イナイレGO1〜フィフスセクターぶちのめします!〜 作:松兄
果たしてどんな試合になるのか?
激しい大歓声が地鳴りのようにスタジアムを揺らす中、運命のゼロ戦の火蓋が切って落とされる。
フォーメーション
ゼロ
GK 蛇野
DF 木屋 江島 佐喜 鬼塚
MF 悠木 青銅 林音 カイ
FW シュウ 白竜
雷門
FW 剣城 虎次朗
OMF 影山 天馬 錦
DMF 神童
DF 天城 霧野 狩屋 車田
GK 三国
ピィイイイーーーッ!!!
―
雷門のキックオフから試合開始。
前線からボールを軽く下げ、ゲームメーカーの神童キャプテンへとボールを渡す。
雷門陣内から慎重に組み立てようと、キャプテンは落ち着いた動作で右サイドの錦先輩へとグラウンダーのパスを供給した。
だが——そのパスの軌道上に、白い閃光が走った。
白竜「甘いな!」
錦「なっ……!?」
錦が足元に収める寸前、異次元の加速で割り込んできたのは白竜。
影すら踏ませぬ圧倒的なスプリント。錦の目と鼻の先でボールを奪い去り、何事もなかったかのように前線へと突き進む。
神童「守りを固めろ! 自由にさせるな!!」
キャプテンの焦燥を含んだ叫びに、雷門DF陣が一斉にポジションを低く下げ、ブロックを築く。
―――しかし、ゼロの真価はここからだった。
白竜からのパスを起点に、シュウをはじめとするゼロのメンバーが怒涛のパスワークを展開。
その速度、精度、そして圧倒的な個の圧迫感。
雷門のディフェンスラインは、まるで高速で旋回する嵐の渦に飲み込まれたかのように、ただボールを目で追うことしかできない。
右へ、左へ、そして中央へ。
死角を縫うように超高速のパスがポンポンと繋がり、雷門の守備陣は一瞬でズタズタに引き裂かれていく。
霧野「くっ……早すぎる……!」
霧野先輩が届かない手を伸ばし、狩屋が重心を崩される。
雷門のディフェンスが完全に崩壊したその極限の刹那、ペナルティエリア手前に絶妙な角度でボールが浮き上がった。
そこへ跳躍していたのは、白竜。
白竜「これが貴様らと俺たちの……圧倒的な『差』だッ!!」
ドゴオォオォオオッ!!
収めることすらしない。完璧なタイミングで空中で身体をねじり、右足を一閃。
放たれた
三国「なにっ……!?」
ドゴオォオォオオッ!!
三国「ぐああああっ!!」
三国先輩は、必殺技の体勢に入ることすら許されなかった。
技を出す間もなく、ボールは三国を吹き飛ばして凄まじい衝撃音とともにゴールネットを激しく揺らす。
ズドォォォォンッ!!
GOOOAL!!
雷門 0 ー 1 ゼロ
実況『ゴーーーール!! 先制は『ゼロ』! 圧倒的な破壊力で、開始早々雷門ゴールをぶち抜いたぁぁぁっ!!』
静まり返る雷門イレブン。
鉄の檻の中から惨状を見つめる花帆たちアルテミスの少女たちの瞳にも、あまりの地力差に対する恐怖が広がっていた。
フィフスセクターの究極体『ゼロ』の絶望的な強さが、容赦なく雷門に突きつけられた。
一点を追う雷門のキックオフ。
ピィイイイーーーッ!!!
RESTART!!!
センターサークルからボールを受けた神童は、覚悟を込めた鋭い眼光で敵陣を見据えた。
神童「みんな! 押し返すぞッ!」
神童の背後から激しいオーラが沸き立ち、指揮棒を構えた巨大な化身が現れる。
神童「【奏者マエストロ・参式】!!」
マエストロの威圧感を纏い、力強いドリブルでゼロの陣内へと突進する神童。
だが、その行く手を阻むように、白竜の全身から眩いばかりの聖なる光が溢れ出す。
白竜「ハハハッ! ムダなんだよ! 【聖獣シャイニングドラゴン】——!!」
巨大な白銀の龍が咆哮とともに顕現する。神童のマエストロが指揮棒を振るい突破を図るが、シャイニングドラゴンは意に介さずピッチの底から地響きとともに旋回。
しなやかにしなった長大な尾が地面を穿ち、神童をマエストロごと空中に高く跳ね上げて豪快に吹き飛ばした。
神童「ぐあぁぁぁっ!?」
神童が宙を舞い、ボールがこぼれる。ゼロの怒涛の進撃を止めるべく、死角から躍り出たのは剣城だった。
剣城「白竜……! させるかぁぁっ!! 【剣聖ランスロット】!!」
白銀の鎧を纏ったランスロットが漆黒の剣を振り下ろし、白竜へ渾身の斬撃を放つ。
しかし、白竜は紙一重のステップでそれを易易と回避。そこへ背後からタイミングを合わせ、天馬が【魔神ペガサス】の拳を、【シャイニングドラゴン】の背中目掛けて叩き込みにかかる。
天馬「俺たちが……みんなを助けるんだっ!!」
白竜「甘いな!」
だが、白竜の全方位に対する隙のなさは異常だった。
振り向きざま、シャイニングドラゴンの巨大な尾がしなる鞭となって空間を薙ぎ払う。
バギャァァァンッ!!
剣城&天馬「「ぐああぁぁぁっ!?」」
【ランスロット】と【ペガサス】は同時に切り吹き飛ばされ、剣城と天馬のふたりは凄まじい衝撃とともにピッチへ叩きつけられる。
化身3体をたった一人で粉砕した白竜は、ペナルティエリア手前で宙へ跳躍する。
白竜「消え去れ、雷門!![― ホワイトブレス ―]!!」
シャイニングドラゴンの口から解き放たれたのは、空間そのものを焼き尽くすかのような純白のブレスシュート。
三国「うおぉぉぉぉっ!!」
三国先輩が必死の形相で跳躍。必殺技で止めに入る。、
三国「[フェンス・オブ・ガイア・G4]!!」
三国先輩の発生させた岩壁が立ち塞がる。しかし、圧倒的な竜の息吹の前には抗う術すらなかった。
触れた瞬間に衝撃波が炸裂し、三国先輩は豪快に吹き飛ばされ、激しくゴールネットへと突き刺さった。
ズドォォォォンッ!!
GOOOAL!!
雷門 0 ー 2 ゼロ
実況『ゴール!! 2ー0! 【シャイニングドラゴン】の圧倒的な力の前に、雷門は化身すら打ち破られ絶体絶命だぁぁぁっ!!」
地鳴りのような「フィフス!」の歓声がスタジアムを支配する。
鉄の檻の中で囚われた花帆たちは、自分たちのために傷ついていく雷門の姿に、絶望と胸を締め付けられるような痛みに打ち震えていた。
ピィイイイーーーッ!!!
RESTART!!!
立ち塞がる絶望的な点差。しかし、雷門の目から光は消えていなかった。
リスタートのホイッスルとともに、天馬、神童、そして剣城の3人が前線へ向かって同時に駆け出す。背後から沸き立つ、凄まじい3つの気配。
天馬&神童&剣城「「「出ろぉぉぉッ!!」」」
天馬「【魔神ペガサス】!!」
神童「【奏者マエストロ】!!」
剣城「【剣聖ランスロット】!!」
雷門の3体の化身が同時に顕現し、圧倒的な圧迫感でピッチを支配する。向かってくるのは、不敵な笑みを浮かべた白竜のシャイニングドラゴン。
白竜「ハッ! 束になって挑もうと、この俺には勝てん!」
猛然と襲いかかるシャイニングドラゴンに対し、天馬たちが三方から同時に覆いかぶさる。
重なる気迫と風の渦が龍の動きを縛り付け、ついに白竜の足止めに成功する!
白竜「くっ……動きが止められた……!?」
神童「今だ、押せぇぇっ!!」
だが、白竜の顔から笑みが消えることはなかった。
白竜「……何を勘違いしている? ゼロの化身遣いは、俺一人ではないぞ」
白竜の合図とともに、ゼロのメンバー。悠木、青銅、林音、カイの4人の背から化身オーラが立ち昇る。
悠木「【魔宰相ビショップ(B)】!!」
青銅「【精鋭兵ポーン(B)】!!」
林音「【鉄騎兵ナイト(B)】!!」
カイ「【番人の塔ルーク(B)】!!」
ゼロの猛者たちが解き放ったのは、4体の巨大な化身!
空間を埋め尽くす5体の化身の圧迫感。死角から襲いかかる怒涛の化身アタックに、天馬、神童、剣城の3体は一瞬で包囲され、力ずくで叩き潰された。
天馬&神童&剣城「「「ぐあぁぁぁぁっ!?」」」
3人が吐血するかのように砂浜へ吹き飛ばされ、ボールは再び宙へ浮く。そこへ体制を整えた白竜が躍り出た。
白竜「終わりだ! [― ホワイトブレス ―]!!」
放たれる白銀の閃光。一直線に雷門ゴールへと迫る絶望の威力を前に、雷門ディフェンス陣が泥臭く止めに入る。
霧野「[ディープミスト・V2]!!」
狩屋「[ハンターズネット・S]!!」
天城「[ビバ!万里の長城・V4]!!」
霧野、狩屋、天城の3人が連動し、必殺ブロックの三重奏を極限まで展開。
削りに削られたシュートの軌道へ、最後の砦・三国が飛び出す。
三国「絶対に入れるかぁぁっ! [フェンス・オブ・ガイア・G4]!!」
大地の壁が立ちはだかり、ホワイトブレスを受け止める。……だが、それでもゼロの化身シュートは止まらない!
音を立てて大地の壁を砕き、三国を吹き飛ばしてゴールネットへ吸い込まれそうになる——その瞬間!
虎次朗&剣城「「だぁぁぁぁぁっ!!」」
ゴールの直前、決死のダッシュで飛び込んできた影がふたつ。虎次朗と剣城だ!
二人はタイミングを完璧にシンクロさせ、迫るボールへ同時に渾身のツインダイレクトキックを叩き込む!
ドガァァァァンッ!!
空間を激しい衝撃波が揺らし、ボールは間一髪のところでゴールラインを割り込む直前に真上へと弾き飛ばされた。
三国「助かったぞ剣城、虎次朗!」
虎次朗「はい……」
土壇場で3点目の失点を回避した雷門。
血と汗に塗れながらもゴールを守り切ったその姿に、鉄の檻の中の花帆たちは胸を強く打たれ、固唾をのんで見守っていた。
しかし、それを見た白竜の瞳に宿ったのは、称賛ではなく冷酷なまでの愉悦だった。
白竜「ふん……くだらん足あがきを。だが、それではまだ足りんな」
白竜が不敵に口の端を歪め、ゼロの面々に冷ややかに合図を送る。
白竜「雷門、貴様らの『本気』はその程度か? ……人はな、真の絶望と限界に追い込まれて初めて、底知れぬ力を発揮する。見せてみろ、貴様らの真の限界を!」
直後、スタジアムを支配したのはサッカーという名の凄惨な暴行だった。
ゼロのメンバーはパス回しと見せかけ、至近距離から雷門イレブンに向けて容赦なく弾丸のようなシュートやパスを打ち込み始めた。
ドガッ!! バカッ!!
狩屋「ぐあッ……!?」
影山「くぁぁぁっ!!」
死角から襲いかかる無慈悲な球弾。胸に、顔面に、腹部に、容赦なく激しい衝撃が叩きつけられる。
崩れ落ちる天馬。のたうち回る車田。足をもつれさせる錦。
白竜「もっと本気を出せよ! 逃げ惑うのが貴様らの本気か!?」
白竜の嘲笑が静寂のピッチに響きわたる。パスを通すのではない。
人間を標的にしたボールの乱打。
追い詰めて限界以上の力を引き出すという狂気の理屈のもと、雷門イレブンはただ一方的にボコボコに痛めつけられていく。
花帆「やめて……! もうやめてぇぇぇっ!!」
鉄の檻の中から、花帆の痛切な叫びが響き渡る。
朱里も小春も、涙を流しながら檻の鉄条網を強く握りしめていた。
自分たちを救うために傷つき、泥を舐めさせられている雷門の姿に、胸が引き裂かれそうだった。
ボロボロになりながらも、決して倒れきらずに立ち上がろうとする虎次朗や天馬たち。
その全身が泥と痣で塗れ、満身創痍となったその時——
虎次朗「っ!!」
虎次朗がアルテミスのメンバーと行った、あの死角から次々とボールが襲いかかるあの特訓がここで活きる事になった。
虎次朗は飛んできたボールをその特訓に見立て、背後から飛んできたボールを、バク宙で躱すと、地面に踏みつけて押さえつけ、トラップした。
ゼロ『なに!?』
白竜「ほう?」
そして、
虎次朗(檻までの距離。ここしかないっ!!)
虎次朗はグワーーッ!! と、右足を振り上げる。
だが、身体の向きがゼロのゴールではなく、花帆たちが閉じ込められている檻の方向に向いていた。
花帆「え?」
朱里「な、何を……」
虎次朗は足を振り下ろし、地面に足をこすりつけて反動をつけ、渾身の力で振り抜いた。
虎次朗「みんなーーーっ! 伏せろーーーっ!!!!」
ドゴオォオォオオッ!!
虎次朗の[雷獣シュート]が、アルテミスが閉じ込められている檻を強襲する。
花帆「っ! みんな伏せて!!」
急いで伏せるアルテミス。そして―――、
バゴオオオオンッ!!
花帆「きゃあっ!?」
すさまじい破壊音と共に、砂煙が立ち込める。―――そして、
牙山「ッ、バカな! 鉄の檻だぞ!?」
木っ端微塵のバラバラになった檻がそこにあった。
虎次朗の意図が伝わり、脱出するアルテミスのメンバーたち。
そしてここで、
ピッ、ピィイイイーーーッ!!!
― 前半終了!! ―
前半終了の笛が、狂気のスタジアムに鳴り響いた。
立ち上がることも容易ではない雷門イレブン。だが、アルテミスを救出できたことは救い。でも、ゼロの圧倒的な力に絶望が立ち込める中、ハーフタイムへと突入した。
雷門 0 ー 2 ゼロ
― つづく ―
花帆たちを救い出せたのはいいですが、勝てないと無意味になってしまいますからな。
頑張れ雷門!