着流し女たらし吸血鬼、巫女に懸想す   作:レネクトン

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病院にて1

 

 

 

 

ガラリと病院の個室の扉が開く。

 

 

「お疲れ様やね巫女ちゃん、クーリ君どう?」

「まだ眠ってますね。大事はないようですが」

「そか。で、これ頼んでたやつや」

「お手数をお掛けします」

 

 

PCでの仕事を一時やめ、巫女はペコリと魔女に頭を下げる。頼んでいたクーリ用のスマホと職員パスを受け取り、一つググっと伸びをした。

 

 

「お疲れさんやね?」

「えぇまぁ、始末書がタップリでしたので…」

「そか。そんで、ホンマにこの子入れるん?」

「勿論です。強い仲間は多いに越した事はありませんよ」

「それはええけど、出自が気になるなぁ」

「出自……です、か」

 

 

それは否定できないと。

病院のベッドにて固い表情で眠る男を、巫女は眉根を傾け見やる。確かに、彼の過去を自分は何も知らない。

 

 

「吸血鬼、超強い、あの真血適合(ブラッド・アダプト)っていう隠し玉。こんなんもうあの家のモンちゃうん?」

 

「狭間家、ですか」

 

「そや、日本五大宗家の一つ。錬金術の大宗家の人間やって私は思うわぁ」

 

 

ーー【日本五大宗家】 それは代々優秀な霊能力者や祓魔師を輩出してきた、特異な霊的技能を持つ名家の総称だ。

 

天皇家でもあり日本神道の大本山である櫛比家。平安の時代から端を発する陰陽道の開祖、土御門家。操氣術の一大道場を深山幽谷に打ち立てた久遠家。

 

西洋から日の本に降り立ち、血吸い鬼と恐れられながらも錬金術を世に広めた狭間家も、その宗家の一つという訳である。

 

 

 

「しかし、狭間家にクーリのような若い吸血鬼がいるとは聞きません。狭間家には一人娘しかいないと聞いていますし、そのご令嬢が次代の当主になると決まっているのでしょう?」

 

「まぁ、分家の筋かも知れんへんなぁ。でもどちらにせよさ、五大宗家絡みかもしれんなら、もうちょっと採用は慎重にいくべきやない?」

 

 

正論だった。

巫女はクーリの過去を知らない。しかしその戦闘技術と、先の戦いで見せた尋常ならざる殺気を見れば、普通の人生は送っていないだろうと察せてしまう。

 

 

 

「過去の内偵、しといた方がええんやないの?」

 

それも正論だった。

しかし……

 

 

「大丈夫です」

 

巫女は決意に満ちた声色で静かに意思を示した。ゆるりと立ち上がって手を伸ばし、ベッドで眠るクーリの柔らかな金髪をくしゃりと撫でる。

 

 

「人の過去を見て今を断じる事は、愚かな事ですから」

「巫女はんは言う事が違うなぁ?」

「もう、揶揄わないで下さいよ?」

「ほなこの子が、過去に殺人やっててもええの?」

 

 

多分、十中八九ヤッてるで?

と、くすくす笑う魔女。

 

 

 

「確かに、人を殺める事は、取り返しのつかない事です」

 

その問いに対し、目を伏せ悲しげに巫女はそう言葉を返す。

 

 

 

「しかし、罪があるからといって社会から爪弾きにしては、その者の魂は誰が救うと言うのでしょうか?」

 

「私が言うのもなんやけどさ、罪人にそんな温情いる?」

 

「人は間違える生き物です。それは私も例外なくそうで、だからこそ万人に更生の機会は与えられるべきでしょう」

 

「理想論やねぇ」

 

「それを気合いで実行するのも、宗教者の務めですから」

 

 

淡々と、しかし強い意思で言葉を紡ぐ巫女。

そう、誰もが救われるべきなのだ。

 

彼を祓魔局に誘ったのは、戦力としての期待ーーひいては使命達成の打算が大いにあったが、しかし同時にあのボロ屋で初めてクーリと会った時、その貼り付けたような微笑みに、巫女はこうも直観したのだ。

 

ーーこの者は、救いを求めていると。

ーー自分がどうにかしてやらねばならぬと。

 

そんな衝動を自身の中に感じたのである。

 

 

 

「彼は、愛を求めているんですよきっと」

 

「愛を?」

 

「彼が、その、破廉恥なのはきっと、愛を求める裏返しなのです。私には、そう思えてなりません。私が愛を、彼に与える必要があるんです」

 

「愛を与えるってセックスでもするん?」

 

「セッ…!? 違います! そういった行為でなくとも人は愛を感じる事が出来ますから!」

 

「ふーん、巫女ちゃんが与える義理ないと思うけどね」

 

「縁もありましたし、これもきっと神々の思し召しですよ。私はそう、信じているんです」

 

 

 

その言葉に『ほんま、お人好しやなぁ』と魔女は嘆息する。だが、眼前の巫女は一度こうだと決めたら決して曲げない人間だ。その頑固さもよくよく知っていた。

 

しゃーないなぁともう一つ溜息を吐き、ならばと提案を投げかけた。

 

 

 

 

「クーリ君が心配ならウチが見とくから帰ってもう休み、体は大事にせんとあかんしな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

クーリ視点

 

 

ズシリと。腹に重さを感じて目が覚める。

周囲は薄暗かった。消毒液やら薬品の匂いから、此処が病院である事を把握する。

 

 

「おはようさん、クーリ君?」

「今日は厄日だと思ってたんですけど……案外、そうでもないみたいですね?」

 

 

常夜灯だけの暗い病室内。

俺の腹の上には、会議室で見た妙齢の魔女が馬乗りとなり伸し掛かっていた。状況は飲み込めないが、中々に幸せなシチュエーションだ。蠱惑的な、ボンヤリとした紫の瞳に見下ろされて、背筋がゾクゾクと興奮に痺れてしまう。

 

 

 

「嫌やわぁ、もう勃っとるやん? ケダモノか?」

「こんな美人に反応しない方が失礼ですよ」

 

 

ゴスロリ服の内側。彼女の下着をチンコで押し上げながら俺はそう答えた。

 

 

 

「ま、それには同意したるわ」

「はは。で、これからAVでも撮るつもりですか?」

 

 

そうとしか思えない状況であった。

 

なにせ、俺の両手は魔力で形成された金色の手錠で縛られ、ベッドのフレームに固く繋がれているのだ。バンザイ状態で動かせない有様であり、その上、馬乗りになっている妙齢の美女。

 

AVとしか考えられないシチュエーションだろう。

 

 

 

「いやいや、撮らへんけど一つ質問したいんや」

「なんなりと」

「巫女ちゃんは聞く気ないみたいやけどさ、ウチはハッキリさせとくわ。アンタ、狭間の人間やろ?」

 

 

俺は笑った。

それを見て魔女は、不愉快げに鼻を鳴らした。

 

 

 

「当たりかいな? 面倒やわぁ」

「大人しくしてますよ?」

「アンタが大人しゅうても、狭間の吸血鬼たちがどうちょっかい掛けてくるか分からんやん? あの引きこもりの実験狂どもに興味持たれたらゾッとせんわ」

 

 

俺はまた笑う。

そうだな、あの家の連中は狂っている。否定しようもない。良い点は、基本的に引きこもっていて外の世界に興味を持たない事だけだ。

 

 

 

「アンタさぁ、どっかに消えてくれへん?」

 

困ったような調子で、そうハッキリ言われてしまった。

 

 

 

「巫女ちゃんにはウチが適当言っといたるわ、気が変わって逃げたとか適当に。なんなら手切れ金やってもええ」

 

「金に興味はないですね」

 

「なら、何が目的や?」

 

「灯香に惚れてもらって、自分から股を開かせる。それを果たすまでは辞めるつもりがないんですよ」

 

「アンタ……殺すで?」

 

 

魔女の目が据わり始めた。

その美しい指先に魔力が収束し、紫色の輝球が形成される。ジジジと火花を爆ぜさせるそれを、俺の眼前に見せつけるように移動させてきた。

 

 

 

「今日はよく殺されそうになる日ですね?」

 

「余裕やん?」

 

「男には断じて抵抗しますけど、こんな美女に殺されるなら本望なんで」

 

「虚勢張るのはダサいで?」

 

「嘘じゃないですよ。灯香とヤレないのは心残りですけど……どうせ俺の人生に意味なんてないんです。なら、こんな美女の顔を見ながら終わるのも悪くはないですね」

 

 

無論、アンタが男なら殴り飛ばして抵抗するがな。と言っておき、俺はまた笑う。本当に、終わらせてくれたっていい。別にいいのだ。

 

ここで死ぬなら、それも因果が巡ってきただけなのだから。

 

 

 

「はぁ……アンタ殺しても巫女ちゃん悲しむだけやろし、今は、許したるわ」

 

そんな、特に抵抗しない俺を見て、苦々しげに集めていた魔力を霧散させた魔女。

 

 

 

「それはそれは、感謝しておきますよ?」

「でもな、これだけは言うとく」

 

 

その嫋やかな右手で胸ぐらを掴まれた。

 

 

 

「あの子はええ子や、それも人並外れて。あんたみたいな下半身で考える猿にも、愛っちゅーモンを教えようとしてる」

 

「それは実に光栄ですね?」

 

「せや、よくよく噛み締めときや? そんでアンタ、あの子を傷つけたらウチが承知せえへんで?」

 

 

デコが触れそうな距離で凄まれた。薬草のような、落ち着いた香りが鼻に掛かる。ヤリたいな、ヤラせてくれないだろうか? 返事より先にそんな本能が声を上げて、下半身が更に元気になってしまった。

 

 

「……この、変態が」

 

 

すると降り注ぐ極寒の瞳。悪態と共に唾を吐かれ、それが俺の頬にべちゃっと付着した。

最高だな? 

舌を伸ばしてそれを舐めとる。ガムでも噛んでいたのか、仄かに甘い桃の風味を感じた。

 

 

「ほんま、救いようの無いやっちゃな……まぁえぇわ。アンタ、チンポちゃんと勃ってるねんな?」

「バキバキですが?」

 

なんなら今の猥語で更に元気になったまである。

 

 

「なら、あの子に変な気ぃ起こさんよう、ウチがここでしっかり搾ったるわ。感謝してチンポおっ勃ててサッサと射精するんやで? この変態が」

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

次回、エロ回。

R18なので興味ある方は下記サイトでどうぞ

 

 

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