色々とガバガバですが許して許して……
「獅子心王のロザリオ」と魔術礼装《
__プランタジネット朝におけるウィリアム問題との関連性について__
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Ⅰ. はじめに
本稿は、中世イングランドにおける歴史的遺物「獅子心王のロザリオ(Rosarium Leonis)」について、その正体が神代の魔術礼装《
一般社会において《獅子心王のロザリオ》は、12世紀イングランド王リチャードⅠ世(獅子心王)が終生携帯したとされる聖具として知られている。
一方で魔術師社会においては、
・高性能な魔力蓄積能力を有する魔術礼装
・リチャードⅠ世召喚用触媒
として認識されている。
しかし、その来歴・構造・用途には未解明の点が多く、既存の歴史学および神秘学の双方では説明困難な特徴が散見される。
本稿ではまず魔術礼装《黄昏》について整理し、その後《獅子心王のロザリオ》に関する史料を検討する。
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Ⅱ. 捕縛礼装《黄昏》について
《
現存する断片資料によれば、
・箱
・器
の二要素によって構成される。
発動条件は単純であり、対象の名を呼び、それに応答させること。
成立した場合、対象は肉体・魂魄・霊的情報を含めて器へ封じられる。
特徴的なのは器の性質である。
器は固定形状を持たず、箱を開いた者にとって意味を持つ品へ変化する。
また対象を封印した後、その名が器へ刻まれるとされる。
封印後は対象自身の魔力を利用して拘束を維持するため、一度成立した場合の拘束力は極めて高い。
神代終焉後、この礼装は幻想種の捕獲や暗殺用途に悪用された。
模造品も大量に流通し、一時は魔術世界全体に広く普及したと伝わる。
しかし各種対抗術式の開発によって急速に衰退し、やがて真正品も含めて歴史の表舞台から姿を消した。
現在確認されている《黄昏》の真正品は存在しない。
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Ⅲ. 獅子心王のロザリオ
《獅子心王のロザリオ》とは、リチャードⅠ世が戴冠から崩御まで常に携帯していたとされる聖具である。
一般には宗教改革期、あるいはフランス革命期の混乱によって失われたとされている。
しかし魔術協会には18世紀以降も複数の所有記録が残されている。
現在確認されている性質として、
・微量ながら魔力生成が可能
・膨大な魔力蓄積能力を持つ
ことが知られている。
また後述する通り、聖杯戦争において極めて特異な挙動を示す。
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Ⅲ-1. 呼称の問題
リチャードⅠ世自身はこの遺物を「ロザリウム」と呼称していたとされる。
しかし12世紀末の段階でロザリオという概念は未成立である。
当時存在したのはその原型となるパーテル・ノステルのものであり、現在知られるロザリオ信仰はさらに後世に成立した。
また、獅子心王のロザリオという名称も、後世にて名付けられたものである。
つまり、リチャードⅠ世の呼称には明確な時代的不整合が存在する。
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Ⅲ-2. 会話記録
リチャードⅠ世がロザリオへ語りかけていたとする記録は複数存在する。
特に第三回十字軍遠征中および神聖ローマ帝国での拘束期間中に集中している。
内容は断片的であるが、独白というよりも対話に近い。
複数の記録が独立して一致していることから、何らかの事実に基づいている可能性は高い。
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Ⅲ-3. 「Meus Caliburnus」
ロザリオ裏面には、
『Meus Caliburnus』
なる刻印が存在すると伝えられる。
訳せば「我がカリバーン」である。
カリバーンとはアーサー王伝説においてアーサー王が選定の証として用いた剣の名称であり、本来キリスト教聖具との関連は見出し難い。
生前、リチャードⅠ世は自身の所有物にはどんなものでもエクスカリバーと名付けていたという逸話からこのロザリオも似た経緯なのではという説が提唱されているが、なぜエクスカリバーではなくカリバーンなのかといった疑問視もあり、現在まで有力な解釈は存在していない。
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Ⅲ-4. 来歴の空白
この遺物は1189年の戴冠時には既にリチャードⅠ世の所有物であった。
しかしそれ以前の記録が全く存在しない。
王家の財産目録にも記載はなく、教会側の献上記録も確認されていない。
唯一関連が指摘されるものとして、アリエノール・ダキテーヌが戴冠直前にリチャードへ小箱を与えたという記録が存在する。
もっとも、その史料は断片的であり、信憑性については現在も議論が続いている。
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Ⅲ-5. 聖杯戦争における運用記録
近代以降、《獅子心王のロザリオ》は聖杯戦争における触媒として複数回使用された記録が存在する。
その結果として確認されている最も特異な事実は、
“確認されている全ての使用例において、例外なくリチャードⅠ世が召喚されている”
という点である。
通常、触媒とは召喚対象への指向性を強めるものであり、結果を完全に固定するものではない。
しかし《獅子心王のロザリオ》に関しては、一度たりとも別の英霊が召喚された事例が確認されていない。
これは触媒として極めて異例である。
さらに、召喚されたリチャードⅠ世は高確率で次のような異常な行動を示す。
複数の事例において、召喚直後のリチャードⅠ世はマスター候補、儀式執行者、礼装保管者などに対し即座に攻撃を開始している。
生存者の証言では、
「どこだ」
「何処へやった」
「返せ」
「ここにいたはずだ」
などの発言が共通して記録されている。
また攻撃対象の多くは、
・ロザリオ所有者
・保管責任者
・召喚儀式実行者
であった。
これらの行動は単なる狂化や暴走とは性質が異なる。
むしろ何らかの対象を探索していたと解釈する方が自然である。
《獅子心王のロザリオ》を触媒とした召喚は十四件確認されているが、その中で生存者は二名。またその生存者のうち一名は発見当初重傷であり、後に四肢の全てが義肢となった。
現在はこれらの危険性は広く知られているため、《獅子心王のロザリオ》を触媒として利用する魔術師はいない。
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Ⅳ. ウィリアム問題
本稿で特に注目したいのは、ヘンリーⅡ世長子ウィリアムに関する歴史的矛盾である。
一般的には1156年頃に誕生し、1159年頃に夭逝したとされる。
しかし関連史料を精査すると複数の不整合が確認できる。
代表例として、
・六歳頃まで生存していたとする宮廷記録
・「白痴の御子」と記された年代不明文書
・幼少期のリチャードが「ポワティエで兄上と冒険する」と語った記録
などが存在する。
さらに地方伝承には、正体不明の若い貴族が長期間ポワティエ周辺で暮らしていたという記録まで残されている。
無論、これらをそのまま史実とみなすことはできない。
しかしウィリアムに関する記録が異常なほど混乱していることは事実である。
そのため一部の歴史神秘学者の間では、
「ウィリアムは死亡しておらず、何らかの理由によって歴史から秘匿されたのではないか」
という説が長らく提唱されている。
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Ⅴ. 仮説
以上の情報を総合すると、一つの仮説が成立する。
すなわち、
《獅子心王のロザリオ》は魔術礼装《黄昏》の器であり、その内部には何者かが封印されており、そしてその封印されていた人物こそ、ウィリアムなのではないか
というものである。
この仮説を採用した場合、
・由来不明の小箱
・会話記録
・「我がカリバーン」の刻印
・ロザリオの来歴の空白
・ウィリアムを巡る歴史的矛盾
を比較的自然に説明することができる。
さらにⅢ-5節で示した聖杯戦争時の記録も注目に値する。
もしロザリオ内部に封印対象が存在するならば、召喚されたリチャードⅠ世が一貫して何かを探し続ける理由についても説明可能となる。
また、確認されている全ての召喚事例においてリチャードⅠ世のみが召喚されるという事実は、内部の封印対象との間に極めて強固な縁が残存している可能性を示唆している。
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Ⅵ. 結論
本稿は、《獅子心王のロザリオ》と《
現時点において決定的証拠は存在しない。
しかし、
①由来不明の小箱の存在
②人との対話を示唆する史料群
③意図不明の「Meus Caliburnus」の刻印
④例外なくリチャードⅠ世のみを召喚する触媒性能
⑤ウィリアムを巡る歴史的矛盾
以上五点は、それぞれ単独では説明困難である一方、《黄昏》を前提とした場合には比較的整合的な解釈が可能となる。
《獅子心王のロザリオ》の所在は現在も確認されていない。
今後の発見次第では、本稿の仮説は全面的な見直しを迫られるか、あるいは決定的な裏付けを得ることになるだろう。
いずれにせよ、本件は十二世紀プランタジネット朝研究と魔術礼装研究の双方に跨る未解決問題として、今後も継続的な調査が必要である。
___とある世界線、時計塔所属魔術師のレポートより一部抜粋
本日の兄弟の様子
リチャード「兄上が魔術礼装として他人にいいように使われている? ……そうか! ならばその不敬な者共は鏖殺しなくては」
ウィリアム「なんか弟毎回召喚の度にブチギレて魔術師殺し回ってて草」
温度差が酷い。