封印された魔剣士   作:最強主人公2

9 / 9
ORENGEさん、grilled_fishさん評価ありがとうございます!

※実は自分アニメ勢なので原作をほとんど知らないです。だから色んなところで不備などがあると思います!
基本的には独自解釈でやっていくんですけど原作知っている人からしたら不備がわかる人も多いと思うので、もしあったらメッセージでください!


全部

 朝霧が森を包み込んでいた。

 

 木々の隙間から差し込む朝日が、葉に残る露を照らし、小さく輝かせている。

 

 レオンはいつものように早く起き、鉄剣を抜いた。

 

 静かに素振りを始める。

 

 ヒュン。

 

 ヒュン。

 

 ヒュン。

 

 無駄のない軌道。

 

 三日前とは比べものにならないほど剣は体に馴染み始めていた。

 

「……百九十八。」

 

「百九十九。」

 

「二百。」

 

 最後の一振りを終えた時だった。

 

「終わったか。」

 

 後ろから低い声が聞こえる。

 

 振り返ると、オルステッドが腕を組んで立っていた。

 

「お、おはようございます!」

 

「今日は修行の最後の日だ。」

 

 レオンは思わず背筋を伸ばす。

 

「最後……。」

 

「ああ。」

 

 オルステッドは静かに歩き出した。

 

「付いてこい。」

 

 二人は森の奥へ進んでいく。

 

 十分ほど歩くと、木々が途切れ、広い草原へ出た。

 

 直径百メートルほどの開けた場所。

 

 戦うには十分すぎる広さだった。

 

 オルステッドは草原の中央で足を止める。

 

「剣を抜け。」

 

 レオンは迷わず剣を抜いた。

 

「今日は俺がお前の相手をする。」

 

 その一言に、レオンの心臓が大きく跳ねた。

 

(オルステッドさんと……戦う。)

 

 三日間、何度もその強さを見てきた。

 

 ドラゴンを追い払った姿。

 

 常人では見えないほどの動き。

 

 今の自分では到底敵わない。

 

 それでも。

 

「お願いします!」

 

 レオンは深く頭を下げた。

 

 オルステッドは何も言わず、一歩前へ出る。

 

「全力で来い。」

 

「遠慮はするな。」

 

「はい!」

 

 その瞬間。

 

 レオンは地面を蹴った。

 

 ドンッ!

 

 一気に間合いを詰める。

 

 右上から鋭い斬り下ろし。

 

 ヒュンッ!

 

 だが。

 

 オルステッドは体を半歩ずらしただけで避ける。

 

 空振り。

 

(速い!)

 

 すぐに剣を返し、横薙ぎへ繋げる。

 

 しかしそれも届かない。

 

 紙一重で避けられる。

 

 レオンは距離を取った。

 

(剣だけじゃ無理だ。)

 

 左手へ魔力を集める。

 

「ウォーターボール!」

 

 三つの水球が一直線に飛ぶ。

 

 だがオルステッドは歩くだけ。

 

 一歩。

 

 二歩。

 

 三歩。

 

 まるで水球の軌道を最初から知っているかのように、すべて避けてしまった。

 

「まだ甘い。」

 

 次の瞬間。

 

 オルステッドの姿が消えた。

 

「え……?」

 

 気付いた時には目の前に立っていた。

 

 レオンは咄嗟に剣を構える。

 

 ドンッ!!

 

 拳が剣へ当たる。

 

 その衝撃だけでレオンの身体は十メートル近く吹き飛んだ。

 

「ぐっ……!」

 

 何とか受け身を取り、立ち上がる。

 

 腕が痺れる。

 

 だが骨は折れていない。

 

「もう一度。」

 

 レオンは笑った。

 

「まだ終わってません!」

 

 再び駆ける。

 

 今度は真正面ではない。

 

 右へ回り込みながら距離を詰める。

 

 父から教わった動き。

 

 オルステッドの足運び。

 

 それを真似しながら剣を振るう。

 

 ヒュッ!

 

 ヒュヒュッ!

 

 三連撃。

 

 だが届かない。

 

 オルステッドは最低限の動きだけで避け続ける。

 

「視線が素直すぎる。」

 

 そう言った直後。

 

 レオンの額へ軽く指が当たる。

 

 コツン。

 

「うわっ!」

 

 それだけでバランスを崩し、尻もちをついた。

 

 レオンは悔しそうに立ち上がる。

 

(何でだ……。)

 

(全部読まれてる。)

 

 オルステッドは静かに口を開く。

 

「剣を見るな。」

 

「相手を見ろ。」

 

「相手の肩。」

 

「腰。」

 

「足。」

 

「動き出す前に読む。」

 

 レオンはその言葉を頭の中で何度も繰り返す。

 

(肩……腰……足。)

 

 もう一度。

 

 今度は相手の剣ではなく、身体全体を見る。

 

 オルステッドがわずかに左肩を動かした。

 

(来る!)

 

 レオンは横へ飛ぶ。

 

 次の瞬間、さっきまで立っていた場所へ拳が突き出された。

 

 風圧だけで草が吹き飛ぶ。

 

(見えた!)

 

 初めて避けられた。

 

 レオンの表情が変わる。

 

 すぐさま反撃。

 

 風魔術を足へ流す。

 

「ウィンド。」

 

 身体が軽くなる。

 

 一気に加速。

 

 真正面へ飛び込み、鋭い突きを放つ。

 

 オルステッドは手のひらで剣を受け流す。

 

 キィンッ!

 

 鉄が鳴る。

 

 その瞬間、レオンは左手を前へ突き出した。

 

「ウォーターボール!」

 

 三発同時。

 

 至近距離。

 

 普通なら避けられない距離だった。

 

 しかし。

 

 オルステッドはほんの少し首を傾けるだけで二発を避け、残る一発は指先で弾いた。

 

 パァンッ!

 

 水球が弾け飛ぶ。

 

「なっ……!」

 

 驚いた一瞬。

 

 オルステッドの手刀がレオンの肩へ触れた。

 

 ドンッ!!

 

 また吹き飛ばされる。

 

 地面を何度も転がりながら、それでも剣だけは離さない。

 

「はぁ……はぁ……。」

 

 息が荒い。

 

 汗が額を流れる。

 

 それでも目だけは死んでいなかった。

 

 オルステッドはそんなレオンを見つめ、小さく呟く。

 

「諦めないか。」

 

 レオンはゆっくりと立ち上がる。

 

 口元の血を袖で拭った。

 

「まだ……届いてないだけです。」

 

「届くまで、何回でもやります。」

 

 そう言って再び剣を構える。

 

 その目は、三日前の少年とはまるで違っていた。

 

 オルステッドはほんの僅かに目を細める。

 

「なら来い。」

 

 その言葉を合図に、レオンは再び地面を蹴った。

 

 ここから戦いは、さらに激しさを増していく――。

 

____

 

 レオンは何度目かも分からないほど地面を転がり、それでもすぐに立ち上がった。

 

 肩で息をしながら剣を握り直す。

 

 腕は痺れ、足も悲鳴を上げている。

 

 それでも目の前の男には、傷一つ付けられていなかった。

 

 オルステッドは静かに立っているだけだった。

 

「終わりか。」

 

 その一言が、レオンの闘志に火をつけた。

 

「まだです!」

 

 レオンは地面を蹴る。

 

 風魔術を足へ纏い、一気に加速する。

 

 真正面から斬り込むと見せかけ、途中で軌道を変え、左へ回り込む。

 

 そこから横薙ぎ。

 

 しかし、その剣はまたしても空を切った。

 

 オルステッドは最小限の動きだけで避け続ける。

 

(まだ読まれてる……!)

 

 レオンはすぐに左手を突き出した。

 

「ウォーターボール!」

 

 三つの水球が至近距離から放たれる。

 

 だがオルステッドは半歩踏み込み、水球の隙間をすり抜ける。

 

 次の瞬間、レオンの懐へ潜り込んでいた。

 

「甘い。」

 

 ドンッ!

 

 軽く肩を押されただけで、レオンは再び吹き飛ばされた。

 

 地面を滑りながらも、すぐに立ち上がる。

 

(どうすれば届く……。)

 

 三日間、オルステッドから教わったことを思い返す。

 

 『相手を見る。』

 

 『動きを読む。』

 

 『剣だけに頼るな。』

 

 『魔術だけに頼るな。』

 

 その瞬間、一つの考えが頭をよぎる

 

全部、使えばいい

 

 レオンは剣を両手で握り、深く息を吸った

 

 全身の魔力を一気に巡らせる

 

 森の空気が変わる

 

 オルステッドの目がわずかに細くなった

 

「……ほう」

 

 レオンは長い詠唱を始める

 

「偉大なる炎を司る精霊よ」

 

「我が魔力に応え、その灼熱なる力をこの刃へ宿せ」

 

「万物を焼き尽くす紅蓮となり、我が敵を灰へ還せ」

 

「天を焦がし、大地を裂く焔よ」

 

「今ここに、その力を示せ」

 

「──『魔剣術・紅蓮纏』」

 

 ゴォォォォォッ!!

 

 詠唱が終わると同時に、剣が真紅の炎に包まれる。

 

 熱風が吹き荒れ、周囲の草が黒く焦げる。

 

 しかし、レオンは止まらない。

 

 左手を剣へ添えた。

 

「ウォーターボール。」

 

 三つの水球が炎へ吸い込まれる。

 

 ジュゥゥゥッ!!

 

 白い蒸気が一気に噴き上がり、剣を覆い尽くす。

 

 さらに魔力を巡らせる。

 

「ウィンド。」

 

 風が蒸気を圧縮し、炎をさらに勢いよく燃え上がらせた。

 

 炎、水、風。

 

 三つの魔術が一つとなり、剣から凄まじい魔力が溢れ出す。

 

 森全体が震え、小動物たちは一斉に逃げ出した。

 

 レオンは叫ぶ。

 

「これが……俺の全力だぁぁぁ!!」

 

 ドォン!!

 

 地面を砕く勢いで踏み込み、一瞬でオルステッドとの距離を詰める。

 

 炎を纏った剣が唸りを上げる。

 

 空気を切り裂き、一直線に振り下ろされた。

 

「はあああああぁぁぁっ!!」

 

 轟ッ!!

 

 炎の斬撃が地面を抉りながらオルステッドへ迫る。

 

 その瞬間。

 

 オルステッドが初めて大きく踏み込んだ。

 

 右手を前へ突き出す。

 

 ドォォォン!!

 

 拳と炎の剣が激突した。

 

 衝撃波が四方へ広がり、何本もの木が大きく揺れる。

 

 炎は暴れ、蒸気が爆発する。

 

 レオンはさらに魔力を込める。

 

「押し切れぇぇぇっ!!」

 

 炎がさらに激しく燃え上がる。

 

 しかし、オルステッドは微動だにしない。

 

 そのまま静かに拳へ力を込めた。

 

 バァンッ!!

 

 レオンの剣が弾かれる。

 

「しまっ……!」

 

 一瞬の隙。

 

 オルステッドはレオンの胸へ掌を当てる。

 

 ドゴォォン!!

 

 レオンの身体は弾丸のように吹き飛び、地面を何度も転がった。

 

 剣が地面へ突き刺さる。

 

「……はぁ……はぁ……。」

 

 全身が痛い。

 

 魔力もほとんど残っていない。

 

 それでもレオンは笑っていた。

 

「やっぱり……強い。」

 

 ゆっくりと立ち上がる。

 

 オルステッドは静かにレオンを見つめていた。

 

「三日。」

 

「たった三日で、ここまで形にするとは思わなかった。」

 

 レオンは顔を上げる。

 

「今の技。」

 

「魔術を組み合わせ、自らの剣へ応用したか。」

 

「はい。」

 

「一人で考えました。」

 

 オルステッドは数秒黙っていた。

 

「未完成だ。」

 

「魔力の流れが粗い。」

 

「水と風を重ねるタイミングも甘い。」

 

「隙も多い。」

 

 レオンは少しだけ肩を落とす。

 

 だが、その直後。

 

「だが。」

 

 オルステッドは続けた。

 

「発想は悪くない。」

 

「三日でここまで辿り着いたことも評価できる。」

 

「魔力量も、お前の年齢では規格外だ。」

 

 レオンは思わず目を見開いた。

 

 初めてだった。

 

 オルステッドが、自分を認めるような言葉を口にしたのは。

 

 オルステッドは踵を返す。

 

「修行は終わりだ。」

 

 レオンは深く頭を下げる。

 

「ありがとうございました!」

 

 そのまま歩き出したオルステッドが、数歩先で立ち止まる。

 

「レオン。」

 

「はい!」

 

「好きに付いてこい。」

 

 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。

 

「俺は弟子は取らん。」

 

「だが、お前が勝手に見て、勝手に学ぶというなら止める理由もない。」

 

 レオンの顔に笑みが広がる。

 

「本当ですか!」

 

「ああ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「必ず強くなります!」

 

 オルステッドは何も答えず、森の奥へ歩き出した。

 

 レオンは急いで剣を拾い、荷物を背負う。

 

 まだ、この男が何者なのかは知らない。

 

 なぜこれほどまでに強いのかも知らない。

 

 それでも、一つだけ確信していた。

 

 この背中を追い続ければ、自分はもっと強くなれる。

 

 そう信じて、レオンはオルステッドの後を追った。

 

 こうして、一人の少年の新たな旅が始まるのだった。




投稿遅れてすみません!

朝からワールドカップ見てたら投稿忘れてました…
多分日曜と月曜も遅れるかもしれません、もし遅れたらこいつワールドカップ見てるんだろうなと思ってください笑

今後の展開

  • 一気に歳をとって成長する
  • 修行
  • 魔法を極める
  • 剣術を極める
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