偽園さやかはオカズになりたい 作:苗木推しのサヤカー
※苗木誠は悪夢を見たくない
<side:苗木誠>
【GAME OVER マイゾノさんがクロにきまりました。おしおきをかいしします。】
嘘だ。そんなはずない。舞園さんが今回の事件の犯人なわけがない。
こんなの、明らかに黒幕の罠じゃないか。
なあ、そうだろみんな。
黙ってないでなんとか言ってよ。
ボクは必死に訴えたが、みんなの表情は墨汁か何かで真っ黒に塗りつぶされていた。
天井から鎖につながった金属製の首輪が降りてきて、舞園さんの首に掛けられる。
そのまま上に引っ張られる舞園さんの伸ばす手を掴もうとしたが、寸前でボクの手は虚しく空を切った。
天井へ消えていった舞園さんはどこかへ運ばれ、上空から落下させられる。
風圧でスカートがめくれてピンク色のパンツがへそまで丸見えになった。舞園さんが急降下しながら必死でスカートをおさえていると、巨大な鍵盤の上に着地する。
その周囲にステージや観客席がせり上がり、
《ネコふんじゃった 超高校級のアイドル舞園さやか処刑執行》
舞園さんの首にロープが引っ掛けられ、足が鍵盤に着くか着かないかまで引き上げられる。
モノクマがロープを上下に操作して、舞園さんの体をあっちこっちの鍵盤に移動させ曲を演奏し始めた。
そのたびに舞園さんの首に負荷がかかり、彼女の表情は苦痛に支配される。
モノクマは徐々にスピードを速め、それに合わせて演奏は聴くに堪えない物へ変わっていった。
観客に笑顔を届けるための顔は差し迫る死への恐怖で歪み、涙と鼻水にまみれていく。顔が徐々にうっ血して変色していった。
とうとう窒息の苦しみに耐えられなくなったのか、舞園さんは乙女の恥じらいを捨て、身体をよじって両足をめちゃくちゃにバタつかせ始めた。
短いスカートが脚の動きで持ち上がるたび、みっともなくパンツが丸出しになってしまうが、それを気にする余裕などもはや彼女には存在しない。
舞園さやかの人生最後のダンスは、死の恐怖で漏らした小便の染みがパンツに広がり、太腿の内側をつたって膝やつま先まで流れていく様子を余すことなく観客に見せびらかしていた。
ゆらゆらとロープに揺られて動かなくなった舞園さやかに向かって、観客役のモノクマ達はサイリウムやうちわを投げてブーイングしている。
彼女の内腿を流れるしずくが、儚くキラリと輝いていた。
目の前の光景は、ボクのまぶたにしっかりと焼きつき…
そして…
そして……
……………
………………………………
…暗転。
「うわああああああああああああああああ!!!」
叫び声をあげると共に目を覚ます。数秒思考が停止した後、あの光景が夢だったことを理解する。
ビシャビシャにかいた寝汗で背中にシャツが張り付いているのを感じながら、ボクは独り言をつぶやいた。
「嫌な夢だな。…いや。」
ボクは周りを見渡した。
「あんな夢が現実になるくらいなら、この状況もマシだって思えるかもな。」
視界いっぱいに広がるゴミの山を見て、ボクは心からそう思った。
4回目の学級裁判で、大神さんの死は自殺だと解明された。大神さんが残した遺書が、ボク達の結束を強めてくれた。
これ以上殺し合いなんて起こさせない。
そんな決意に水を差すように、モノクマはアルターエゴを破壊してしまった。
そこからの日々は、異変の連続だった。
以前にも増して読めなくなる霧切さんの行動。停止するモノクマ。
そして植物庭園に現れた、覆面の死体。
5回目の学級裁判で、被害者の正体が戦刃むくろだと判明するが、容疑者はボクと霧切さんの2人。
霧切さんを信じてあえて矛盾を見逃したボクは、タイムアップによってモノクマにクロにされてしまった。
しかし、モノクマの目論見は挫かれた。
おしおきによる死を覚悟した瞬間、アルターエゴがボクを助けてくれたんだ。
そんなわけで命は奪われずに済んだけど、今は水も食料もない状態で、悪臭立ち込める地下のゴミ捨て場に閉じ込められている。
体力を温存させる為、ひたすら眠った。悪夢に飛び起きても眠り続けながら、天からインスピレーションが降ってくるのを待った。
だけど、天から降ってきたのはインスピレーションなんかじゃなくって…
『ドスーンッ!ドスーンッ!!』
響き渡った大きな音に飛び起きたボクは、傍らの妙な形に盛り上がったゴミの山を観察した。
「粗大ゴミ…でも落ちてきたのか…?」
霧切「粗大ゴミとは失礼ね…」
舞園「大丈夫ですか?苗木君」
そんな声と共に、ゴミの山から彼女達は現れた。
舞園「…すみません苗木君。ちょっと手をお借りしてもいいですか?」
ゴミの山から手際よく抜けだす霧切さんと異なり、舞園さんはゴミ袋に体が沈みこみ、起き上がるのに手こずっていた。気を回す余裕がないのか無防備にさらされていたパンツから目を背け、ボクは舞園さんを起き上がらせてあげた。
2人が持ってきた食料を口に入れながら、裁判でボクに投票したことへの謝罪や霧切さんの記憶のことについて話し合った。
…アルターエゴが何もしなかったら普通に死んでたことについて、思うところが無くはない。
でも、あの悪夢のことを思い出して、ボクは決心した。みんなに対して生まれた暗い思いは、全部このゴミ捨て場に置いて行こう。
ボクの大切な仲間が、あんな目に遭わなくて良かった。
…特に舞園さんには、ボクの罪を受け入れてもらった借りがあるのだから。
話が一段落したところで、ボク達3人は霧切さんが持っていたマスターキーを使ってゴミ捨て場を後にした。
ゴミ捨て場を抜けた先は、トンネルが縦に伸びる煙突状の空間になっていた。
ボクらは地上を目指し、その壁面にある鉄製のハシゴをのぼっていった。
どうしてこうなった。
男性であるボクが、スカートを穿いた女性である霧切さんの後からハシゴをのぼるのは失礼だ。それは分かる。
だったらなんで、舞園さんは当たり前のようにボクより先にハシゴをのぼっているんだ・・・!?
舞園「ご、ごめんなさい。一刻も早く戻ったほうがいいかなって、気持ちが先走ってしまって…。」
ある程度のぼってしまった舞園さんにわざわざ降りてもらうのも悪いと言うことで、ボクらは舞園さん、ボク、霧切さんの順でハシゴをのぼることにした。
天井が見えない、長い長いハシゴ。ある程度のぼると足元も見えなくなった。
下を意識しないようにしたいが、上を向くわけにはいかない。何か気を紛らわせようと、ボクは霧切さんに話を振った。
そこで彼女から聞いた、代々探偵を生業にしてきた霧切家一族、探偵という職業を嫌って家を飛び出した父親、そしてその影に付きまとわれ続ける事に疲れた霧切さん。
ボクも舞園さんも、口を閉ざすしかなかった。
重い空気に耐えかねて、ついボクは今まで目を逸らしていた上の方に目線を上げてしまった。
―――パンツ。
スカートの中から自己主張する、見慣れた色の布。そこから伸びる2つの脚。下着とサイハイソックスに挟まれた、太腿の絶対領域。このコロシアイ学園生活で、何度もボクの目を奪ってきた魅惑の空間がそこにある。
思えば、最初は偶然の事故から始まった。
それ以来、苗木にとってコロシアイ学園生活は、舞園さやかのパンツの記憶と切っても切り離せない。
見て、覗いて、恥じて、からかわれて、求めて、慰めて、自己嫌悪して、怯えて、傷つけて、抱きしめられて、キスをして…。
そんなことを思い出しながらつい、舞園さんのお尻をぼんやりと眺める。
霧切さんにばれたら間違いなく軽蔑される。それでもボクは、好きな女の子のスカートの中をじっと見続けていた。
霧切「……」
しばらくしたところでようやく、ボクらは地上に辿り着いた。
トラッシュルームの床の扉を開け、希望ヶ峰学園に戻ったボク達はモノクマとの交渉に向かった。
体育館で姿を現したモノクマに、霧切さんは戦刃むくろ殺しの裁判のやり直しを要求した。
今度こそ
“希望”と“絶望”を賭けた、最後の勝負が始まる。