あいぎす日記   作:石を割るのだ!

2 / 5
たいよーの書 2

 8日目

 

 目が覚めた。

 湖畔ではなく、見覚えのない場所だ……。

 慌てふためいて俺はハッピーを探した。

 ……そのハッピーはというと、俺の頭の上でその様子をくすくす笑っていたのだが。

 全然気がつかなかった。重さとかほとんどないのか。

 

 妙な夢を見た気がする。

 なにやら『オージ』とか言う名前の男の人と話していた気が……。いや、夢だけど。

 オージさん、なんか人をいっぱい引きつれていたけどリーダー的な存在だったのかね? 

 ハッピーに夜の俺ついて聞いてみた。

 なんだか不思議な感じで、綺麗だったと言われた。……綺麗?

 というか、魔物と戦ったらしい。学生カバンと体術で……。

 誰だ。いや、まじで。

 なにがいったい、どういうことだ?? 疑問が溢れて止まらない。

 寝たら覚醒とか、どこの迷探偵ですかねぇ……。(混乱)

 

 というか、オージさんってリアルに存在するのか。

 何か話していた気がするけど……なんだっけ。よく思い出せないや。

 ハッピーは詳しく聞こうとすると興奮して抽象的な説明になってしまうし……。

 少し時間が経ってから聞いてみよう。

 

 魔物から、走って逃げる。

 無理無理無理。あんなゴブリン(?)や野犬(?)と戦えるわけないだろ!!

 途中で、妙な洞窟みたいな場所に逃げ込んで事なきを得る。

 生まれて初めて見たけど、透明な膜――ハッピーが言うには結界がここを守ってるんだってさ。

 異世界の魔法パワーってやつか……。

 なにを守っているのかは全然分からないけど。

 

 とにかく、身が守れるなら何でも――!

 

 (追われていた恐怖を思い出してか、文字が大きく震えて読み取れない)

 

 

 

 9日目

 

 朝起きたら、青いリザードマンが俺の顔を至近距離でのぞき込んでいた。

 絶叫して、腰を抜かしながら這って逃げようとした俺はなにも間違っていないと思う。

 その後、怒ったハッピーとしょぼくれた青いリザードマンさん――ドラニアさんに謝る。

 でも、そんな強面に寝起きを見つめられたら誰でもそうなると思うんだ。

 そう言うと、一応ハッピーは納得して怒りを収めてくれた。

 ……ドラニアさんの落ち込みっぷりがひどかったので、再び謝る。

 顔は怖いけど、いい人(?)なのかもしれないな。

 

 というか、今日は寝ても移動しなかったな。

 外からギィギィという声と結界がギシギシいう音が響いているせいかもしれないな!

 ……どうすんのこれ。

 

 さっきまでどうやって洞窟の外に出るか考えていた。

 すると、ドラニアさんがすごく格好いい剣を胸を張って掲げて

 『ワタし、ヤクニたツ……ガルゥ』と言って外に走って行った。

 外には魔物が一杯いたので、俺も焦って追いかける。

 外に出ると、そこでは彼がスパスパと凄い剣で敵を真っ二つにしている光景だった。

 ……魔物は血とか出さずに、死んだら砂になって消えて行った。

 スプラッタな惨状にならなくてよかったと思うけれど、それでも体に震えが来てしまった。

 その様子を頭から見ていたハッピーが、不安そうな顔をしていたので無理に笑って答える。

 

 ……元の世界に、早く帰りたいな。

 ――帰れるよな?

 

 その後、ドラニアさんを応援して魔物の群れを追い払った。

 ドラニアさん、自分を怖がった相手を守るとかとても紳士だ。

 もう一度、深く誠意をこめて謝る。

 

 誰が何と言おうと見た目が怖かろうと、この人は俺を救ってくれた恩人だ。

 ……でも寝る前に気配泣く背後に立つのはやめてほしい。

 こわ――驚くから。

 

 

 10日目

 

 安定のピッコロさん現象。

 カバンの中にいくつかのリンゴと葡萄。……葡萄潰れそうで怖いな。

 経過を書いている日記としっかり分けておく。

 

 ハッピーと一緒に来るらしいドラニアさんに話を聞いた。

 このピッコロさん現象を起こしているのは自分自身だったらしい。

 夜の俺、生存本能全開なのかもな……。

 ほら、あんなに恐ろしい魔物とかも倒せるらしいし……はぁ……。

 昼の俺、全然役に立ってなくね?

 

 ハッピーに話を聞いたのと、ドラニアさんの頷きで分かったことを書いておく。

 夜の俺について

 物静か。最低限受け答えとか喋りはするらしい。

 見た目がわずかに変わるらしい。

 体の周りがオーラを纏ってるみたいに光る?(混乱)

 ドラニアさんが言うにはスキルだろうって……?

 

 ――すきるとはなんぞや。

 

 ドラニアさんの案内ついでに講義を受ける。

 ちょっと掠れた声で良く聞きとりにくいけど……、ハッピーが補足もしてくれるのでちゃんとわかる。でも、所々こちらを見つめて『あーじゃ』『あーミや』『あーにゃ』とか自身を指さしながら言うのは何だろう。

 ドラニアさんの独特な挨拶とかなのかな?

 ……決まって俺がドラニアさんを呼んだ後にそうするのが謎だ。

 ハッピーに聞いても、そんな挨拶は知らないそうだ。

 

 

 11日目

 

 『たいよー。おきてー』とハッピーの声で目が覚める。

 なんでも、夜の俺に起こすように頼まれたそうだ。

 

 ……別人格。そんな言葉が脳裏をよぎる。

 そうなると、今日記を書いている俺が主人格なのだろうか?

 よく分からない。ドラニアさんが言うには、そういうスキルらしいが。

 

 もう一人の僕!!! と叫んで、ハッピーとドラニアさんに困惑された。

 ネタが伝わらない時が一番つらいよね。ハハッ……。

 

 ハッピーは夜の俺を苗字で、昼の俺を名前で呼ぶことに決めたそうだ。

 ……名前がスキルに関係してるのかな。

 俺の名前は『夜月太陽』。

 小中高大、常に矛盾をはらむことで自己紹介でネタになったのは嫌な思い出だ。

 

 くっ、苗字が格好いいから、名前さえ……!!!

 (キラキラネームに対する苦情がしばらく書き綴られている)

 

 ――っと、いい加減にしておいて。

 現状を書き記す。

 今日森を抜けた少し高い丘の上だった。

 遠くから朝日が昇っていく様子が見えて、とても綺麗だ。

 夜の俺は、何を思ってこの場で目を覚まさせたのだろうか……?

 

 とりあえず、皆で見惚れていた。

 元の世界に帰るを目標に、何となくとあるゲームの言葉を引用して奮起してみる。

 

 『勇往邁進』

 

 あの主人公が語るちょっとだけ厨二なニュアンスを孕んだ台詞も引用である。

 それを言った後、少し恥ずかしかったがハッピーがとても楽しそうに笑って頑張ろうねと。

 ……うん、早く家に帰りたい。頑張ろう。

 ドラニアさんも、お礼と言って協力してくれるようだ。

 ……なんのお礼だろう。すごく気になるが……夜の俺関連だろうか。

 

 ――さてとにかく、今日も一日がんばるぞい。

 

 また困惑された……。解せぬ。

 今日は丘から見える……田園(?)の村の方へと向かって行くことにする。

 どうか、魔物と出会いませんように。

 

 

 




 書いてる人のスタミナに石(感想)を割ってくれた人が居たので。
 続きです!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。