俺はカナリィさまの召使い   作:三笠みくら

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天上天下カナリィ独尊

 

「エナドリ切れた、買ってきて」

 

「おなか空いた、なんか作って」

 

「新しい戦略考えたから、バトルして」

 

 

あれやれこれやれ。さも当たり前のように、幼馴染はそう指図してくる。なんとも腹立たしい。だけど俺は逆らえない。だって……

 

 

「くっそーー!!また負けた!!」

 

「m9(^Д^)プギャー、はいまたぼくの勝ち〜〜!!とっとと限定スナック買ってこーい!!」

 

 

……一度も、カナリィとの勝負に勝ったことがないからだ。

 

 

 

 

 

俺とカナリィは、小さい頃からの幼馴染だ。ホウエン地方からミアレに引っ越してきた俺たち家族は、近所のラシーヌ工務店…タラゴンさんと仕事で仲良くなった。そうしてタラゴンさんに紹介されたのが、タラゴンさんの孫であり俺と同い年の少女・カナリィだった。

 

幼馴染という贔屓目もあるだろうけど、カナリィはかわいい。つぶらなひとみでおねだりなんてされようものなら、タラゴンさんじゃなくても大人たちは甘々になってしまう。だがそうして周囲の大人たちに甘やかされてきたからか、カナリィはなんとも典型的なクソガキになってしまった。

 

 

「や〜い、ユズのビビり!こんな入門編ホラゲーでビビるとか恥ずかしくないわけ〜〜??」

 

「こんのクソガキが……」

 

「ん?な〜にぃ?負け犬の言葉は聞こえないっすわ〜〜www」

 

「(#^ω^)」

 

 

これだけ煽られても、俺は一度もカナリィとの勝負に勝っていないのでなにも言えない。だが俺が負け続きなのには理由がある。

 

 

「つーかさぁ、ぼくに勝ちたいならそのみずタイプ縛りやめれば?」

 

「馬鹿言うな!!俺はいつか必ずみずタイプのジムリーダーになるんだ!そのためにもでんき使いのお前には勝ちたいんだよ!!」

 

「はいはい、負け犬の遠吠え乙。そんなことよりご飯まだー?」

 

「ぐぬぬ……」

 

 

そう、俺は手持ちをみずタイプのポケモンで統一している。俺の地元、ホウエンはみずタイプのポケモンが多く、ホウエンで過ごしていた時期こそ短いが俺はみずタイプに憧れを抱くようになった。特に憧れたのがルネジムリーダーのミクリさん!!あの美しさと強さはそうそうお目にかかれない。というかみずタイプのジムリーダーや四天王はみんな憧れだけどね。

 

 

「ほら、餃子できたぞ」

 

「やった〜、ポン酢取って〜」

 

「それくらい自分で取れって……」

 

「戻ったぞ、カナリィ!おお、この匂いは……ユズくんが料理を作ってくれたのか?」

 

「タラゴンさん、おかえりなさい。今日は餃子ですよ」

 

「おお、うまそうじゃな!わしは汗を流してからいただくわい」

 

「その前に全部ぼくが食べちゃうかもね〜。ユズってば料理の才能はあるからさ」

 

 

たまにではあるが、俺がカナリィとタラゴンさんの夕飯を作ることがある。と言うのもカナリィの両親は多忙で、あまり家に帰ってこない。タラゴンさんも仕事で忙しいしカナリィに料理なんてものはできないので、なし崩し的に俺が担当することになっている。

 

 

「ほんとユズって料理の才能あるよね〜。もうぼく専属の召使いになっちゃえよ」

 

「はぁ?絶対やだわ。つーか今も体よく使われてるみたいなもんだろ」

 

「だからぁ、ユズがぼくに勝てばいい話なんだって。まぁ無理だろうけどwww」

 

「お前ほんっと可愛くない!!見た目以外なんも可愛くない!!」

 

「え、あ、見た目は可愛いって思ってるんだ……」

 

 

カナリィがなんか言っているがどうせ俺への煽りなので無視するとして。ラシーヌ工務店……もといカナリィとタラゴンさんの家には、カナリィグッズが溢れんばかりに置かれている。ポスターにぬいぐるみ、キーホルダーにアクリルスタンド。俺は配信を見たことないので知らないが、カナリィはだいぶ人気らしい。まぁ見た目「は」いいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《side カナリィ》

 

ぼくには幼馴染がいる。イケメンで、身長高くて、優しくて、料理上手で。なんというか、本当に欠点ないんじゃない?って思うくらいには人間できてる。そんなユズだから、わりと女の子に言い寄られたりする。最初はなんとも思ってなかったんだけど、なんていうかさ。だんだん……それを見てムカつくようになってきたんだよね。

 

だってさ、ぼくの方がユズのこと分かってるんだよ?負けず嫌いだとか、みずタイプに並々ならぬ愛を持ってるとか。それも知らないのに、ちょっと顔のいい男子に優しくされたくらいで告る女の子とか……ユズのためにならないじゃん?

 

だからさ、ぼくがユズのこと守らなきゃと思って。ユズは負けず嫌いだから、ぼくに勝てない限りはずっとぼくに挑み続ける。そして勝者の権利で、ユズにあれこれ指図する。その間は、ユズはぼくだけを見てくれる。

 

 

そう。ぼくは、ユズのことが大好きなのだ。

 




カナリィ「や〜いクソザコ〜♡♡」

ユズ「んのクソガキがぁ……!!」

↑日常

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