FSS─翡翠の姫君─   作:アマテラス、アンタちょっとガメツイよ!

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002:師匠との再開

 ピンポーン

 

 チャイムを鳴らすが反応はない。

 

 ピンポーン

 

 間を置いてからまたチャイムを鳴らすがやはり反応はない。

 

 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピッピッピンポーン、ピッピッピンポーン、ピッピッピッピッピッピッピンポーン!!! ×6

 

『だー! うるせぇ!! 三三七拍子でチャイムを鳴らすんじゃねェよ! 今出るわ!!』

 

 そんな叫び声の後にドタドタという階段を駆け下りる音が響き、その数秒後に扉がバターンと開かれた。

 

「一体どこのどいつだこんにゃろう! 人が気持ちよく寝てたのに随分な目覚ましだな!!」

 

 出てきたのは体格のいい初老の男性で怒髪天を着く勢いで下手人の姿を見ようとしていたら。

 

「こうして直接会うのは久しぶりですわね『モラード』師匠(せんせい)。ワタクシでしてよ!!」

 

 可憐な少女の声が響き渡った。

 

「この声……おデコちゃんか!?」

 

「Exactly!!」

 

 じゃーん、とリガリエッテ公国第1王女のイーリスフィア・ゼノ・リガリエッテは背中に大きな荷物を背負って腰に手を当ててワタクシド派手に登場ですわー! 

 

「え、えへへ……ド派手なマスターに対してレイラインは隅っこにじっとしてますね」

 

 ワタクシとは違ってオドオドとした声が横から聞こえますが、今はそんなことを許すわけにはいかねぇですのよ。

 

「んもー、レイラ! せっかく師匠にお披露目するんだからこっちに来なさい!!」

 

「いやーでーす! レイラインはマスター以外の人に会うのなんて怖くて外にすら出歩きたくないんですぅ〜! 宇宙船にフルゴールと一緒にお留守番してたいですぅ〜!!」

 

「まったく、この子は! ワタクシのパートナーなんですからもう少しシャントなさい! なんでそんな陰キャなんですの!? フンッ!!」

 

「うわーん、マスターが虐めますぅ〜〜〜!! へぶぅ!!」

 

 ベチャリ、門の柱に引っ付いてたひっつき虫を剥がせば盛大に顔面から地面へ墜落。

 

「てなわけで師匠、ワタクシ共々世話になりますわ!!」

 

 何ともまぁカオスな空気の中で宣言すれば、目的の人物ことジョーカー星団において知らぬ者はいない人物であり『四大マイト』の1人でありワタクシのマイトの師匠『モラード・カーバイト』氏は額に手を当てて。

 

「とりあえず説明してくれ……」

 

 そう言うのでしたマル。

 

 

 

 

 モラード・カーバイト様との出会いは今から20年近く前になるでしょうか。

 ワタクシがマイトとしての才能を家庭教師でありメイド長のパートナーであるファティマ『シンクレア』から見出され時、どうするかをお母様やメイド長含む3人で話し合っていたのです。

 

 一応ジュノーにもマイトは居ます。その中でも一番優秀な人物にアポを取って軽い試験をして得られた答えは。

 

『ちょっと自分じゃあ扱いキレねーですね、もっと腕のいいマイトに師事した方がいいですよ(要約)』

 

 って感じで、どうやらワタクシって天才らしいですわよ? 

 

 これにはお母様達も悩みました。まさかジュノーで1番優秀なマイトですら手に余るとは思ってもいなかったようで、どうしたもんかと3人は顔を付き合わせてあーでもないこーでも無いと悩んでる様をワタクシはペットのディノニクスのディノちゃんを撫でながら見てましたわ。

 

 そんなことを凡そ十分程度続けていたところで、不意にシンクレアは苦虫を噛み潰したような顔でとある人物の名前を出したのです。それこそモラード様ですわ。

 

 実はシンクレアの生みの親が何を隠そう、モラード・カーバイトその人だったりします。

 でもその時のワタクシは何故生みの親に対してそんな顔をするのか不思議で仕方がなかったのです。モラードと言えば何度も言いますがジョーカー星団に数いるマイトの中で最高位のマイトですのよ? 

 

 話は変わりますが、マイト……というか技術関係職には所謂階級というものがあります。

 それは『シグナル・ボーダー』という紐飾りで、最低位が1本、最高位が5本。

 

 一般的なマイトでは4本(マイスター)までが主なのですが極限られた権威のみが5本(フルマイト)を名乗ることが許されているのですが、その称号を持っている人は広いジョーカー星団にも数える程しかおりません。

 

 そして、そんな最高位のファティママイトのひとりがモラード様であり四大マイトの一角なのです。

 四大マイトの生み出すファティマは最高ブランドであり、彼の作るファティマは『モラード・ファティマ』と呼ばれ、もう一人の四大マイトの一角『クローム・バランシェ』様の『バランシェ・ファティマ』と並んで全騎士達の憧れといえばその格が分かりますか? 

 

 普通なら喜ぶことだというのに、3人の顰めっ面はそれはもう凄くて気になった私は思わず尋ねてみました。すると帰ってきた答えは。

 

『マイトとしては疑う余地はないし、人となりも悪い人ではないけど、それはそれとしてイーリスフィアと合わせたら絶対2人揃ってろくでもないことをしでかす確信がある』

 

 とのことです。なんなんですか3人とも、そんなにワタクシって信用ありませんこと? 

 

 そんな思いが顔に出てたのか、3人は大変良い笑顔で首を縦に振りやがりました。はーキレそ! 

 

 でも、このままワタクシの才能を腐らせるのは勿体ないということになり、一先ず面談してみるのもいいだろうとなりましたの。

 

 そうして画面越しではありますが、初めてワタクシはモラード様と顔を合わせたのです。

 第一印象は『本当にこんなおっちゃんが四大マイトの一角なんですの?』って感じです。どちらかと言えば休日にゃパチンコ打ちながらワンコインのカップ酒をかっくらってる中年オヤジって印象が強かったですわね〜。

 

 でもでも言葉を交わす事にモラード様は確かにフルマイトであるのだと痛感しましたわ。いやー、人は見かけによらないってよォく分かりましてよ。

 

 気がつけば面談は終わり、モラード様が良ければ自分のところに留学しに来ないかと聞かれ、ワタクシは二つ返事で了承。

 お母様たちにも伝えれば最初は渋られましたが、最終的には5年経ったら帰ってくることという期限を設けた後にしっかりと学んでくるようにと送り出してくれましたの! 

 

 そうしてワタクシはモラード師匠(せんせい)の居られるノウズ太陽系のカラミティ・ゴーダース星へと趣き、師匠の元でマイトとしての師事を受けることになりました。しかし、そんな日々のひょんなことからMHマイトとしての才覚もあることが発覚したせいで『フィルモア帝国』と1悶着ありつつ騒がしくも楽しい月日を過ごしたのです! 

 

 ですが、いつかは終わりは来るというもの。あっという間にワタクシは5年という期限が経ち、名残惜しくもワタクシはモラード師匠と別れジュノーへと戻りました。

 

 師匠と別れた後、あの方の元で学んだことを活かすために帰ってきて直ぐにワタクシは女王に即位した時の為にリガリエッテ公国の象徴となる王騎ジェイド・ザ・フルゴールの設計と専用のファティマ・レイラインの制作を開始したんですの。

 

 …………まぁ、即位する前にクーされたのは余談というか蛇足ですわ!! 

 

 

 てなわけで、ワタクシとモラード師匠の関係をざっくりと説明したところで20年ぶりに再開した師匠の自宅兼仕事場でもあるお屋敷へレイラと共にお邪魔して客間へと通されました。

 

「んで、イーちゃん。何があったんだ? 少なくともお前さんはアポなしで突撃するような子じゃないだろ?」

 

 インスタントコーヒーの注がれたマグカップ片手に師匠は怪訝そうな顔で聞いてきます。

 

「そりゃそうですわよ。でなけりゃ失礼に当たりますからね! 簡潔に言うとクーされましたわ!!」

 

「クー……?」

 

「クーデターですぅ。お誕生日パーティー当日にクーデターをされたんですぅ〜。

 そのせいでマスターは立場を追われてしまったんですぅ」

 

 ワタクシの隣の席に座り、ココアをちびちびと飲むレイラが補足してワタクシは来る途中にダイニングで購入していた朝食代わりのホットドッグをかじりつつ苦労話をします。

 

「いやー、大変でしたわね。まさか誕生日パーティーしていたはずがワタクシのクソ貴族共を粛清やら暗殺をしていた証拠を突きつけ断罪してきたのが信用していた王侯貴族や何れ直属の騎士団予定の子息たち含む軍部が主導してクーされるなんて! 

 お陰で逃げるために成育途中だったレイラを起こす羽目になるわ、未完成のフルゴールを起動する羽目になりましたから! 

 で、何とか交易用のボロい輸送船に乗り込んで逃げ切った後に取り敢えず頼れそうなのが師匠しかいなかったので押しかけた次第ですわよ!」

 

 今思い出しても笑うしかねぇですわ〜! これだけで映画1本作れるんじゃありませんの? 

 …………いいですわねこの案! 諸々終わって落ち着いたら国家予算を注ぎ込んで全星団に上映ですわ〜!! 題名は『イーリスフィア──怒りの凱旋──』かしら? フッ、こりゃ満員御礼間違いなしと予想しますわ!! 

 

「情報量が多すぎるッッ!! え、マジでお前さんクーデターされたの!? しかも王族派閥(仲間)の貴族たちに!!? ナンデ!?」

 

 目の前には頭を抱えて呻く師匠ですが、言われてみれば確かに情報量多すぎますわよね〜。お誕生日パーティーが何時の間にか断罪の場に変わるとか何処の悪役令嬢ですのよ。

 というか、ワタクシは将来を見据えて国の膿を出し切ろうとしていただけで寧ろ正義の行いですのに!! 

 

 か〜っ! っぱ、使い物ならず生まれた家で冷遇されてた連中だからか、目先の汚い部分しか見れないってことですのね!! これも勉強と言うには余りにも授業料が高すぎでしてよ〜〜〜! 

 

「何時の間にかハグーダ帝国の阿婆擦れの間者に主要な人員がハニトラかまされてたんですのよ〜。

 あのババア、コーラス王朝にご執心だったはずなのにどういう了見なのかしら? 

 これも全部あの女のせいですわ〜!」

 

「はぁ〜……女王陛下やお前さんの弟妹は無事なのか?」

 

 思わず食べかけのホットドッグを騎士の握力で握りつぶしちまいましたが、汚れた手を掃除しつつ師匠の質問にワタクシは肩を竦めて答えますの。

 

「んー、連中の目当てはワタクシでしたからお母様や弟妹達は大丈夫のはずですわ。

 お飾りにするためにも殺すわけにはいかないでしょうし。それに、メイド長達もいますから案外コーラス王朝に逃げ込んでるかもしれませんわね」

 

 ワタクシの騎士としての師匠でもあるメイド長はリガリエッテ公国において右に出る者がおりませんし、その経歴から見てもクーをした情弱たちにゃ遅れをとる訳ありませんわ〜! 

 

「あー、確かに『クロイツェフ』がいるなら大丈夫なのか? 伊達に剣聖の血筋じゃねぇもんな」

 

「本人には言わないでくださいまし? 彼女、『ダグラス・カイエン』やワタクシが産まれる前にいきなり祖国にカチコミをかけてきた何処ぞの女騎士のせいで剣聖って言葉に苦手意識(トラウマ)を持ってますから」

 

「難儀なもんだねぇ剣聖の直系ってのは」

 

「そこら辺の問題は当の本人たちが解決すべきですわよ師匠」

 

「それもそうか。……はぁ、にしてもクーデターねぇ? 

 こう言っちゃなんだが、お前さんの国ってハグーダ帝国とは真反対の位置でオマケに規模は同程度の小国だろ? 

 ぶっちゃけクーデターを唆す理由が無くね?」

 

「そうなんですのよ! そこの理由がわからねぇですわ!!」

 

「ホットドッグ持ってる手を叩きつけんじゃねぇ!! うわ、顔にケチャップついた! マスタードが目に染みる!?」

 

「うわぁぁぁん!! せっかくのお洋服に染みができちゃいますぅ!! 

 とんだとばっちりじゃないですかぁ〜!」

 

「あら、ごめんあそばせ! と・に・か・く!! 今は雌伏の時ですの! 

 力を貯め、軍勢を集め、機会を見てワタクシはジュノーへと戻り祖国を奪還するのですわぁ〜〜〜!! 

 てなわけで暫くの間居候させて下さいまし!! 炊事洗濯は勿論やらせていただかますので! 次いでに設備も使わせてくれると助かりますわ!」

 

「まぁ、別に構いやしねぇさ。俺もお前さんの作ったファティマがどんな子か気になってたし。

 というか、ジュノーにゃ『ウリクル』もいるからなぁ。コーラス王朝からしたら対岸の火事って言うことにもできんだろ」

 

「ッシャオラ! 一先ず寝床確保!! てなわけで客室使わせてもらいますわ! 

 クー起きた日から一切寝てねーので死ぬほど疲れてますの!! レイラ、申し訳ねーですが師匠に診てもらってくださいまし!」

 

「うぇ!? ま、待ってくださいマスタ〜! 知らないおじさんと2人きりなんてレイラインは怖いですぅ〜!!」

 

「ワタクシの師匠(せんせい)で実質貴方のおじいちゃんみたいなものと思いなさいな! では、風呂はいって寝ますので!!」

 

 しがみついてきたレイラを引き剥がし、ワタクシはお風呂へ直行。幾ら騎士といえど精神的にも肉体的とクタクタですので休ませてほしーんですのよ! 

 

 

 

「……相変わらず嵐みてーな子だなぁ」

 

「ひょえ……」

 

 モラードはたった今騒がしく風呂に向かっていた弟子を見送り、視線をレイラへと向ける。

 するとモラードの視線に気がついた彼女は肩を跳ね、挙動不審となってしまった。

 

「まぁ、その、なんだ。診るのはあとでも出来るからあの子の傍に行って次いでにシャワーでも浴びてくるといいさ。

 長旅でお前さんも疲れてるだろ?」

 

「あ、えと、その、ッスッー……し、失礼しますぅ〜〜!」

 

 ファティマとしての性能を遺憾無く発揮し、レイラインの姿が掻き消えてしまう。おそらくはイーリスのあとをおったのだろう。

 

「……取り敢えずサイズのあってる服を用意しねぇとな」

 

 イーリスも言ってたように、レイラは本来だったらもっと成長してからポッドから出す予定だったのだがクーデターのせいで予定よりも幾ばくが前倒しで外に出してしまった。

 

『マスタ〜! 一緒に入りましょ〜』

 

『別に構いやしませんけど、もう診て貰いましたの?』

 

『後でもできるからシャワーでも浴びてきていいって言われました〜』

 

『ほーん、ならいいですわよ』

 

 そのため、将来の彼女にイーリスが用意していたファティマスーツのサイズが合っておらず、苦肉の策で安全ピンなどでどうにか丈を詰めたりしてたらしい。

 

『マスタ〜、背中を洗ってください〜』

 

『んもー、それくらい自分でやりなさいな。仕方ありませんわね〜』

 

『えへへー、ありがとうございますぅ』

 

「あとは偽装用の戸籍に生活雑貨も用意しとく必要があるか〜」

 

 別の星にまで追っ手が来るかもしれないため、追跡の目を欺く必要がある。幸いにもそういったツテは幾らでもあるので心配はない。

 

『シャンプーが目が染みますぅ〜!』

 

『こら、ジッとなさい!! ちゃんと洗えないでしょう!』

 

『痛いのは痛いんですよぉ〜!』

 

『ちゃんと目を瞑ってないからですのよおバカ!』

 

「他には日用雑貨も追加で買っとかないとな」

 

 半ば世捨て人めいた隠居生活を送っていたモラードではあるが、急に騒がしくなったことに驚きはあるが特に嫌がる訳でもなく寧ろその表情は愉しげにも見える。

 

『アッ! 着替えの用意忘れてましたわ!!』

 

『私の分もお願いしますぅ〜!』

 

『こらレイラ! きちんと肩まで使って100数えなさい!!』

 

『うわ〜ん! のぼせちゃいますぅ〜!!』

 

「師匠! なんか着るもんくださいな!!」

 

「だぁ〜! 娘っ子がタオル一枚で出歩くんじゃねぇ! 今持ってくるから待ってなさい!」

 

「なるはやでオネシャスですわ〜!」

 

「ったく、ほんとにお転婆娘だこと!」

 

「そんな、褒めないでくださいまし。照れますわよ!」

 

「褒めてねーよ!」

 

 初めて己の元に彼女が来た時もそれは騒がしく、共にすごした5年という月日など中々に退屈もしなかった。

 けれど、これからはそれ以上にド派手なことが起こりそうだとモラードはうすうすと感じ取りながら2人のための服を取りに行くために席を立つのであった

 

 

 

「すぅすぅ……」

 

「ふぃー、まずは第一関門は突破かしら?」

 

 客室のベッドにてワタクシの膝に頭を乗せ、寝息を立てる(レイライン)のペールグリーンの髪色の頭を撫でながら呟く。

 

 いくらワタクシであってもクーデターにより立場を追われ、常に警戒をし続けていた中でようやく一息つけました。

 

「……本当なら貴方に戦いなんてさせたくはなかったのですけれどね」

 

「んぃ……」

 

 ワタクシのファティマ・レイライン。ワタクシが初めて一から創った娘であり妹でもあり、もうひとりの私でもある可愛い我が子。

 元々、この子とフルゴールは国の、王権の象徴の意味も込めて創りはしました。ですが、それはあくまでも戦いのためではありませんの。

 

 必要なら戦場に出る覚悟はありますが、あくまでもその時は兵達の士気高揚などを狙ったパフォーマンスであって戦うわけがありません。というか総大将が前線に出て戦う時点で最早敗北は見えてますもの。

 

 それに、ファティマであってもワタクシはこの子を一人の人間として生きて欲しいからこそ枷である『ダムゲート・コントロール』を施してないんですのよ。

 幾らファティマが戦争のための道具として造られた悲しい存在でも、感情すら制御されるのなんて余りにも悲しいではありませんか。

 

 マスターの失ったファティマは悲惨です。闇業者に捕まり、売り飛ばされ娼婦として扱われるのはまだマシです。酷い場合なんて抵抗できないのをいいことに人間たちに慰みものにされた挙句リンチされ死んでしまうことすらあるのです。

 

 もし、クーデターの時にワタクシが死んでいたらこの子は────

 

「はぁ、やめやめ。考えるだけで気分が悪くなりますわ」

 

「えへぇ、おかあしゃま……」

 

「この子はまったく……大物なのか鈍感なのか、判断に困りますわね?」

 

 人がこうして悩んでいるというのに、呑気にヨダレを垂らしても〜。

 ほっぺを軽く引っ張れば何が嬉しいのか楽しそうに笑うではありませんか。一体どんな夢を見てるのかしらこの子は? 

 

「ふふっ、愛してますわよレイライン」

 

 可愛い我が子を慈しみ、その額へ口付けを行えばワタクシも寝るために目を閉じるのです。

 せめて今だけは優しい夢を見なさい、私のレイライン。

 

 

 

 

「おかあしゃま、プリンはおよげないんですよぉ〜……」

 

「いや、ホントマジでこの子どんな夢見てやがりますの?」

 

 ワタクシが言うのもなんですが、この子も大概変わってますわよね? 

 

 

 

 

 キャラ説明

 

『クロイツェフ』

 

 年齢:地球で表すと29歳くらい

 

 所属:リガリエッテ公国・近衛騎士団団長兼メイド長

 

 リガリエッテ公国の王家に仕えている専属使用人であり、女使用人達のトップと近衛騎士団団長を兼任している。

 イー様の剣の師匠であり、リガリエッテ公国最強の天位騎士でもある。実は剣聖の血筋ではあるのだが、過去に剣聖絡みで酷いトラウマを患っておりその名を聞くだけで蕁麻疹が出てしまう。

 

 

 

『シンクレア』

 

 L型/モラード・ファティマ

 

 クリアランス:VVS1

 

 愛称:クレア

 

 マスター:クロイツェフ

 

 所属:リガリエッテ公国

 

 スペック:戦闘能力(B1)・MH制御(A)・演算性能(A)・肉体耐久(B1)・精神安定(A)

 

 

 モラード作のファティマであり、クロイツェフのパートナー。眼鏡を掛け、ロングヘアを三つ編みにしお下げにした髪型とメイド服のようなファティマスーツが特徴。

 イー様の乳母兼家庭教師をしており、現在のイー様の(変な)口調へと矯正した過去を持つ。

 

 形から入るタイプであり、規律などくっそ厳しい性格で今の格好もマスターであるクロイツェフがイー様の母親に仕えるようになってから始めた模様。

 怒るとめちゃくちゃ怖く、その状態の彼女にリガリエッテ公国の中枢メンバーは誰も逆らえない為実質国の裏のナンバーワン。

 イー様も過去のトラウマのせいで彼女には逆らうことはできず、口では勇ましいことを言っても身体は無意識に屈してしまってる模様。

 

 ダムゲート・コントロールをされてるのだが、本人は『これも貴方様の為』という強烈な自己暗示のもとねじ伏せており機能してない。

 

 モラード曰く『うちの子の中で(精神的に)最強』と言わしめるほどで、彼女が近くにいるとモラードファティマ達は無意識に背筋をぴんと伸ばすとか。

 イメージはブラックラグーンのロベルタ。

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