝います!」
「おっ!ありがたいねぇ♪じゃ、お願いしちゃおうかな♪」ナデナデ
「っっ!♪♪はいっっ!♪♪」
妖精さん
極めて希少な存在+人前には滅多に顔を出さない。気まぐれの性格の為その場に留まることは極めて珍しい生物。そのせいか妖精さんがつくだけで艦娘達は飛躍的に戦力を向上する。また、妖精さんの言葉は独自の言語の為、人はそもそも会話する事すらできないと言われている。一部の艦娘はちょっとした意思疎通は可能の事。
人類
ある日突然現れた深海棲艦に怯える日々。海外輸入など、海をかえしての被害に日夜頭を悩ましている。艦娘を都合のいい道具として見ている。一部からは『艦娘に対する扱いはいかがなものか』という議論が出始めている。
深海棲艦
海への不法投棄や、環境汚染により、人類へと警告するために海が作り出した存在。貨物船などの襲撃や、汚水を垂れ流す施設などの関係者を必要として襲撃する。現在確認されてる深海棲艦はイ級、ロ級。稀に人型、ヲ級が確認されている。
人間さん
何故か妖精さんの言葉を理解出来る。一部の艦娘は所々、部分的だが、一言一句全て聞き取れる。ある意味の化け物。艦娘に対してはあまり深くは考えておらず、擬人化した女の子程度しか思ってない。妖精さんもいるし、まぁそうなるかと割り切っている
吹雪
戦場社畜。か細い希望を頼りに生き、希望が無くなると彼女の世界は灰色へと姿を変えた。しかし、主人公と出会い彼女の瞳にはまた色がつき始める。彼女の物語は一度終わりを迎えた。しかしそれは、新たな始まりの1ページでもある。
こんなに書くはずでは…。
てか思ってたんのと違うもん書いてるな。駄文でもこんな暗い話書くつもりじゃなかったんですけど。もっとアタマオカシイ内容をポンポン投稿する予定だったんですけど。あるぇぇ?次回からは思い描いてるアタマオカシイ話になると思います。ハイ!