イナイレGO1〜フィフスセクターぶちのめします!〜 作:松兄
あの日、エンシャントダークの代わりにアルテミスと戦い、森を貸してもらえる事になった雷門イレブン。
全員で自然を相手にハードな特訓を続け5日後の夜。
皆で焚き火を囲んで夕飯を食べた後、虎次朗と天馬はシュウに連れられて一面の星空を一望できる小高い丘の上にやって来ていた。
天馬「綺麗な満月だね。東京じゃあこんなの見れないよ………」
シュウ「そう?」
虎次朗「多分空気が澄んでてキレイなんだろうな」
虎次朗がそう言うとシュウは少し嬉しそうな顔をしてこの島に伝わる昔話を話し始めた。
シュウ「今から約300年前この島には人が住んでて、2つの集落があったんだ」
天馬「へぇ~。よく知ってるね」
シュウ「そしてある年の夏、酷い干ばつがあって雨が降らずに作物が育たなくなった。このままではマズイと思った2つの村の長たちは話し合い、それぞれの村の一人の若い娘のどちらかを生け贄として神に捧げようとした。そしてその娘を決める方法として、当時の球を使った勝負。今で言うサッカーを使ったんだ」
虎次朗「300年も前だったら生贄なんて考える所もあるか。でもそんなことを決める手段がサッカーっておかしくない?」
なんか頭のネジが数本イっちゃってる気がする。
シュウ「でも、片方の村の生け贄にされる予定だった娘には、兄がいたんだ。妹が生け贄にされると知った兄は、相手の村の選手に金を渡して、勝ちを買った。どうしても妹を守りたかったんだ」
虎次朗「確かにもし俺がその立場で、確実に勝てる保証が無ければそうしてしまうかも知れないな。俺にも兄弟がいるから、何となくわかる」
もしも弟たちの命が懸かってて、金なんかで解決できるならそうしてしまうかもしれない。
シュウ「でも、結局村の人にその事がバレて兄は処刑。妹は生贄にされた」
天馬「悲惨な話だね……」
シュウ「僕はこの話を知った時感じたよ。もしかしたらサッカーは、“呪われてる”のかもしれないって」
天馬「シュウ………。サッカーは人を呪ったりしないよ」
シュウ「……呪うさ」
虎次朗「さっきの話し、その兄に力があれば……イカサマなんかしなくても勝てるだけの力があれば、誰にも文句を言わせずに妹を救えたのにな」
シュウ「虎次朗、その通りなんだよ……。強くなければ、価値が無いんだ!!」
――そして翌日。
雷門メンバーはアルテミスのメンバーの守護エリア、【アルテミスの遺跡】へと足を踏み入れた。
十分レベルアップしたと判断され、花帆たちと虎次朗の本気の試合になる。
花帆たちから聞いた話だと、なにやら教官たちの動きが怪しいらしく、邪魔されない内に試合したいらしい。
ポジションに着く雷門イレブンとアルテミス。
虎次朗「……………」
――試合前、
円堂「彼女たちはこの島の特訓を生き抜いたシードだ。あのアンリミテッドシャイニングと互角の強さと見て良い。気を引き締めていけ!」
雷門『はい!』
そして、両チームピッチに出る。剣城は前半控えだ。
アルテミス
フォーメーション
GK 桜
DF 美月 恵梨香 歩美
DMF 小春 美咲
OMF 飛鳥 花帆 麗奈
FW 朱里 優里
雷門
FW 虎次朗 倉間
OMF 錦 天馬 速水
DMF 神童
DF 天城 霧野 狩屋 車田
GK 三国
そして、審判役の風丸さんが笛を吹く。
風丸「試合開始!!」
ピィイイイーーーッ!!!
―
笛とともに、雷門ボールから試合開始。ボールはキャプテンへ。
朱里「さあ! どっからでもかかってきなさい!」
花帆「あれからどれだけ成長したか、お手並み拝見だね!」
優里「みんな! 虎次朗くんにだけは撃たせちゃダメよ!!」
そしてキャプテンがゲームを組み立てる。だが、アルテミスは虎次朗に二人のマークを付けていた。
虎次朗「!」
美月「撃たせないよ!」
小春「お、大人しくして〜!」
神童(伊月は無理か……なら!)
神童「行くぞっ! ボールを回せ!」
キャプテンが素早いパス出しでタクトを振るう。
大自然の苛烈な環境で鍛え上げられた雷門の動きは劇的に変化しており、以前とは比べものにならない圧倒的な脚力と体幹。
アルテミスの鋭い出足のプレッシャーを、鍛え上げたフィジカルと研ぎ澄まされたパスワークで次々と交わしていく。
朱里「なっ……!? パワーもスピードも、この前とはまるで別人じゃない!」
朱里が目を見張り、前線からのチェイスを強めるが、神童は冷静に―――、
神童「慌てるな! 相手のプレスを引きつけて……今だ、出せ!」
天馬「キャプテン!」パス!
キャプテンの完璧な空間把握と配球により、アルテミスの緻密なディフェンスラインに一瞬の亀裂が生じる。
その隙を見逃さず、サイドから怒涛の勢いで駆け上がった倉間先輩が、ピンポイントのパスを呼び込んだ。
アルテミスのサイドバックである歩美が必死にスライディングで寄せに入るが、特訓で体幹を極限まで鍛えた先輩体勢を崩さない。
倉間「俺たちの特訓の成果、見せてやる!!」
すると倉間先輩飛び上がると、アクロバティックな動きから鋭く着地。一気に踏み込みダッシュで抜き去る。
倉間「[アクロバットキープ・V2]!!」
歩美「っ!?」
相手ディフェンスのブロックを力強くかいくぐり、ペナルティエリア手前のサイド方向へと抜け出す倉間先輩。
サイドエリアからシュート体勢に。
虎次朗(サイドエリア……?)
虎次朗「っ! まさか!?」
試合の主導権を握ったのは雷門だった。
初手から完全にアルテミスの意図を上回り、怒涛の攻撃を展開した雷門が、この試合最初となる魂の初弾をゴール目掛けて叩き込む——!
倉間「うなれ! [《真》サイドワインダー・V3]!! でりゃあああ〜っ!!」
ドゴォオオオオオッ!!
倉間先輩のシュートは、大蛇とともに、実際に蛇ようにうねりながら凄まじい勢いでゴールまで飛ぶ。それにしてもとんでもない威力だ。
以前の[サイドワインダー]からは考えられない威力が出ている。
恵梨香「止めるわ!!」
そこに恵梨香が立ちふさがり、シュートブロックに入る。
恵梨香「[エアーバレット]!!」
ドゴォオオオッ!!
練り上げられた空気の弾丸を蹴り飛ばしてボールにぶつけてシュートブロック。たが、倉間先輩のシュートは突き進む。
恵梨香「っ!?」
桜「っ!? [キルブリッジ]!!」
桜も必殺技発動。手から発せられたアーチ状のオーラがシュートを巻き込みボールは手元へ……
ギャルルルルルッ!!
桜「っ!!??」
しかし、キャッチしても回転が収まらない。
バチィイインッ!!
桜「あっ!!」
そして、ボールはエンドラインを割って外に出る。
雷門のコーナーキックだ!
花帆「危っぶな……」
優里「どうなってんのよ……」
最初の決定機は防がれたものの、攻撃の手を緩めない雷門。
神童「切り替えろ! コーナーキック、合わせるぞ!」
ピィイイイーーーッ!!!
RESTART!!!
速水「行きますよ!」
ドッ!!
キャプテンの鼓舞に応え、雷門の攻撃陣がゴール前に雪崩れ込む。
速水先輩が、鋭いカーブをかけたボールを中央へ蹴り込んだ。
虎次朗「俺が獲る!!」
圧倒的な跳躍力とフィジカルで競り勝った虎次朗が頭で叩きつけるが、花帆の冷静な指示のもと、密密に固められたアルテミスのディフェンスラインが壁となって立ち塞がった。
美月「させないわ!」バチィイインッ!
クリアされたボールは、絶妙な位置に落下する。それを拾ったのは、誰よりも早く前線へ走り出していた朱里だった。
朱里「よっしゃもらったぁ! 全員、一気に押し上げるわよ!!」
アルテミスのカウンターが炸裂。彼女たちの素早い押し上げに、雷門は一瞬で守備への切り替えを余儀なくされる。
朱里を筆頭に、目にも留まらぬ連携とパスワークで、中盤を一直線に置き去りにしていく。
天馬「行かせないっ!」
だが、自然相手の特訓で足腰を鍛え上げた雷門のディフェンス陣も引き下がらない。
―――天馬の必殺技だ!
天馬「[スパイラルドロー・V2]!!」
天馬が竜巻を纏って急接近。ボールを奪いにかかる。
朱里「じゃまよ! [スプリントワープ]!!」
ビュン ビュンッ ビュンッ!! 陸上のスプリンターも真っ青な超加速で抜き去る朱里。
しかし――、
霧野「行かせるか!」
バックステップを踏み、泥臭く身体を寄せて朱里の進路を塞ぐ。霧野先輩。
花帆「甘いよ、伊月くんたちの壁を越えるのは……私だよ!」
朱里「決めなさいよ花帆!!」パス!
中盤で朱里からのバックパスを受けたキャプテンの花帆。朱里が雷門ディフェンスを引きつけた瞬間に右足を大きく引き絞る。
待ちくたびれた虎次朗たちとの真剣勝負への歓喜と、虎次朗への想いと、キャプテンとしての意地を込めた超ロングシュートだ。
花帆「[極・イーグルショット]!!」
ドゴォオオオオオッ!!
花帆の足元から解き放たれた球は、地面を這う低空飛行の美しい軌道を描いてゴールへと一直線に突き進む。
狩屋「通さねぇよ!! [ハンターズネット・V4]!!」
狩屋が必殺技で網を張りシュートを絡め取る。しかし、威力は削ったが網は引きちぎられ、シュートは進む。
狩屋「三国先輩!! お願いします!!」
三国「任せろ!!」
三国先輩は両手に赤黒いオーラを宿し、両手にオーラの手を発現。シュートを受け止める。
三国「[無頼ハンド]!!」
ドカァンッ!
強烈な衝撃を全身で受け止め、三国先輩が引き摺られながらボールを完全にキャッチする。
花帆「っ! やるね!!」
お互いに一歩も引かない、真剣勝負。一瞬の油断も許されない攻防が繰り広げられていた。
前半:11分
雷門 0 ー 0 アルテミス
― つづく ―
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