アトミックウィッチ♪ -水属性魔法の修行をしていたら、どこで間違えたのか核融合を覚えました-   作:星龜

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2.『(キュウ)


 

「う…?」

 

気がつけば、ここは冷たいコンクリートの床—。

 

瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)は全裸で監禁されていた。

 

「う…頭が…」

と、鈍い頭痛に頭をおさえる瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)

 

「てか…何で私達、裸なの?」

と、当然の疑問を口にする瑞穂(ミズホ)

 

「私達…学校を退学になって…」

と、記憶をたどる雷華(ライカ)

 

「「えっ?」」

と、あることに気づく瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)

 

「私達…」

「「核融合魔法のことを覚えている…!?」」

と、お互いの顔を見合う瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)

 

退学を言い渡された際、校長から記憶消去の魔法をかけられたのに

核融合魔法のことを覚えている

のだ…。

 

 

その時

『お目覚めかな?』

という男性の声が、瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)が監禁されている部屋の中に響いた。

 

「誰?」

と訊く雷華(ライカ)

 

『我々は

(キュウ)

だ。』

という男性の声が響く。

 

「きゅう?」

と、首をひねる瑞穂(ミズホ)

 

君達が退学になった時に消去された核融合魔法の記憶は、我々の手で復元した。』

という男性の声が響く。

 

復元…!?

と、驚く瑞穂(ミズホ)

 

「なぜ、そんなことを…?」

と訊く雷華(ライカ)

 

『知れたこと。

あんな素晴らしい魔法(ちから)を、我々が放っておくわけがなかろう。』

という男性の声が響く。

 

「あれは…ただの偶然で…」

と言う瑞穂(ミズホ)

 

『君達も魔道士の末端(はしくれ)なら、わかっているだろう。

一度身についた魔法は失われることはない

ことを…。』

という男性の声が響く。

 

続けて

『君達も、いつまでもそんな姿(全裸のまま)でいたくないだろう。

いや、もちろん、我々としては眼福だがね。』

という男性の声が響く。

 

下衆(ゲス)が…ッ!!

と唸る雷華(ライカ)

 

『服を着たければ、おとなしく我々『(キュウ)』に協力しろ。

断われば…どうなるか、説明の必要は無いだろう。』

という男性の声が響く。

 

わかったわ…。」

と答える雷華(ライカ)

 

『当然の返答だな。』

という男性の声が響く。

 

雷華(ライカ)、どうして?」

と訊く瑞穂(ミズホ)

 

ここから出るため

よ。

たぶん

私達に服を渡すために、部屋の扉が開かれる

と思うから。」

と言う雷華(ライカ)

 

なるほど…☆」

と納得する瑞穂(ミズホ)

 

「ただし

チャンスは一度きり

よ!!」

と言う雷華(ライカ)

 

 

はたして、雷華(ライカ)の予想通り、瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)に服を渡すために部屋の扉が開かれた。

 

今だっ!!

と、衣服を差し出そうとした男と思われる人物を蹴飛ばして、瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)は部屋から飛び出した!!

 

「ま…待てっ!!」

と、追いかけてくる男に向けて、瑞穂(ミズホ)は空気中の水分を一瞬で凝縮させ、無数の高圧水弾へと変えた。

 

水弾丸(アクアバレット)っ!!

 

瑞穂(ミズホ)が生成した水弾丸(アクアバレット)が追いかけてくる男に直撃。

 

ぐぅッ!?

と、水弾丸(アクアバレット)をくらった男は気絶した—。

 

 

とりあえず、出口を探して走る瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)の前に、警備兵が次々とたちはだかるが、瑞穂(ミズホ)水弾丸(アクアバレット)でなぎ倒していく。

 

「ねぇ、雷華(ライカ)

ちょっと気になることがある

んだけど…。」

と言う瑞穂(ミズホ)

 

「何?」

と訊く雷華(ライカ)

 

さっきから、私ばっかりが敵を倒している

んだけど?」

と愚痴る瑞穂(ミズホ)

 

「仕方がないでしょッ!!

ここには土が無い

ンだからッ!!」

とキレる雷華(ライカ)

 

雷華(ライカ)の魔法は土属性。

 

ゆえに

土が無い場所では魔法を発動させられない

のだ…。

 

「それはそうと、瑞穂(ミズホ)

どこに向かって走っているの?」

と訊く雷華(ライカ)

 

「外だよ!!」

と答える瑞穂(ミズホ)

 

「それはわかっているわよ。

ただ、出口がどこなのか、わかるの?」

と訊く雷華(ライカ)

 

「わかるよ☆

大気中の水の流れで☆」

と言う瑞穂(ミズホ)

 

流石☆」

とサムズアップする雷華(ライカ)

 

その時だった!!

 

前から火球が飛んできた!!

 

暗くて姿は見えないが、どうやら、前には火属性の魔法が使える警備兵がいるようだ。

 

瑞穂(ミズホ)は大気中の水分を集束し、水の壁を作って、飛んできた火球を消去した。

 

だが、前にいると思われる警備兵からの火球攻撃が終わる気配は無い。

 

さらに、後方から瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)を追う警備兵達が迫ってきていた。

 

「そんな…

ここまでなの…!?」

と焦る雷華(ライカ)

 

しかし…

 

(ん…?)

と、何かを感じ取る瑞穂(ミズホ)

 

(大気中の水の流れが…

右に流れている…?)

 

右を見れば

壁に亀裂が入っていた

 

しかも、大気中の水の流れが壁の亀裂に向かっているということは

壁の亀裂は外まで通じている

ということだ。

 

「水よ…

暴れろっ!!

と、壁の亀裂に向けて水弾丸(アクアバレット)を撃ち込む瑞穂(ミズホ)

 

水弾丸(アクアバレット)が壁の亀裂に入ったのを見た瑞穂(ミズホ)は、魔力を注ぎ込む。

 

壁の亀裂に入り込んだ水弾丸(アクアバレット)は、瑞穂(ミズホ)からの魔力を受け、増幅、膨張していき…

 

壁が崩壊した!!

 

雷華(ライカ)!!

おうよッ☆」

と、崩壊した壁から外に飛び出す瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)―。

 

 

瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)が建物の外へと飛び出すと、外は夜の帳に包まれていた。

 

夜の闇の中を走る瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)の背後の施設から、けたたましい警報音とともに、サーチライトの鋭い光線が夜空をかき回す。

 

武装した警備兵達が、怒号をあげながら次々と追いかけてくる。

 

瑞穂(ミズホ)ッ!!

やるよッ!!

と叫ぶ雷華(ライカ)

 

「え…まさか…!?」

と驚く瑞穂(ミズホ)

 

その、まさかよッ☆」

と、雷華(ライカ)は力強く大地の土を踏みしめ、魔力を解放する。

 

雷華(ライカ)の魔力と大地が共鳴し、地面から大量の金属粒子と鉱石粉末が噴出し、雷華(ライカ)の周囲で激しいプラズマの嵐を巻き起こした。

 

瑞穂(ミズホ)も、大気から水の宝珠を生成し、雷華(ライカ)が生成したプラズマに激突させる。

 

水の宝珠が電気分解されて分離した水素が結合し、重水素に変化する。

 

そして、雷華(ライカ)のプラズマが重水素を閉じ込め、プラズマの超高温と超高圧の中で重水素が結合していき、極限まで圧縮された重水素原子核の限界を叩き潰したことで核融合反応をおこし、夜の闇の中に

小さな太陽

が輝いた―!!

 

 

「な…何だ…あの光は…!?」

と、追ってきた警備兵達が、その圧倒的な熱量と、夜空をも昼間のように照らし出す輝きに足を止め、恐怖に顔を引きつらせた。

 

「「いっけぇー!!」」

と、瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)が、同時に手を突き出す。

 

瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)が生成した『小さな太陽』が、瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)を監禁した建物へ向かって飛んでいく…。

 

そして―

 

 

音を置き去りにした超高熱の閃光が走り、続いて衝撃波が大地を揺るがす。

 

瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)を監禁した建物は、数千万度の熱線によって一瞬で気化した。

 

激しい爆風が巨大なキノコ雲を夜空へと押し上げ、渦巻く炎が周囲の木々を赤く染め上げた―。

 

 

爆風が収まった後…

 

そこには広大なクレーターと…

 

激しく燃え盛る瓦礫の山だけが残されていた…。

 

 

「やったね…雷華(ライカ)…。」

「ええ…。」

 

夜の闇と炎の赤に包まれながら、その場に座り込む瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)…。

 

雷華(ライカ)

せめて、服だけでも手に入れるべき

だったね…。」

と言う瑞穂(ミズホ)

 

「うん…。

逃げるのに必死だったからね…。」

と言う雷華(ライカ)

 

 

全裸の瑞穂(ミズホ)雷華(ライカ)は、激しく燃え盛る瓦礫の山を見つめていた…。

 

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