男視点
「これで! 私の事を自分の女だと思えますよね!? 使命の手助けっ! 自分の女の為だと思って頑張って頂きますよ!!」
そう、切られた啖呵。
胸中に広がる久方ぶりの動揺。
まさか、まさかだった。
あんなメンチを切るようなキス、初めての体験だ。唇を手でなぞる、素晴らしき衝撃を思い出す。目前で強き意思をほとぼらせる美しい巫女を見てーー俺は反射的に彼女を押し倒した。
「きゃっ!? むぐ……!?」
ふわりと鼻腔を擽る上品な白檀の香り。
片手で巫女の細い手首を掴みつつキスを落とし、再びその唇の感触を楽しむ。なんて豊満で柔らかな女なのだろうか? 腰まで伸びた艶やかな黒髪を撫で、その次、白衣の襟元に手を伸ばしーー
「ーーうぐっ!?」
「何を……するのですかっ、この色情魔!?」
股間を膝で蹴り上げられた。
思わず腰が浮き、その隙に脱出されてしまう。
巫女は壁際にドンとぶつかるまで逃げ、袂で口元を隠しつつ、フーフーと荒く息を吐きながら此方を睨みつけ始めた。
バチバチと飛んでくる警戒心。しかし今の俺には、その態度すらも可愛く思えてしまう。
端的に言って
「面白いな?」
「お、面白い!?」
「惚れたかもしれん、使命を手伝ってもいい」
「本当ですか!?」
俺は頷いた。
明らかに身持ちが固そうなのに、勢いでキスまでやってしまう女。興味が湧いてしまった。惚れさせて是非とも股を開かせてみたい。
「あぁ、お前の側で手伝いをさせてくれるならな」
「それは勿論です!」
「なら、付いていく事に異論はない」
手を差し出す。
すると巫女は本当に嬉しそうにその手を両手で取り、コクリと小さく頷いてくれた。
「では早速ですが此処を出て」
「待った」
しかしそれは、少し待って欲しい。
「なんですか?」
「麓で美菜子に挨拶をしておきたい」
「挨拶を? それなら通りがかりにすれば良いではありませんか?」
「一晩掛かる挨拶だ」
俺が真剣にそう答えれば、ゴミを見るような目で見られた。私を好きと言いながらありえないと、氷点下の瞳がそう主張している。
だが、悪くないな? 好きな女から向けられるものならどんな感情でも嬉しいものだ。俺はつい笑顔を溢してしまう。
「な、何故笑顔に……いえ、もういいです。答えなくて結構ですから…では一晩、この家をお借りしますからね」
「好きにしてくれ」
「明日の朝一に、麓で合流しましょう」
「了解だ」
うなづく。慣れ親しんだボロ屋の戸に手を掛け、早速出掛けようとして……そうだと俺は振り返った。
「名前を、聞いてなかったな?」
「名前ですか……性は捨てましたので
「なら俺も、クーリとだけ名乗らせて貰おう」
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次話はR18展開なので、ノクターンノベルのリンクを貼っておきます。
読まなくても話の本筋に影響しないように書いていますが、興味ある方はそちらの方もご覧下さい。
https://novel18.syosetu.com/n2687ml