FSS─翡翠の姫君─   作:アマテラス、アンタちょっとガメツイよ!

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サクサクと時を飛ばしていきます


004:建造着手

 ワイワイ、ガヤガヤ、ニャーニャー、ワンワン、キャーキャー、ワーワー。

 

「ダメ、ダメ、んー、なし。NO」

 

 フトッチョ、ガリガリ、おじさん、おばさん、じいさん、ばあさん、ガキンチョ、おねーさん、おにーさん。

 

「除外、除外、これまた無理、閉店がらがら」

 

 人間、人間、騎士、人間、騎士、騎士、人間。

 

「むり、むり、ダメ、論外、冗談!」

 

 ダンッ! テーブルの上にアイスコーヒーのグラスを叩きつけ、全体重を預けた椅子の背もたれがギシッと軋み乾燥した空気を震わせるようにして声が響いた。

 

「んもー、ロクな人材がいませんわ〜〜〜!」

 

 ご機嫌麗しゅう皆様、リガリエッテ公国第1王女イーリスフィア・ゼノ・リガリエッテ改めイリス・クリィムヒルトことワタクシですわ! 

 現在ワタクシは惑星ボォスのナン大陸中央部カステポー地方へ赴いておりますの! ここはとあるトンデモ存在たちによって列強諸国も手が出せない永世中立地域となっており、国家の干渉を受けないことをいいことにジョーカー星団中から色んな人(主に悪人)が集まる混沌とした場所でしてよ〜。

 

 何故ワタクシがンなところにいるのかって? それは勿論、いずれ祖国へ凱旋するための兵力集めもといヘッドハンティングですの! 

 

 カステポーは上述した通り、国家の干渉を受けないことから様々な人身売買、マフィア、ギャング、密売人、犯罪者、反政府ゲリラetc.etc.が集まります。その中にはもちろん騎士も含まれており、犯罪を起こして止むを得ず立場を追われた者であったり、傭兵だったり腕試しのためにそれはもう沢山の騎士が集まっているのです。

 

 まぁ、質はピンキリで……というか殆どがどうしようも無いゴロツキやチンピラしかいませんがね。

 でも、本当に時折光る原石が居たりしますの。因みに、お母様が即位する前にメイド長になる前のメイド長をこの地域でヘッドハンティングしたのもこの地域ですわ。

 

 師匠の元に転がり込んではや2年、見習いマイトのイリスちゃんとして忙しい日々を送りつつワタクシは空いた時間を利用してカステポーに赴いては良さげな人材を見つけようとしてるんですがどれも芳しくはありませんわ〜……

 

「は〜……メイド長までとは言いませんがそこそこ強くって倫理観があって義理強い人材はどこかにいませんかしら?」

 

「そんな人がいたらとっくに何処かの騎士団が抱え込んでると思いますぅ」

 

「あら、おかえりなさいレイラ。目的のブツは手に入りましたか?」

 

 ワタクシの愚痴に答えるのは両腕に沢山の書類の入った鞄を抱えたパートナーファティマのレイラインでした。

 ファティマスーツではなく、周囲の人々と似たようなデザインの服装の彼女は鞄をえっちらおっちらとテーブルの上に置くと疲れたように額の汗を拭って椅子へと腰掛けるとカフェの店員へメニュー開いて注文をした後にワタクシと向き直ります。

 

「はいぃ……ブローカーのおじさんから必要な機材等の運送手配の代金などを支払ってきましたぁ。

 既に積み込んだトレーラーを指定したポイントへ隠しておいてくれるてそうです〜。こちらがその領収書と契約書ですからご確認をしてくれますか?」

 

「はいはいっと……ふむ、ふむ……ん、不備はありませんわね。よーやくフルゴールの建造に手を出せますわ〜」

 

「ここまで長かったですぅ〜。フルゴールを隠すための場所を探すのに1年、そこまで運び込むのに半年、そして信頼できる業者を見つけるのに2ヶ月月、交渉に1ヶ月、機材や部材の用意に3ヶ月ですもん! 

 ほんとーにレイラは疲れました〜! 幾らます……じゃなくてイリスの命令でも大変だったんですよぉ?」

 

 この2年の間、ワタクシはレイラにフルゴール建造の為に場所の確保や機材や部材を取り扱う業者や闇ブローカーの手配だったり交渉を任せていました。

 

 本来ならワタクシがやるべき事なんでしょうが、フルゴール建造の為の費用集めのために師匠の元でとにかく働いて働いて働きまくる必要がありましたの。

 とにかくMHの建造にはお金が掛かります。本当にかかりますのよ? クーされる前のワタクシがお姫様だった時はワタクシの個人的な資産をつぎ込んでも足りなかったから国家予算も軽くちょろまかしたりしなければいけないほどって説明すれば分かるかしら。

 

 ともかく、お金を稼ぐために師匠のお仕事をワタクシが代理として行い金を稼いでましたの。

 

 そして、この2年のワタクシ達の働きが実を結びフルゴールの建造に着手することが出来るのです! 

 

「それで、ます……んんっ、イリスはいい人材を見つけられましたか?」

 

「じぇーんじぇん駄目ですわ! 殆どロクなのがいねーですのよ!! 

 ちんぴらごろつき、ポンポンペンですわ〜! 

 所詮は国の騎士団にも入れねー落ちこぼれだから木っ端しかいませんの!」

 

「えーと、それで足元に転がってる人達は?」

 

「あぁ、ワタクシにちょっかいかけてきたゴロツキですわ。一応騎士みたいだったから使えるかどうかの確認も込めて手合わせをしたんですがクソザコですわね。

 ちょっとステップ踏んだだけで翻弄されてましたわよ」

 

「イリスの響転(ソニード)は初見殺しが高いですからね……仕方ないと思います」

 

「おほほほほ、メイド長が直々に『性格が悪くなけりゃ絶対生み出せない』とお墨付きをいただいてますからね!」

 

「それって、褒めてますかぁ……?」

 

 レイラを待ってる間、落ち合う予定の場所で待っていたワタクシですがそれはもう面倒でしたわ。

 ワタクシって自分で言うのもなんですが美少女ではありませんか? てなわけで人買いの闇業者(ブローカー)だったり、小銭を稼ごうとカツアゲをしてくるようなお馬鹿さんだったり、純粋にワタクシと(性的に)お近づきになろうとしてくるの変態さんが寄ってくるのなんの! 

 

 ブローカーはのして警察に突き出し、お馬鹿さん達をボコして迷惑料を徴収したり、変態さんは握手をしてあげたりチェキしてチェキ代をもらったり! 

 

「あ、変態さんは特に何もしてないんですね……」

 

「まぁ、気持ち悪かっただけで実害は特にありませんでしたからね」

 

 と、も、か、く! 悪党やゴロツキをのしたりしたらそれの仲間だったり用心棒が続々と集まってきてしまい、仕方なくワタクシは往来の中で一対多数のオッズは大穴確定の大乱闘を繰り広げることになったんです。

 

 まぁ、その殆どはロクな訓練を受けてないトーシローの騎士ばかりでしたので準剣聖級のメイド長だったり、前職がニンジャだったメイド達から鍛えられたワタクシの敵ではなかったのでしてよ〜! 

 

 ……ふと思いましたけど、お母様の使用人たちの過去って地味に気になりますわね。剣聖の血筋だったり、元ニンジャだったり、魔道士(ダイバー)だったり。んー、闇鍋〜。

 

 って、話がズレましたわね。えほん、とにもかくにもチンピラ騎士をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返して気が付けばレイラの合流する時間となっていたのですわ。

 

 戦ってる最中も良さそうな騎士がいないか見てたのですが、どいつもこいつもクソ雑魚でどーしよーもねー。

 

「はぁ、原石っていうのは見つからないものですわね〜」

 

 ジュゾゾゾゾー、そこに残ったジュースを吸ってゴチりますが無いものは仕方ないですわねぇ。

 首を長くして探すしかないのかしら? 

 

「でも、ま。フルゴールに手を出せるようになったことは喜ぶべきかしらね」

 

「2年もかかっちゃいましたからね……」

 

「むしろ2年でよくやった方ですわよ!」

 

 金を稼ぐためにこの2年ひたすら働いていたのだ。王女なのに。

 

「私だってファティマなのに事務仕事のアルバイトしてましたよぉ……! 

 お陰様でバ先の店長さんに『君、うちで就職しない? 給料弾むよ?』って!!」

 

「そ、それはまぁ、なんともお疲れ様……」

 

 凄い剣幕で言い放つレイラの様子に思わず気圧され、労いの言葉を送りますが本人は気が収まらないようでお願いを言ってきました。

 

「今度ご褒美にお母様のご飯をお腹いーっぱい食べたいです!」

 

「えー……貴方その細っこいお腹にえげつないくらい入るから面倒なんですが?」

 

「じゃあレイラインはスト起こします! ろーどーきじゅんほー違反です!! あとモラード様にも言っちゃいます!」

 

「あーもう、わかりました。わかりましたわ! んもー、仕方ない子ですわねー」

 

「わーい! やりました〜!」

 

 ファティマってこんなに我が強かったかしら? それともワタクシの遺伝子を混ぜたファティマだからでしょうか? ……それって遠回しにワタクシが変人……この話はやめですわ! 

 

「とりあえずトレーラーの回収に行きますわよ! 店員さーん、お勘定!」

 

「わー、まだ食べて終わってないですぅ!」

 

「なんで貴方はそんなドカ盛りパンケーキなぞ頼んでますのよ!」

 

 なんかいつの間にかレイラの前には大皿いっぱいに積まれた生クリームたっぷりのパンケーキが置かれてましたわ! 

 見てるだけで胸焼けしそうな程の甘ったるい匂いが漂ってきてやべーですわよ! 

 

「えへー、観光パンフレットでここのお店のパンケーキが絶品って書いてあったんですぅ」

 

「あぁ、だから貴方はこの店で合流しようって言ってたのですね……ほら、ちゃちゃっと食べちゃいなさい」

 

「はーい」

 

 そのあと1分もしないうちにレイラはパンケーキを完食したことに軽く引きましたわ! 

 

 

 

 

 

 

「にしても、カステポーにこんな施設があったなんて知りませんでしたわね」

 

「なんでもすっごく昔に放棄された研究施設みたいですぅ。見つけたのはたまたまでしたが、建造にはぴったりですね〜」

 

 トレーラーを回収し、レイラの案内のもと辿り着いたのはカステポー上述したトンデモ存在こと『ドラゴン』の縄張り内にある大昔に廃棄された研究施設とやらでした。

 そこは全周15kmにも及ぶ粒子加速器として使われていたトンネルを地下に埋没した研究施設で、広さも十分で人里も近くにあるのは小さな村くらい。フルゴールを建造するの文句のない場所です。

 

「よーやく貴方におべべを着せることが出来ますわね」

 

 そして私たち二人の間には天井から吊り上げられた姿勢で固定されてるフレームの剥き出しの巨人……リガリエッテ公国王騎、ザ・ジェイド・オブ・フルゴールの姿が。

 

 彼の目は私たちを見下ろしており、心做しかやっとかといったような気持ちが伝わってきますわね。

 レイラいわくこの子の性格って結構マイペースって言ってましたし。

 

「にしても、作業着やジャージが似合う王女様とファティマってどうなのかしら?」

 

「やっぱり、ファティマスーツよりもこっちが落ち着きますぅ」

 

 今現在ワタクシは動きやすいように上下青のツナギ姿でレイラもファティマスーツではなく芋臭いジャージ姿です。

 クーされる前は基本王族らしい格式ばった服装だったのですが、元は庶民なワタクシ。ドレスなんて肩が凝って仕方ねぇのですわ。

 

 モラード師匠の元でお姫様ではなくただのイーリスフィアで居られた時やフルゴールを一人で建造していてた時はある意味でお姫様では無い自分でいられたのでしょうね〜。

 まぁ、クーされたあともある意味では自由なのですが! 

 

 それはそれとして、本来ファティマというのはファティマスーツがデフォというか彼女たちが動きやすいように最適化されてるのに何故かこの子ってワタクシの着てたのと似たデザインのジャージ(勿論天然素材)を着たがるんですよねぇ? ちんまい頃はワタクシの服着たがってたし。

 

「ま、何はともあれチャチャッとやりますか」

 

「はい、レイラインお手伝い、頑張ります!」

 

 設計図はそもそもフルゴール自体ワタクシが建造していたものですから頭に入ってますし、レイラはファティマですので既に記憶させてあります。

 というかそもそも、クーされる前はワタクシ一人で作ってたようなものですから場所が変わっただけで問題はありませんわ。

 

「まぁ、でも師匠のところと通いでやりますからどーしてもペースは落ちますわねぇ……」

 

「元々の設計段階で装備させるはずだった機構のいくつかは諦める必要がありますかねぇ……」

 

「武装も幾つか削らないといけませんわね。というか、手を出せるほど資材と資金に余裕があるわけではありませんからね」

 

「ですぅ……」

 

「ま、真の意味での完成をさせるのは祖国へ凱旋をしてからにしますか」

 

 さーて、やりますわよ〜! 

 

 

 用語解説

 

 響転

 

 オサレ漫画BLEACHの響転をイー様が再現できないかあれこれマイトパワーで試行錯誤してたら出来た歩術。

 原理としてはほかの騎士たちが使う残像にマイトとしての能力の生命力操作で、残像に気配というか生命力を付与して自分の気配を極限まで薄めて素早く移動するというもの。

 このことからマイトと騎士の力がなければ使えないイー様専用技だが、本人からすれば子供騙しの小手先技という評価。

 

 実体のある分身ではないし、剣聖剣技より大幅に劣化しているが騎士としての能力が高い者ほどこの初見殺しがぶっ刺さる。(なお、ガチの実力者には効かない模様。剣聖とか剣聖とか)

 




原作でアトロポスがオージェを隠してた場所をイー様が使う感じです

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