本格的な修行に入ってから、早いもので丸1年が経過した。 この1年、俺は己の『怒り』をコントロールする術を学び、職人としての精密な『解体・建築技術』をブルーニトロの肉体を用いた戦闘技術へと昇華させてきた。
そんな中、今日はアカシア様から「たまには息抜きも必要だ」と言われ、本当に久しぶりに修行を休むことになった。
俺はいつもの服を身に纏い、かつて前世で人間だった頃を思い出すような、賑やかな人間の人里へと足を運んでいた。
「カカさん、これ喜んでくれるかな……」
露店に並ぶ珍しい木工品や、カカさんが好きそうな食材、そしてアカシア様達と次郎へのお土産を選びながら、俺はごく普通の人間のように買い物を楽しんでいた。
二鳥はまだ、ブルーニトロたちに監視されていることには気づいていない。だが、己の所属やこの肉体を考えれば、「いつ奴らに監視されていてもおかしくはない」という風には常に頭の片隅で考えていた。
だからこそ、人里にいる今も、彼らの脅威からカカさんたちを絶対に守り抜くという『執念』と理性は、常に冷徹に研ぎ澄まされている。
――そして実際、その二鳥の懸念通り、人里の喧騒に紛れて、ペアやアトムたちブルーニトロは遠目から二鳥の動向をじっと観察していた。二鳥は奴らがどこにいるかは察知できている訳ではないが、視られている気配だけは感じ取っていた。
『……おい、見ろ。あの名無しの個体を』
アトムが冷酷な視線を送りながら、呆れたように鼻で笑う。
『ブルーニトロの肉体を持ちながら、シルクハットなどという人間の衣服を嬉々として着込み、下等な人間どもに混じって端金を払い、買い物を楽しんでいる。あんな無駄な布切れや木屑を集めて何になるというのだ』
『フン、完全に中身は下等な人間だな。アカシアが言っていたことは本当だったというわけだ』
ペアもまた、感情の失せた目で二鳥の姿を見下ろしていた。 彼らにとって、ブルーニトロとは星を調理する至高の存在。それに対し、目の前の二鳥はただ人間のように笑い、人間のように生活を営んでいる、あまりにも矮小で純朴な存在にしか見えなかった。
数億年を生き、GODの調理やネオの復活という壮大な計画の忙しさに追われる彼らにとって、この「中身がただの人間で、実力も遥かに格下の大工崩れ」は、もはや時間を割いて警戒する価値すら見出せない。
『監視はもう不要だな。これ以上、あの家畜の真似事をする男に付き合うのは時間の無駄だ。我々の計画に何の影響も与えん』
彼らはそう結論づけ、二鳥を「もはや警戒に値しない無害な存在」だと完全に決めつけた。そして、これ以降、二鳥を監視することを完全にやめてしまった。
「――ふふふ…」
買い物を終え、人里の外へと歩きながら、二鳥は帽子の端を少しだけ指で押し上げた。 監視の気配が完全に消え去った、いつものグルメ界へと続く荒野の入り口。
二鳥は勝手に油断して、勝手に見くびって目を逸らしてくれたであろうまだ見ぬ同族たちの存在を心のどこかで予測しながら、静かに口元を歪めた。
人里で普通に過ごして見せた姿が、結果として最高の隠れ蓑になったのだ。両手いっぱいの買い物袋を抱え、二鳥は愛する者の待つ、世界から隠された最高の我が家へと歩みを進める。
今夜もきっと強気に「検証実験を継続します!」と捲し立ててくれる愛しい恋人の笑顔を思い浮かべながら、二鳥はコートを翻して、足取り軽く走り出した。
◆
人里で買ってきたお土産の大半は、アカシア様たちのもの、特に次郎のための菓子が多かった。
なぜなら、我が家で待つカカさんが欲しがるようなものは、普通の人里にはあまりないからだ。
調理器具に関して言えば、味仙人である彼女はすでに自身で愛用している最高級のものを一通り持っているため、今更買い足す必要はどこにもない。
ならば、俺はカカさんに一体何を買ってきたのか――? それは家に帰ってからのお楽しみ、というやつだ。
人里を離れた俺は、新居へ戻る前にまずアカシア様の研究所へと足を運んでいた。
静まり返った室内で、俺は帽子を脱ぎ、目の前に立つアカシア様を見つめる。
「おかえり、二鳥。人里の息抜きは楽しめたかい?」
穏やかに微笑むアカシア様に向かって、俺は衣服に染み付いた風を感じながら、静かに口を開いた。周囲の気配をブルーニトロの五感で限界まで探っても、そこにはこれまで僅かに張り付いていた「外からの視線」が完全に消失している。
「ええ、楽しめましたよ、アカシア様。……それと、確信しました。俺を見張っていた気配が、完全に消えました」
俺の報告に、アカシア様は驚く風もなく、ただ深く頷いた。俺はコートの襟元に触れながら、この計画を裏で支えてくれた師の意図を察し、言葉を続ける。
「こうなることを予測して、俺にわざわざ『休み』を取らせたんですよね? ブルーニトロの肉体を持った俺が、シルクハットを被って人間臭く買い物をしてる姿をあいつらに目視で見せつければ、勝手に油断して、勝手に見くびって監視の目を逸らす……そこまで計算して、あの日を休みにした」
俺の問いかけに、アカシア様はふっと口元を歪め、満足そうに肯定した。
「その通りだよ、二鳥。彼らは合理的で、かつ傲慢だ。数億年も星を調理してきたプライドがある。だからこそ、『中身が下等な人間で、実力も格下の大工崩れが、人里で無駄な買い物を楽しんでいる』という滑稽な姿を目にすれば、それ以上時間を割いて警戒する価値はないと判断する。君のその『人間としての誠実な気質』そのものが、あいつらの目を欺く最高の隠れ蓑になるのさ」
アカシア様の冷徹かつ完璧な策略に、俺は改めて感服すると同時に、背筋が引き締まるのを感じた。ブルーニトロたちが俺への興味を完全に失った今、このグルメ界で俺たちが自由に動ける空白期間が生まれたのだ。
「あいつらが油断して目を逸らしてくれた。これで次の段階へ進めますね、アカシア様」
「ああ。二鳥、君の『大工としての技術』とブルーニトロの肉体の融合は、この1年で目覚ましい域に達した。だが、カカさんとの幸せな未来を完全に我が物にするためには、もう一段階上の領域へ踏み込む必要がある」
アカシア様は、世界の命運を握るフルコースの調理、そしてその裏で動く計画の核心を見据え、真剣な眼差しを俺に注いだ。
「明日からは一龍とのサバイバルに加え、私から直接、特殊な戦闘訓練を開始する。…ついて来られるかい?」
「――望むところです」
俺は深く帽子を被り直し、不敵に笑ってみせた。 あいつらが俺を家畜と見下し、計画の端数だと侮っている間に、俺はあいつらの未来を土台から叩き壊す準備を完成させる。
「まずは……家に帰って、カカさんにこれを渡してから、明日死ぬ気で挑みますよ。それと、こっちはアカシア様達へのお土産と次郎のお菓子です」
「ありがたく受け取っておくよ、二鳥」
次なる戦いへの決意を胸に秘め、俺はアカシア様と静かに視線を交わした後、愛しい我が家へと、力強く足を踏み出すのだった。
◆
アカシア様の研究所を後にした俺は、荒野を抜け、我が家の境界線を越えた。一歩踏み入ればそこはグルメ界のいかなる脅威も届かない、木の温もりに満ちた俺たちの聖域だ。
帽子に軽く手をかけ、玄関の引き戸を開ける。
「ただいま、カカさ――」
声をかけようとした、その瞬間だった。 出迎えにきてくれたカカさんが、何も言わずにすっと俺の胸元に飛び込んできた。驚く暇もなく、視界が彼女の特徴的な髪で埋まり、柔らかな唇が俺の唇へとまっすぐに重ねられる。
混浴の湯気の中で恥ずかしがっていた頃の初々しさはどこへやら、この1年という歳月の中で、カカさんのスキンシップはどんどん情熱的に、そして激しくなっていた。
『検証実験』を重ねるたびに、俺への愛と「子どもが欲しい」という強い本能が、彼女の行動を大胆に変えさせていったのだろう。不意を突かれた俺の脳裏が甘い熱に侵され、コートの袖がかすかに揺れる。
じっくりと時間をかけた、深くて甘い抱擁とキス。ようやく名残惜しそうに唇が離れると、カカさんは至近距離でその瞳を潤ませ、嬉しそうに胸を弾ませながら、改めて言葉を紡いだ。
「お帰りなさいませ、二鳥さん。……ふふ、今日はお仕事がお休みでしたので、二鳥さんの『食欲』と私の『細胞の興奮』を帰宅の瞬間から最高潮に高めるための、純然たるアプローチを行わせていただきました」
朝のキスの時にはチチに教えられただのなんだの言って長話をしていたカカさんが、今ではこんな風に微笑みながら堂々と愛を伝えてくれる。
その愛らしい変化がたまらなくて、俺は帽子を外しながら、カカさんの頭を愛おしそうに撫でた。
「ただいま、カカさん。いきなりでびっくりしたけど……すごく嬉しかったよ」
「二鳥さんに喜んでいただけるのが、実験のデータとしても、私の心としても一番ですから。……あ、ところで二鳥さん」
ふと、カカさんの視線が、俺が抱えていた買い物袋へと向けられた。
「そちらの袋は一体……? 人里へ息抜きに行かれるとは伺っていましたが、袋の中から微かに漂う匂いと、この特異な形状の包みを見るに、これはもしや……」
袋に気付いた瞬間、カカさんの説明好きな本能が刺激されたのか、早くも観察眼を光らせて長話の助走を始めようとしている。
この袋には、人里の普通のお店には売っていない、俺がカカさんのためだけに用意した『特別なお楽しみ』が隠されている。
「あはは、カカさん、そんなに焦らなくても全部見せてあげるよ。……カカさんのための特別なものも、ちゃんと買ってきたんだ」
俺の言葉に、カカさんは「私への、ですか……?」と嬉しそうに目を丸くする。 1年かけてブルーニトロたちの監視の目を完璧に欺き、さらに強固になった俺たちの幸せな時間。
その特別なお土産を披露するべく、俺はカカさんと並んでテーブルの前へと腰を下ろした。
俺はテーブルの上に買い物袋を置き、カカさんの期待に満ちた視線を浴びながら、ゆっくりとその紐を解いた。
「まず、これ」
袋の奥から最初に取り出したのは、艶やかな漆塗りが施された、髪を梳かすための最高級の櫛だった。職人の目で見ても、木目の密度や歯の均一さが素晴らしい逸品だ。
「カカさん、家にいる時はいつも頭のターバンを外して、あの綺麗なストレートヘアを見せてくれるだろ? だから、これでカカさんの綺麗な髪を、もっと綺麗にしてあげたくてさ」
「二鳥さん……」
カカさんは信じられないものを見るように、両手でそっと口元を覆った。彼女の綺麗な髪型を独り占めしている優越感は、俺だけの特権だ。その髪を自分の手で整えてあげたいという言葉に、カカさんの瞳がじわりと潤む。
「それから、次。……はい、これ」
続いて袋から取り出したのは、しっとりとした上質な生地で仕立てられた、黒のフレアワンピースだった。
「カカさんって、いつもの服の予備しか持っていないだろ? だから、こういう綺麗な服を一枚、渡してあげたいなと思ってさ。……カカさんは元が凄く綺麗なんだから、これ、絶対に似合うよ」
「き、綺麗だなんて、そんな……っ。私はただの味仙人で、このような俗世の華美な装飾はですね、本来の細胞の活性化には直接関係がないと言いますか、その、ですが、二鳥さんがそう仰ってくださるのなら、これ以上に名誉な検証データは存在せず……」
あまりの恥ずかしさと嬉しさに、カカさんはいつもの長話の癖を発動させながら、顔を真っ赤にしてワンピースを愛おしそうに胸に抱きしめた。照れて捲し立てる彼女の姿が、本当に可愛い。
だが、俺が用意したお土産は、これで終わりじゃなかった。 俺は袋の底から、一番小さな、丁寧に包まれた木箱を取り出した。カカさんの視線が、その小さな箱に釘付けになる。
「最後に……これ。一番渡したかったものなんだ」
パカ、と静かに蓋を開けると、そこには優しく光を反射する、シンプルで美しいシルバーの指輪が二つ、並んで収まっていた。今までの生活の中で、カカさんの指のサイズを完璧に見極め、密かに用意していたお揃いの指輪だ。
「これ、お揃いの指輪。人間の世界の習慣なんだけどさ……『俺たちは生涯を共にするパートナーだ』っていう証なんだよ。あいつらの監視も完全に消えた。俺はアカシア様の下で、もっと圧倒的に強くなる。だから……これをはめて、これからもずっと、俺の隣にいてほしい」
カカさんは完全に言葉を失っていた。 指輪を見つめ、それから俺の顔を見つめ、その大きな瞳から大粒の涙をぽろぽろと零し始める。
「二鳥さん……二鳥さん、私……っ。味仙人として永い時を生きてきましたが、このような、胸の奥の細胞が爆発しそうになるほどの幸福は、初めてです……。お話したいことが、肺の容量を使い果たすほどたくさんあるのですが、今は、言葉が……上手く出てきません……っ」
長話が代名詞の彼女が、愛しさに胸を詰まらせて、言葉を失っている。 俺は愛おしさが堪らなくなり、カカさんの左手をそっと引き寄せると、その薬指にぴったりと合う指輪を優しく滑り込ませた。そして、俺の指にも同じ指輪をはめる。
「言葉なんていらないよ。……カカさん、大好きだ。この幸せは、誰にも渡さない」
お揃いの指輪を光らせながら、カカさんは俺の胸に飛び込み、今度は堰を切ったように甘い長話を始め、俺たちは新居の温もりの中で、どこまでも深く、確かな絆を刻み合うのだった。
◆
お揃いの指輪を薬指に嵌めたカカさんは、さっそく贈ったばかりの黒いワンピースへと着替えてくれた。 いつもの服とは違う、しっとりとした黒い生地が、彼女の独特な美しさをいっそう引き立てている。
もちろん頭のターバンは外されていて、見事なロングのストレートヘアが背中に流れていた。俺はテーブルの後ろに回り、買ってきた最高級の櫛を手にして、カカさんの美しい髪をそっと梳かし始める。
指先から伝わる彼女の体温と、新居を包む静かな夜の空気。まさに、これ以上ないほど幸せで甘い時間だった。 うっとりと目を細めていたカカさんが、愛おしそうに自身の指輪を見つめながら、ぽつりと呟く。
「……それにしても、まさか私と二鳥さんが同棲を始めた『ちょうど1周年の記念日』に、このような素晴らしい贈り物を選んでくださるなんて……。二鳥さんの誠実さと、私への深い情愛には、細胞の隅々まで感謝の言葉で満たされております」
――ドキン!
その瞬間、俺の心臓がこれまでにないほど激しく跳ね上がった。
(……き、記念日!? 今日って、俺たちがこの家で一緒に暮らし始めてちょうど1周年の日だったのか!?)
大焦りする脳内で、必死に記憶を巻き戻す。完全に忘れていた。気づいてすらいなかった。俺はただ、アカシア様に「たまには息抜きしろ」と珍しく休みを貰ったから、カカさんに何か特別なものを渡したいなとタイミング良く買ってきただけだったのだ。指輪は前から予約していたのを取りに行ったが…
いや、待てよ……? その瞬間、昼間にアカシア様と交わした会話が脳裏をよぎり、すべての点と線がパチリと繋がった。
『君のその人間としての誠実な気質そのものが、あいつらの目を欺く最高の隠れ蓑になるのさ』
アカシア様はそう言って笑っていた。 ブルーニトロの監視の目を欺くために俺を人里へ行かせた――それは間違いなく事実だ。
だけど、あの美食神が、俺たちの同棲記念日を把握していないはずがない。「監視を欺く」というのは、建前であり、ついでだったんだ!
アカシア様の本当の目的は、俺たち二人のこの『1周年の記念日』を祝わせるために、わざわざ特別な休みを取らせてくれたことだったんだ。
そこまで見越して俺を送り出してくれた師の粋な計らいに気づき、俺は心の中で深く感謝すると同時に、自分のうっかりぶりに冷や汗が止まらなくなった。
(い、いや、とにかく今はカカさんに悟られちゃいけない。普段通りの冷静さを発揮するんだ…!)
「あ、はは……。カカさんがそれほど喜んでくれて、本当に良かったよ。俺にとっても、大切な日だからさ……」
俺はできる限り声を平穏に保ち、普段通りを装って優しく微笑みかけて髪を梳かす手を動かした。
(ふぅ、なんとか誤魔化せたか……?)
そう思った直後、カカさんがフンスと鼻を鳴らし、すっと後ろの俺の方へと振り返った。その瞳には、味仙人ならではの鋭い観察眼が光っている。
「……おや? 二鳥さん」
「え、何かな、カカさん?」
「今、二鳥さんの皮膚から分泌された汗の成分……その微量な揮発性の匂い分子がですね……急激な動揺、および隠蔽を試みようとする特有の精神的ストレスによるシグナルを検出したのですが……?」
「…っ……!」
(しまっ、た……! ブルーニトロの肉体は五感だけでなく代謝機能も人間離れしている。そして目の前にいるのは味の仙人だ!)
俺が焦ってかいた一瞬の冷や汗の匂いから、記念日を完全に忘れていたことを一発で見抜かれてしまった。
「もしや二鳥さん、今日がちょうど1周年だということに……全く気づいていらっしゃいませんでしたね?」
ジト目になりながらも、どこか楽しそうにクスリと笑うカカさん。嘘を突き通すのは不可能だと悟り、俺は最高級の櫛を持ったまま、完全にガックリと肩を落とした。
「……ごめん、カカさん。アカシア様が休みをくれた本当の理由がこの記念日だって、今さっきようやく気づいたんだ……。せっかくの記念日なのに、ダメな男でごめん……」
情けなくて顔が熱くなる俺を見て、カカさんは不敵に、そしてどこか妖艶な笑みをその唇に浮かべた。
「ふふ、アカシア様のお心遣いには深く感謝せねばなりませんね。ですが二鳥さん、気づいていなかったことは事実……これは味仙人として、そしてあなたの『妻』として、看過するわけにはいきません」
カカさんはゆっくりと立ち上がると、黒いワンピースの裾を揺らしながら、俺の胸元へと妖しくすり寄ってきた。その手首に光るお揃いの指輪が、部屋の灯りを反射して怪しく煌めく。
「大切な記念日を忘れていた『旦那様』には……相応の『お仕置き』が必要ですね。そう、例えば……今夜の寝室での『検証実験』は、いつも以上に膨大な反復回数と、私の細胞が限界を迎えるほどの濃密なデータを、朝までたっぷり貪り尽くす……というのはいかがでしょうか?」
耳元で囁かれるカカさんの妖艶な言葉と熱い吐息に、今度は焦りとは違う、ブルーニトロの細胞が破裂しそうなほどの強烈な興奮が俺の身体を駆け巡った。
恥ずかしがり屋なはずの彼女が、この実験の時だけは優位に立とうと積極的に攻めてくる――そのギャップが、たまらなく俺の【食欲】を刺激する。
「……いいよ、カカさん。お仕置きだろうが実験だろうが、朝までいくらでも付き合うよ」
俺は降参を認めるようにカカさんの腰を引き寄せ、お揃いの指輪が刻む特別な1周年の夜へと、深く、深く溺れていくのだった。
皆さんはどっちだと思います?二鳥は…
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攻め?
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受け?