俺はカナリィさまの召使い   作:三笠みくら

3 / 3
カナリィとユズの気持ち

 

そもそも、どうしてぼくがユズを負かすことにこだわるようになったのか。もちろんユズの興味関心をぼくに向けさせる…のもあるんだけど、実はもっと大事なきっかけがある。

 

それは5年前、カロスでフレア団の事件が起きた時。それはもう大変だった。ぼくの配信にもカロスアンチが湧くし、フレア団自体がカロスに強く根付いてたのもあって、カロス全体が混乱してた。それでもミアレは好きだったし、何よりじーちゃんやユズが一緒にいてくれたから苦しくはなかった。……でも。あの時、ユズが言ったんだ。

 

 

「……なあ、カナリィ」

 

「どうしたの?やけに真剣な顔して」

 

「俺、いつかミアレを出るよ」

 

「………え?」

 

「今回フレア団の事件でカロスが大変なことになってさ……俺、改めて感じたんだ。もっと、強くならなきゃなって。だからいつかミアレを出て、自分をもっと鍛える。それで……」

 

 

他にもなんか言ってた気がするけど、ぼくはもう放心状態でなんも耳に入らなかった。ユズ……ぼくを置いていくの?そんなのやだよ、ずっと、ずっと一緒にいようよ……

 

そのあと、ぼくは必死で考えた。どうやったらユズを繋ぎ止められるんだろう、どうしたらユズはぼくから離れない?そうして必死に思いついたのが、ぼくがユズより強くなることだった。一番身近なぼくの方が強ければ、ユズは負けず嫌いだからそれに噛みつく。ユズはみず使いだから、それの弱点をつけばいい。ユズの相棒のラグラージだって、手持ち全員にくさ技を覚えさせればいい。ずるいって思う?でも、それだけぼくは必死なの。

 

 

「は〜い、今日もぼくの勝ち!ユズ、今日もぼくのお願い聞いてね?」

 

「くっそ……カナリィお前、ほんっと……」

 

「なになに〜?文句ならぼくに勝ってからにしてよねwww」

 

 

ユズを負かすのは正直気持ちいい。それにユズは勝負好きだからぼく…勝者の言うことをなんでも聞いてくれる。優しいユズが、ぼくに対してだけは分かりやすく負けず嫌いをむき出しにしてるのがちょっと快感。

 

 

「なぁカナリィや……いつまでこんなこと続ける気じゃ?」

 

「……どういう意味?」

 

「ユズくんを負かして言うことを聞かせて……お前がユズくんのことを好きなのはわかるが、素直に気持ちを伝えた方がいいんじゃないのか?」

 

「……だって。それでユズに拒まれて、この関係が崩れたらどうするの。そんなの……」

 

「カナリィ……」

 

 

ぼくだってユズの気持ちを無視してるのはわかってる。でも……怖いんだ。ユズからもし、ぼくのこと恋愛対象として見てないとか言われたら。そんなの考えたくもない。ユズとぼくはずっと一緒の幼馴染。それでいいんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《side ユズ》

 

5年前、フレア団がカロスで3000年前の最終兵器を起動させるという大事件があった。事態こそ収まったものの、そのあとは芋づる式にフレア団の悪事が明るみになっていった。ミアレの停電も、ポケモンたちの行方不明事件も。さらにはトップが捕まって、フレア団の下っ端どもがミアレで暴れるなどした。その時……俺は自分の立っていた地面が、今までの幸せが崩れ去るような感覚に襲われたんだ。

 

こんな身近に、脅威が潜んでいる。特に恐ろしかったのは、下っ端どもの大暴れだ。カナリィには隠しているが、実はあの時、俺はフレア団の下っ端どもと戦ったんだ。下っ端1人1人は弱かった。でもその時に、下っ端たちの悪意というか、人間としての違いみたいなものを見せつけられた。

 

嬉々として人を傷つけて、自分のポケモンが傷ついても気にも留めない。そんなやつらが知らん顔して今まで潜んでいた……その事実が、どうしようもなく怖かった。だから、強くなりたかった。

 

 

「いつかミアレを出て、自分をもっと鍛える。それで……」

 

 

 

 

「カナリィ。お前を、守れる男になるから」

 

 

が、現実とは厳しいもので。カナリィのでんきポケモンに俺は負け続きだ。こんなじゃお前を守れない。俺はお前を守りたいんだよ。

 

カナリィ。お前は俺にとって、一番大切な女の子なんだから。




ユズの手持ち
ラグラージ マリルリ ギャラドス ミロカロス 

感想・お気に入り登録お願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ユカリ様の番犬(作者:三笠みくら)(原作:ポケットモンスター)

「あなた、わたくしの犬になりなさい」▼ボロボロの少年は、意識が遠のく中そう告げられる。これは超絶フェアリーわがままお嬢様・ユカリに気に入られ、彼女に全てを捧げる少年執事の話。


総合評価:618/評価:8.69/完結:9話/更新日時:2026年07月09日(木) 21:27 小説情報

Skybound Ace 【Redux】(作者:心ここにあらず)(原作:ハイキュー!!)

▼この作品はリメイク版です!▼ハイキューの世界にリエーフの幼馴染的な主人公を交えたお話です。生まれもった環境もポテンシャルも全てを兼ね備えた主人公がどのように原作キャラたちと交え成長していくのかをご覧ください!⚠︎リエーフは幼馴染であるが同じ高校に進むとは言ってない…ウシワカとか大王様とか宮城には個性的な人たちがいるからそっちと絡ませたいです!


総合評価:59/評価:-.--/連載:15話/更新日時:2026年07月11日(土) 07:12 小説情報

ジム巡り?コンテスト?そんなことより観光だ!(作者:そじゅ)(原作:ポケットモンスター)

前世は普通のオタク社会人だったのに、なぜかこの世界に生まれ変わっちゃった……って、ポケモンはやったことないんですけど!?▼父の研究に付き添って各地を転々とする中で、ポケモンたちの可愛さに毎回理性が飛んでしまう。▼「んぎゃわいいいいいい!!」ってまた理性が飛んで、あ、意識が…▼バトルは二の次、ポケモンたちと一緒に楽しく過ごすのが一番!▼せっかくのポケモン世界に…


総合評価:1079/評価:7.64/連載:12話/更新日時:2026年04月11日(土) 18:00 小説情報

術式【適応】(作者:雨曝し)(原作:呪術廻戦)

▼ 禪院家に魔虚羅と同じ術式持ちが生まれる話。▼タグは随時追加


総合評価:1192/評価:7.06/連載:7話/更新日時:2026年04月09日(木) 13:14 小説情報

転生サトシの旅路(作者:ナノブ)(原作:ポケットモンスター)

これは、アニポケのサトシが一生を終えた記憶と、アニポケを見ていた人の記憶両方を持った転生者サトシが、波導と呼ばれるチートを駆使して行く旅路を記したもの。▼サトシ至上主義が書くポケモン小説です。▼作者はポケモンライト勢であり、にわかです。


総合評価:3806/評価:9.18/連載:36話/更新日時:2026年06月27日(土) 18:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>