イナイレGO1〜フィフスセクターぶちのめします!〜   作:松兄

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アルテミスとの真剣勝負②

 

 

虎次朗「ッ、ナイスキーパー!!」

 

神童「三国さん!」

 

 仲間たちの歓声が遺跡に響き渡る。

 

 アルテミスキャプテン、花帆の放った強烈な地を這うロングシュート。

 

 狩屋のシュートブロックで威力が削がれたとはいえ、その軌道は極めて鋭く、ゴールを脅かすには十分すぎるものだった。

 

 それを、特訓を経て覚醒した三国さんは、両手でがっちりと抑え込んでいた。

 

三国「ハッ……ハァ……っ! 止めた……止めたぞ!!」

 

 三国さんはボールを両手で掴んだまま荒い息を吐き、すぐさま味方を見据える。

 その瞳には、かつてこの島のシードたちの圧倒的な実力に気おされていた怯えは微塵もない。

 

 大自然の中で円堂監督たちから叩き込まれた、絶対にゴールを守り抜くという強烈な執念と自信が満ちあふれていた。

 

朱里「すっげえじゃん、アンタたち……!」

 

 前線で腰に片手を当て、ハッと息を漏らしたのは朱里。

 

 今までの、「鍛えてあげている」という余裕は完全に消え去り、対等な強敵に対するワクワクした笑みを浮かべている。

 

 一方、渾身のシュートを阻まれた花帆は、驚きに一瞬目を見開いたものの、すぐに口元を引き締めた。

 

花帆(あのキーパーまで……! たった5日の練習期間で、ここまで強くなるなんて……)

 

 視線を三国から、前線で構える虎次朗へと移す花帆。

 

 三国さんのビッグプレイにより、遺跡のグラウンドの空気は一気に熱を帯び、雷門側へと流れを引き戻していた。

 

三国「よし! ここから反撃だ!!」

 

 三国さんが力強く前に踏み出し、大きく腕を振りかぶる。止めたボールは、間髪入れずに前線へと投げ込まれる——!

 

神童「慌てなくていい! 繋ぐぞ!」

 

三国「錦!」

 

 三国さんは前線の動きを見極め、左サイドへと大きくスローイング。

 ボールが、グラウンドの左サイドを走る錦先輩へとピタリと渡る。

 

錦「よっし、行くぜよ!」

 

 ボールを受けた錦先輩。

 

 緩急をつけたドリブルで果敢に仕掛ける。

 

飛鳥「止める!」

 

小春「い、行かせない!」

 

 アルテミスのディフェンスが寄せてくる。と、すぐさま中央のキャプテンへとグラウンダーのショートパス。

 

神童「通った! 戻すぞ、リターン!」

 

錦「おうっ!」

 

 中央で溜めを作り、ワン・ツーでアルテミスの陣形を揺さぶる。

 中央に意識を惹きつけた瞬間、再び鋭いパスが左サイドのオープンエリアへと展開される。

 

錦「神童!」パス!

 

神童「錦!」パス!

 

錦「天馬!」パス!

 

天馬「錦先輩!」パス

 

錦「神童!」パス

 

 

 左、中、そして再び左——。

 

 リズミカルで完璧なパスワーク。

 

 大自然の特訓で培われた足腰の強さと連係の精度が、アルテミスの強烈なプレッシャーを掻いぐぐっていく。

 

神童「今だ、打てぇっ!!」

 

 左サイドから中央へカットインしてきた錦先輩の目の前が一瞬、ぽっかりと空いた。

 そこへ神童先輩からのパスが放り込まれる。

 

 絶好のシュートタイミング。錦先輩は化身を発動する。

 

錦「決めるぜよ!【戦国武神ムサシ】!!」

 

 武者鎧の化身が発動し、錦先輩が右足を振り上げる。

 

花帆「させないっ!!」

 

 すると、花帆がその背から化身オーラを発現させて化身を発動する。

 

花帆「【神官ジャッジ】!! はぁあああっ!!」

 

 

ガッッ!!

 

 

 アルテミスのキャプテン、花帆は驚異的な危機察知能力でコースを完璧に読み切り、化身発動で上昇したフィジカルでの捨て身の滑り込みで足先を差し出す。

 

 ボールは花帆の足に押さえ込まれこぼれ球に。

 

霧野「なっ……シュートブロック!?」

 

 驚愕する雷門を横目に、花帆はフィールドに倒れ込みながらも素早く身体を反転させて起き上がる。

 

 そしてこぼれ球の落ち先を瞬時に予測した美咲がボールを抑え、完璧に自分の足元へと収めた。

 

美咲「甘いわ! 守備から攻撃……切り替えて!!」

 

 美咲の鋭い一喝が飛び、一瞬でボールを奪い返したアルテミスが、再び怒涛の反撃。

 

花帆「朱里、上がって!」

 

 美咲は間髪入れずにそのままトップギアで一気に中央をドリブルで駆け上がる。

 

天馬「止めるぞ! これ以上は進ませない!」

 

 天馬が果敢にチェックに入る。そして―――、

 

天馬「うぉおおおっ!! 【魔神ペガサス・参式】!!」

 

 真紅の鬣と翼を持った魔神の化身。ペガサスが降臨。天馬は上昇したフィジカルで身体を寄せて、コースを限定しようと試みる。

 

 だが、美咲のスキルは一枚上手だった。

 

美咲「遅い! [スプリントワープ]!!」ビュン ビュン! ビュンッ!!

 

 

 

 一気に最高速度に乗り、天馬を接触することなくを瞬く間に抜き去ってみせる美咲。

 一瞬で中盤を打開し、前線へスルーパスを出そうと足を振りかぶった、その瞬間——

 

車田「させるかっ! [爆・ダッシュトレイン]!! シュポオオオーーッ!!」

 

ドガアッ!!

 

美咲「きゃあっ!?」

 

 天馬を抜き去った直後の一番油断するタイミングを狙い、上がってきていた車田先輩が必殺技で奪い取りインターセプト。

 

 奪い返す。

 

車田「虎次朗ッ! 頼んだぞ!!」ドッ!

 

虎次朗「はいっ!!」

 

 車田先輩が蹴ったボールは、虎次朗の下へ。

 

 虎次朗がボールを足元にトラップでピタリと収める。

 

 その瞬間、アルテミスの陣形に激震が走った。

 

 前日の悪夢——地面を削り、恐怖と共にゴールを打ち砕いたあの『雷獣シュート』の記憶が全員の脳裏をよぎる。

 

 ここで虎次朗に前を向かせ、シュート体勢に入らせることだけは絶対に阻止しなければならない。

 

 

朱里「させるわけないでしょ、虎次朗ぉぉッ!!」

 

花帆「絶対に……撃たせはしない!!」

 

 誰よりも早く反応したのは、朱里と花帆の二人。

 

 朱里は野性的な勘と圧倒的なスプリントで虎次朗の左斜め前へと回り込み、花帆は鋭い危機察知で右側から退路を断つように間合いを詰める。

 

2人は息の合った動きで、ボールの前に足を出して、鉄壁の「二重ブロック」を形成。

 

花帆「伊月くん、ここから先は一歩も通さない……!」

 

 瞳に情熱と意地を宿した花帆と、不敵な笑みを浮かべて牙を剥く朱里。

 

 虎次朗の前に立ちはだかる。

 

虎次朗「このボール、ネットに突き刺す!」

 

 

ドゴオッ!!!

 

 

 虎次朗はそれでも右足を振り上げて渾身のインパクト。ボールが朱里と花帆の両足で押さえ込まれ、至近距離の2人分シュートブロック!!

 

花帆「っ! この、パワー…!?」

 

朱里「っ、まず…っ」

 

虎次朗「このままぶち抜いてやる!! [ぶっこぬきワイルドタイガーショット]だぁああっ!!」

 

ドゴォオォオオォオオオオッ!!!!

 

花帆&朱里「「きゃあああああっ!!???」」

 

 力付くで右足を振り抜いた虎次朗。そのパワーに宙を舞って吹っ飛ぶ2人。

 

ドシャ ドシャアッ!!

 

朱里「ぐっ!」

 

花帆「ガハッ!」

 

 そして地面に叩きつけられ、ボールはそのままゴールへと向かう。

 

桜「止める! [キルブリッジ・G2]!!」

 

 桜の必殺技が進化してパワーアップ、止めに入る。――だが、

 

バギぃいいいっ!!!

 

桜「うわぁあああっ??!!!」

 

 ボールは桜の腕を弾き飛ばし、ゴールネットに突き刺さった。

 

 

GOOOAL!!!

雷門 1 ー 0 アルテミス

 

 

虎次朗「おっしゃああああっ!!!」

 

 シュートを決めた虎次朗のもとに集まってくる雷門メンバー。

 

 アルテミスは―――、

 

 

美月「うっそ……、何あのパワー………」

 

歩美「あの2人のディフェンスをぶち抜いた……」

 

優里「やっぱり、少しでも自由にさせたらダメだね……」

 

花帆「そうだね。痛っつ…」

 

朱里「アイツ遠慮なしね……」

 

 足を抑えて、みんなのところに来た2人にチームメンバーが駆け寄る。

 

美咲「大丈夫!?」

 

花帆「一応大丈夫。まさかあんな力業でやられるとは思わなかったけどね……」

 

朱里「今度はアタシが決める番よ!」

 

 

 試合は前半を後少しになっていた。

 

 

前半:24分

 

雷門 1 ー 0 アルテミス

 

― 続く ―




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