旧版・とあるチートを持って!   作:黒百合

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き、奇遇ですね?

「・・・はぁ。」

 

ため息が出る。

それもそのはず。

響は憂鬱である。

 

『・・・どうする?』

「・・・何が?」

『もう彼女たちに関わらなくて良いんじゃない?』

「・・・ですよねー。」

『気分転換に温泉にでも行く?』

「・・・そうですねー。」

『そんな泣かないでよ。』

「・・・。」

『黙らないでよ。』

「俺、何しに来たのだろうか?」

『誤解したり誤解されたり、ふんだりけったりだもんね。

正直面白―――いから私的にはいいんだけどさ。』

「そこは一応でも本音を隠すところだよな?

・・・まぁいいけどさ。事実滑稽なことになってるには違いない。・・・ぐず。」

『それより月村さんのパジャマをもってどうしたの?』

「どうやって返そうかと思って。」

『それを口実に謝るとか?』

「うん・・・まぁ。」

『止めといたら?

あれだけショッキングなことになってる上に響の前の性格からすると、近づくためのキャラを演じた・・・と思われてると思うよ?

それに月村家ならパジャマの一つや二つ、すぐに買い直してると思う。』

「ショッキングな方は100パーセント貴方のせいですけどね!!」

『ちょっと登場のさせ方に凝っただけじゃないの。』

「それが今の状況を招くキッカケになったと思うよ、俺。・・・遅かれ早かればれることにはなってたと思うけど・・・」

『過ぎたことをぐちぐち言わないっ!

・・・私だってさすがにふざけすぎたって反省してるから!!』

「・・・はぁ。温泉。行こうか。」

『よしよし。それでいいのだよ。』

「・・・。」

 

 

こうして響達は温泉に行くこととなる。

またもや彼女達と会うという事も知らずに。

 

☆ ☆ ☆

 

母親の文香と温泉旅行に来た響。

早速、こそこそ隠れることになった。

 

「母さん、ちょっと売店でお菓子買ってきて良い?」

「あら?おなか減ったの?」

「うん。」

「あまり沢山買ったらダメよ。晩御飯が食べれなくなるからね?」

「分かってるよ。」

 

というやり取りの後、さっそく売店に来た響。だったのだが。

そこにはきゃっきゃっうふふと楽しそうにはしゃぐなのは達。

 

「・・・狙ったと言うわけでは無いだろうな?」

『ノン!と応えておくわ。私もちょっとびっくり。』

「ていうかオマエは原作知らんのか?」

『・・・んー私ってほら。快楽主義者?

じゃちょっと意味が違うかな?

面白いかどうかが第一だから、先に結末知ってたらつまらないでしょ?

というわけで特に聞いてません。』

「・・・使えないな。」

『響もね。』

「俺も使えないな。」

『分かったみたいで何より。』

「フォローしてくれ。・・・パジャマを返すべきだろうか?」

『またそれかい。てか持ってきたの?』

「・・・一応、なんか持ってると安心して。」

『傍目から見ると変態よね。少女のパジャマを持ち歩く男・・・キモ。』

「・・・うるさい。自覚はしてるが、いまだ未練たらたらなんだ。もってたらなんか月村さんが“頑張って!響なら出来るよ!”といってくれてる気がする。」

『ちょっと様子見ていく?』

「・・・スルーか。」

『幻聴乙。惨め過ぎてデバイスの私も涙が流せるレベル。』

「流して見せろ。」

『比喩表現だバカヤローこのやろー。』

「・・・分かっとるわ。」

『ほら、アホなこと言ってると見失うぞ。』

「・・・うん。」

 

響もアホらしくなったのか、アイシテルとの会話を切り上げて付けていく。

ちなみに憎(にっく)きあの男。

山田君もいるではないか。

こっそりディザスターブレイカーで打ち抜いてやろうかと思ったのだが、さすがに人の目がありすぎるしそんなことしたら殺されるかもしれん。

うん。不意打ちは良くないよね。

ビビりの響は怖気づいた。

 

「あいつら早速温泉に入るみたいだな。」

『そうみたい。ていうか、こうして見ると山田君、モテてるね。』

「・・・。」

『爪。痛くないの?』

「・・・え?

おわっ!?

いだぁだだだだあああああっ!?」

 

あまりの憎しみでつい壁に爪を立てていたせいか爪がはがれかけていた。血も出ている。

こんな時に便利なのがおっぱいチートである。

胸を揉むことで体の傷含めてリフレッシュ!!

・・・自分で自分の胸を揉むと言う残念な絵柄に対しては突っ込んではいけない。

おっぱいチートには三段階のレベルが存在し、第一が単に胸を弄る(もとい体の形態変化)、第二が胸を介しての治癒。これは第三が時の逆行による不老化。(原理的には第二も一緒で時の逆行による治癒だったりする。)

若返らせたりも可能。その逆もまた可能。

強力なチートである。が、かならず胸を揉まなければならず、ソレ相応の魔力を消費する。

不老化を使う場合、魔力によって効果年数が決まる。響の全魔力を込めても約1年しか効果が持たないという微妙に残念仕様である。

 

「ふと思いついたんだが・・・」

『何?』

「このチートで成長、もしくは若返りをすれば問題ないんじゃないだろうか?」

『でも、山田君にはばれると思うよ?

そうなれば無駄に手の内をさらすだけになる。』

「また山田君(おまえ)かっ!

つくづく邪魔者だな!!あいつはっ!!」

『でも・・・おっぱいチートの第一段階を応用すればバレナイかも。』

「なんだと!?」

『あれ、胸を弄るってのは結局のところ体の形態を弄るってことだから・・・女になったり、全く別の生物になったりが可能だと思う。それこそ昆虫にだってなれるはず。』

「なっ!?

そ、そんな便利機能がっ!?」

『でも・・・胸や手が無い生物に変身しちゃうと戻れなくなるから気をつけて。多分、一度なっちゃうとどんな手を使っても戻れない。神様印の能力だし。』

「なっ!?

そ、そんな恐ろし機能がっ!?」

『私も詳しくは知らないけど・・・胸を揉むチートだから揉める様な胸が存在し、なおかつ胸を揉める様な手があり、胸に手が届く動物・・・ネコや猿とかそんなところかな。・・・ま、おっぱいチートの“おっぱい”が人間のみなのか動物もありなのかまでは分からないけど。』

「ほう?

ならばネコに・・・でも最後の一言が怖いのでやめとく。」

『ビビリめ。』

「やかましいっ!!」

『じゃあ女体化いっとく?』

「酒を誘うノリで女体化を勧めるなっ!!

・・・もういいよ。お菓子買ってとっとと帰ろう。」

『・・・もういいの?』

「あの件で何か気落ちしてるかな~とか思ってたんだけど、別にどうとも感じてないみたいだから良いや。」

『悲しい理由ね。』

「・・・言うな。俺が一番悲しい。数日で忘れ去れるほどのショックだったってことだろう。」

『ショックを受け続けてもこっちとしては申し訳ないけど、もう少しなんか影があって欲しかったって感じ?』

「・・・うるせいやい。」

『多分、山田君が慰めたとかじゃないの?』

「・・・死ねばいいのに。」

『はいはい。どんな響でも私だけはついてるからね。安心しなさい。』

「・・・アイシテル・・・」

『響、ほら、お菓子買うんでしょ?

介入しないならしないでとっとと去っておいたほうが無難よ。』

「好きだぁあああああっ!!

オマエに惚れたぞっ!!アイシテルゥゥゥぅぅぅぅぅぅううううううっ!!」

『こ、こらっ!

唾液がつくから私にキスするなぁあああああっ!!』

「照れてるぅっ!」

『うっさいっ!!巻き舌うっざいっ!!』

 

 

その温泉の旅館ではナイフを模したアクセサリーにちゅっちゅっしながら「愛してるゥゥぅぅぅうぅぅぅうぅうぅぅぅうううぅっ!!」と叫ぶ子供がいると三代ほどに渡るまで語られたとかないとか。

シュールである。

 

 

その後、ジュエルシードの反応があったが、再度皆から敵対されるのは目に見えていたので響は何もせず温泉を楽しんだのであった。

 

 

「あいつ・・・何しに来てたんだ?

・・・不気味なヤツだな。」

 

何気に感知技で響に気づいていた山田君。

こちらをじろじろ介入したそうに見ていたくせに何もしなかった。

このことで何か企んでいるに違いない、と山田君により警戒されるのは言うまでも無いことだろう。

こうしてさらに誤解は深まるであった。

誤解が深まっていくのは最早彼の天命であるのかもしれない。

 

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