FSS─翡翠の雷光─   作:アマテラス、アンタちょっとガメツイよ!

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今更ですけど時系列とか大分適当です


009:ドーモ。女神=サマ。

「ふ〜、迷いましたわねぇ……」

 

「迷いました〜」

 

「ココドコ?」

 

 っかしいですわね〜。お花摘みしたら元来た道を戻ってたはずなんですけれど? 

 今現在ワタクシたちはクローム・バランシェ様のご自宅でもあるお城にお邪魔してるんですが、絶賛遭難中ですの! 

 

「っかしぃですわね、お花摘みから元来た道を戻ってたはずなんですが? 

 というか貴方たち元来た道くらい覚えてなさいな」

 

「私はお母様が覚えてるって思ってて見てませんでした……」

 

「姉チャンガ覚エテルッテ思ッテタ」

 

 んー、ファティマなのにこの子達大分適当ですわ〜! 

 

「にしても無駄に広いですわねこの城。ワタクシの実家よりも大きんでなくて?」

 

 何度目か分からない似たような内装の廊下を歩いていたワタクシは思っていたことを零します。

 クローム・バランシェ様はフェインツ公爵家の当主でして、立場を捨てたとはいえゴリッゴリの貴族様ですわ。

 

 生家はデルタ・ベルン星にありますが、今いるアドラー星のこのお城はファティマ・マイトとしての工房も兼ねているのに加えて外交の場ととしての役割もあるため敷地の広さはかなりのもの。

 

 ワタクシの生まれ育ったお城とちがって、敷地内に宇宙船を係留するポートがあるなんてビックリしましたわよ。

 まぁ、大国とちがって弱小国を比べるでもない訳ですが……言ってて悲しくなりますわね。

 

 と、も、か、く! そういうわけですから、お城の広さも推して知るべしということで、モラード師匠からも『探検に出て迷うんじゃねーぞー』と言われてましたわ。

 

 失礼しちゃいますよね。ちんまいですがそんなことする年齢じゃねーですわよ。

 

 まぁ、迷ったのは事実ですが……でも、まさか着いてきてた2人まで道を覚えてないのは予想外ですが。

 

「まったく、こんなに広いなら案内板の一つや二つくらい壁に貼っつけといて欲しいですわね」

 

「ですぅ」

 

「同意」

 

 3人揃って首を傾げ(ポラリスはボディの構造上身体を傾ける)ていたところ、不意に背後から足音が聞こえてきました。

 現在のバランシェ公はお身体の具合が悪いために、来客などはほとんどいないため恐らくは使用人の誰かでしょう。

 

「申し訳ありません、道に迷ってしまって案内を───」

 

 ワタクシは振り返り、道の案内を頼もうと振り返れば見えたのは明らかに使用人とは思えない服装の女の子でした。

 

「あ、ら……使用人の方ではなかったのですね。ごめんなさい、貴方も迷子?」

 

 恐らくはワタクシたちと同じ客人なのでしょう。恐らくはそのお子さんかしら? 

 ワタクシが尋ねてみれば、女の子は首を横に振ります。

 

「ううん、私はここに住んでるの」

 

「? バランシェ公に子供は居ないはずですが……」

 

 女の子の言葉にワタクシは疑問が浮かびます。バランシェ公は独身で子をもうけたという話はありません。

 そんな疑問に答えるようにレイラがワタクシへとそっと耳打ちします。

 

「……お母様、彼女はファティマです」

 

「────、そうなの?」

 

「うん、その人の言う通り。私、お父様の作ったファティマ。名前は『A-T(アトロポス)』。

 貴方たちはだれ?」

 

 女の子、アトロポス様に聞かれワタクシはスカートの端をつまみ、僅かに一礼をして名乗りました。

 

「……申し遅れましたアトロポス様、ワタクシはモラード・カーバイト博士の付き添いで来たイリス・クリィムヒルトと申すものです。よろしければイリスとお呼びください。

 そして、こちらの者たちはワタクシの製作したファティマであり、パートナーのレイラインとエトラムル・ファティマのポラリスですわ。

 ほら、ご挨拶を」

 

「はい、初めましてアトロポス様。私はレイラインと申します」

 

「俺ポラリス、姉チャンノ弟。宜シクナ」

 

 ワタクシに続くように2人が挨拶をすれば、アトロポス様は目を瞬かせて僅かに戸惑いを滲ませたようにワタクシへ視線を向けます。

 

「えっと、イリスの言ったことってほんとう? あと、そっちのロボットさんってほんとうにエトラムルなの?」

 

「ええ、レイラはワタクシの制作したファティマ(子供)ですの。それに、ポラリスはこんな冗談みたいな見た目をしてますが中に本体が納められてますのよ?」

 

「イヤーン」

 

 ほら、証拠。と言わんばかりにポラリスの胴体部分を開けば収まっていた本体が露となりました。

 

「わぁ……すごい。エトラムルってお外に出歩けるんだ。触ってもいい?」

 

「構イヤシネーゼ」

 

「やった」

 

 ポラリスから許可が出たため、アトロポス様は彼の近くにテテテと寄ればその表面へおっかなびっくりと触ります。

 

「このボディって、誰が作ったの?」

 

「制作についてはレイラインとモラード師匠が行い、外観のデザインはフルゴールが行いましたの」

 

「フルゴール?」

 

「マスターが建造しているMHですよぉ。因みに私の弟ですぅ」

 

 アトロポス様が首を傾げ、レイラが自慢げに言います。それにしてもフルゴールとレイラは別にどっちが上とは決めてないんですが本人たちは頑なに自分が上だって譲りませんわね。

 

「イリスはMHも作れるの?」

 

「ええ、はい。レイラとフルゴールは互いに組み合わせるのを前提として制作をした子達ですのよ」

 

「じゃ、じゃあ」

 

 ワタクシが言ったことにアトロポス様は何を思ったか唐突にワタクシの服の裾を摘んで引っ張りました。

 

「あの子を直してあげて欲しいの」

 

「あの子?」

 

 そう聞けば、アトロポス様は小さく頷きます。

 

「うん、あの人がずっと昔に置いていってしまって放ってかれてる可哀想な子なの。

 この最近、なんだか調子が悪そうだから」

 

「えっと、それって、つまり……MHってことですか?」

 

「うん、『オージェ』を直してあげて」

 

 

 

 

「はー、まさかMHを仕舞えるサイロすらあるなんてとんでもないですわね〜」

 

「うん、昔に建設中には小さかったメガエラ姉様が落ちたこともあるんだよ。でもね、その時警備にいた『ビュラード』さんが助けたの。

 それでね、今のマスターがその人なの」

 

「ほーん、メガエラと言うとあの『ブルー・メガエラ』ですの? というか彼女はお披露目後に行方知れずですわね。

 …………あれ? そういえばお披露目の時期とミッション・ルース大統領が行方不明になった時期って」

 

「あ、お父様からは言っちゃダメって言われてたんだ……なんかがいこーもんだいになっちゃうんだって」

 

「……なにも聞かなかったことにしますわ」

 

 なーんで、バランシェ公のもとに来ただけなのにとんでもねー爆弾を聞かされてんのかしら……? 

 そんなことを思いつつ、地下サイロの長い階段をアトロポス様の先導のもと降りること数分。ようやく最下層までたどり着きましたわ。

 

「今照明をつけるね」

 

 アトロポス様は言うと暗闇の中へ消えてしまいますが、そのすぐ後に照明が入り先の見えない暗闇が消え失せワタクシはソレを目にします。

 

「これが、オージェ……」

 

「わー、綺麗ですぅ」

 

「スゲー」

 

 白と銀の装甲はまるで彫刻のようで羽のようなバインダーも相まって天使を思わせるその美しい外観に目を奪われました。

 そして、このMHを制作した存在の技術力の高さに自然と畏怖を覚えます。

 

「この子、本当にワタクシが触っても宜しくって? なんていうか畏れ多いのですが……」

 

「うん、なんだかイリスなら信用できると思ったの」

 

「ははぁ、随分と過分な評価ですわねぇ……」

 

 アトロポス様の期待を込めた目に半笑いで答えつつ、頼まれたからには仕方ないと覚悟を決めますわ。

 

「とりあえずは診てみますかね。レイラ、ファティマシェルに入ってくれる?」

 

「わかりました〜」

 

「ポラリス、貴方も一緒にお願い」

 

「リョー」

 

 とりあえず起動してみないばかりには判断がつきませんからね。

 

「あ、そういえばこの子ってキーは刺さってますの?」

 

「うん、普段はお父様がファティマのコントロール調整の時に使う為に刺しっぱなし」

 

「分かりましたわ」

 

 胸部までのハシゴを登り、タラップの上に移ると開きっぱなしの騎士殻へ入ります。

 アトロポス様の言ったとおり、始動のためのキーは差しっぱなしになっており起動には問題ありません。

 

『お母様、準備できました〜』

 

『イツデモヤレルゼ』

 

「わかりましたわ。じゃアトロポス様、この子を外に出したいのでサイロの封を開けてもらっても?」

 

「うん、わかった。……私も中に入ってみてもいい?」

 

「別に構いませんわよ〜」

 

「わーい」

 

 無邪気に喜ぶアトロポス様にワタクシは思わず微笑んでしまいます。子供の無邪気な姿は癒されますわ〜! 

 

 そんなことを思いつついると、ガコンッという重々しい音ともに天井のサイロの両開きの蓋の固定ボルトが外され徐々に開き始めました。

 陽の光が差し込み、オージェの足元も連動するように上昇を開始します。

 

「よいしょっと」

 

「揺れますからお気をつけを」

 

「うん」

 

 アトロポス様が騎士殻の中へ入ろうとしてきた彼女の手を取りそっと中へ入れてあげ、補助席を出すとそこへ座らせます。

 ワタクシは操縦席のシートへ身体を納めますが、元々騎士殻は搭乗する騎士の体格に合わせて設置されるため、まだ体格の小さな私には大きすぎますわ。

 

 けれども、整備モードにすることで身体に密着するアーム類の長さを調整しギリギリ動かせることができますの。といっても、戦闘時のGには耐えられませんから本当に軽い動作確認程度にしか扱えませんがね。

 

「レイラ、起動状況は?」

 

『はい、現在サイロ内電源からの電力供給により余熱を開始しています。各種冷却系、間接駆動系、センサー系を順次起動しています。

 戦闘モードはどうしますか?』

 

「あくまでも動作確認ですから非戦闘モードでお願いしますわ。エンジンのほう同様に」

 

『はい、わかりました』

 

 各種スイッチ類を入れていき、視覚センサーが起動したことでオージェが見ている景色がコクピットのディスプレイモニターへ投影し、各種ステータスも表示されました。

 

『ジェネレーター始動開始、起動率45%を突破。

 主動力安定域へ突入。火器コントロール、ベイル内兵装、全てオフライン。

 パワーコンロールは非戦闘状態へ。イレーザーエンジン始動準備』

 

 ブゥンブゥンブゥン……キンキンキンキン……ピピピ……

 

 コクピット内にオージェが起動段階へ入ったことによる始動音が響く。

 

 ィンィンィン……キュゥゥィィィンンンンッ!! 

 

 重低音だった音が段々と高音域へと変わり、イレーザーエンジンが膨大なエネルギーを生み出し眠っていた電気騎士が目を覚ました。

 

 ガコンッ! 

 

 上昇していた足場が固定され、オージェの身体を固定していたアームが外される。

 

『イレーザーエンジン始動!』

 

 ィィィィィインッ!!! 

 

「この騎体、このふたつのエンジン音……まさか、イレーザーエンジンをふたつ積んでる!? 

 フルゴールのようにファーストピークステージからセカンドピークステージへ移行した時のエネルギー確保するために順に起動させてるじゃなく、2つのエンジンを最初から同調させてるってこと!?」

 

 本来MHに搭載されるイレーザーエンジンはその出力からMHを動かすのに十分であり過剰気味でもあります。

 けれども、このオージェはその過剰なエンジンを更にもうひとつ積んでる事実にワタクシは驚きを隠せません。

 

 まさか、自分以外にそんなことを考える存在がいたなんて……

 

『凄いパワーです……この子、普通じゃありません!』

 

『スゲー、兄貴並ノ出力ダ〜』

 

「気持ちは分かりますが、シークエンスを進めなさい!」

 

『はーい、イレーザーシステム起動。各種システムオールグリーン!』

 

『イクゼイクゼー『オージェ・アルスキュラ』起動ダー』

 

『脚部固定ロック解除、いつでも動けます!』

 

「了解! アトロポス様、動かしますので揺れにご注意を!」

 

「うん、オージェをお願いねイリス」

 

「了解しましたわ」

 

 アトロポス様に返し、ワタクシはゆっくりと足を動かしそれに連動するようにしてオージェの右足も動き、1歩を踏み出す。

 今度はもう左足が動き、それを繰り返すことでオージェは低い駆動音と共に歩行を開始。

 

「オートバランサーは問題なし、駆動系も問題は無い。各種センサー、システムも問題ない……

 レイラ、オージェはなんて言ってるの?」

 

『はい、えーと……ふむふむ、なるほど。どうやらエンジンの出力をあげて欲しいそうです』

 

『戦闘モードニシテホシイッテサ』

 

「出力関係かしら? わかりましたわ。エンジン制御域の制限を解除、出力をピーク域へ。兵装はオフラインのまま」

 

『了解しました。出力をピーク域へ移行します!』

 

 かけていたエンジンの制限をとっぱらった瞬間、低域を走っていた出力が一気に跳ね上がった瞬間に低かった駆動音が一気に澄んだ音へ変わる。

 しかし、同時に完全に重なっていたエンジン音が乱れ途端に出力が不安定になったことを示すアラートが鳴り響き始めました。

 

『ッ、エンジン出力不安定化! 制御システムに異常発生!!』

 

『バランサーニ異常発生、キケーン、キケーン!』

 

「なる、ほど! エンジンに問題があるって事ですのね!」

 

「落ち着いてオージェ! この人達は貴方を直してくれるから!!」

 

『マスター! エンジン出力を落とします!!』

 

「お願い!」

 

 歩行がおぼつかなくなり、酷い揺れに襲われるコクピットでしたがレイラの側からオージェの制御をしてもらい出力を一気に落としたことで振動が落ち着き、崩れた姿勢もなんとか持ち直します。

 

「っぷぅ〜……ビビったァ」

 

 バクバクと鳴る心臓を落ち着けるように深呼吸を行ってると心配そうにアトロポス様がワタクシの顔を覗き込んできました。

 

「大丈夫?」

 

「ええ、はい。ビックリしましたけどこれくらいなら問題ありませんわ。それに問題点も分かりましたし」

 

「本当?」

 

 オージェの姿勢を膝立ちへと移行させ、騎士殻のハッチを解放させればオージェの掌を添えさせます。

 身体を固定していたアームを外し、外へ出るとアトロポス様が出やすいように手を取りました。

 

「ええ。オージェには2つのエンジンを積んでますが、そのエンジン同士の同調に問題があるのでしょう。

 低出力ならば問題はありませんが、ピーク域に持っていけば途端に出力が不安定になってしまいますわ」

 

「そうなんだ……イリスなら直せそう?」

 

「フルゴールと似たような機構ですので、多少の応用は必要でしょうがおそらく問題はないでしょう」

 

 ワタクシのその言葉にアトロポス様は安心したように微笑みました。ファティマはMHと話すことができます。きっと、オージェの不調をずっと気に病んでたのでしょうね。

 それが直ると期待を持てたことが嬉しいのでしょう。

 

「ふぃ〜、ビックリしました〜」

 

「オージェモビビッテタ。俺モビックリ」

 

「貴方たちもゴクローさま」

 

「2人もありがとう」

 

 ファティマシェルから降りてきたレイラとポラリスを労いつつ、さぁオージェの調整の話へ移ろうとした所で。

 

「お前ら一体何してんだ〜? 勝手にどっか行ったと思ったらこんなもん持ち出しやがって……」

 

「あ、師匠! これには深いわけがありましてよ!!」

 

 呆れた様子の師匠が現れました。怒られると思って弁明をしますが、師匠はそんな様子はなく不思議に思っていると。

 

「ふむ、モラードからはお転婆だとは聞いていたが確かにコレは大層なお転婆娘のようだな」

 

 嗄れた男性の声が聞こえ、そちらへ視線を向ければ杖を着いた長髪の男性がそこにいました。

 

「お父様!」

 

「あぁ、アトロポス。やはりお前だね? オージェを持ち出したのは」

 

「……うん、ごめんなさい。でもオージェが苦しそうだったの」

 

 アトロポス様がその男性へと駆け寄り、抱きつきます。男性は彼女を受け止めて目線を合わせるように膝を折ると優しく頭を撫でてあげました。

 

 彼女の言ったことから、この男性はきっと。

 

「クローム・バランシェ……」

 

 四大マイトの1人であり、師匠のライバルでご親友。バランシェ公ですわ。

 

「あぁ、確かに私がバランシェだ。君がモラードの弟子のイリス・クリィムヒルトだな?」

 

「ッ、はい。イリス・クリィムヒルトと申します。

 お会いできて光栄ですわ、クローム・バランシェ様。以降お見知り置きを」

 

「ぱ、パートナーのレイラインですぅ……ひぇぇ、顔怖い……」

 

「ポラリス、宜シクナ爺サン」

 

「ふむ、そちらのが君のファティマと隣のは……うぅむ、モラードから聞いていたが何とも珍妙な成長をしているな」

 

「オン? コノイケメンボディーニ見トレテルノカ? 案外ワカッテンナ」

 

 レイラを見てからバランシェ公はポラリスを見た瞬間になんとも言えない顔になってしまい、ポラリスは目の前の人物がどんな人なのかきちんと理解できてないのか、自慢げにドラム缶ボディを見せびらかしてました。

 

 あまり不敬なことしないで欲しいんですがねぇ! 心臓に悪いでしてよ〜〜! 

 

「な、教えた通りに面白い奴らだろ?」

 

「珍妙の間違いだろモラード? はぁ……まぁ、私がどうこう言う立場ではないな」

 

「ダハハハハ! 喜べイーちゃん、バランシェが面食らっるぞ!」

 

「辞めてくださいまし師匠! まるでワタクシたちが芸人集団だと思われてしまいますわ!」

 

「え、違うの?」

 

「ちげーわよ! 目腐ってんですのこのオヤジ!」

 

 どこからどう見ても高貴なお姫様でしてよ〜!? え、ジャージ姿で家の中をぶらついて尻を掻いてたのは誰かって? うるせ〜! 知らね〜! プライベート空間は無法地帯でしてよ〜! 

 

 ギャーギャーニャーニャー、師匠に抗議をあげますが師匠からは相手にされません。

 コノヤロウ! アンタだって屋敷じゃトランクスとシャツ1枚でぶらついてるでしょうが! 

 

 そんなことを繰り広げていると不意に。

 

「ふふっ、あはは……!」

 

 そんな笑い声が聞こえ、そちらを見てみるとアトロポス様はお腹を抑えて笑っていました。

 

「はぁ、立ち話もなんだ。城に戻るとしよう。私も聞きたい話があるのでな」

 

 どこか呆れたようなバランシェ公がそう言い、ワタクシは淑女らしくない醜態を見せたことに顔を赤くすることしかできませんでしたわ。

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