イナイレGO1〜フィフスセクターぶちのめします!〜   作:松兄

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今日は最終決戦前の番外編です!

花帆たちを引き取ってからの虎次朗の朝になります!


番外編 虎次朗の朝

 

 

 ゴッドエデンという地獄から抜け出してきた11人の少女たち。

 身寄りのない彼女たちを虎次朗が雷門に引き取り、木枯らし荘へと連れてきたものの、中学生の虎次朗にのしかかったのは「11人の生きる糧をどう確保するか」という現実的で泥臭い壁だった

 

 早朝の冷え込む空気の中、自分の身を削ってでも彼女たちの日常を守ろうとする虎次朗の「大黒柱」としての決意と、それを知る大人たち。

 

 

 ――まだ街全体が深い群青色の闇に沈んでいる午前四時に、虎次朗のスマホのバイブレーションが小さく震え、アラームが鳴る。

 

 布団から跳ね起きた虎次朗は、上の部屋で眠る少女たちの邪魔をしないよう、息を殺して素早くジャージを着込む。

 足音を殺して玄関を開けると、外の冷たい朝気が顔を打った。

 

虎次朗(……よし、今日も始めるか)

 

 虎次朗の朝は早い。まず向かうのは、駅前の新聞販売店だ。

 

虎次朗「おはようございます、社長!」

 

社長「おう、虎次朗。今日も早いな。……あんまり無理すんなよ? 中学生が毎朝新聞配達なんて、本当ならオススメできないんだからな」

 

虎次朗「大丈夫です! 俺、体力だけはあるんで!」

 

 虎次朗が担ぐ鞄に、ぎっしりと積まれた朝刊。その重みは、そのまま木枯らし荘で待つ11人の生活の重みだった。

 まだ誰も起きていない静まり返った住宅街を、虎次朗はボールを蹴り、ドリブルしながらポストに朝刊を放り込んで駆け抜ける。

 

 

 ――午前五時半。新聞配達を終えた虎次朗が次に向かうのは、まだシャッターの下りた商店街の一角にある豆腐店だ。

 

虎次朗「大将、おはようございます! 清掃入ります!」

 

大将「おお、虎次朗くんかい。いつもすまないねぇ。裏の作業場、豆乳の仕込みが終わったから、床の洗浄と大豆のガラ片付け頼むよ」

 

虎次朗「了解です!」

 

 デッキブラシを握り締め、冷たい水を勢いよく撒いて作業場の床を磨き上げる。豆腐屋の朝は早い。出来立ての湯気が立ち上る中、汗と水しぶきに塗れながら黙々とブラシを動かす。

 

大将「……虎次朗くん、これ持ってきな。今朝揚がったばかりの油揚げと、出来立てのお豆腐だ。みんなで食べな」

 

虎次朗「えっ、いいんですか!?」

 

大将「いいのいいの。中学生が女の子11人も養うなんて並大抵のことじゃないんだ。商店街の大人を少しは頼りなさい」

 

虎次朗「……ありがとうございます!」

 

 ――午前六時十五分。次は八百屋へ。トラックから次々と降ろされる重いキャベツや大根の段ボール箱。

 

 それを二箱、三箱と積み重ねて店先へ運ぶ。虎次朗が鍛え上げたフィジカルは、ここでは最高の戦力だった。

 

虎次朗「よっと……! これで最後の箱です!」

 

店主「助かったよ虎次朗! ほら、これは規格外で売れないやつだけど、味は変わらねぇから持ってけ! 大根に人参、キャベツだ!」

 

虎次朗「助かりますっ……!」

 

 

 ―――午前七時前。朝空がうっすらと白み始める頃、両手いっぱいにお裾分けの豆腐や野菜を抱えた虎次朗が、息を切らしながら木枯らし荘へ戻ってくる。

 

 玄関の前に立っていたのは、管理人の秋さんだった。

 

虎次朗「……あ、秋さん。おはようございます」

 

 虎次朗は少し気まずそうに、抱えた段ボールで顔を隠そうとする。

 

秋「虎次朗くん……また、四時から動いてたのね」

 

 秋の目には、優しさと、そしてどこか切ない痛みが宿っていた。

 

秋「新聞配達に、豆腐屋さんの清掃、八百屋さんのお手伝い……。中学生がアルバイトを掛け持ちするなんて、身体が持たないわ。お金のことは、もっと大人を頼っていいのよ?」

 

 虎次朗は一瞬、言葉に詰まった。だがすぐに、いつもの不器用で真っ直ぐな瞳で秋を見つめ返した。

 

虎次朗「……秋さん。俺がゴッドエデンからあいつらを引っ張り出してきたんです。あいつらは、大人や組織に『道具』として利用されて、自分の居場所すら持てなかった。……だったら、俺が啖呵切って引き取ったんだから、あいつらが安心してメシ食って、学校通って、サッカーできる環境を作るのは、俺の義務です」

 

秋「虎次朗くん……」

 

虎次朗「それに……」

 

 虎次朗は手元の大根や豆腐を見て、ふっと照れくさそうに笑った。

 

虎次朗「商店街のおじさんたち、みんな優しくて。汗流して働いて、こうやってみんなの飯の足しになるものを貰えるの、なんか……悪くないっすよ。俺、小学生の頃から大黒柱ですから」

 

 そう言って胸を張る虎次朗の背中には、中学生とは思えないほどの男気と、大切な家族を守るための覚悟が滲み出ていた。秋は思わず目頭を熱くしながら、虎次朗の頭を優しく撫でた。

 

秋「……本当に、カッコいい大黒柱ね。でも、朝ごはんはちゃんと食べなさい。それと、みんなには内緒にしておいてあげるから……無理だけは絶対にダメよ?」

 

虎次朗「はい! ありがとうございます!」

 

 

 ―――午前七時半。木枯らし荘の食堂には、焼き立ての油揚げの匂いと、大根がたっぷり入った味噌汁の湯気が満ちていた。

 

花帆「わぁっ! 今日の朝ごはんですっごく豪華じゃない!?」

 

 花帆が目を輝かせながら食卓に付く。

 

美咲「このお豆腐、すごくおいしい……! 秋さん、これどうしたの?」

 

 美咲が嬉しそうに頬を緩める。

 

 秋は台所からチラリと虎次朗を見やり、温かい笑みを浮かべた。

 

秋「ふふ、商店街のみなさんがね、『女の子たちに食べさせてあげて』ってプレゼントしてくれたのよ」

 

美月「えーっ! 商店街の人たち、めちゃくちゃ優しいね!」

 

飛鳥「アタシ、もっとこの街が好きになっちゃった!」

 

小春「…………」モグモグ

 

 だが―――、

 

朱里&優里((そんな事あるかな……?))モグモグ

 

 大はしゃぎしながらご飯を口に運ぶ花帆や美咲、飛鳥たち。

 

 それとは対照的に、疑問に思ってるような表情を浮かべながら食べる朱里と優里。

 

 そして、食卓の端で、少し眠そうにしながらも、嬉しそうに白飯を口に運ぶ虎次朗。

 

 自分の手と足、そして汗で勝ち取った「みんなの笑顔と日常」。

 少女たちが美味そうにご飯を食べるその光景こそが、早朝から泥臭く働き詰めた虎次朗にとって、何よりの報酬であり、ストイックな活力源だった。

 

虎次朗(……俺が絶対に、お前らの居場所を守り続けてやるからな)

 

 心の中で静かに誓いながら、虎次朗は味噌汁を飲み干すのだった。

 

 

― つづく ―




どうでしたかね?

【アルテミス】の少女たちにて、画像あります。女の子たちの中で誰が気になりますか?

  • 相澤花帆
  • 加山美咲
  • 古谷飛鳥
  • 平沢小春
  • 葉山朱里
  • 剣崎優里
  • 司馬麗奈
  • 八神恵梨香
  • 葛城美月
  • 木島歩美
  • 城戸桜
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