着流し女たらし吸血鬼、巫女に懸想す   作:レネクトン

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巫女と吸血鬼3

 

男視点

 

 

 

「これで! 私の事を自分の女だと思えますよね!? 使命の手助けっ! 自分の女の為だと思って頑張って頂きますよ!!」

 

 

そう、切られた啖呵。

胸中に広がる久方ぶりの動揺。

まさか、まさかだった。

あんなメンチを切るようなキス、初めての体験だ。唇を手でなぞる、素晴らしき衝撃を思い出す。目前で強き意思をほとぼらせる美しい巫女を見てーー俺は反射的に彼女を押し倒した。

 

 

 

「きゃっ!? むぐ……!?」

 

 

ふわりと鼻腔を擽る上品な白檀の香り。

 

片手で巫女の細い手首を掴みつつキスを落とし、再びその唇の感触を楽しむ。なんて豊満で柔らかな女なのだろうか? 腰まで伸びた艶やかな黒髪を撫で、その次、白衣の襟元に手を伸ばしーー

 

 

 

「ーーうぐっ!?」

「何を……するのですかっ、この色情魔!?」

 

 

股間を膝で蹴り上げられた。

思わず腰が浮き、その隙に脱出されてしまう。

 

巫女は壁際にドンとぶつかるまで逃げ、袂で口元を隠しつつ、フーフーと荒く息を吐きながら此方を睨みつけ始めた。

 

バチバチと飛んでくる警戒心。しかし今の俺には、その態度すらも可愛く思えてしまう。

端的に言って

 

 

「面白いな?」

「お、面白い!?」

「惚れたかもしれん、使命を手伝ってもいい」

「本当ですか!?」

 

 

俺は頷いた。

明らかに身持ちが固そうなのに、勢いでキスまでやってしまう女。興味が湧いてしまった。惚れさせて是非とも股を開かせてみたい。

 

 

 

「あぁ、お前の側で手伝いをさせてくれるならな」

「それは勿論です!」

「なら、付いていく事に異論はない」

 

 

手を差し出す。

すると巫女は本当に嬉しそうにその手を両手で取り、コクリと小さく頷いてくれた。

 

 

 

「では早速ですが此処を出て」

「待った」

 

 

しかしそれは、少し待って欲しい。

 

 

「なんですか?」

「麓で美菜子に挨拶をしておきたい」

「挨拶を? それなら通りがかりにすれば良いではありませんか?」

「一晩掛かる挨拶だ」

 

 

俺が真剣にそう答えれば、ゴミを見るような目で見られた。私を好きと言いながらありえないと、氷点下の瞳がそう主張している。

 

だが、悪くないな? 好きな女から向けられるものならどんな感情でも嬉しいものだ。俺はつい笑顔を溢してしまう。

 

 

「な、何故笑顔に……いえ、もういいです。答えなくて結構ですから…では一晩、この家をお借りしますからね」

「好きにしてくれ」

「明日の朝一に、麓で合流しましょう」

「了解だ」

 

 

うなづく。慣れ親しんだボロ屋の戸に手を掛け、早速出掛けようとして……そうだと俺は振り返った。

 

 

「名前を、聞いてなかったな?」

「名前ですか……性は捨てましたので灯香(とうか)とだけお呼び下さい」

「なら俺も、クーリとだけ名乗らせて貰おう」

 

 

灯香(とうか)灯香(とうか)かと小さく呟きボロ屋の戸を開ける。麓の村に向かって、俺は山道を下り始めた。

 

 

 




ーーーーーーーー

次話はR18展開なので、ノクターンノベルのリンクを貼っておきます。

読まなくても話の本筋に影響しないように書いていますが、興味ある方はそちらの方もご覧下さい。

https://novel18.syosetu.com/n2687ml
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