あいぎす日記 作:石を割るのだ!
一回目
臭い。
埃臭さで目を覚ました。
暗い部屋いるようだ。
とにかく、埃が嫌だ。無性にイライラとした破壊衝動が起きる。
衝動に身を任せ、ベッドを破壊。余計に埃が舞って余計にイライラ。
オーラを纏って埃が身に届かないようにする。
しかし、オーラの規模が自身の想定している物より小さく疑問。
大量の違和感。この感覚は、なんだ?
とりあえず、明かりをつけよう。
夜目は聞くが、はて……。いや、明かりをつける?
明かりとはついている物ではなかったか?
そんなものに頼らずとも、良いのではないか?
ふと、自分のことが分からなくなる。
はて、自分とは? 己はなんだったか。
自分の周りは常に明るかったような。
炎に包まれていて、熱く滾るような物だったような……。
気にしても無駄なので、己のオーラで薄暗く照らされる部屋の蝋燭に火をつける。
指先から、軽く火をともし……人間の手に違和感。手から火が出る?
違和感違和感。
イライラする。
机の上に何かが書かれたが置いてあった。
いや、メモの様だ。
羊皮紙はインクの潰れによって読み取れない。
いや、カビの所為で殆ど読めないと言っても良いかもしれない。
『この神殿は女神 様が―――魔神、が封印――。
ア●ン、鳥――、形態 。災厄の魔物。
だが、魔物の により―――。
アイ――様。迷ってはられない。
神聖結晶を大量に使い、――――する。して見せる。
その過程で――ンを下し、同化させる。
生半可な人間では呑まれてしまうだろう。
違う――の人間を召喚するのはコスト かるが、――余地はない。
今すぐは下せないだろうが、ここはアイ―――の加護のある場所だ。
時間が●かろうと、 陣さえ稼働させてしまえば……。
、ここが陥落するのは時間 。
だ―― 、私は、一つ賭に出てみようと思う。
神聖結 を魔物が砕き、破壊しようとも陣の は成功している。
最悪、小さな人間の に堕ちた ならば容易く倒せるはず 。
ああ、アイギス様。どうか、愚かな私をお許しください』
読み難い。
そして、アイギスという単語にひどく怒りが湧いた。
外に飛び出し、大声で叫ぶ。
咆哮を上げたつもりだった、しかしそれはただの大声の域にしか届かない。
衝動に身を任せ、神殿の外に飛び出そうとした時、ピタリと体が動きを止める。
何故か体が、部屋に戻ろうとする。
疑問に思ったが、体に任せてみる。
部屋に戻ると、小さな出来の良いカバンを手に持つ。
……落ち着いた。
衝動も、怒りも鎮火した。
だが、大声を聞きつけたのかゴブリンやウルフと言った雑魚どもが群れて襲ってくる。
適当に捌きながら、近くのリンゴの樹から実を毟って神殿から離れることにした。
……この神殿にはひどくイラつくのだ。
その後、適当な樹にもたれ掛り体を休めた。
日が昇ろうとしているのか、空が白んでいる。
……眠い。眠りなど、経験したことがあっただろうか。
とにかく目を閉じた。
二回目
おかしい。
寝たと言っても仮眠のつもりだった。
周囲に変化が起こればすぐに気が付いたはずだった。
しかし、現状はどうだ?
妙に体がだれていると思えば、大樹のうろの中で身を縮めている。
外には太陽が出ているようだ。
場所は……そこまで離れていない。
ふむ。とにかく現状の把握を行うか。
移動中に雑魚共が群れて襲ってくる。
適当に蹴散らしてやれば、塵に帰る。
いちいちご苦労なことだ。
しかし、空腹を感じる。リンゴでも食う事にしよう。
……持っていたカバンの中身に入っているはずのリンゴが無かった。
何故だ。
周囲を探索しつつ、道なき道を進む。
夕方だ。
リンゴをシャリシャリと喰いながら、カバンの中身を改めてみる。
青い結晶のかけら、これは神聖結晶か。
すべて捨てようと思ったが、体が硬直した。
……忌々しい。
他の物を見ると、見たことのない言語で書かれた文字の本を見つける。
読めん。……が、見ていると何となく内容が分かるような……。
まぁいい、休憩がてらにしばらく解読してみるか。
しばらく謎解きしていると、接続語等は理解できるようになってきた。
体が覚えているという感覚の方が強い。
休憩しよう。
三回目
枯葉に包まれて目が覚めた。
イラついて燃やしたが、すぐに消えた。
どうやら、なにかの力が働いているらしい。
気の隙間から覗く満月を見つつ、オーラを纏う。
徐々に意識の摺合せが出来てきた。
己は確かに、炎に愛着があるようだ。
手のひらから攻撃にも使えない小さな火を出せる。
なんて弱々しい光なんだ。
違和感を感じると言う事は、変化が起こっている事だろう。
空腹を感じるので、適当な鳥を〆る。
獲り方? 掴めばいいだろう?
生で食おうとして、体が拒否する。
イラつくが、空腹の方がイラつくので握りつぶすように焼いて食う。
骨が多くて喰いにくすぎる。……骨なんか気にしたことあっただろうか。
次から、最低限度の骨は取ることにしよう。
しかし、リンゴの樹の多い森だ。
再びもいでカバンに入れておく。
……まぁ意識を取り戻した時に無くなっているのだがな。
おそらく、別な――己が違和感を感じている者がこの体に居るのだろうな。
カバンの本、手記に文字が増えている。
ある程度読めるようになってきたが……。
餓死されて、己が知る前に死ぬと言うのはよろしくない。
大人しく、カバンに入れておいてやろう。
4回目
手記を確認する。
やはり、自分の居場所が違っている。
流石に4回目ともなれば気にもならない。
これは、そういうものなのだろう。
……なに、リンゴに飽きてきただと。
ほう、それではもう一々採集する手間もないな。
周囲の雑魚を蹴散らす。
イラつくので激しくだ。
オーガまで出て来た。デカい図体で一々とろい奴だ。
縊り殺してやろう。
火力がしょぼすぎてイライラする。
こんなもの別な輩に見られたら、己の品位が落ちる。
二度と使ってなるものか!!
……食事をする時くらいは使ってやる。
生だと体が受け付けないからだ。
忌々しい!
仮眠を取ろう。
これで、手記の内容が増えていれば色々把握しやすいのだがな。
五回目
別な人格が死にかけていた。
飢えと乾きに苦しむなど、己には考えられない。
呆れて口がふさがらないぞ? どれだけ惰弱なのだ!
……仕方がないので、適当に肉を獲りに行くとするか。
別に、手記に書いてあったからではない。
過度なストレスで別人格が勝手に死ぬなどという愚行に走らないかが心配なだけだ。
己の体だからな。
途中、妙に甲高い叫び声を上げる黒く巨大なウルフ遭遇する。
魔狼か? 適当に蹴散らしてやろうと思ったが、妙に毛皮が硬く攻撃が通らない。
そして、いちいち助けてだの、誰かだの腹の方から聞こえるのが癪だ。
大方、この魔狼は聖霊でも攫って腹にため込んでいるのだろう。
……魔狼って捌けば食えるだろうか?
忌々しい。塵になって消えやがった。
その時に白い聖霊が飛び出してくる。
面倒なので適当にあしらっていると、カバンを宿にしやがった。
鬱陶しい。適当に振り回せないではないか。
仕方がないので、そっとしておく。
湖畔の近くで……適当な肉を捕まえた。
まぁ毒はないし平気だろう。ゲコと無くのが印象的だな。
味は、鶏肉の味だった。
白い聖霊……ハッピーだったか?
カバンに引っ込んだので、人格を切り替える。
……次に目覚めれた時、聖霊から適当に情報を引き出すことにするか。
ゲコ……。