胸いっぱいの幸福感。だがそれと同時に、俺の脳裏には冷徹な現実が突きつけられていた。
俺はブルーニトロの肉体に転生した。だけど、まだ転生してからの日は浅い。狩りに出かけることはあるが…HMPを建てたからか、大工としての仕事をすることが多いせいで、戦い方を満足に知らない俺の戦闘技術は、あの冷酷なアトムたちの足元にも及ばない。もし今あいつらに見つかったら、この幸せなんて一瞬で粉々にされてしまう。
――絶対に、それだけは嫌だ。もっと強くなって、カカさんを完璧に守れるようにならなきゃ駄目なんだ。 腹の底から湧き上がるような強い執念を抱きながら外へと踏み出す。
グルメ界の素材で隠されたこの家は、外からは一切視認できない。一歩外に出れば、そこはいつも通りの景色が広がっている。
そして門のすぐ外では、すでにこちらを待っていた兄弟子が、腕を組んでにやにやと笑っていた。一龍兄さんだ。
「おいおい二鳥、朝からご馳走様だなぁ? ここまで熱気が伝わってきそうだったぞ?」
俺が話しかけるより前に、一龍兄さんから盛大に茶化されてしまった。やっぱり全部見られていたらしい。
「一龍兄さん、からかわないでくれ……」
苦笑いしつつも、俺はすぐに表情を引き締めた。今の俺は隣に立つ一龍兄さんに比べても遥かに格下だ。一龍兄さんの纏う底知れない威圧感に気圧されそうになりながらも、俺は一歩前に踏み出す。
「一龍兄さん。……お願いがあるんだ。俺の修行に、付き合ってくれないか?」
俺の真剣な、どこか必死さの混じった眼差しに、一龍兄さんは一瞬だけ驚いたように目を見張った。だが、すぐにいつもの豪快な笑みを浮かべ、首を横に振る。
「ははっ、そいつは頼もしいが……断る! 俺はまだまだ未熟者だからな。お前に稽古をつけられるほど、今の俺は上等な強さを持っちゃいねえよ」
「えっ……」
自分の未熟さを見透かされたようで、少しだけ胸がキリリと痛む。だけど、一龍兄さんは俺の肩をガシッと力強く掴み、白い歯を見せて笑った。
「だがよ! アカシア様の元で、一緒に死ぬ気で強くなるってんなら大歓迎だ! ちょうどこれから、アカシア様から直々の修行をつけてもらうところだったんだ。二鳥、お前も来い。一緒に、誰にも負けねえくらい強くなろうぜ!」
一龍兄さんの真っ直ぐな言葉が、焦る俺の胸に熱く響く。 そうだ。今はまだ、他のブルーニトロにも、一龍兄さんにも遥かに及ばない。だけど、大工として地道に基礎を積み上げていくように、ここから死ぬ気で強くなればいい。
この頼れる兄貴分や、まだあどけない二郎、そして何より愛するカカさんのために。
「――うん、行くよ、一龍兄さん。俺、もっと強くなる」
俺は力強く頷き、一龍兄さんと共にアカシア様の元へと走り出した。振り返ることはしない。この背中には、昨日建てたばかりの、世界で一番温かい俺たちの聖域が、確かに存在しているのだから。
◆
アカシア様の元での修行は、想像を絶する地獄だった。
特に、この時期のグルメ界での『サバイバル』は、ただ生き延びること自体が奇跡に近い。数分おきに激変する天候。降れば肉を溶かす酸性雨、足元から吹き出す数千度の熱風。
そして何より、生息する猛獣たちの狂暴さは、前世の常識なんて一瞬で消し飛ばすほどだった。
「――っ、二鳥! 右だ!」
「分かってる……!」
一龍兄さんの鋭い声に反応し、俺は本能的に身体を翻す。直後、さっきまで俺がいた地面が、巨大な牙を持つ猛獣――「ナンデモアリジゴク」の顎によって、轟音と共に爆砕された。
ブルーニトロの肉体に転生したおかげで、俺の身体能力や五感のスペック自体は凄まじく高い。だけど、それを実戦で活かす『戦闘技術』が圧倒的に足りていなかった。
一龍兄さんは、そんな未熟な俺を庇いながらも、圧倒的な覇気と流れるような動きで猛獣を翻弄している。現在の実力差は、天と地ほどもあった。
「はぁ、はぁ……クソ、また足引っ張った……!」
自分の不甲斐なさに歯噛みする。ブルーニトロのスペックがありながら、人間の、それもまだ年若い一龍兄さんに助けられてばかりいる事実が、情けなくて仕方がなかった。
だがこの程度で折れたら…原作の未来を辿る可能性が高くなる…!
(……絶対に、それだけは嫌だ)
恐怖と焦燥が混ざり合った感情が、俺の腹の底でドロリとした『執念』に変わる。前世の過酷な生活の中で、俺は何も持っていなかった。
だからこそ、今手の中にある幸せだけは、例えブルーニトロだろうが、誰にも渡さない!
「一龍兄さん、下がっててくれ……! 次は、俺がやる!」
俺は叫び、手元にある強固な大工道具――この過酷な環境の木々を削るために鍛え上げたノミを具現化し、強く握り締めた。ブルーニトロのような料理人の包丁さばきは真似できなくても、俺には体に染み付いた『大工の技術』がある。
巨木の繊維を見極めるように、猛獣の筋肉の動き、骨の継ぎ目を凝視する。
「そこだ……っ!」
肉体の出力を限界まで引き出し、猛獣の懐へと踏み込む。牙の強烈な一撃が俺の肩を掠め、青い皮膚が裂けて鮮血が舞った。
激痛が走るが、そんなものは意識の端に追いやる。 狙うのは一点。猛獣の巨体を支える骨格の『継ぎ目』――建築で言えば、構造を支える最大の要だ。
「ノミ・インパクト!」
ドンッと、大気を割るような衝撃音が響く。 俺の放った魂身の一撃は、猛獣の最も脆弱な一点を正確に貫き、その巨躯を内側から崩壊させた。
「……どうだ…?」
ズゥン、と地響きを立てて倒れる「ナンデモアリジゴク」を見届けた瞬間、全身の力が抜けて膝をつく。肩の傷は深く、息は絶え絶えだった。
そんな俺の元へ、一龍兄さんが驚いたような、どこか感心したような顔で駆け寄ってくる。
「へぇ……大したもんだ。今の一撃、力任せじゃねえな。猛獣の構造の弱点を一瞬で見抜きやがった。さすがは大工版ブルーニトロってところか?」
「はは……からかわないでくれよ。ボロボロだ……」
「いや、冗談じゃねえさ。お前のその執念、近くにいる俺まで肌がピリつくぜ」
一龍兄さんは俺の無事な方の肩をぽんと叩き、遠くの空を見つめた。
「よし、今日のノルマはここまでだ。アカシア様への報告に戻るぞ。二鳥、お前……早く帰りたい場所があるんだろ?」
「うん。……カカさんが、待ってるから」
傷口はズキズキと痛むし、身体は疲弊しきっている。だけど、心だけは不思議と軽かった。
転生初日に、俺は王陸鮫に勝った。でもそれは、小柄な俺と巨大な王陸鮫の相性が良かったからに過ぎない。後はアドレナリンによる覚醒だな。
何度も言うが、俺は一龍兄さんよりも、他のブルーニトロよりも遥かに格下だ。金の調理器具も持っていないし、持っていてもそれを扱う技術もない。
だけど、今日の一歩は確実に強さへと繋がっている。 このグルメ界の地獄のようなサバイバルを生き抜き、俺は必ず、カカさんを完璧に守れる本物の強さを手にしてみせる。
迫る夜の気配を感じながら、俺は一龍兄さんと共に帰路へとついた。
◆
一龍兄さんとはアカシア様の家の手前で別れた。今日の熾烈なサバイバルの報告と、これからの課題についてアカシア様と直接話し合うためだ。
「二鳥、お前は早くカカさんのところへ帰ってやれ。傷の手当て、しっかりな」
そう言って手を振る一龍兄さんに背を向け、俺は薄暗くなり始めた荒野を急いだ。
新居の敷地へと足を踏み入れる。世界から完全に隠匿されたその境界線を越えた瞬間、それまで肌を刺していた不穏な気配が嘘のように消え去り、我が家の温かい光が視界に飛び込んできた。
玄関の引き戸を開けると、香ばしい出汁の匂いと一緒に、パタパタと小走りで駆け寄ってくる足音が聞こえる。
「お、お帰りなさいませ、二鳥さん……!」
出迎えてくれたカカさんは、朝のキスの余韻がまだ残っているのか、少しはにかむように微笑んでいた。そして、頭のターバンを外し、綺麗なストレートヘアを晒していた。
原作では見れない、俺だけが見ることが出来るという優越感に浸っていると、どこか落ち着かない様子でもじもじと指先を合わせながら、上目遣いで俺を見上げてくる。
「その……またチチから余計な入れ知恵をされたと言いますか、これも俗世の悪習というか、定番の戯言らしいのですが……。つまるところ、その、お帰りの際の挨拶としてですね、お風呂にしますか? それともお食事にしますか? ……それとも、わ、わたし……っ」
そこまで言って、カカさんは自分の言葉の破壊力に耐えかねたように、顔をご帰宅早々真っ赤に染めて茹だり始めた。一生懸命に「恋人」を演じようと長話を交えて頑張ってくれた姿が、たまらなく愛おしい。
「あはは、カカさん、それ――」
「――って、二鳥さん!? そのお怪我は一体どうされたのですか……!?」
俺が茶化そうとした瞬間、カカさんの表情が驚愕と深い悲痛の色に染まった。衣服は猛獣の爪でボロボロに引き裂かれ、露出した青い皮膚には生々しい血痕がこびりついている。一龍兄さんとのサバイバルの壮絶さが、一目で伝わってしまったのだ。
「大変です、今すぐ治療の準備を……! 薬草を煎じた特製の軟膏と、細胞の活性化を促す包帯をですね、あ、いえ、まずは傷口の洗浄をしなければ感染症の危険性が、それと骨に異常はないですか!?」
完全にパニックに陥りながら、ものすごい勢いで救急箱を取りに走ろうとするカカさん。俺は慌てて、その細い手首を優しく掴んで引き留めた。
「カカさん、落ち着いて。大丈夫だから。ほら、見て」
「え……? ですが、そんなに血が……」
カカさんが涙目のまま、俺の引き裂かれた肩に視線を落とす。 そこでは、『ブルーニトロ』の肉体が持つ、規格外の超再生能力がすでに働いていた。
さっきまで流れていた血は完全に止まり、裂けた皮膚の端と端が、生き物のように蠢きながら現在進行形で少しずつくっつき始めている。肉が盛り上がり、傷口がみるみるうちに塞がっていく様子は、まさに人間のそれとはかけ離れた異形のものだった。
「……あ」
カカさんは呆然とそれを見つめ、小さな声を漏らした。 自分の肉体がどれほど人間離れしているか、そしてどれほど不気味な存在であるか。自分で見ても少し恐ろしくなるその再生現象を、カカさんはただ静かに、愛おしそうに見つめていた。
「驚かせてごめん。ブルーニトロの身体って、本当に頑丈みたいでさ……。だから、心配いらないよ」
俺が少し自嘲気味に微笑むと、カカさんはそっと、塞がりかけの俺の肩に温かい手を重ねてくれた。
「……驚きはしましたが、不気味などとは微塵も思いません。むしろ……これほど早く治ってくれて、本当に良かったです。二鳥さんが痛い思いをする時間が、少しでも短くなるのですから」
カカさんは優しく微笑み、そのまま俺の胸へとそっと体を預けてきた。
「ですが、いくら肉体がすぐに治るとしても、二鳥さんの心が受ける恐怖や疲労は消えません。……今夜は、私がたくさんお話をします。二鳥さんが安心して眠れるまで、いくらでも」
胸に伝わるカカさんの体温と、相変わらず少しだけ不器用で優しい言葉。 前世の冷たい孤独なんて、この温もりの前には一瞬で溶けていく。
「ありがとう、カカさん」
俺は腕の中の愛しい人の髪を優しく撫でながら、ふと思いついた悪戯心に口元を緩めた。
「……それじゃあ、お風呂の後にカカさんをって思ったけど、今朝みたいにまた混浴でもする? あの『興奮を高めて子どもを産むための検証実験』の続き、やっちゃう?」
俺の言葉に、カカさんの身体がピクンと跳ねた。カカさんは一瞬で顔を真っ赤に染め、俺の胸に顔を埋めたまま、ポカポカと小さな拳で叩いてきた。
「な、何を仰るのですか二鳥さん……っ! あれはあくまで生物学的な見地、および味仙人としての学術的な探求心に基づいた純然たる仮説であってですね、決して破廉恥な意図があったわけでは――」
そう言って慌てて弁明しようとしていたカカさんだったがこれまた愛おしい。だから俺は少しだけ意地悪く口元を尖らせて今朝のことを蒸し返すことにした。
「……そうはいってもカカさん。今朝、最初に『……二鳥さんも、一緒に入ってください』と、混浴に誘ってきたのはカカさんのほうですよ? 俺はただ、カカさんの素敵なご提案に対して、検証実験という有意義な大義名分にお応えしただけに過ぎないのですが……?」
「うぅっ……」
カカさんが一本取られたという顔をしている。俺はそれを見て満足し、ふっと柔らかく自然と微笑んだ。そしてカカさんが俺のボロボロの服の裾をぎゅっと握りしめ、今にも消え入りそうな、だけど確かに熱を帯びた声で呟く。
「……二鳥さんがそう望まれるのでしたら。……その、実験の続き、喜んでお受けいたします……」
赤くなった羽毛を全部隠すように俯くカカさんが、愛おしくてたまらなくなる。 前世でどんなに辛い生活を送っていようが、今、この人が俺の腕の中にいて、俺を求めてくれている。その事実だけで、俺の胸はちぎれそうなくらいの幸福感で満たされていく。
「……うん。じゃあ、いこうか。カカさん」
俺はカカさんの小さな手をしっかりと握り直し、二人で建てた最高の新居の奥へと、一歩を踏み出した。今日受けたどんな傷よりも、今夜の実験のほうが、俺の細胞を何倍も激しく高揚させているのを自覚しながら。
◆
混浴風呂を終え、しっかりと身体の芯まで温まった俺たちは、新居の広々としたリビングへと戻ってきた。 台所から漂う香ばしく深い出汁の匂いに、今日の過酷な修行で減りきったお腹がぐう、と音を鳴らす。
カカさんが大きなお皿をいくつも抱えて戻ってくると、テーブルの上には、希少な食材を使った、見るからに滋養に富んだスープや肉料理がずらりと並べられた。
「おお…美味しそうだ……! ありがと、カカさん。早速いただくよ」
腹を空かせた俺が、待ちきれないとばかりに早速箸を伸ばそうとした――その時だったが…カカさんが、小さく綺麗に切り分けられたお肉を箸でふわりと持ち上げ、当然のような顔で俺の目の前へと差し出してきたのだ。
「はい、二鳥さん。……あ〜んです」
その顔は、先ほどのお風呂場での初々しい恥ずかしがりようとは打って変わって、どこか堂々としていて落ち着いている。
そう、お風呂での『実験』や朝のキスはまだ初々しくて赤くなってしまうカカさんだったが、この『あ〜ん』に関してだけは、もうすっかり慣れた様子で、少し得意げにすら見える。
「えっ……あ〜…うん……あ〜ん」
カカさんは慣れていても、急にやられる俺のほうはやっぱり少し照れてしまう。今朝で慣れたつもりなんだがなぁ…。
それでも、俺のために一生懸命作ってくれたカカさんの誠実な好意を無駄にしたくなくて、少し頬を染めながら、差し出されたお肉をしっかりと口に含んだ。
噛み締めた瞬間、肉の旨味がじゅわりと口いっぱいに広がり、カカさん特製の味付けが絶妙に絡み合う。
「――っ、美味い……! 疲れが一気に吹き飛ぶよ」
「ふふ、良かったです。では次はこちらのお野菜ですね。はい、二鳥さん、あ〜ん」
嬉しそうに微笑んだカカさんは、今度は野菜炒めを摘んで、またしても迷いのない綺麗な動作で俺の口元へと運んでくる。
「あ〜ん……うん、こっちも最高です」
「この野菜はですね、細胞の修復速度をさらに高める成分が含まれておりまして、二鳥さんのような素晴らしい肉体の基礎代謝をサポートするにはまさにうってつけの――」
俺がしっかりと食べるのを見届けながら、カカさんの口から滑らかに料理の解説が飛び出し始める。これからこれが俺たちの定番の食事風景になるのだろう。
照れくささはあるけれど、カカさんがこうして慣れた様子で俺に寄り添い、俺の口に美味しい料理を運んでくれる時間が、たまらなく愛おしい。前世の冷たい孤独な生活では想像もできなかった、これ以上ない温かい幸せがここにある。
「カカさん、本当に美味しいよ。……じゃあ次は、俺からもカカさんにあ〜ん、させて?」
「えっ……? あ、それは、その……」
俺が箸を受け取ってそう提案すると、さっきまで慣れた様子でリードしていたカカさんが、一瞬でまた真っ赤にして戸惑い始めた。そんな彼女のギャップを見つめながら、俺たちの新居の夜は、優しく賑やかに更けていくのだった。
◆
幸せな夕食の時間を終え、食器を片付けた後、俺たちは寝室へと移動した。 新居の寝室は、俺が大工としてのこだわりを詰め込んで、カカさんが一番リラックスできるようにと静かで温かみのある空間に仕上げた場所だ。
ベッドに腰を下ろすと、カカさんが少し居住まいを正し、真剣な眼差しで俺を見つめてきた。その顔は少し紅潮しているものの、今朝の宣言通り、どこか強い決意を秘めている。
「二鳥さん。夕食による栄養摂取と代謝の補完も完了いたしました。それでは、今朝強気に宣言いたしました通り、これより『検証実験』の続きを行いましょう」
カカさんから真っ直ぐにそう言われ、俺は少し照れくささに頭を掻きながらも、敢えてこの言葉を口にしてみた。
「カカさん。この実験、昨日から始めて今日でまだ二日目だけど……これからもずっと、毎日続けるの?」
俺がそう尋ねると、カカさんはフンスと鼻を鳴らすようにして、味仙人として、そして一人の研究者としてのプライドを覗かせるように強気に胸を張った。
「当たり前です、二鳥さん! ブルーニトロとレッドニトロの間における繁殖の可能性など、これまでの歴史において前例のない未知の領域なのです! このような壮大かつ複雑な事象の検証実験には、膨大な時間と、それから数え切れないほどの反復回数が掛かるものなのですよ! ですから、途中で妥協するなど論外。当然、明日も明後日も、毎日欠かさず継続してデータを積み重ねていかなければなりません!」
詳細すぎる解説を交えながら、一気に捲し立てるカカさん。 でも、その強気な言葉の裏にある、俺に対するまっすぐな愛情と、「俺との子どもが欲しい」という健気な本音が透けて見えて、愛おしさが限界突破しそうになる。
今、この頑強で温かい新居の中で、カカさんがこんなにも俺との未来を真剣に、そして熱烈に望んでくれている。その事実が、俺の腹の底にある「この幸せを絶対に手放さない」という執念を、より一層強く、確かなものへと変えていく。
「……うん、分かったよ、カカさん。未知の領域の実験だもんな。膨大な時間も反復回数も、俺、いくらでも付き合うよ」
俺が優しく微笑みながらカカさんの手を包み込むと、さっきまで強気だったカカさんは、急に言葉を失って嬉しそうに目を潤ませた。
「はい……! よろしくお願いいたします、二鳥さん……っ」
こうして、俺たちの新居の寝室で、二日目の『検証実験』がゆっくりと、だけど確実に熱を帯びながら始まっていくのだった。
すんません。作者が我慢出来ませんでした。もはや恋愛パートの方が長いな…
皆さんはどっちだと思います?二鳥は…
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攻め?
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受け?