FSS─翡翠の姫君─   作:アマテラス、アンタちょっとガメツイよ!

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書きました


01:始まり

「あーはっはっはっ! もう笑うしかねぇーですわぁ!! クーですわー! クー!!」

 

「わひゃー!! 今かすりました! バスター砲かすりましたよおマスター!!」

 

「んなこたわーってますよ! 『レイライン』! 貴方はこの子の調整に集中なさい!!」

 

「そもそも起動テストすらマトモに出来なかったこの子を叩き起して無理くり動かすのが無茶だったんですぅ〜! それに私も本来ならまだまだすやすやと眠ってたんですよぉ!? 

 というか、この子専用のアシリア・セパレートもないから今動いてくれてるのも奇跡ですよぉ!」

 

「泣き言言っても仕方ないでしょう! でなけりゃ今頃私たちの首はチョンパでしてよ、チョンパ!!」

 

「うわーん! なんでよりにもよってお誕生日(こんな日)にクーデターなんて起こるんですかぁ〜!! 

 この子も叩き起されて早々にこんな目にあって泣きそうですもん!!」

 

「ほんと心底同意しますわよクソッタレ! あんの阿婆擦れまじざけんなですわ〜〜〜!!! おファックでしてよ〜〜〜〜!!!」

 

「「まじ最悪ですわぁ〜〜!! (ぅぅ〜〜!!)」」

 

 星団歴2982年4月1日、午後12:24分にジョーカー星団のサザンド太陽系惑星ジュノーのとある小国において王宮にて姫君の誕生日パーティー中にクーデターが発生。

 政権転覆により、本来ならば成人した時に玉座に着くはずであった当時の姫君『イーリスフィア・ゼノ・リガリエッテ』第1王女は立場を追われることとなる。

 

 クーデター発生から凡そ1時間弱、午後1:18分にイーリスは王城地下にある彼女専用の工房へ立て籠った。

 

 午後8:37分、工房の唯一の出入口を突破し、中にいる王女を討たんとしていた追っ手たちではあったがイーリスは自国の新しい王騎としてお披露目される予定だった彼女直々に建造途中のMH『ザ・ジェイド・オブ・フルゴール』と調整中だった専用ファティマ『レイライン』の起動に成功。

 しかしそれと同時に追っ手たち工房の扉を突破。危うくイーリス王女はその凶刃に倒れそうになったが、間一髪目覚めたフルゴールによって防がれる。

 

 午後8:40分、騎士でもあったイーリスとレイラインの搭乗したフルゴールによって王城の包囲網を突破。

 

 午後9:13分、未完成ながらも姫君の類い稀なる操縦技術によってフルゴールは追っ手たちのMHによる執拗な追撃を必死に捌きつつ、国の宇宙港に繋留されていた輸送船を奪取し発進、逃亡に成功する。

 

 午前00:00分、輸送船のテレポートにより惑星宙域から離脱し以降

 イーリスフィア・ゼノ・リガリエッテ第1王女、王騎(予定)MHザ・ジェイド・オブ・フルゴール、専用ファティマのレイラインの行方知れずに。

 

 以上が凡そ12時間の間に起こった『リガリエッテ公国クーデーター事件』のあらましである。

 

 そして、これはイーリスフィア・ゼノ・リガリエッテがいずれ祖国を取り戻し再び玉座に返り咲く長い英雄譚だ。

 

 

 

 

 

 死んだと思ったらお姫様に転生してたわ(笑)

 

 端的にワタクシの身の上を説明するならこんな感じかしら? 

 

 え、意味がわかんない? もっと詳しく説明しろ? ざけんなデコッパチ? 黙らっしゃい! これから詳しくせつめーしてやるんですから急かすんじゃありませんわよ! 

 

 ホモはせっかちって知りませんの!? 

 

 オホン……ともかく、ワタクシの前世は朧気ながらも覚えているのは何処ぞのおブラックソ企業の一般社畜系リーマンでしたわね。週休1日未満の残業時間は余裕でオーバー、サビ残上等、ロードー基準ほーは未実装の100連勤マシマシのドカ盛りって感じで。

 

 その日も余裕で終電すぎた時間に退勤して産まれたての小鹿よりもガクブルと震えてる足腰に鞭を打って自販機で買ったストゼロ片手に帰路についてたんですけど、これがいけなかったのかしらねぇ? 

 

 これまでのクソみたいな労働環境で身体が壊れ気味だったところで日々のストレスの捌け口に毎夜ストゼロを3つ4つとエナドリをちゃんぽん。

 

 沈黙の臓器ちゃんが悲鳴をあげたのか、脳みその血管がプッチンしたのかも分かりませんけど道端の石ころに躓いて当たり所が悪かったのかおっ死んだんでしてよ〜〜! 

 

 こうして言葉にして思い出してみるとワタクシの前世ってクソすぎませんこと? は〜〜〜、こんなことになるなら職場のクソ上司共をぶち殺せばよかったですわ〜〜! 

 

 まぁ、ともかくワタクシはくたばったと思ったら異世界の王族『リガリエッテ家』のお姫様として生を受けたんですわよ。

 しかも、王位継承権第1位! 前世の負け犬っぷりに比べたらとんでもねー大躍進過ぎてビッくらポンですわ! 

 

 これには笑いも止まりませんわね〜! オーッホッホッホ!! 

 

 んでもって、ワタクシの転生した世界はなーろっぱにあるようななんちゃって中世時代かと思いきや、トンデモ科学技術のあるチートSF異世界でしたのよ。

 

 いやー、ビックリしましたわね。時々メイドが手から電撃みたいなものを出してるのをてっきり魔法ありのナーロッパかこれ〜! と興奮してバブバブ言ってたらお母様に抱っこされて王城のテラスから王宮の外を見てたら馬鹿デケーお船が空を飛んでるわ、めちゃくカッケーデザインのデケー人型ロボットたちが並んでたんでしたから。

 

 その時はあまりの驚きに漏らしたのも良い思い出ですわ。

 

 ともかく、余りの情報の多さに混乱しつつもワタクシは幼少期を過ごしてたんですけども、バブバブ期を数年過ごして気がついたんです。『なんか成長遅くね?』と。

 

 普通赤ん坊って遅くとも1年くらいでハイハイから出歩くくらいは出来るのに全っ然ワタクシ、ハイハイができませんでしたの。

 てっきり身体にビョーキか何かあったのかと思ったのですけど、の割にはメイド長やお母様は全く心配する素振りも見せないで高い高いしてきましたわ。

 

 んで、何が悲しくてオムツの取替だったり授乳を死んだ目でやりつつ数年経った頃に舌足らずでも言葉を話せるくらいになった時にぬいぐるみ片手にメイド長に聞いたんですのよ。『なんでこんな成長おせーの?』って。

 

 そしたらメイド長は──暗殺のために忍び込んできた下手人共を制圧しながら──教えてくれたんですのよね。どうにもワタクシの転生したこの世界の人の寿命って300年もあるくらいご長寿だって。

 

 どーにも、この世界って前述の通り科学技術がトンデモねーことになってまして半永久機関や恒星間飛行、テレポーテーションの実現、大陸すら吹き飛ばす大量破壊兵器と自己再生機能をもつロボット兵器の製造が可能なんですの。

 

 つまり、それくらい出来るなら人間の寿命も弄り放題ですわよね。ってことで、この世界の人達って成人するのに90年くらいかかるからワタクシの成長が遅いのは当たり前なんですわ。

 

 その他にも色々聞いたんですけど、この世界は恒星間飛行できるから人間の行動範囲がかなり広くて『イースター』『ウェスタ』『サザンド』『ノウズ』の4つの太陽系に加えて1500年おきに周回するっていう『移動性太陽系スタント遊星』の計5つの『ジョーカー太陽星団』っていうらしいのよ。

 

 んで、ワタクシの産まれたこの国があるのはサザンド太陽系の居住惑星『ジュノー』っていう緑豊かな星の北半球にある『ロンド大陸』南部の端っこの端っこに位置する幾つかの島が連なる場所にありますわね。名前はワタクシの名前の後ろにある通りの『リガリエッテ公国』ですわ〜。ちなみに海に周囲を囲まれてるから主要産業は主に漁業が盛んで名産は海鮮類と翡翠なのが特徴でしてよ。

 

 あと他には大陸本土でご近所でもあるこの星でいっちゃん大きな国の『コーラス王朝』があるんですけど、ロンド大陸自体にゃ馬鹿でけー森林(ジャングル)が広がってる+大陸が広大すぎるしコチトラ島国なのでぶっちゃけ関わりなんて一切ありませんわね〜! あとついでに王朝以外にも色んな国がありますが、どれもこれも木っ端も木っ端なんで覚える必要はありませんわね! 

 

 一応、ワタクシが生まれた時の出産祝いにゃその王朝の王様がお祝いの言葉と品を持参して来たりしてくれたのを次いでにメイド長から教えられましたね。この着ているおべべがそうですわ〜。着心地も王様が持ってくるだけあって最高の肌触りです。

 

 ま、国の話はこれくらいでいいですわね。とにかく、ワタクシは小国とはいえ立派なお姫様! それはもうチヤホヤされましたわね。

 最初の頃も良かったんですが前世の記憶があるせいでじみぃ〜に居心地が悪かったんですのよね〜。

 

 赤ん坊で王族で第1子っていうのも大きかったんですけど、転生者特有の前世の記憶を維持してるために付随した知識と後述しますが、この身体の体質? というか特性といえる様なのも相まって『神童』と持て囃されましたわ。

 

 なろうとかによく居るクソニートなやれやれ系主人公だったら鼻が天狗になるんでしょうけども、生憎ワタクシの前世は限界社畜リーマンのいい歳した大人だったのと、劣悪な環境とクソみたいな上司のカスみたいなパワハラで自己肯定感がドン底ツキヌケテタワケですから居心地が悪くて全く喜べないんですのよ。だって、転生ってズルしてるようなものじゃない? 

 

 でも、ワタクシは見た目は赤さんでも中身は立派な大人! 期待されたならできる限り応える義務があります。

 それに、王族ということは庶民の方々の税金を用いて生活してるんですもの。恩は返す、人として当たり前でしてよ〜! 

 

 それに加えて、ワタクシの身体はトンデモねー能力をもっていたのですわ。

 それを説明するのはハイハイからきちんと出歩けるようになった時になりますわね。

 

 いつものように暗殺の為に何処ぞの阿呆がけしかけてきた下手人をメイド長がシバキ回してたのですが、その日はいつもよりも数が多くてさすがのメイド長もうっかり1人を通してしまったんですの。

 

 あわやワタクシのせっかくの第二の人生が危うく幕を閉じそうになった時、ワタクシの全身に凄まじい感覚が走りました。

 本能につき動かされるように手に持ったのは壁に掛けられていたのが落ちたインテリアの剣で、ワタクシは本来なら持てないような大きさの剣をまるで小枝を振り回して下手人を綺麗にスパーンっとぶった切ったのです。

 

 これにはワタクシ含めたその場の全員がびっくり仰天しましたわ。つい最近までオムツをしてたようなちびっ子がデカイ剣をもって大人を斬り殺したんですから。

 

 下手人の1人はそんな私を見て『騎士(ヘッドライナー)の血が覚醒しただと!?』と叫んで、メイド長がその首をネジ切ってたのが強烈でしたわね。

 

 騎士、それは下手人共を血祭りに上げた後始末の最中にメイド長が言うには今のジョーカー星団がずっと昔に『超帝國』っていうトンデモ超大国が生み出した戦闘人種の『シバレース』もしくは『リッター』っていうのが源流となった者たちの子孫の遺伝子が覚醒した者たちのことを指しますの。

 

 この騎士の血が覚醒すれば、普通の人間と比較しても極めて高い反射速度と耐久性、筋力が向上します。

 メイド長もどうやらその騎士の血が覚醒してる為にワタクシの護衛に選ばれたとも教えられましたわね〜。

 

 その話を聞いた時は『はえ〜、騎士って凄ぇんですのね〜』って呑気に思ったのですけど、すぐにそれ以上に驚くことを聞かされましたわ。

 

 なんでも、騎士っていうのは『MH』というロボットを動かすことのできる存在でもあるって! 

 MHとは何ぞや? と思いますわよね。聞いた時は私も思いましたわ。『なんですの、それ? ゴシックロリータの親戚?』そんなことを考えてたらメイド長が苦笑しつつも教えてくれました。

 

『Mortar Headd』それは直訳して『電気騎士』や『迫撃神』とも言いますが殆どは略称のMH(モーターヘッド)という俗称で呼ばれる全長が15mを前後する大型の人型機動兵器……つまりはガンダムみたいなロボットです。

 

 この世界に於いて、MHは『戦争の全権代理人』とも言われます。

 性能は隔絶の一言で、まず動力なんですがSFならお馴染みの半永久機関と呼ばれる『イレーザーエンジン』があります。

 この永久機関なんですが、周囲の可視光や放射線を問わず、あらゆる光を取り込んでエネルギーに変換し天文学的な出力を発する外燃機関効率でとんでもねぇ出力で生み出すのです。そしてその桁数が馬力にして表すと『兆』ですわ。

 

 意味分かりませんよね? 普通、馬力って億とか兆っていきますっけ? ワタクシの知識で知ってるのって海に浮かぶ戦艦ですら数十万程度でしたわよね? 

 というか、人型ロボットの大きさに収まるエンジンでこれくらいの馬力だったらお空に浮かんでたあのお船はどんだけ馬力がやべーのよ? とメイド長に聞いたら戦艦に用いられるイレーザーエンジンよりもMHのが遥かに高出力って言われましたわ。んー、馬鹿かな? 

 

 はい、初っ端からトンデモねー数字の暴力が襲ってきましたが次は最もトンデモネー数字が襲って来ますわー。

 

 次にその機動力ですけど、手足や移動速度の最高速は最大で亜光速まで到達するのです。音速やマッハ超えて亜光速! しかも、99.9999……%のほぼ光の速度!! 

 

 意味わかんねーでしてよ〜〜〜〜! 

 

 当たる当たらないなんて前にそもそも見ることすら出来ねーですわね〜……そんなバカみたいな機動性もあるから当然、通常兵器(こっちはこっちで超音速で空を飛び回るヤベー戦車)なんて万のひとつの確率でも当たることは有り得ません。というか、当たってもMHは『ネオキチン装甲』という装甲はビームやレーザーなどの光学兵器は無効化、物理攻撃には強い耐性を誇る堅牢さを持っているのに加えて自己再生能力もある欲張りっぷり。

 

 そして、毒を以て毒を制すというようにMHを倒すには同じようにこちらもMHを投入しますの。でも、MHの堅牢さはピカイチなんですが、それを破壊するには刀剣や、槍、土などの近接実体武器を用いてド派手な近接戦闘が主なのですわ。

 

 ん〜〜〜……バカ! そんなデタラメロボット達がこのジョーカー星団に於いて最強の兵器と呼べるんですけど、戦争になったら戦場を埋め尽くす数のロボットがドンパチやるとか怖すぎませんこと? 

 

 トマト缶を頭からぶちまけたみたいな惨状の部屋の中で私の中に湧いたのはそんな思い以上に『ロボットってやっぱかっけー!!』でしたわねぇ。

 いやぁ、今女の子ですけれどワタクシの心の少年ハートがメタクソ刺激されますわよ。

 

 思わずその場で『ワタクシもMH乗りて〜ですわ〜〜〜!!』ってバンザイして宣言したのも仕方のねぇことです。

 

 だってかっこよくありません? デケェ人型ロボットがドンパチやり合うのなんてロマンがありますもの。

 

 でもワタクシって王女様ですし子供ですから今は無理ですよーってメイド長に窘められましたけどね。

 

 ま、そんなことがありつつワタクシは次期女王としての責務を果たさんと1歩を踏み出したのですわ〜〜〜! 

 

 とりあえず、ワタクシの国(になる予定)のリガリエッテ公国は幾つかの島が連なる小国で目指すはロンド大陸へ領土を広げることかしら。

 

 島国ですからどうしても必要な資源だとか食料をどーしても輸入に頼らないといけませんし、もし津波なんて起きたらワタクシの国はあっという間に水浸しですわ〜! 

 

 オマケに攻め込まれたら即座に本土決戦まっしぐらですから、それをされない為に戦火を遠ざけるための防衛陣地を得たいってのもあります。

 

 まぁ、島国が大陸に防衛陣地を築くのなんてくっそムズいんですけど備えあれば憂いなしですから必要経費ですわ。

 幸いにも周囲には敵国とも呼べるようなものなんてありませんし、仮想敵国でもあるコーラス王朝やハグーダ帝国なんぞは今のところ両者が互いに睨みを利かせてるのでワタクシの国は眼中にありません。

 

 ゆくゆくはそのふたつもぶっ潰したいところですが、そこら辺の野心は今は置いておきましょう。

 というか、コーラス王朝はまだしも木っ端のハグーダ帝国にすら挑んで負けそうな規模なのがワタクシの国ですので、急いではことをし損じます。

 

 まずはとにかく自国を手中に収めるのが先決。我が国は貴族共の権力がちょっち強いですから、王家への中央集権化が大前提! 

 

 だって、領地を広げたはいいけどその管理を任せた貴族に勝手にやられるのなんて目に見えてます。

 ついでに言えば、もし仮に戦争が起こってしまえば連中が『自分ら今忙しいんすよ〜……!』何かと理由をつけて兵を寄越さないばかりか過去にも『税金なんて払うわけねーだろ、ヴァーカ!』とのたまってそのままだってこともあります。

 

 ただでさえ小国なのに、んな事をやられてたら成長したくとも出来ません。故に軍事的にも財政的にも貴族共をのさばらせとく必要がありません。

 

 てなわけで、お母様でもありリガリエッテ公国女王の『イーシェン・ゼノ・リガリエッテ』陛下に直談判。陛下からは諸手を上げて後押しされました! 

 

 どうやら日々女王として仕事や貴族共の好き勝手にお母様自身も頭を悩まされてたみたいですわね。

 

 まぁ、そのせいでお勉強の量やら数が増えまくって悲鳴をあげることになりますがそこは必要な犠牲です。

 あー、でもその過程で判明したこともありまさしわね。

 

 その日は経済と合わせて算額の授業だったのですが、バチくそ美人な乳母を兼ねていた家庭教師の出す数式が何故か途中の計算式をすっ飛ばして答えが突然湧いてきたのです。

 

 これがなんなのか家庭教師に聞けば、彼女は難しい顔をしてメイド長とお母様をお呼びしたと思えば即座に4者面談が始まりました。

 

 そして聞かされたのですが、どうやらワタクシって『マイト』になれる才能があったみたいですわ! 

 マイトとは何ぞや? って思いますわよね。簡単に説明すればMHと『ファティマ』を製造出来る才能の持ち主ってことです。

 

 MHは前述した通り、ファティマというのはMHを操縦するのに必要な存在で騎士とファティマ、この2人が揃ってMHがそのスペックを十全に活かせるといえばその役割の大きさが分かりますよね? 

 ちなみに、この家庭教師がメイド長のファティマと聞かされた時はビックリしましたマル。

 

 あぁ、そうそう。それでファティマのことを説明しないといけませんわね。ファティマというのは外観は殆ど人と変わらないのですけど、その実態は人間ベースの生体コンピュータ……そう簡単に言えば人造人間なのです。

 

 騎士の細胞をベースにして、情報処理や演算能力に重きを置いているためにその速度はスパコンすら大幅に超え、電子戦ならばほぼ無敵とも言えます。

 

 身体能力も騎士の細胞をベースにしていることから、平均的な騎士の及ぼす80%程の高さがあり見た目からは想像もつかないほどの力持ちですわ。証拠を見せてと聞いてみたら彼女は部屋のソファを片手で持ち上げてみせてびっくりしましたわね。

 

 加えてファティマは歳を取らず非常に長命で、騎士に準ずる身体強度を持っていたりとトンデモネーのですが、その反面にファティマの特性上、免疫力や自己治癒能力は常人に比べてかなり低く、病気にとても弱いのです。

 さらに更に、お肌もとても敏感で化学製品などで作られた衣服を着てしまえば酷いアレルギーになってしまい最悪命の危機に陥るそうですわね。(といっても、このジョーカー星団での化学製品は地球のものとは違ったものですが)

 

 ともかく、ファティマの衣服は専用の自然由来の素材を太古の製法に基づいてわざわざ作り出されてるんですわ。

 ちなみに、この専用の衣服『ファティマスーツ』は量産品の安いものでも日本円にすればウン千万……オーダーメード品なんてそれこそ何億円もするほど滅茶苦茶高価なんですわー!! 

 

 ワタクシのおべべよりもたけーですわねー!! 

 

 オマケに彼女たちの維持費なんて諸々合わせたらちょっと目を逸らしたくなるレベルで、個人で所有するなんてとてもとても無理です! 

 

 てなわけで、マイトというのはMHとファティマを作れる人達のことを指すんですの。

 といっても、一般的なマイトはそれぞれどちらかの専門職に進むのでどちらも作れるようなマイトはごく少数らしいですね。

 

 そう、つまりはワタクシもMHを作れるってことですわぁ〜〜〜!! 

 

 自分のカッチョイイロボットを作れるなんて最高か? 最高ですわね!! 

 

 てなわけで王族としてのお勉強も並行してワタクシはマイトになるためのお勉強に精を出すようになりましたの。

 メイド長とそのパートナーの家庭教師のファティマのツテで通信教育とはいえ、高名な星団四代マイスターのおひとりと関係をもてたことには感謝感激雨あられってやつですわね! 

 

 そんな日々を過ごしつつ、気がつけば30年近く経ち地球換算で言えばだいたい7歳くらいの頃にお母様はワタクシの弟や妹達をお産みになられたり、何れワタクシが即位した時のための女王のための専用の王騎の設計と専属のファティマ制作をし始めましたわ。

 

 そして、それから更に20年。設計図が完成した為に建造を開始し、専属ファティマのレイラインを成長のために育成ポッドへと眠らせ、国の相続権や法案も水面下で推し進め大陸本土へ手を伸ばし始めました。

 

 あとはもう女王に即位すれば完全に中央集権化が完了しそうなところでアレが起こりました。

 

 ───そう、普通にクーデターですわ!! 

 

 クーですわよ、クー!! 

 

 よりにも寄って信用していた王侯貴族や、何れワタクシの直属の騎士団にする予定だった子息たち含む軍部が主導してね!! 

 

 ガッデッッッッム!!! 

 

 まさか、ハグーダ帝国の阿婆擦れの間者が紛れ込んでたなんて予測していませんでしたわぁ〜〜〜!! 

 ちょっと、法案を通すために有力な私服を肥やしていたバカ貴族共を粛清したり事故に見せかけて消したり、ちょっと悪どいことをしていた証拠を付けられたとは! 

 

 あの婆、コーラス王朝を目の敵にしてたからリガリエッテに目を向けることはないと思ってましたのに! 恐らくはあの阿婆擦れを支援してる外部勢力の奸計であるのは予想できますが…………

 

 いやー、一応ワタクシ個人を目的としたクーデターですのでお母様や可愛い弟妹達が危害を加えられることはないでしょうし、あのメイド長達含む肝いりの騎士団がいますから下手なことをされないはずです。

 

 けど、それはそれとしてお飾りにされてしまうでしょうね〜……んー、クソッタレ!!! 

 

 まぁ、そんな訳でワタクシってば追放されたようなものなんですわよね〜。

 身柄を確保せんと迫ってきた兵士たちを即座に懐に忍ばせていたライトセーバーもとい『光剣(スパッド)』片手に蹴散らして王宮中を駆け回りながらも地下にある極秘の工房へと立て篭もったのです。

 

 お母様やメイド長など限られた一部の者にのみしか知らされていないこの工房にはワタクシが設計と建造をしていた王族専用MHでもある王騎ザ・ジェイド・オブ・フルゴールとファティマ・レイラインが共に安置されていたのです。

 

 といっても、フルゴールの方の完成度は凡そ6割弱の未完成に加えてレイラインの方は未だ成長の為に育成ポッドで眠らせていて完全に生育するまで時間が必要でした。

 

 けれど、工房のすぐ外には兵士たちが扉を破らんとしていましたから止むを得ず未完成のフルゴールと育成途中だったレイラインを起こすことにしたのです。

 

 幸いにもフルゴールの方は動かす程度なら問題はなく、レイラインの方も本来ならL型の成女でなくとも1つ前の段階のM型乙女までには成長していました。

 

 育成ポッドから出して、マーカーもつけた状態の未だに状況を飲み込めていないレイラインにサイズのあっていない『デカダン・スタイル』のファティスーツを着せてファティマルームに押し込み、これまでの起動テストでろくに動かなかったフルゴールにお祈りしながらエンジンを点火。

 

 それと同時に扉が破られ、兵士たちが雪崩込みワタクシが斬られそうになったところで、お祈りが通じたのかフルゴールは目を覚ましてくれましたわ。

 

 フルゴール自身の意思によってワタクシを斬ろうとしていた兵士たちを目の前でトマトソースにしたことにゃドン引きしましたが、護ってくれたことに感謝してコクピットの『騎士殻』へ滑り込めば後はもう勢いに任せて工房の隔壁をぶち破り、王宮からダイナミック脱走。

 

 追撃に本来ならフルゴールと共に戦列を並ぶはずだったワタクシ設計のMHや戦艦の砲撃を必死に交わして追撃もいなしつつ、リガリエッテ唯一の宇宙港に到着。

 止めていた交易の為の輸送用シャトルへダイナミックエントリーをかまし、乗り込んだワタクシ達はそのまま発進して惑星ジュノーから国外どころか惑星外逃亡に成功しましたわ。

 

 クーデターをかまされましたが、ワタクシは栄えあるリガリエッテ家の娘でありリガリエッテ公国の次代女王のイーリスフィア・ゼノ・リガリエッテですのよ! こんなところで終わって溜まるもんですか! 

 必ず別の惑星で力を溜めて祖国へ戻り、こんなことをしてくれたあんのクソババアめを血祭りにあげて差し上げますわ〜〜〜!!! 

 

「てなわけで、まずは『先生』の所に身を寄せますわよ〜〜〜!!!! 進路をイースター太陽系のアドラー星へ固定なさい!!」

 

「うわぁぁぁ〜ん! 起こされて早々こんなことになるなんてレイラインは宇宙一不幸なファティマですぅ〜〜!! 進路をイースター太陽系、惑星アドラーにしますぅぅ〜!」

 

「オーッホッホッホ! 首洗って待ってなさいな『アルメメイオス』!! 貴方の首、必ずワタクシがぶった切って差し上げますわぁ〜〜!!!」

 

 

 

 

 キャラ説明

 

 イーリスフィア・ゼノ・リガリエッテ

 

 年齢:56歳(地球換算で凡そ14歳程度?)

 

 愛称:イー様、イーリス

 

 夢中なもの:レイラと一緒にいること、フルゴールを乗り回すこと、MHの設計をすること

 

 好きなブランド:特になし。ジャージが最高でしてよ〜! 

 

 好きな音楽:気分が上がるのものならなんでも

 

 今作の主人公で前世は限界社畜リーマンの現世は惑星ジュノーの小国リガリエッテ公国の第1王女。

 輝くおでこと大きなアホ毛がチャーミングなお姫様で騎士でありマイトの才能を持ちそれぞれの師匠と言える人物たちからは『天は二物を与えた』と言われるほどの才女。

 

 そんな彼女ではあるが、誕生日パーティー当日にクーデターをかまされ、国を追放されたという何気に過酷な運命を背負ってる。

 の割に本人が割とメンタルオリハルコンのため全く気にしてないどころか必ず戻って落とし前つけてやると気炎万丈の模様だが、一先ず落ち着ける場所を得るためにとあるマイトの元へ身を寄せることとなる。

 

 そして未来において、A.K.D.の星団大侵攻で惑星ジュノー侵攻時には自身の国に宣戦布告をされた際、A.K.D.のアマテラスの居城へ単騎で乗り込み、ミラージュナイトやA.K.D.騎士達を薙ぎ倒し玉座にて皇帝アマテラスへ決闘を申し込む。

 皇帝アマテラスはこれを承諾し、惑星ジュノーのペテルスファ大陸を決闘の舞台とした。

 その戦いは全星団に中継され、この戦いを見た者たちはまさに神話と表せるもので大陸の一部を消し飛ばし巨大なクレーターを生み出すほどの激闘を繰り広げる。しかし、最終的に力及ばずに敗北。

 リガリエッテ公国はA.K.D.に無条件降伏の後に属国となった。

 決闘の前に彼女は王位を娘に譲っており、敗北後に彼女とパートナーのファティマ・レイライン及び乗騎フルゴールの身柄はA.K.D.預りとなりミラージュ騎士団へ加入することとなる。

 

 

 

 レイライン

 

 M型/イーリスフィア・ゼノ・リガリエッテ作

 

 愛称:レイラ

 

 マスター:イーリスフィア

 

 所属:リガリエッテ王家(後に天照王朝・ミラージュ騎士団)

 

 夢中なもの:イーリスと一緒にいること、イーリスに甘えること、イーリスの使ったご飯やお菓子を食べること、フルゴールと共にいること。

 

 スペック:戦闘能力(A/A3)・MH制御(A/A3)・演算性能(A/A3)・肉体耐久(B1/A2)・精神安定(B1/A2)

 

 品格:VVS1暫定F

 

 

 イー様が制作したファティマであり、MHザ・ジェイド・オブ・フルゴールの専用ファティマ。

 割と悲観的なのだが、以外にも精神が図太く心臓に毛が生えてるメンタルがつぇー子。

 

 本来ならL型としてお披露目したかったが、クーデターのせいでイー様が追っ手から逃れるため止むを得ず育成ポッドから出したせいだ生育が中途半端になってしまいM型(S型に近い)となってしまう。

 

 性能についてはイー様がMHフルゴールの搭乗とイー様のサポートを前提に制作したため、高スペックに纏まっており四大マイト1人であるバランシェ公のファティマとも遜色がない。

 しかし、本人の性格のせいか直接的な戦闘能力が酷いレベルになっており逃げることに関しては最強(イー様談)なのだが、誰かを攻撃するとなると途端にクソザコになってしまう。しかし、ある場合においてのみその制限を取り払い最強クラスの戦闘力を発揮する。──その姿はまるでとある特異なMHとファティマを彷彿とさせるとか? ──

 

 加えて、ダムゲート・コントロールが取り外されておりほかの一般的なファティマよりも自由意志がある。何故こうなっているかはイー様が『一人の人間として生きられるように』という願いがあるため。

 

 本来、ファティマは皆体型が同じなのだが彼女は他のファティマよりもなんというか食い意地が張っているのとイー様の親心も相まってほんの少しだけふくよかになってる。

 

 実はイー様の遺伝子を一部混ぜて制作されており、彼女にとっては娘でもあり妹であり、もうひとりの自分もある。

 レイラ自身もイー様のことはマスターではあるが、姉であり母として慕っており誰も見てない時は良く彼女に甘えている。

 

 皇帝アマテラスと決闘し敗北後、イーリス及び乗騎フルゴールと共にA.K.D.へとその身柄を移しミラージュ騎士団へと加入。

 

 因みにフルゴールとは姉弟の関係で自分が姉だと思ってる(イー様は特にどちらが姉とか弟とかは考えては無い)

 

 

 ザ・ジェイド・オブ・フルゴール

 

 略称:フルゴールorTHE.J.O.F.

 

 イー様が設計と建造を行ったリガリエッテ公国の王騎。その独特な外観は歴史上のMHでもかなりの異形となっており、イー様曰く『単騎で戦場を支配する王の騎体』というコンセプトに建造をした処女作にして最高傑作のMH。

 その出力は通常時ですら平均的なMHの1.5倍もの出力を誇り、最大稼働時においては過剰な出力から生じるエネルギーが全身から雷状となった翠色のプラズマが放出されるほど。

 その姿はまるで雷光がそのまま形となったようだと目撃した兵士たちが語ったことが記録されている。

 

 当初の頃本機は独自の機構やシステムを採用したせいで開発が難航。これまで起動すらままならならず、稼働試験すら不可能だった。

 しかし、クーデターにより止むを得ずイー様がお祈りしながら起動したら本騎は搭乗者もなしにひとりでに動いて殺されかけてたイー様を救ってみせる。(尚、目の前で大変スプラッターなことをされたイー様の顔は大変引き攣ってた模様)

 

 騎体カラーの当初はリガリエッテ公国名産の翡翠のような翠色の塗料が塗布された装甲色だったが後に半透明積層装甲が採用され、その中に薄いシート状の翡翠がインサートされた。

 

 性格はレイラ曰くマイペースで良くも悪くもイー様みたいな所があるらしいのに加えて自認はレイラが妹で自分が兄と思ってるらしい。

 

 そして、後の時代において最強のMH『L.E.D.ミラージュ』を模擬戦とはいえ打ち倒し、A.K.Dの皇帝騎『THE K.O.G.(ナイトオブゴールド)A-T(アトロポス)』との決闘に於いて敗北しながらもその半身をもぎ取るという偉業を成し遂げたことで皇帝『アマテラス』から『鮮烈なる翡翠の雷光』『神を傷つけし騎兵』『叛逆者(ザ・アヴェンジャー)』として称えられ、この騎体は搭乗者共々歴史に名を残す。

 

 そして、ミラージュ騎士団加入時にはレディオス・ソープの手によって改修を施されその翠の装甲は外されることとなり、他のミラージュマシンと似た意匠の装甲を施され、銘を『アース・ミラージュ』へ変えることとなった。

 しかし、当の本人からしたら『オニューの服を貰ったぜいぇーい』と呑気に思ってる模様。

 

 本人(本騎)はこんな呑気な感じではあるが、イーリスとレイライン以外は決して乗せようとはせず、それ以外の存在が乗っても動くことはない(本人の気分が乗れば話は別)

 

 

 

 この騎体に使われているエンジンはほかのMHのものとは違う、特別なものが使われているとか。

 

 

 

 リガリエッテ公国

 

 イー様の祖国、惑星ジュノーの大陸端にある幾つもの島々が連なった海洋国家。

 王族よりも貴族の権力が強く、連中のせいで長年王族が頭を悩ましていたのだがイー様が母親に直談判し自分たちの代で膿を出し切ることとなりイー様が即位する頃には綺麗になってた。

 しかし、ハグーダ帝国(の背後にいるとある国の策謀)によりクーデターされたせいで酷いことになる。

 けれど、イー様が凱旋した後に今度こそ膿を出し切り星団でも有数の大国へと成長していく。

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