去年と同じように、何事もなく高校二年生も終わるのだろうと思っていた。
だがしかし、天宮華恋という幼馴染がまさかの同じクラス、平穏どころ大事故だろう。
ただえさえ校門前でもあの注目度なのだ、近づかないようにしなければ。
「ふふーん♪2-B!2-B 」
僕がこの美少女(大悪魔)から離れればの話だが。
上機嫌で僕の襟を掴んで逃がさないとしている時点で諦めた方がいいのか、無理やり引きなはそうとすればいいのか、どっちにしろ面倒臭いことが起きることは確定しているので、死んだ目で連行されている。
「よーし、着いたよ〜」
「襟から手を離してもらっていいですか?」
「なんで敬語なの?」
「身内だと思われなくて...ですね」
「うーん、正直なあおくんも好きだけど流石に怒るよ?」
「やめろ、ここで怒られたら新しいクラスメイトが確実に引くどころか周りの人間にもバレて俺の居場所が無くなる」
「だったら普通に話して」
「.....はい。痛っったぁぁ!!!脛...蹴りやがったなっ!!」
「敬語」
「『はい』は別に良いだろ!!」
「.......」
こいつ....無視で通しやがった....!!最悪この状況を見られなかったのは奇跡だった訳だが、さっきまで上機嫌だったのに不機嫌になりやがって扱いが難しすぎる。幼馴染っていったい
「ほらーあおくん教室入るよ?」
「脛蹴って動けなくしようとした人が言うか?」
「気のせいだよ」
「気のせいじゃねぇよこの馬鹿」
脛をさすって歩く。いよいよ新しい教室へと入る時が来た、天宮がガラガラと教室のドアを開ける、流石といえば流石だが天宮が元気に挨拶をしてスタスタと流れるように入っていった。
僕も『...うっす』と軽く会釈をし、自分の机を探していた。
「てか、天宮だから出席番号順的にドア側の1番前だね、私」
「俺は中間ぐらいか」
「離れちゃうの悲しい?」
「全然悲しくないね。むしろ助かるわ」
「今すぐにもくっついてあげても良いんだよ?」
「是非ともやめていただきたい、ほら座れ」
「もう....。」
天宮が座り、僕も自分の席を見つけ鞄を机の上に置き顔に埋めた。
......めちゃくちゃ見られてたぁっ...!!天宮の元気な挨拶で注目が集まり、そこで後ろから僕の登場、それは目立ちますわ!!!なに、淡々と会話しちゃってんだろ僕!!完全に天宮華恋にペース持ってかれちゃってるじゃん!
「ねね、」
ふと、腕に指先で腕をツンツンとつつかれた感じがした。
「華恋とさっきまで話してたけど、仲良いの?」
「いや....そんなことは」
「そんなことしかないでしょ?校内でも争う美少女の華恋と仲良しそうに話してて仲良くないは嘘だってぇ」
蒼は面倒くさそうに鞄から顔を上げた。
金髪で、こちらもかなり整った顔立ちをした女子だった。華恋とはまた違うタイプの美少女だ。
机の横にはギターが掛けられていた。
「で、どうなの?」
「仲良くない。面倒くさいぞアイツ」
「....あんた、薄情ってよく言われない?」
「うるさい」
「ま、いいや私は遠野結花よろしくねぇ〜」
「沼上...です」
「下は?」
「......蒼」
「じゃあ私も蒼くんって呼ぶわ、それとも蒼きゅんが良い?」
「やめろ、絶対にやめろ!いいな?」
「あはっ、蒼くん絶対弄りがいあるよね」
蒼は深くため息をついた。それはそうだった、天宮華恋という距離感バグりの幼馴染に隣の席にはまるで玩具を見つけたという目をする、遠野結花。
むしろ厄介な奴が1人増えたのである。
教室内に担任らしき人が入ってきた、どうやら女の先生らしく、クラスメイトの反応を見るとどうやら当たりらしい。
「それじゃあ、新しいクラスになったからには自己紹介をやりましょうか」
分かっていたことだったが、完全に天宮と遠野にペースを崩され続けていた沼上蒼に絶望が降りかかった。