参考にしたいので、活動報告に意見くれると嬉しいです。
ハーレムにするかどうかも悩んでるんですけどね。出来ればそちらもお願いしたいです。
目の前には大きな鉄門、石で出来た城壁、そしてはためく旗があった。その規模に圧倒されてしまう。特に凄いのは城壁だろう。ビル街を知っているから高さには驚かないが・・・・横幅、何mあるんだろうか。とりあえず中距離走の大会が開けそうだ。城壁の周囲に民家らしきものがないということは、全て城壁で囲っているのか。どうやら治安はあまりよろしくないようだな。
城壁から視線をずらし、その上にある旗に注目する。
あんな所にあるんだ、あの旗が街を治めている者を表しているはずだ。むう、旗がはためいていてよくわからない。
「十蔵、着いたで。あれが隴西の街や」
「でかいな」
「隴西の街で驚いてたら、洛陽行ったら目ん玉飛び出んで」
「そんなに凄いのか?」
「そら帝のお膝元やしなー」
「ふむ」
どのぐらいの規模なのか気になるが、現状確かめようがないから、横に置いておこう。それよりも旗だ。旗。
「文遠、あの城壁の上ではためいている旗なんだが、何が描いてあるかわかるか?」
「ん?あぁ、あれは『董』の字や。太守してる月の旗やな」
『董』の字に呂布、張遼とくるとあれか。悪逆非道、酒池肉林で知られる董卓か。
「もしかして文遠が俺に会わせたい人って董仲穎なのか?」
「せや。なんや月のこと知っとったんか」
「まぁ、ちょっとね」
「ほぉー?」
なんか文遠がジト目である。地名も知らないのに董卓の名前を知っていたことに対する疑いの目だろうか。少し軽率だったかも知れない。まぁ別に悪企みをするつもりもないし、堂々といこう。しかし、文遠が言った真名の響きから察するに董卓も女性のようだ。やはり唯のタイムスリップでは無さそうだな。タイムスリップに『唯の』、なんて付けることに自分で笑ってしまうが。
「霞」
「ん?恋、どないしたん?」
「お腹すいた」
腹ペコモンスターにはジャーキーのみは厳しかったようだ。三国時代最強は胃袋も最強らしい。
「あぁー・・・・んじゃそろそろ行こか」
「・・・・・(コクコク)」
奉先が待ちきれないと言わんばかりに先頭に立ち、門を潜っていく。俺達もそれに続いた。
目の前には大通りが広がっている。そしてそれに面するように色々な種類の店舗が軒を連ねていた。人通りは悪くはない。店員の掛け声もよく聞こえる。だが、街の大きさからすると住民の数は少ない気がする。そう思いながら馬に揺られ、通りを進むと一つの店が目に付いた。
八百屋のようだな。種類もそうだが、置かれている量も少なめだ。これは古代だからというだけじゃないような気がする。
そんなことを考えていると、さらに気が付いたことがあった。現代のように置かれている商品に対して、名称や値札が書かれていない。この店だけなのかと他の店にも目を向けると、そちらもやはり書かれていなかった。
識字率が低いのか?まぁ俺も漢文なんて学生以来お目にかかってないけど。レの文字は前の文字に戻るとかだった気がするが・・・・あれは日本人が読めるように原文に書き足しているとかいう話じゃなかったかなぁ。
必要ないと思ってあまり熱心に聞いてなかったからな。もっと勉強しとけば良かった。
「文遠、街に文字の気配がないんだが、住人達は文字が読めないのか?」
「民人全員が読めんわけちゃうよ?歳とって引退した官吏なんかもおるし。まぁ十蔵が言う通り読めん奴のが多いんやけど」
「不都合とかないのか?」
「うーん、考えたことなかったわ。ウチ、難しい話苦手やねん。詠なら詳しく答えてくれんで」
「それは誰かの真名か?」
「月の補佐役や。おつむが強うてな。政務やらなんやら取仕切っとんねん。今から月に会うんや。あいつもおるやろ」
「ふむ」
そんなことを話している内に目的の場所に付いたようだ。街の中で壁に囲まれているこの建物が政務をしている場所なのだろう。あたりを見回していると衛兵が文遠に話しかけてきた。
「お帰りなさいませ。張将軍」
「おー、帰ったでー。ウチが居ない間、なんもあらへんかったか?」
「えぇ、平和そのものですよ。ん、張将軍、そちらの方は?」
衛兵が文遠の後ろにいる俺に気付いたようで、俺の方を見てそう言ってきた。
「あぁ、せやった。ウチの客や。悪いんやけど、客室まで連れてってくれへん?」
「構いませんよ」
「助かるわー。十蔵、ウチ、厩舎までこの子繋げに行かなあかんねん。客室で待っとって。そのあと謁見の間まで連れてくわ。」
文遠は馬の首を撫でながら、こっちを向いてそう言った。
「わかった。彼についていけばいいんだな?」
「頼むわ」
それを聞いて乗っている馬から降りようとする。乗る時もそうだったが、鐙が無い上に二人乗りだから降りるのが一苦労だ。動物だから、勢いをつけて飛び降りるわけにも行かないしなぁ。ましてや他人の愛馬だから尚更だ。
なんとか地面に足がついた。やはり地に足が付いているこの感触はいい。初めての馬だったからか余計にそう感じる。
その感触に浸っていると足元に狼達が集まりだす。そう言えばこの子達どうすればいいんだろうか。さすがに建物の中に入れるわけにも行かないよな。そんな事をしたらパニック必至だろう。
「文遠、この広場にこの子達放っていいか?流石に建物の中に入れるわけにもいかないと思うんだ」
「あー、せやな。それがええやろ。しかし、言葉通じるんか?」
文遠にそう言われ、とりあえず狼達と目線を合わせる。そのあと広場の隅を指さして彼らの背中をポンと叩いてみた。すると広場の隅を見た後、俺に視線を戻してそこから動こうとはしない。むぅ。これは忠誠心が高いのか、意思が通じないのかどっちだろうか。まぁ後者だとは思うんだけど。仕様がないので、手を叩き、大きな音を出して脅すと凄い勢いで走り去っていった。躾、万歳。少し可哀想な気もするけども。
「それではお客人、こちらです」
狼が走り去っていったのを見届け終わると衛兵がそう言って歩き出した。これだけの建物だ。迷子にはなりたくない。文遠に手を振ってから、急いで衛兵の後をついていく。大きな広場を横切った後、一番大きな建物の中に入る。廊下を進み、何度も角を曲がった所でやっと彼の足が止まった。
しっかし、廊下が枝分かれし過ぎだろ。同じような廊下の造りばかりだったしな。一人だと確実に迷ってしまいそうだ。入ってきた方向がわからないとか、なんてトラップなんだ。まさか侵入者撃退のためにこんな造りをしているのだろうか。
「こちらの部屋で少々お待ちください」
「ありがとう」
通された部屋は小ぢんまりとした、しかし良く掃除がされた部屋だった。寝台があったので、とりあえず座ってみる。思ったより硬くないな。嬉しい誤算だ。
何度か手でその感触を確かめた後、視界に何かが入った気がして、ふと顔を上げた。
「っ‼」
・・・心臓が止まるかと思った。窓の向こうから顔だけを出し、頭に犬を載せた状態で無言でこちらを見ている奉先がいる。こういうのは苦手だ。心臓に悪い。
「あー、ビビった。驚かせないでくれ、奉先」
するとキョトンとした顔で首を傾げる奉先。その仕草は可愛らしい。可愛らしいんだが、頭の上の犬がずり落ちかけてジタバタしてるぞ。救出してやりな。
「・・・びびった?」
どうやらビビるの意味がわからないようだ。まぁ考えれば当たり前か。そんなこと言ってる間にも犬の戦いは続いている。あ、そろそろ落ちそう。腕がプルプルしてる。流石に落ちたら可哀想なので救出しよう。犬の腹の下から手を入れて、犬を持ち上げた。
「あぁ、驚いたってことだよ。それで、なぜ窓から顔出して俺を覗いてたんだ?何か用でもあったか?」
「・・・・・・(フルフル)」
用は無いらしい。ならなんでこっちを覗いてたんだ。謎だ。まさか覗きが趣味な変態さんじゃあるまいしなぁ。あ、この犬もふもふで気持ちいい。
「そうなのか。この犬の名前はなんていうんだ?」
両手でずっと持ち上げてても疲れるので、赤ん坊を抱っこするように持ち替えてみる。するとすぐにモゾモゾと動き出し、俺の肩に首を乗せて鼻息をあげる。定位置を見つけたようだ。しかし、この犬凄いな。普通、犬って高いところが苦手だから動かなくなるもんなんだが。
「セキト」
「ほー。セキトって言うのか。こいつ」
まさかの赤兎馬ならぬ赤兎犬だったよ。いや確かに赤いが。首につけてるスカーフがな。なんでスカーフしてるのかはもう突っ込んだら負けな気がする。
「十蔵、凄い」
「ん?」
「セキト、認めた人にしか懐かない。いきなり抱っこして怒らないの珍しい」
「ぇ、そうなのか」
「・・・・・・(コク)」
どうやらセキトに認められているらしい。ちょっと嬉しかったので、セキトの頭を撫でてみると気持ちよさそうに目を細めた。愛い奴め。
しばらくセキトを撫でていると、奉先が俺の服の裾を引っ張ってきた。
「どうした?」
そう奉先に聞くと、奉先は庭にある大きな木を指差した。む?もしかしてあそこの木までついてこいと言っているのかな。
「文遠からこの部屋で待つように言われてるんだが」
「行く」
「いやだから文遠から待つようにだな」
「窓、開けとけば見える。行く」
この子、意見を曲げてくれないぞ。そういえば、最初に会った時も文遠と同じようなやり取りをしてた気がするな。少し困った顔していると、奉先が悲しそうな顔をしてきた。むぅ、垂れ下がる犬耳が見える。文遠は猫で、奉先は犬なのか。動物園かここは。
「わかった。降参だ。ついていくよ」
溜息をつきながらそう言うと、奉先は朗らかに笑いながらさっきよりも強めに服を引っ張ってくる。あー、窓を乗り越えろってことか。どうやら普通に外に出させてはくれないらしい。抗議するのを諦めてセキトを落とさないように気を付けながら、窓枠を跨いで外に出た。
木の根元には葉っぱが生い茂り、影を作っている。その中に入り顔を上げると葉っぱと葉っぱの間から光がチラチラと覗いているのが見えた。空気を大きく吸うと、緑の匂いがする。あぁ、いいなぁこの感覚。すごい落ち着く。日の光で葉っぱが透ける光景とか最高だ。
その光景に満足して奉先の方を見ると草の上に横になっていた。そのままの態勢でこちらを見ながら、自分の横をポフポフと叩いてくる。これは俺にも横になれってことか。つまりあれか。奉先はお昼寝に連れが欲しかったと。とりあえずセキトを降ろして、奉先が叩いているところに寝転がる。すると満足そうに笑いかけてきた。その表情が可愛らしくて少しドキッとしていると、セキトが「十蔵には渡さないぞ」と言わんばかりに俺と奉先の間に入ってきて毛玉になる。あ、こらセキト。尻尾が俺の顔に掛かってくすぐったいからやめてくれ。
緑の匂いを運んでくる風がとても気持ちいい。文遠に部屋で待っていろと言われたから、寝るつもりはなかったのだが、この誘惑はなぁ。
うー。思たより遅くなってもうたわぁ。愛馬を厩舎に繋げに行った後、月、詠、華雄、ねねを探し出して「おもろい男を拾ってん」て、言うたら、嫌ーな顔されたんは困ったなぁ。なんでや。日頃の行いが悪いんやろか。まぁとりあえず謁見の間に集まってもろてるんやから、はよ十蔵呼びに行かな。
そんなん考えてる内に客室に着いてもうた。十蔵怒ってはるやろか。
「文遠や。十蔵?失礼すんで」
そう言うても中から返事が来おへん。やっぱ怒ってはる?ドキドキしながらそーっと扉を開けて中を覗くと誰もおらん。あっれー?なんで十蔵居らんの?厠やろか。
とりあえず部屋の中に入ってみる。むー。まさか怒って帰ってもうた?それはまずいでー。もしかしたらほんまもんの天の御遣いかもしれんのに。それに十蔵居らんなんて詠あたりに言うたら、鬼みたいに怒って酒を減らされかねんわ。・・・・・・不味い。それは不味いで!十蔵どこやねん!
「十蔵ー?居らへんのー?」
そう話しかけながら、机の下も探してみた。あかん、ガキやないんやで。待たしたからって拗ねて机の下なんかに隠れるわけないやん!ぬぅー。ほんま十蔵どこやねん。
そう思いながら窓の外を見ると木の根っこんとこになんか居る。勢いつけて窓を飛び越え、木まで全速力で向かうと、十蔵が居ったわ。
何故か恋とセキトと川の字で気持ちよさそうに寝とる。ほんまこいつ大物やで。知らん街の、しかも太守の庭で寝れるんか。身の危険とか考えへんのか?まぁ、初めて会うた時も大物やと思ったけどな。いきなり今会うたもんに酒飲むか聞いてくるし。しっかし、可愛い寝顔しとんなぁ。・・・・あかんあかん。見つめとる暇ないで。詠にどやされるわぁ。
「十蔵ー。十蔵ー?起きてやー?」
「すぅすぅ」
く、まったく起きへん。ウチは、まったく起きない十蔵のほっぺを引っ張ってみた。可愛い寝顔やー、なんて、柄にもないことを思ってしもたことの気恥ずかしさもあって、強めにぐにぐにする。
「・・・・なにしてるんだ、文遠」
「ぉ、起きたな十蔵」
「起きてすぐ目に入ったのが美人で俺は光栄だよ」
美人て、そんなん言われたら恥ずかしくなるやんか。皮肉やろか。皮肉やろな。ウチよかもっと美人おるしなぁ。月とか可愛らしいし。まぁでも、皮肉やとしても嬉しいわ。顔赤くなってへんやろか?
「もしかして長い時間寝てたか?」
「広場で別れてから3刻過ぎるぐらいやろか」
「そうか」
「なんで恋とセキトと昼寝しとるん?」
「あー、なんか強引に昼寝に誘われたんだ。お前が呼びに来るから、不味いとは言ったんだがな。寂しそうな顔で見られて、断り切れなかった」
恋も十蔵に対して思うことがあるんやろな。セキトも騒がへんし、そこらへんも関係しとんのかも。上手く十蔵が詠の試験に受かれば、隴西の街で働くことになるやろし、今のうちに仲良うなっとくんはいいことやで。
「呼びに行くんが遅うなってすまんかったわ。ウチの街の主だった奴らに声かけんのに時間かかってん」
「いや構わないよ」
「そう言って貰えると助かるわ。んじゃ謁見の間に行こか。緊張せんでええで。取って食うような奴はおらん」
そういうと、十蔵はキョトンとした顔の後、苦笑した。
「文遠や奉先がいる職場だ。そこら辺は気にしてはいないさ。あ、奉先起こすか?」
「・・・・もう起きてる」
十蔵が恋のことを話した瞬間、恋が起きたわ。相も変わらずなんも無い時は、まったく起きへん癖にこういう大事な時は動物並に目覚めがいいわ
「んじゃ恋も起きたことやし。行こか。ついてきてや」
二人の先頭を歩いて謁見の間へ誘導する。さぁてどないなるやろか。上手くいってくれるとええんやけどな。